目次
妊娠悪阻(にんしんおそ)は、つわりが重くなり、食べることも飲むこともできずに脱水や体重減少をきたした状態です。水分もとれない、妊娠前より体重が5%以上減った、尿の回数や量が明らかに減った。このどれかに当てはまるときは、がまんを続けずにかかりつけの産婦人科に連絡してください。妊娠悪阻は「気持ちの持ちよう」で起こるものではなく、点滴や薬で治療する病気です。この記事では、つわりとの境目、点滴・入院の目安、ビタミンB1を補う理由、寝たきりのときの過ごし方、赤ちゃんへの影響、原因として注目されるGDF15と次の妊娠での再発までを解説します。
Q. 妊娠悪阻とは?つわりとどう違うのですか?
A. つわりが重症化し、食事も水分もとれず、脱水や体重減少が起きて日常生活が送れなくなった状態が妊娠悪阻です。つわりは妊婦の多くが経験しますが、妊娠悪阻になるのは0.3〜3.6%ほどとされています。体重が妊娠前より5%以上減った、半日以上尿が出ない、水分も吐いてしまう場合は受診の目安です。
- ➤違い → 「食べられない・飲めない・動けない」がそろい、脱水を伴うのが妊娠悪阻
- ➤治療 → 点滴で水分・電解質を補い、必要時はビタミンB1を先に補充してからブドウ糖を投与する
- ➤原因 → 胎盤がつくるGDF15と、母体側の感受性の組み合わせが大きく関わる
- ➤赤ちゃん → 治療を受ければ多くは問題なく育つ。早めの治療が大切
- ➤再発 → 次の妊娠でも起こりやすく、報告によって15〜81%と幅がある
1. 妊娠悪阻とは?つわりとの違い
妊娠悪阻とは、つわりの吐き気や嘔吐が強く、食事も水分も十分にとれない状態が続いて、脱水や体重減少、日常生活の大きな制限が起きた状態のことです。「悪阻」は一般には「つわり」と読みますが、医学用語では「おそ」と読み、病名としての「妊娠悪阻」は「にんしんおそ」と読みます。英語では hyperemesis gravidarum(ハイパーエメシス・グラビダルム)と呼ばれます。
つわりそのものは、とてもよくある症状です。世界の研究をまとめたメタ解析では妊婦の約7割が吐き気や嘔吐を経験し[1]、英国産婦人科学会(RCOG)のガイドラインは最大で9割としています[2]。そのなかで、治療が必要なほど重くなった一部が妊娠悪阻です。
国際的には2021年に、患者さん・医療者・研究者が合意してまとめた「Windsor(ウィンザー)定義」が発表されました。妊娠16週より前に症状が始まること、吐き気または嘔吐の少なくとも一方が重度であること、ふつうに食べたり飲んだりできないこと、日常生活が強く制限されていること。この4つをすべて満たすものを妊娠悪阻とし、脱水の徴候はそれを補強する所見と位置づけています[3]。
つわりと妊娠悪阻の境目:体重・ケトン体・脱水
境目の目安は「体重が妊娠前より5%以上減った」「水分もとれず尿が減った」「横になっていないと過ごせないほど日常生活が崩れた」の3点です。米国産婦人科学会(ACOG)は、よく使われる基準として、ほかの原因では説明できない持続する嘔吐、飢餓状態を示す所見(多くは尿中ケトン体の強陽性)、妊娠前からの体重減少(通常は5%以上)を挙げています[4]。
日本でも、体重減少と尿ケトン体を目安にする医療機関が多くあります。ただし、2024年に改訂された英国のガイドラインは「尿ケトン体は脱水の指標ではなく、重症度の判定に使うべきではない」と明記しました[2]。ケトン体の数字だけでなく、どのくらい飲めているか、尿が出ているか、生活できているかを合わせて判断するのが現在の考え方です。
📘 つわりと妊娠悪阻の違い
| 項目 | つわり | 妊娠悪阻 |
|---|---|---|
| 食事 | 量は減っても、食べられるものがある | ほとんど食べられない状態が続く |
