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つわりが早く終わる方法や長引く場合の注意点を解説

つわりは多くの妊婦さんが経験する症状です。吐き気を中心とした辛い症状は、気持ちまで落ち込ませてしまいますが、そうした不調はつわりのことを知れば緩和できます。
本記事ではつわりの原因や症状がでる期間を解説し、すぐにできるつわりが早く終わる方法もお話します。

つわりの原因

つわりは、妊婦さんの50%以上が経験する辛い症状ですが、はっきりとした原因は解明されていません。妊娠による体と心の変化や、栄養不足が影響していると考えられています。

ホルモンバランスの変化

つわりの原因として代表的なものは、妊娠によるホルモンバランスの変化です。
赤ちゃんができると、黄体ホルモン(プロゲステロン)やhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が増えます。
黄体ホルモンは、増えるとお腹にガスが溜まりやすくなって、その不快感が吐き気につながることがあります。
hCGは脳の嘔吐中枢を刺激することがあるホルモンです。大量に作られてしまうと、刺激が増えて強い吐き気が出てきます。

体の拒絶反応

胎盤が未熟な時期は、赤ちゃんの存在に体がついて行けないことがあります。妊娠しているのに、胎児を自分のものだと認識できないのです。
そのため、体が胎児を異物として認識してしまい、それを排除しようとする反応がつわりだという考えもあります。

ストレスや不安感

妊婦さんは、妊娠と出産に対する不安や、母になることに対してのプレッシャーなど、さまざまなストレスを抱えがちです。ストレスが大きくなると、体にも症状が現れるようになり、吐き気や頭痛が出てきたり、自律神経が乱れたりすることもあります。

栄養不足

妊娠中はビタミンが不足することが多く、それによって代謝の乱れや血糖値の変化などが現れることがあります。
吐き気によって食事と水分が十分に摂れていない場合は、体に必要な栄養と水分も足りなくなります。それによって体調が悪化し、つわりの症状が強く出てしまうケースも少なくありません。

つわりの期間と症状の変化

つわりは必ず終わるものです。おおよその目安や、症状が一番強く出る時期を知って、がんばって乗り切りましょう。

12週~13週に終わることが多い

多くの場合、つわりは妊娠5週ころから始まって、12週~13週くらいには落ち着くとされています。
妊娠16週を過ぎるころには、つわりの症状がほとんどなくなります。しかし、体質的なものに加えて、ストレスや栄養不足など体に負担がかかる要因が多いと、つわりが長引いてしまうこともあるようです。

つわりのピークは8週~10週

つわりの症状が最も強く出るのは妊娠8週~10週ころが多く、この時期は何も食べられなくなるや、寝込んでしまう人もいるほどです。
脱水症状になるほどの激しい吐き気が続く場合は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」の可能性があります。つわりと同じだと勘違いされることもありますが、妊娠悪阻は治療や入院が必要なほど重症なつわりの症状のことです。
ピーク時は吐き気も強くなるものですが、あまりにも症状が重い場合は病院に相談することも視野に入れましょう。

つわりの時期は個人差が大きい

つわりが始まる時期や終わる時期は、とても個人差が大きいです。早く始まったから早く終わるというわけでもなく、長い人では10週間以上もつわりが続くこともあります。
また、1人目のときと2人目以降でつわりの長さが違う人も多いため、つわりが終わる時期はなかなか予想できません。なるべく体を労わり、ゆったりした気持ちで過ごしましょう。
あまりにも辛いときは、かかりつけの産婦人科で相談することをおすすめします。

つわりが早く終わる6つの方法

つわりが早く終わる方法や長引く場合の注意点を解説

辛いつわりは毎日の生活習慣や心の状態を意識することで、早く抜け出せることがあります。すぐに始められる6つの方法をご紹介しますので、できることから試してみましょう。

1. つわりを受け入れる

つわりは赤ちゃんができて、育っていることの証です。どんなにつわりの症状が重くても、赤ちゃんに影響が出ることはありません。
具合が悪いと心が沈みやすく、不安感も大きくなってしまいがちです。なるべく「つわりは体の自然な反応のひとつ」として受け入れるよう、心がけましょう。
つわりのせいで家事や仕事に集中できなかったり、休んだりすることは悪いことではありません。少しでもつわりを早く終わらせるために、まずは「つわりの間は仕方ない」と肩の力を抜いてみてください。

2. 無理のない運動をする

妊娠中は体を大切にするあまり、運動不足になりやすいです。運動不足は自律神経の乱れを引き起こし、つわりの症状を含めさまざまな体の不調を長引かせます。
運動不足にならないように、ウォーキングや負担のかからないストレッチなどを行い、自律神経を整えましょう。気持ちも前向きになるので、赤ちゃんにもよい影響があります。

3. 消化しやすい食べ物を選ぶ

妊娠16週を過ぎても続くつわりは、じつはつわりではなく胃腸の荒れであるケースが見られます。それを予防するために、消化がよくない食べ物は控えて、胃腸への負担を減らしましょう。

