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【妊娠線】早めの予防が重要|効果的な予防法や始める時期を解説

妊娠線とは妊娠をきっかけに起こるお腹の肉割れのことです。目立つ上に出産後も長い間跡が残るため、早いうちから予防することが重要です。

この記事では、妊娠線について以下の内容をお伝えします。

  • ・妊娠線の基礎知識
  • ・効果的な予防法とできた場合の対処方法

「妊娠線は絶対にできてほしくない」と感じているなら、この記事を最後まで読んですぐ妊娠線の予防を始めましょう。

妊娠線とは?

妊娠線とは、胎児の成長とともにお腹が張るのに対して、皮膚の柔軟性が追いつかず起こす肉割れ線のことです。

正式名称は「線状皮膚萎縮症(あるいは皮膚伸展線条)」であり、医療現場ではストレッチマークとも呼ばれます。

始めは薄赤〜ピンク色の線が縦向きに現れ、徐々に赤黒色に変化します。産後時間が経過すると肌〜白色で目立たなくなりますが、完全に消えるわけではありません。

また、お腹の皮膚が張ることで「痒み」「乾燥」などの症状を伴う場合があります。そのため、必要以上に掻きむしったり、強い刺激を加えたりするのは危険です。というのも皮膚が薄くなっているため、爪や強い刺激で傷つきやすくなっているからです。

では、妊娠線の原因やできやすい部位などについて見ていきましょう。

妊娠線ができる原因

妊娠線ができる原因は、以下の2つです。

  • ・胎児の成長とともにお腹が大きくなるため
  • ・妊娠後に体内でステロイドホルモンが増加するため

皮膚の構造は、以下順の3層からなります。

  • ・表皮
  • ・真皮
  • ・皮下組織

肌断面図

ドクターコネクト/肌断面図より画像引用)

このうち真皮と皮下組織は伸縮性に乏しいため、妊娠中期以降でお腹が大きくなるにつれて裂けることで妊娠線ができます。

また、ステロイドホルモンはコラーゲンや真皮のターンオーバーを抑える働きがあります。そのため、妊娠後ステロイドホルモンが増加すると皮膚の張りが失われたり、皮膚自体が弱くなるため裂けやすくなったりします。

妊娠後のお母さんの体の変化により妊娠線はできることから、異常な反応ではないため、ご安心ください。

※参考資料:ドクターコネクト/肌断面図

妊娠線と正中線の違い

妊娠線と正中線の違いは、自然に消えるかどうかです。

妊娠線はお腹の皮膚が引っ張られることでできる肉割れ線で、自然に消えることはありません。一方の正中線は体を正面から見て半分に分ける線のことで、元からある線です。そのため、出産後は自然に消えます。

人は正中線を中心に細胞分裂を繰り返して体が大きくなります。そして妊婦の約7割の方で、正中線が現れると言われているので、それほど珍しいことではありません。

妊娠線ができやすい部位

妊娠線ができやすい部位については、以下の画像が参考になります。

妊娠線が出やすいところ

アカチャンホンポ/妊娠線ができやすいところより画像引用)

「妊娠線はお腹周りにできる」というイメージをお持ちの方の多いのではないでしょうか?

実は妊娠線はお腹周り以外にも「胸」「二の腕」「太もも」などにもできます。というのも、妊娠線は脂肪がつきやすい部分にできやすいからです。

例えば、胎児の成長とともに骨盤が開くと太ももに脂肪がつきやすく、妊娠線ができやすくなります。この他にも、妊娠後のバストアップで脇や二の腕などの周辺部位にも妊娠線ができるという方も少なくありません。

そのため、普段見ない部分を含めて全身ケアで予防しておく必要があります。

※参考資料:アカチャンホンポ/妊娠線ができやすいところ

妊娠線ができ始める時期

妊娠線ができやすい時期は「妊娠中期〜後期」です。

妊娠中期から後期は胎児の成長が著しく、それに伴いお母さんのお腹も大きくなるからです。妊娠7ヶ月になると、胎児は1ヶ月で500g以上も大きくなります。

また、この時期になるとつわりなどの妊娠症状がおさまり、赤ちゃんにより多くの栄養を届けるために食欲が増します。その結果、体重が増えやすく、大きくなるお腹に加えて体の皮膚が伸びやすくなることも原因にあげられるでしょう。