| 水分 | 少しずつなら飲める | 飲んでも吐く、飲むこと自体ができない |
| 体重 | 大きくは減らない | 妊娠前より5%以上減ることが多い |
| 尿 | ふだんどおり出る | 回数・量が減り、色が濃くなる |
| 日常生活 | つらいが、工夫すれば過ごせる | 家事や仕事ができず、寝たきりに近い |
| 対応 | 食べ方・生活の工夫、必要なら薬 | 点滴、薬、場合によって入院 |
※境目ははっきり一本の線で引けるものではありません。表の右側に近づいてきたら、早めにかかりつけの産婦人科に相談してください。
体重は何キロ減ったら危険?計算の例
目安は「妊娠前の体重×0.05」です。妊娠前50kgの人なら2.5kg、60kgの人なら3kg減った時点が受診を考えるラインになります。英国のガイドラインでも、飲み薬の吐き気止めを使っても脱水や5%を超える体重減少が続く場合を、入院を考える条件の一つにしています[2]。
⚖️ 妊娠前の体重と「5%減」の目安
| 妊娠前の体重 | 5%減の量 | この体重を下回ったら相談 |
|---|---|---|
| 45kg | 約2.3kg | 約42.7kg |
| 50kg | 2.5kg | 47.5kg |
| 55kg | 約2.8kg | 約52.2kg |
| 60kg | 3.0kg | 57.0kg |
| 65kg | 約3.3kg | 約61.7kg |
※5%は目安です。これより少ない減り方でも、水分がとれない・尿が出ない場合は受診してください。
体重は朝、トイレのあとに同じ条件で量ると変化がわかりやすくなります。1日で1kg近く減るような急な変化は、脂肪ではなく体の水分が失われているサインです。
妊娠悪阻になる人の割合
英国のガイドラインは妊娠悪阻の頻度を妊婦の0.3〜3.6%としています[2]。遺伝子研究の論文では0.3〜2%[5]、国際的な総説では0.3〜10.8%と、さらに幅のある数字も紹介されています[6]。
数字がばらつくのは、何をもって妊娠悪阻とするかの定義が研究ごとに違ったためです。「入院した人」だけを数える研究と、「つらくて日常生活が送れなかった人」を自己申告で数える研究とでは、当然結果が変わります。Windsor定義が作られた背景には、この定義のばらつきを解消して、研究結果を比べられるようにする狙いがありました[3]。
2. 妊娠悪阻の症状と重症度
妊娠悪阻の症状は、吐き気と嘔吐が続く段階から、脱水と飢餓状態の段階、そして脳や肝臓に影響が出る段階へと進みます。早い段階で水分と栄養を補えば、先へ進むのを防ぐことができます。
重症度の進み方
日本では、妊娠悪阻の進み方を3段階に分けて説明することがあります。第1段階では1日に何度も吐き、食事がとれず、体重が減り始めます。第2段階では脱水が進み、尿の回数や量が減り、口の渇き、立ちくらみ、脈が速くなるといった症状が出ます。体がエネルギー不足を脂肪の分解で補うため、尿にケトン体が出てきます。第3段階では、栄養不足が脳や肝臓に及び、意識がもうろうとする、目の動きがおかしい、ふらついて歩けないといった神経の症状が出ることがあります。
嘔吐や摂取不足が続くと、水分やカリウムなどの電解質が失われ、脱水や電解質異常が進むことがあります。つらさが自分の努力不足から来ているわけではなく、体の中で悪循環が起きていると考えてください。この悪循環を外から断ち切るのが点滴の役割です。
すぐに受診したいサイン
次のどれかがあれば、次の健診を待たずに、その日のうちにかかりつけの産婦人科に連絡してください。夜間や休日でも、分娩予定の病院の連絡先に電話して指示を受けてかまいません。
🚨 その日のうちに連絡してほしい症状
・水やお茶を少量飲んでも吐いてしまい、半日以上ほとんど何も飲めていない
・半日以上トイレに行っていない、または尿が濃い茶色
