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「妊娠中期に入ったのに眠い‥」「眠くて家事も仕事もはかどらなくて困っている」
胎盤も完成して赤ちゃんもママの体も安定してくることから、つわりや体調不良も治ってくるはずの妊娠中期。高かったママの体温も通常に戻り、これから楽しい妊婦生活を過ごそうと思っていたにもかかわらず、なぜか眠気が治らないとお困りの方も多いようです。
妊娠中期はつわりが治まるのと同時に、食欲旺盛になる方が多い時期でもあります。妊娠していなくても、食事のあと眠気に襲われることもあるのですから、お腹に赤ちゃんのいる妊娠中はなおさら眠いことでしょう。
とはいえ、眠気がひどいと家事や仕事にまで影響してしまううえ、頭痛などの原因にもなりかねません。
この記事では、妊娠中期に眠い理由と寝過ぎることによるデメリット、妊娠中期に眠い時の対策法と眠気以外に注意が必要な症状についてご紹介します。安定期に入っても眠気がひどくて苦労している妊婦さんは、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠中期に眠いのはなぜ?
妊娠中期とは、妊娠14週から妊娠27週までのことで、一般的には安定期と呼ばれています。
多くの妊婦さんが強い眠気を感じるのは妊娠初期だといわれており、妊娠中期は睡眠トラブルや体調不良がいったん軽減する傾向にあります。しかし妊娠中期になっても眠気がひどいと、赤ちゃんになにか異常があるのかと不安になってしまうことでしょう。
ここではまず、妊娠中期に眠い理由についてご紹介します。
ホルモンバランスの乱れ
妊娠すると、ママの体内ではさまざまな変化が起こります。そのひとつにホルモンバランスの変化がありますが、中でも眠気に影響しているのは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンです。
プロゲステロンは赤ちゃんが育つ環境作りや、出産後に母乳の分泌を促進させる準備をしたりします。
とくに妊娠初期の強い眠気につながっていると考えられており、妊娠週数が進むにつれてプロゲステロンを分泌する場所が卵巣から胎盤に変化してくるため、妊娠中期以降は眠気も落ち着いてくるようです。
しかし、人によっては妊娠中期に入ってもプロゲステロンの影響が続き、強い眠気も継続することがあります。
ママの身体が貧血気味になっている
妊娠中期は胎盤が完成することで、お腹の赤ちゃんにへその緒を通して血液で栄養や酸素を送るようになります。ママの体内では、血流量が増えたり血液中の酸素などが赤ちゃんのために使われたりするため、血流が滞って眠気を感じるようになるのです。
とくに食後は、ただでさえ消化のために血液が胃腸に集中します。そのうえ赤ちゃんへ血液を送っていることから、脳の血液量が減少して強い眠気を感じることも。
日常生活に支障が出るほど眠気がひどい場合は、健康に問題がある可能性も考えられるので、かかりつけの産婦人科で相談するとよいでしょう。
体重増加により体力を消耗している
妊娠中期になると急激にお腹も大きくなり、それに伴って体重も増加するため、日常生活を送るだけでも体に負担がかかるようになり、疲れも溜まりやすくなります。
さらに、妊娠中ということもあり、激しい運動もできないことから、運動不足による体力の低下も相まって眠気を覚ますのが難しく感じることもあるでしょう。
寝過ぎることによるデメリット
妊娠中に寝てばかりいると、難産につながるという話を聞いたことはありませんか?