しかしながら、妊娠中期から後期は赤ちゃんの成長を促す大事な時期です。そのため、決して妊娠線の予防目的の過度なダイエットはしてはいけません。

妊娠線ができやすい人の特徴

妊娠線ができやすい人の特徴は、以下の通りです。

  • ・乾燥肌の人
  • ・経産婦
  • ・多胎妊娠(双子以上の妊娠)
  • ・高齢出産
  • ・小柄・骨盤の小さい人

乾燥肌は皮膚の柔軟性を低下させて、ひび割れなど妊娠線を助長します。特に慢性アトピー性皮膚炎の方は皮膚が弱いため、妊娠線ができやすい傾向にあります。

経産婦や高齢出産などで皮膚の柔軟性が低下していたり、多胎妊娠で単体妊娠よりもお腹が張ったりすることもできやすい人の特徴です。

また、小柄や骨盤が小さいと胎児が成長した際にお腹の前側に大きく張ることも、妊娠線ができやすくなる原因になります。

セルフケア|妊娠線の効果的な4つの予防方法

スパサロンでマッサージを受ける若い妊婦

妊娠線予防に効果的な方法として、以下の4つがあげられます。

  • 予防法①:保湿クリームにて乾燥肌を予防する
  • 予防法②:体重コントロールをする
  • 予防法③:適度な運動習慣を作る
  • 予防法④:栄養バランスの良い食事を摂る

すべて今日から始められる方法なので、ぜひご活用ください。

予防法①:保湿クリームにて乾燥肌を予防する

胎児が成長するとともにお腹が大きくなることは、妊娠をする以上避けて通ることはできません。一方で、乾燥肌については日頃のケアで予防できます。

市販の保湿剤で肌の乾燥を防ぐとともに、伸縮性を保った肌が維持できるようにしましょう。特に肌が乾燥しやすい冬は、乾燥肌対策が妊娠線予防に重要です。

また、妊娠後は副腎皮質ホルモン(ステロイド)が増加するため、肌の柔軟性が失われます。これらのことからも日頃のケアの重要性がわかります。

妊娠予防クリームは薬局など市販でも手に入るため、妊娠線が気になる方は今日から始めてみましょう。できやすい部分を中心にマッサージをしながら保湿すると、より効果的を実感できます。

予防法②:体重コントロールをする

体重コントロールをすることも妊娠線予防に効果的です。

妊娠後期は赤ちゃんに十分な栄養を届けるため、食欲増進とともに体重が増えることはやむを得ません。 しかし、過度な食事で体型が急激に変わると妊娠線ができやすい体になります。

厚生労働省は「妊娠全期」と「中期以降」の体重増加の目安を以下のとおり示しています。

妊娠全期の体重増加の目安は、以下の通りです。

体格区分1

厚生労働省/「妊娠期の至適体重増加チャート」についてより画像引用)

妊娠中期以降の体重増加の目安は、以下の通りです。

体格区分2

厚生労働省/「妊娠期の至適体重増加チャート」についてより画像引用)

また、急激な体重増加による肥満は「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」の発症、胎児への健康被害のリスクを高めます。体重コントロールができれば、妊娠線予防とともにこれらの症状も予防できるメリットがあります。

※参考資料:厚生労働省/「妊娠期の至適体重増加チャート」について

予防法③:適度な運動習慣を作る

体型維持を目的とした適度な運動も妊娠線予防に効果的です。

運動には以下の2種類があります。

  • ・有酸素運動
  • ・無酸素運動

「ウォーキング」や「マタニティスイミング」などの有酸素運動は、脂肪の燃焼に優れた運動であり、体型維持に向いています。20分以上続けることで脂肪燃焼効果があるため、始める際の運動時間の目安にしましょう。