・立ち上がるとふらつく、気が遠くなる
・吐いたものに血が混じる、黒っぽいものを吐く
・物が二重に見える、目が揺れる、話がかみ合わない、まっすぐ歩けない
・強い腹痛、発熱、黄疸(白目や皮膚が黄色い)、ひどい頭痛を伴う
「つわりがひどい時はどこまでがまんすればいいのか」と迷う人は少なくありません。目安としては、2〜3日続けて食事がほとんどとれない、1日に何度も吐く、仕事や家事がまったくできない、という状態になったら、緊急ではなくても受診の相談をしてよい段階です。つわりの段階で薬を使い始めることで、妊娠悪阻への進行を防げる可能性があるとACOGも述べています[4]。
3. なぜ一部の人だけ重くなるのか:原因とGDF15
妊娠悪阻の大きな原因として、胎盤(赤ちゃん側の組織)がつくるGDF15というホルモンと、それに対する母体の感受性の組み合わせがわかってきました。2024年に英科学誌Natureに発表された研究が、その仕組みを示しています[7]。
hCGだけでは説明できない理由
これまでつわりの原因としてよく挙げられてきたのは、妊娠すると胎盤から分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)です。hCGは妊娠10週前後にピークを迎え、つわりが強い時期と重なります。双子の妊娠や胞状奇胎(後述)のようにhCGが高くなる状態では、つわりが重くなりやすいことも知られています。
しかし、hCGの値が高くてもつわりが軽い人もいれば、値がふつうでも重い人もいて、hCGだけでは「なぜその人が重くなるのか」を説明できませんでした。また、妊娠悪阻はかつて心理的な原因によるものと誤って扱われてきた歴史があります[6]。現在は、以下で述べるような体の仕組みによる病気だと考えられています。
GDF15:胎児・胎盤がつくるホルモンと、母体の「慣れ」
GDF15は、脳の吐き気の中枢に働きかけて吐き気や食欲低下を起こすホルモンです。Natureの研究では、つわりや妊娠悪阻のある妊婦では血液中のGDF15が高いこと、そして母体の血液中にあるGDF15の大部分が、胎児と胎盤に由来することが確かめられました[7]。
この研究の要点は、重症化を左右するのはGDF15の量だけではないという点です。妊娠悪阻のリスクを高める遺伝子のタイプを持つ女性は、妊娠していないときのGDF15がもともと低いことがわかりました。一方、βサラセミアという血液の病気でふだんからGDF15が高い女性は、妊娠中の吐き気や嘔吐が少ないことも示されています。マウスの実験では、前もってGDF15にさらしておくと、その後に大量のGDF15が来ても反応が鈍くなりました[7]。
つまり、妊娠前からGDF15に「慣れて」いない体に、妊娠によって胎盤から大量のGDF15が流れ込むと、強い吐き気が起きやすいと考えられます。研究チームは、妊娠前にGDF15に体を慣らしておく予防法や、GDF15の作用を弱める治療の可能性にも触れていますが、いずれも研究段階で、現時点で確立した方法ではありません[7]。
💡 用語解説:GDF15とGFRAL
GDF15(ジーディーエフ・フィフティーン、増殖分化因子15)は、細胞がストレスを受けたときなどに分泌されるタンパク質で、妊娠中の母体血中GDF15の大部分は胎児・胎盤系に由来します。脳の延髄にある「最後野」という吐き気の中枢には、GDF15を受け取るGFRAL(ジーエフラル)という受容体があり、ここにGDF15が結合すると吐き気や食欲低下が起こります。がんなどで体重が減る仕組みにも関わっていることから研究が進んできました。
遺伝の視点:GDF15遺伝子の違いと家族内の重いつわり
