目次
「妊娠検査薬で陽性が出たのに、出血した」「これって生理?それとも流産?」
妊娠検査薬で待望の妊娠を確認したにもかかわらず、下着やトイレットペーパーに血がついていたら、驚いてしまうことでしょう。
結論から申し上げると、妊娠初期の出血はめずらしいことではありません。
妊娠初期に起こる出血は、様子をみているだけで問題のないものから体の異常までさまざまです。出血があるということは、体がなんらかの異常を知らせている可能性もあり、胎児の状態に異常があるかもしれないので、軽視するのは危険だといえます。
この記事では、妊娠検査薬陽性後に出血する5つの可能性と症状、出血した際の対処法についてご紹介します。妊娠検査薬陽性後の出血に不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠検査薬陽性後に出血する5つの可能性と症状
妊娠検査薬で陽性反応が出るのは、尿に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度が、50IU/L以上となる大体妊娠4週目頃からです。妊娠4週は妊娠2か月に入ってすぐの頃で、妊娠初期にあたります。
この時期の出血は全妊婦さんのおよそ30%が経験するといわれており、妊娠初期にありがちな症状だといえます。とはいえ、せっかく赤ちゃんを授かったママからしてみれば、不安になってしまうはずです。
ここでは、妊娠検査薬陽性後に出血する可能性のうち、妊娠に関係しているものについてご紹介します。
着床出血
着床出血とは、妊娠した際に稀に起こる出血のことで、生理予定日1週間前後に起こりやすい症状です。受精卵が着床して子宮内膜の奥に根を張る際、受精卵の絨毛が子宮を傷つけることで起こります。
以下は、着床出血の特徴です。
- 出血量:少量
- 色:赤や茶
通常の場合、着床出血は下着が少し汚れる程度や、トイレットペーパーに薄く血がつく程度の少量の出血で、2〜3日ほど続くことが多いです。
生理と見分けたいときは、基礎体温の変化に注目します。生理のときは、出血すると基礎体温も下降しますが、着床出血だと出血があっても基礎体温は高温期をキープしているはずです。
着床出血と生理を見分けたり、自分の体調を管理したりするためにも、普段から基礎体温をつけておくとよいでしょう。
異所性妊娠
異所性妊娠とは、いわゆる子宮外妊娠のことで、子宮以外の場所に受精卵が着床してしまうことです。一般的には子宮外妊娠という名称の方が知られていますが、2009年に日本産婦人科学会で子宮外妊娠を異所性妊娠に統一すると決められたことから、医療機関の公式サイトでは異所性妊娠と記載されることが多くなりました。
以下は、異所性妊娠による出血の特徴です。
- 出血量:少量〜大量
- 色:赤
症状は不正出血だけでなく、お腹の痛みや張りなどが現れることもあります。出血量は人それぞれ異なりますが、生理と勘違いすることも多いようです。
また、妊娠したことに気づかなかったり、妊娠検査薬で妊娠していることがわかっていて受診しなかったりすると、妊娠7週目頃に子宮外で大きくなった胎児を含む構造が破裂してしまうことも。そうなると出血やショック症状で母体が危険にさらされてしまうので、注意しなければいけません。
切迫流産
切迫流産とは、流産のリスクが高いものの、まだ妊娠が継続している状態のことをいいます。早期流産との違いは、赤ちゃんの心拍があるかどうかです。主な症状は不正出血で、出血量が多く腹痛も強くなればなるほど、流産の可能性も高くなります。
切迫流産と診断された場合でも、およそ70%の方が無事赤ちゃんを出産しており、必ず流産すると決まったわけではありません。
以下は、切迫流産による出血の特徴です。
- 出血量:少量〜大量
- 色:茶色や黒っぽい赤、赤
早期流産でも少量の出血や下腹部痛といった症状を伴うこともあるため、流産してしまったと思う方もいますが、病院できちんと確認するまでは本当に流産かどうかはわかりません。
しかし、切迫流産は少量の出血が断続的にみられるのが特徴です。早期流産では子宮の収縮によって内容物が押し出されてしまうことも多く、血の塊や鮮血が出ることもあるので、その点で違いを把握することができる場合もあります。
どちらにせよ、早急に病院を受診することをおすすめします。
胞状奇胎
胞状奇胎は、「ほうじょうきたい」と読み、子宮内に胎盤をつくる絨毛細胞が異常増殖した状態です。子宮内がブドウの房のような絨毛で埋め尽くされ、胎児がその中に吸収されてしまう可能性もあります。