一方の無酸素運動は筋肉の強化に有効です。筋肉を鍛えることで、皮膚が伸びすぎないように予防できます。

ただし、運動を始めるなら必ずかかりつけ医と相談してからにしましょう。あなたの状態によっては運動事態がリスクや妊娠生活に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

※参考資料
厚生労働省 e-ヘルスネット/エアロビクス
厚生労働省 e-ヘルスネット/アネロビクス / 無酸素性運動

予防法④:栄養バランスの良い食事を摂る

栄養バランスの整った食事を意識しましょう。

質の高い肌のターンオーバーを促し、乾燥肌の予防につながるからです。

妊娠中はつわりや貧血で思うように食事が摂れず、食べられる物・時・量になるのも仕方ないことです。一方で妊娠線ができやすくなる妊娠中期〜後期にかけては妊娠症状が落ち着くため、徐々に食事ができるようになります。

胎児の成長を促すための栄養バランスの良い食事は、妊娠線の予防にもなります。また栄養バランスのとれた食事は、健康な皮膚を作るという意味で体の内側からできるケアにもなるでしょう。

妊娠線予防を始める時期

スパサロンでマッサージを受ける若い妊婦

妊娠線の予防時期に「早すぎる」はありません。妊娠初期から保湿剤や専用のクリームで全身の皮膚をケアしましょう。

その上で、特に妊娠中期から始める方が多いようです。特に妊娠8ヶ月目は妊娠線が最もできやすい時期と言われているため、その2〜3ヶ月前でお腹が張る前の「妊娠5〜6ヶ月」で予防し始めるのが効果的です。

また、肌のターンオーバーは「4〜6週間」であるため、妊娠初期から予防しておくとより効果を高められるでしょう。

妊娠線ができた場合の対処方法

妊娠線ができてしまった場合は、悪化予防に徹しましょう。

悪化予防の方法は、前章「セルフケア|妊娠線予防に効果的な4つの方法」で解説した通りです。また、妊娠線ができたからと言って赤ちゃんへの健康被害はないので、ご安心ください。

一度できた妊娠線は出産後に白っぽくなり目立たなくなりますが、自然に消えることもありません。女性にとってボディーイメージの変化は、非常に苦痛が大きいでしょう。だからこそ、早いうちから妊娠線の予防をしておくことが重要なのです。

「それでも妊娠線を消したい」という方向けに、次章で妊娠線を消すための美容整形術について解説します。

妊娠線は消せる?3つの治療法

妊娠線によるボディイメージの変化は避けたいですよね。しかし、妊娠中の体型の変化で妊娠線ができるのは、仕方のないことかもしれません。

そこでこの章では、妊娠線ができてしまった方向けに、以下の3つの対処法をお伝えします。

  • 治療①:フラクショナルレーザー
  • 治療②:ダーマペン
  • 治療③:炭酸ガス治療

美容整形の力を借りて治療という形で改善する方法を学びましょう。

治療①:フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーとは、真皮に対して点状にレーザーを照射することで熱変性を起こして肌のターンオーバーを促す治療法です。

1回の治療で照射部位の「10〜15%」の皮膚が新しくなり、コラーゲン繊維が増えることで薄くなった皮膚が引き締められます。

治療により皮膚の「腫れ」「むくみ」「赤み」が生じることもありますが、時間とともに改善するため、ご安心ください。

※参考資料: 銀座ケイスキンクリニック/妊娠線

治療②:ダーマペン

ダーマペン治療とは、細かな針がついたペン方の機器を施術部位に当てて小さな穴状の傷を作ることで、肌のターンオーバーや成長因子を促す治療法です。

繰り返し治療を行うことで肌のコラーゲン繊維の密度を高めて、弾力や張りのある肌を作ります。

細かな針を刺すと聞いて気になるのが、治療に伴う痛みではないでしょうか?