妊娠悪阻は家族の中で重なりやすく、その背景には遺伝的な体質があります。2018年に発表されたゲノムワイド関連解析(GWAS)では、5万人を超える女性のデータから、妊娠悪阻と関係する場所としてGDF15遺伝子とIGFBP7遺伝子の領域が見つかりました。この論文は、姉妹に妊娠悪阻がある女性はリスクが17倍高いという過去の報告も紹介しています[5]。
ノルウェーの出生登録を使った研究では、妊娠悪阻のあった妊娠で生まれた娘が自分の妊娠で妊娠悪阻になる割合は3.0%で、そうでない母親から生まれた娘の1.05%の約3倍でした。一方、妊娠悪阻のあった妊娠で生まれた息子のパートナーでは、リスクは上がっていませんでした[8]。重いつわりの起こりやすさは、主に母親となる女性自身の体質として受け継がれることを示す結果です。
Natureの研究では、GDF15遺伝子のまれなバリアント(C211G)がGDF15の分泌を妨げ、妊娠前のGDF15を低くすることも示されました[7]。ただし、これらの遺伝子のタイプを持っていても必ず妊娠悪阻になるわけではなく、妊娠前に遺伝子を調べて予測する検査は、現時点では診療として行われていません。つわり全体の原因や種類はつわり(悪阻)とはで詳しく解説しています。
妊娠悪阻になりやすい人
妊娠悪阻になりやすい条件として、国際的な総説では、前回の妊娠で妊娠悪阻があったこと、家族歴、多胎妊娠、胞状奇胎、女の子の妊娠が挙げられています[6]。双子妊娠では胎盤が大きくhCGやGDF15も多くなるため、つわりが重くなりやすいと考えられます。
胞状奇胎は、胎盤になる組織が異常に増える妊娠で、hCGが非常に高くなり、極端に重いつわりをきっかけに見つかることがあります。妊娠初期の超音波検査で見つかることが多いですが、重いつわりが続くときに医師が確認する病気の一つです。
女の子を妊娠している場合に、妊娠悪阻による入院がやや多いという米国の報告もあります[9]。ただし差はわずかで、つわりの重さで赤ちゃんの性別を見分けることはできません。これらの条件に当てはまらなくても妊娠悪阻になる人はいますし、当てはまっても軽く済む人もいます。チェックリスト形式で整理したつわりになりやすい人の特徴もあわせてご覧ください。
🩺 院長コラム【つわりの重さは「気の持ちよう」ではありません】
重いつわりは、長いあいだ「精神的なもの」「妊娠を受け入れられていないから」と言われてきました。GDF15の研究は、胎盤がつくるホルモンと母体の感受性という、はっきりした体の仕組みがあることを示しました。娘には受け継がれ、息子のパートナーには影響しないという家系のデータも、体質として説明がつきます。
臨床遺伝学の観点では、「遺伝的な体質がある」と理解することは、妊娠悪阻を本人の意思や努力の問題として扱わないための医学的な根拠になります。母親や姉妹に重いつわりがあった方は、次の妊娠がわかった時点で主治医に伝えておくと、早めの対応につながります。
4. 妊娠悪阻の診断と検査
妊娠悪阻の診断は、症状と体重の変化に加え、尿検査と血液検査で脱水や栄養状態を確かめ、ほかの病気ではないことを確認して行います。特別な一つの検査で決まるものではありません。
尿ケトン体の見方
尿ケトン体は「体が脂肪を燃やしてエネルギーを補っている」ことを示すサインで、陽性の強さは(−)から(4+)程度で表されます。(3+)や(4+)は、食事がとれず飢餓に近い状態が続いていることを意味し、日本では点滴や入院を考える材料として使われてきました。
ただし先に述べたとおり、英国のガイドラインはケトン体を脱水の指標とせず、重症度の判定に使わないよう勧めています[2]。ケトン体は、少量でも糖分をとれば一時的に下がることがあり、逆に脱水がそれほどでなくても出ることがあるためです。「ケトンが出ていないから大丈夫」とは限らないことを知っておいてください。
💡 用語解説:ケトン体