胞状奇胎が発生する詳しい原因はわかっていませんが、40歳以上の高齢出産では発生頻度が上昇する傾向にあります。
以下は、胞状奇胎による出血の特徴です。
- 出血量:少量またはおりものに混じることもある
- 色:茶褐色や赤
少量の出血の他にも、自覚症状としてつわりや腹痛、妊娠高血圧症候群があります。近年は超音波検査の普及により、早期発見されることも多いです。
放置してしまうと、およそ10%の割合で侵入奇胎を発症し、そのうちの1〜2%が絨毛がんに移行するといわれています。胞状奇胎は、発見したら手術で子宮内の絨毛を取り除く必要があり、残念ながら妊娠を継続することはできません。
絨毛膜化血腫
絨毛膜化血腫とは、受精卵が子宮内膜に着床する際、子宮内膜の血管が傷つくことで胎嚢の周りに血液が溜まってしまうことをいいます。主に妊娠初期から中期にみられ、不正出血で気づき、超音波検査で診断を確定します。
出血が少量であれば子宮内に吸収されますが、出血量が多いと膣から漏れ出てくる可能性も。しかし、出血量が多くてもほとんどの場合4〜7日程度で止まるでしょう。ただし、絨毛膜化血腫を発症した方は、通常のおよそ2倍の流産や子宮内胎児死亡リスクを伴うため注意が必要です。
以下は、絨毛膜化血腫による出血の特徴です。
- 出血量:少量〜大量
- 色:赤や茶褐色
絨毛膜化血腫は、妊娠初期にみられる出血の多くの原因で特別な治療法はありませんが、ほとんどの場合感染症にだけ気をつけていれば妊娠に悪影響はありません。
また、ここでご紹介した5つ以外にも、妊娠とは無関係な「子宮膣部びらん」や「子宮頸管ポリープ」などでも出血する可能性があるので放置してはいけません。
妊娠検査薬陽性後に出血した際の対処法
妊娠検査薬陽性後に出血してしまうと、赤ちゃんになにか異常があるのではと思われる方も多いです。たしかに妊娠初期は、妊娠期間の中でもっとも流産の可能性が高いのでそうお考えになるのも無理はありません。
しかし、妊娠初期に起こる出血がすべて流産の原因になるわけではなく、無事赤ちゃんを出産するケースも多いので心配しすぎないようにしましょう。
とはいえ、出血が起こるということは、お腹の中でなんらかの現象が起きているといえます。ここでは妊娠検査薬陽性後に出血した際の対処法についてご紹介しますので、慌てないためにも確認しておくようにしましょう。
まずは症状をよく確認
まず、出血があったら落ち着いて症状をよく確認します。以下は、出血があった際に確認すべきポイントです。
- 出血の色
- 出血量
- 匂い
体内で出血してから体外に排出されるまでの時間が長いほど、色が赤から茶色へと変化します。真っ赤な鮮血ほど緊急性が高くなるので、赤やピンクの出血がある場合は要注意です。
また、出血量が生理2日目よりも多いと感じる場合も、緊急性が高くなります。レバーのような血の塊が大量に出た、量が増える場合もその様子を正確に把握しておくようにしましょう。
出血以外に腹痛や発熱、下痢はないか、出血する前後にも症状がなかったかなども、振り返っておきます。
病院を受診するときのために、出血の経過や体調などをメモしておくと、医師に伝えやすくなるのでおすすめです。
産婦人科に電話をして指示に従う
次はかかりつけの産婦人科に電話し、妊娠検査薬陽性を確認後に出血していることを伝えます。以下は、病院に伝えるときのポイントです。
- いつから出血しているか
- 出血の色や量、においなど
- 腹痛や張りの有無
- 37.5度以上の発熱があるか
- 吐き気や嘔吐の有無など出血以外の症状があるか
病院の指示に従い、受診が必要な場合は電車やバスの利用は避け、タクシーや車で病院へ向かいます。出血に備えて生理用ナプキンを当て、可能であれば横になって安静な状態で移動しましょう。
医師の判断により、自宅で安静にするように指示を受けた場合は、できる限り安静に過ごし、体に負担がかからないように過ごします。
まとめ
妊娠検査薬陽性後に出血する5つの可能性と症状、出血した際の対処法についてご紹介しました。
妊娠検査薬で陽性が出てすぐの出血は、実はよくあることです。しかし、だからといって放置してしまうと、後々後悔することになるかもしれません。
とくに、出血の色が赤い場合や量が生理2日目よりも多い場合、腹痛などの症状を伴う場合は、必ずかかりつけの産婦人科に連絡し指示を仰ぐ必要があります。
妊娠初期の出血は、体からの大切なサインです。出産まで穏やかに過ごせるように、心配なことがあるときはきちんと医師に相談するようにしましょう。