これは寝過ぎることにより、運動不足が続いて筋力が低下したり体が固くなったりする状態が長引くと、出産のときに子宮口が開くのに時間を要するためだと考えられています。
さらに、食べて眠ってを繰り返していると太り過ぎてしまい、赤ちゃんが通る産道にまで脂肪がつき、赤ちゃんが出てきにくくなる可能性も。
また、妊娠中のママの生活リズムは、赤ちゃんが産まれた後の健やかな成長のためにも重要です。
妊娠後期に早く就寝していたママから産まれた赤ちゃんは、日中に寝過ぎて夜なかなか寝付けないという夜型の生活をしていたママの赤ちゃんよりも、眠る時間が長いという報告もあるので、できるだけ規則正しい生活をすることをおすすめします。
他にも、寝過ぎることで脳の血管が広がって偏頭痛が起きたり、夜眠れなくなったりと日常生活に支障が出てしまう可能性もあるでしょう。
妊娠中期に眠いときの対策法と注意が必要な眠気以外の症状
妊娠に伴うホルモンバランスの乱れや、お腹が大きくなること、貧血などのマイナートラブルの影響もあり、たくさん寝ているようでも眠りが浅くなりがちな妊娠中期。
仕事をしている方や上の子のお世話をしている方も多いため、日中に眠気に襲われると困ってしまうという妊婦さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、妊娠中期に眠いときの対策法と注意が必要な眠気以外の症状についてご紹介します。
軽いストレッチやヨガ
軽いストレッチやマタニティヨガなど、体に負担がかからない程度の運動も、妊娠中期の眠気対策に有効です。とくに家でひとりの時間が長いママや、ゆっくりしているといつの間にか眠ってしまうというママにおすすめです。
運動があまり好きではないというママは、外の空気を吸って深呼吸するだけでも気分のリフレッシュになって眠気を緩和できるでしょう。
昼寝をする
妊娠中期は、おなかが大きくなりはじめた影響で、夜寝ているときに息苦しさを感じたり睡眠時の姿勢が変化したりして、寝ているようでも熟睡できていないこともあります。
また、赤ちゃんの胎動に慣れていないこともあり、急にお腹を蹴られて目が覚めてしまうこともあるでしょう。そのような場合、日中強い眠気に襲われたら1時間など時間を決めて昼寝をするのもおすすめです。ただし、目が覚めたらすぐにきちんと体を起こし、ダラダラ寝続けないようにすることが大切です。
昼寝ほどの効果はありませんが、昼寝の時間を取れないときは、目をつぶっているだけでも体を休めることができるでしょう。
必要な栄養素を意識して摂取する
上記でもご紹介した通り、妊娠中期は貧血になりやすく、その影響で強い眠気に襲われることもあります。そのような場合、鉄分を含む食品を積極的に取り入れるのもおすすめです。
他にも、以下のような栄養素を意識して摂取するようにしましょう。
- 鉄分
- ビタミンB12
- 葉酸
- ビタミンB6
これらの栄養素は、血液を作るのに重要な役割を担っています。さらに、これらの栄養素は動脈硬化の危険因子といわれている「ホモシステイン(血中に存在するアミノ酸の一種)」の血中濃度を正常に保つ作用も。
鉄分やビタミンB12、ビタミンB6は肉や魚類に多く、葉酸は藻類や野菜類、レバーなどに多く含まれています。
食事の中でこれらの食品を多く取り入れ、貧血を改善することで眠気対策にもなります。ただし、妊娠中は免疫力が低下しているので、よく火を通して食べるようにしましょう。
仕事中の眠気はどうする?
妊娠中の眠気はある程度仕方のないことだとはいえ、仕事中にうたた寝してしまったり、眠そうにしてしまったりすると、社内での印象はあまりよくありません。どうしても寝てしまうときは、上司や同僚に今の体調を伝え、誤解を招かないようにしておきましょう。
それに加えて、自分でもガムやタブレットを噛んだり、昼休みに仮眠を取ったりするなどの眠気対策をしておくことをおすすめします。
妊娠中期に注意が必要な眠気以外の症状
妊娠中期はさまざまな理由により強い眠気に襲われることもありますが、「妊娠初期は感じなかったのに、妊娠中期になってから眠気を感じるようになった」という方は、貧血がひどくなっている可能性もあるので要注意です。
他にも、以下のような症状がある方は、早めに医師に相談するようにしましょう。
- いびきがひどい、睡眠中に無呼吸の状態になることがある
- ふくらはぎや足先がむずむずして寝付けない
- なにもやる気が起きない、気分の落ち込みが激しい状態が2週間以上続いている
妊娠初期は平気でも、妊娠週数が進むにつれてさまざまな疾患が発症する可能性もあります。上記のような症状がある場合は、妊婦健診で医師や看護師に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
まとめ
妊娠中期に眠い理由と寝過ぎることによるデメリット、妊娠中期に眠い時の対策法と眠気以外に注意が必要な症状についてご紹介しました。
妊娠中の眠気は、赤ちゃんからの休んでというメッセージでもありますが、日常生活に支障が出たり場合によっては出産にまで影響したりする可能性もあるので、できれば生活リズムを整えたいものです。
しかし、夜に寝なければと意気込んでしまうと、余計に精神的なストレスがかかってしまうため、「夜に眠れなくても昼寝をしよう」など、柔軟に考えることが重要です。
眠気以外にも心配な症状があればかかりつけの産婦人科で相談し、心身ともに健康な妊娠生活を送るようにしましょう。