ケトン体は、ブドウ糖が足りないときに、肝臓が脂肪を分解してつくるエネルギー源です。アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの3つをまとめてこう呼びます。食べられない状態が続くと血液中に増え、尿にも出てくるため、飢餓状態の目安になります。血液中に大量にたまると血液が酸性に傾くことがあります。
血液検査でわかること
血液検査では、ナトリウムやカリウムなどの電解質、腎臓の働き(脱水で数値が上がります)、肝臓の働き(妊娠悪阻では一時的に数値が上がることがあります)を調べます。カリウムが大きく下がると不整脈の原因になるため、点滴で補う量を決めるのに欠かせません[4]。
甲状腺ホルモンも確認することがあります。hCGはTSH(甲状腺刺激ホルモン)と共通する構造を持ち、高濃度ではTSH受容体を刺激するため、hCGが高い妊娠初期には、甲状腺ホルモンが一時的に高くなることがあります。これを妊娠一過性甲状腺機能亢進症といい、妊娠悪阻に伴って見られることが知られています。多くは妊娠中期までに自然に落ち着き、抗甲状腺薬による治療は通常は必要ないとされています[10]。バセドウ病との見分けを含め、妊娠と甲状腺の記事でも解説しています。
💡 用語解説:妊娠一過性甲状腺機能亢進症
妊娠初期に大量に分泌されるhCGが、甲状腺のTSH受容体を刺激して甲状腺ホルモンを増やす状態です。動悸や汗をかきやすいといった症状が出ることがあります。hCGが下がる妊娠中期には自然に治まることが多く、甲状腺そのものの病気であるバセドウ病とは区別して扱われます。
つわりと間違えやすい病気
妊娠中の吐き気がすべてつわりとは限りません。ACOGは、つわりはほぼ全例で妊娠9週までに始まるため、それ以降に初めて吐き気や嘔吐が出た場合はほかの原因も考えるべきだとしています[4]。発熱、強い腹痛、下痢、頭痛、黄疸を伴う場合も同様です。
見分ける必要がある病気には、胃腸炎、胆石・胆のう炎、膵炎、虫垂炎、肝炎、腎盂腎炎などの尿路感染症、胃潰瘍、甲状腺の病気、糖尿病の急な悪化、そして前述の胞状奇胎があります。妊娠悪阻と診断されている人でも、症状の性質が変わったときは改めて受診してください。
5. 治療:点滴・薬・入院
妊娠悪阻の治療の中心は、点滴で水分・電解質を補い、必要に応じて吐き気止めを使用することです。長く食べられていない場合はビタミンB1(チアミン)を補い、ブドウ糖を含む輸液を投与する際には、ビタミンB1を先に、または同時に投与することが重要です。あわせて吐き気止めなどの薬を使い、飲んだり食べたりできる状態に戻していきます。原因であるGDF15の作用を直接止める薬は、現時点ではまだありません。
点滴の中身と、ビタミンB1を先に入れる理由
点滴では、脱水を補う輸液と、必要に応じて失われたカリウムなどの電解質を補います。長く食べられていない場合はビタミンB1を補充し、ブドウ糖を含む輸液を投与する際には、ビタミンB1を先に、または同時に投与するのが原則です。英国のガイドラインは、嘔吐や食事量の著しい低下で入院した妊婦全員にビタミンB1を補い、特にブドウ糖の点滴や静脈栄養を始める前に投与するよう推奨しています[2]。
理由は、ビタミンB1(チアミン)の働きにあります。ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変える過程で、ピルビン酸脱水素酵素などの酵素が働くために欠かせない補酵素です。体にためておける量が少ないため、食べられない状態が数週間続くと不足しやすくなります。不足した状態でブドウ糖だけを大量に入れると、ブドウ糖を処理するためにわずかに残ったビタミンB1が一気に使われ、エネルギーを特に多く使う脳の神経細胞がダメージを受けます。これがウェルニッケ脳症(後述)です。