痛みの感じ方は人によって違います。そして、ダーマペン治療は針先が真皮に届かないと効果がないため、施術部位の皮膚の薄さや骨までの距離により梁の長さを変えます。

当然、針が長くなると痛みは強くなります。また、皮膚が薄い場所によっては痛みを感じやすいこともあるでしょう。つまり、ダーマペン治療には痛みがつきものということです。

※参考資料: 銀座ケイスキンクリニック/妊娠線

治療③:炭酸ガス治療

皮下組織に注射針で炭酸ガスを注入して、真皮の血流を改善して肌の代謝を高める治療法です。また、針を刺して肌にダメージを与えると、コラーゲン繊維の産生力を促して、皮膚の再生能力を最大限引き出せます。

治療後は多少の赤みや腫れが出るものの、時間経過とともに改善するので、ご安心ください。

※参考資料:医療法人 清和会/妊娠線・肉割れ治療(炭酸メソ)

【タイプ別】妊娠線予防におすすめの保湿剤

妊婦の腹部を聴診器で聴診する女性医師の拡大図。 専門医院

妊娠線予防のための保湿剤を薬局に買いに行っても、種類が多すぎて自分に合ったものを選ぶのは大変です。

そこでこの章では、以下の3つのタイプ別に保湿剤を紹介します。

  • ・クリームタイプ
  • ・オイルタイプ
  • ・ローションタイプ

「それぞれの保湿剤に向いている方」や「おすすめの使い方」についてお伝えします。

妊娠線予防に最適な保湿剤を選ぶ参考にしていただけると幸いです。

クリームタイプ

乾燥肌や乾燥する季節には「クリームタイプ」で妊娠線予防をするのがおすすめです。

なぜなら、クリームタイプは保湿や保湿後の肌を持続するのに優れているからです。特に体質的に乾燥肌の方や空気が乾燥する冬場の対策に向いているでしょう。

ただし、オイルやローションに比べて伸びが悪いため、全身ケアなどの広範囲に使う場合はコスパが悪くなる点がデメリットといえます。

保湿剤自体は薬局などで市販されているため、比較的簡単に手に入るでしょう。

オイルタイプ

敏感肌体質妊娠後の体の変化で皮膚が弱くなったと感じる方「オイルタイプ」がおすすめです。

最近ではオーガニック成分の保湿剤・皮膚保護剤が多く、肌が弱い方でも気にせず使えるからです。また、クリームタイプと違い少量でも広範囲に伸ばせるため、保湿剤の節約にもなります。

ただし、オイルタイプは乾燥を防ぐバリア効果に優れているにすぎず、それ自体に保湿効果はありません。そのため、もともとが乾燥肌体質の方の妊娠線予防には向いていないでしょう。

ローションタイプ

クリームタイプとオイルタイプの中間が「ローションタイプ」です。

少量で広範囲のケアができるため節約になる上に、クリームタイプのようにベタつくこともありません。そのため、夏場や朝一番のケアにおすすめです。

ただし、保湿力・保水力はクリームタイプ・オイルタイプよりも低いため、一回のケアで長時間の効果は期待しにくいでしょう。

朝イチや汗などでベタつきやすい夏場、お風呂までの短時間の保湿・保水などの状態で妊娠線予防をしたい方に向いています。

まとめ: 早めのケアで妊娠線を予防しよう

妊娠線ができるメカニズムや予防方法について詳しく解説しました。

妊娠線とは、胎児の成長で張ってくるお腹に皮膚の柔軟性が追いつかず起こる肉割れ線のことです。そして一度妊娠線ができると自然に消えることはありません。だからこそ、妊娠中のセルフケアが重要になってきます。

セルフケアの方法は、以下の4つでしたね。

  • ・保湿クリームにて乾燥肌を予防する
  • ・体重コントロールをする
  • ・適度な運動習慣を作る
  • ・栄養バランスの良い食事を摂る

皮膚の保湿・保水の他にも日々の運動習慣や食生活でも予防ができます。

そして、妊娠線の予防に早すぎることはありません。妊娠初期から最低でもお腹の大きくなる妊娠中期には始めるようにしましょう。

この記事を参考に、ぜひ今日から妊娠線の予防を始めてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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