おすすめの食材と控えたい食材の一例をご紹介します。

消化がよいおすすめ食材 白米・うどん・パン・リンゴ・じゃがいも・かぼちゃ・ほうれん草・白身魚・ささみ・ヨーグルトなど
消化が悪い食材 揚げ物全般・刺身・スパイス類・ねぎ・ニンニク・食物繊維が多い野菜など

脂っぽい食事は負担になりやすいので、茹でる、蒸すなどの油を使わない調理方法がおすすめです。
つわりの間は受け付けない食材も多いと思いますが、無理に食べる必要はありません。消化がよくて食べやすいものを選んでください。

4. ビタミンB6をしっかり摂る

ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に必要なビタミンで、吐き気を緩和する効果があるといわれています。積極的に摂ることができれば、つわりも早く終わるでしょう。
ビタミンB6を多く含む身近な食材は、以下が挙げられます。

  • ・マグロ
  • ・カツオ
  • ・鶏ささみ
  • ・鶏むね肉
  • ・牛レバー
  • ・バナナ

鶏のささみや薄く切った鶏むね肉は消化もよく、野菜と一緒に蒸してポン酢やドレッシングをかけるだけでも食べられる食材です。妊娠中の食事におすすめの食材なので、苦手でなければぜひ試してみてください。

5. ストレスを溜めない

妊娠中は不安やプレッシャーが大きく、ストレスが溜まりやすいです。ストレスは自律神経を乱したり、胃腸に不調を出したりと、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
できるだけストレスを溜めないように、発散方法を見つけましょう。趣味に没頭したり、1人になる時間を作ったり、外出するのもおすすめです。
時には家族に甘えることも考えてください。夫や子どもにつわりの辛さを伝えて、理解してもらうだけでもストレスは軽くなります。

6. 体を温める

女性に多い冷え性は、つわりの症状を悪化させるといわれています。体の冷えは赤ちゃんにもよくありませんので、しっかりと温めましょう。

  • ・冷たい飲み物を控える
  • ・首・手首・足首を温める
  • ・肩を出さない
  • ・湯船に浸かる

少し食べ物に気を使い、生活を意識するだけで体を温められます。ただし、入浴は吐き気を悪化させることもあるため、無理はしないことが大切です。
苦手でなければ生姜湯を飲みましょう。体を温める効果に加えて、免疫を高めて風邪を予防する力があります。

つわりが長引く場合の注意点

つわりは妊娠16週ころには終わる人が多く、遅くても17週には落ち着いてくるでしょう。そんなつわりが長引く場合は、つわり以外の原因が隠れていることや、治療が必要な状態になっていることがあります。

妊娠悪阻を見逃さない

妊娠悪阻(にんしんおそ)は、つわりが重篤化したものです。妊婦さんの0.5%~2%くらいにみられ、吐き気が強いだけでなく、脱水症状や体重の減少、栄養失調や意識障害など、危険な症状が現れます。

つわりの期間が長くなることも多いため、症状が重い場合は妊娠悪阻を疑って診察を受けた方が安心です。

妊娠悪阻を「つわりだから仕方ない」で我慢してしまうと、さまざまな症状を併発して危険な状態になることもあります。つわりが長引くだけでなく、症状も重たい場合は早めに相談しましょう。

逆流性食道炎に注意

お腹が大きくなってくる妊娠中期ころまで続くつわりのような症状は、逆流性食道炎の可能性があります。
妊娠中に胎盤から分泌される黄体ホルモンは、消化機能にも影響するホルモンです。食道と胃の境目にある食道括約筋を緩ませてしまうため、それによって胃酸や食べたものが逆流しやすくなり、逆流性食道炎になってしまいます。お腹が大きくなって内臓が圧迫されるのも、逆流しやすくなる要因です。
逆流性食道炎は、吐き気や胸やけに加えて、呑酸(どんさん)という酸っぱいものがこみ上げてくる症状が特徴です。また、声が枯れることもあります。
逆流性食道炎は内服薬で治療できますが、つわりだと勘違いしていると長引くこともあります。

胃酸過多になることも

胃酸過多はストレスが原因で発生することが多く、つわりによく似た症状や胃痛が出ます。早い段階で気づけば飲み薬や漢方薬で治療できますが、放置すると胃炎や胃潰瘍になってしまうことがあるため、注意が必要です。
妊娠16週を過ぎても胃の不快感や痛みがある場合は、胃酸過多になっている可能性があります。長引く場合は一度内科や消化器科で診てもらいましょう。

【まとめ】

つわりの症状には個人差が大きい

つわりは多くの妊婦さんが経験するものです。赤ちゃんができたことで起きる体の自然な反応なため、症状には個人差があります。
ほとんどの場合、つわりは妊娠5週~13週の間で現れます。この期間も個人差が大きいですが、症状を緩和したり、短くしたりすることは可能です。
大切なのは生活習慣を整え、バランスのよい食事をし、ストレスを溜めないことです。できるだけゆったりとした時間を過ごし、ご自身の体に合ったつわりの軽減方法を見つけてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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