実際に、ビタミンB1を補わずにブドウ糖の点滴を行ったことがウェルニッケ脳症の引き金になったと考えられる例が、文献で報告されています[11]。点滴のバッグに黄色いビタミン剤が混ぜられているのを見たことがある人もいるかもしれません。あの一手間には、こうした理由があります。
🩺 院長コラム【点滴の「黄色いビタミン」に込められた意味】
妊娠悪阻の点滴は、水分を戻すだけの治療ではありません。ビタミンB1がなければ、ブドウ糖は脳にとって負担にもなり得ます。総合内科専門医として、栄養不足の人にいきなり糖を入れることの危うさは、妊娠に限らず内科全般に共通する大切な原則だと考えています。
点滴を受けるときは、遠慮せず「ビタミンB1は入っていますか」と確認してかまいません。数週間ほとんど食べられていない方ほど、この確認には意味があります。
つわりの点滴は効く?「点滴したら終わった」の正体と持続時間・費用
点滴は脱水と電解質の乱れを直すことで、吐き気の悪循環を断ち切ります。そのため多くの人は点滴のあと楽になりますが、つわりの原因そのものを取り除く治療ではありません。
脱水があると、それ自体が吐き気やだるさを強めます。点滴で体の水分とカリウムが戻ると、吐き気が和らいで少し飲めるようになり、飲めるとさらに脱水が改善する、という良い循環に入れることがあります。「点滴したらつわりが終わった」という声の一部は、この循環の切り替わりによるものと考えられます。また、点滴を受ける時期が、もともとつわりが自然に軽くなり始める時期と重なることも多く、点滴だけで終わったように感じられる面もあります。
点滴の効果がどのくらい持つかは、どれだけ脱水していたか、その後どのくらい飲めるかによって大きく変わります。1回で落ち着く人もいれば、数日おきに通院して点滴を受ける人、入院して毎日点滴が必要な人もいます。妊娠悪阻と診断されて行う点滴や入院は、病気の治療として健康保険の対象になるのが一般的です。自己負担額は治療内容や医療機関によって異なるため、受診先で確認してください。
点滴してもらえないときの相談の仕方
「ケトンが出ていないので点滴は不要」と言われても、飲めない・尿が出ないといった状態が続くなら、具体的な数字を添えてもう一度相談してください。点滴をするかどうかの基準は医療機関によって違い、尿ケトン体を重視するところもあります。一方、英国のガイドラインは前述のとおりケトン体を重症度の判定に使わないとし、外来や日帰りで点滴を行う体制も示しています[2]。
相談するときは「つらいです」だけでなく、1日に何回吐いたか、この24時間で飲めた量(コップ何杯か)、最後に尿が出た時間、妊娠前からの体重の変化、吐き気止めを飲んでも吐いてしまうか、を伝えると、医師が状態を判断しやすくなります。メモにして持っていくのもよい方法です。
吐き気止めなどの薬
ACOGは、つわりの最初の薬物治療としてビタミンB6単独、またはビタミンB6と抗ヒスタミン薬ドキシラミンの併用を挙げています[4]。ただし、海外で使われるドキシラミンとビタミンB6の配合剤は、日本では承認されていません。日本では、メトクロプラミドなどの吐き気止めや漢方薬が使われることがあります。薬ごとの使い方や妊娠中の安全性の考え方は、つわりで使われる薬で詳しく解説しています。
入院の基準・期間・退院の目安
入院が考えられるのは、吐き気止めを飲んでも吐いてしまう、飲み薬を使っても脱水や5%を超える体重減少が続く、持病があって薬が飲めないことが危険、といった場合です。これは英国のガイドラインが示す入院の条件です[2]。日本でも、体重減少、脱水、ケトン体、電解質の異常などを総合して医師が判断します。
🏥 入院・退院を考える目安
| 場面 | 目安 |
|---|---|
| 入院を考える | 吐き気止めを飲んでも吐く/脱水や5%超の体重減少が続く/電解質の異常がある/持病で薬が欠かせない |
| 入院中の治療 | 点滴(輸液・電解質、必要時にブドウ糖)、ビタミンB1、吐き気止め、血栓予防の検討 |
| 退院を考える | 点滴なしで水分がとれる/少量ずつ食べられる/飲み薬が使える/尿量が戻り、体重の減少が止まる |
※入院・退院の判断は、医療機関と個々の状態によって異なります。
入院期間は数日で済む人から数週間に及ぶ人まで幅があり、一律の日数は決まっていません。また、英国のガイドラインは、妊娠悪阻で入院すると静脈血栓塞栓症のリスクが約2.5倍になるとして、入院した妊婦に血栓予防の注射(低分子ヘパリン)を勧めています[2]。退院後に再び飲めなくなったら、我慢せずに早めに連絡してください。
6. 妊娠悪阻の合併症
妊娠悪阻で注意すべき合併症は、ウェルニッケ脳症、電解質異常、食道の傷、血栓症、そして心の負担です。早期に脱水や栄養不足を評価して治療し、合併症の徴候を見逃さないことが重要です。
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1不足によって脳の一部が傷つく病気で、目の動きの異常、ふらついて歩けない、意識の混乱が代表的な症状です。妊娠悪阻に伴うウェルニッケ脳症をまとめたシステマティックレビューでは、3つの症状がそろわない例も多く、回復後に記憶障害などが残る例があることが報告されています[12]。疑われたらすぐにビタミンB1を補う必要があります。
💡 用語解説:ウェルニッケ脳症
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)が欠乏し、脳の視床や脳幹など、エネルギーを多く使う部分が傷つく病気です。アルコール多飲で起こることが知られていますが、妊娠悪阻のように長く食べられない状態でも起こります。治療が遅れると、新しいことを覚えられなくなる「コルサコフ症候群」が残ることがあるため、予防としてのビタミンB1補充が大切です。
電解質異常では、特に低カリウム血症が問題になり、筋力の低下や不整脈の原因になります。激しい嘔吐をくり返すと、食道と胃のつなぎ目の粘膜が裂けて出血すること(マロリー・ワイス症候群)もあります[4]。吐いたものに血が混じったら連絡してください。
心の負担も見過ごせない合併症です。英国のガイドラインは、妊娠悪阻のある女性は、つわりの女性に比べて生活の質が低い状態にある割合が3〜6倍高く、産後のうつ病、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクも高いとしています[2]。気分の落ち込みや不安が強いときは、体の症状と同じように主治医に伝えてください。
7. つわりで寝たきりのときの過ごし方
つわりで寝たきりになっても、横になって休むこと自体は問題ありません。大切なのは、少しずつでも水分をとること、ときどき足を動かして血栓を防ぐこと、飲めない状態が続いたら早めに受診することの3つです。
寝たきりでも大丈夫?動けない時期の考え方と血栓の予防
起き上がると吐き気が強くなるなら、無理に動く必要はありません。寝ているしかない状態は怠けではなく、体を守るための反応と考えてください。ただし、脱水と長時間同じ姿勢でいることが重なると、足の静脈に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。妊娠中はもともと血液が固まりやすい状態でもあります。
寝たままでできる予防として、1時間に1回くらい足首を上下に曲げ伸ばしする、寝返りを打って姿勢を変える、少量ずつでも水分をとる、といった工夫があります。片方の足だけが腫れて痛む、急に息苦しい、胸が痛いといった症状は血栓のサインのことがあるため、すぐに医療機関に連絡してください。
水分のとり方:経口補水液(OS-1)は妊婦が飲んでいい?
経口補水液は妊婦が飲んでもかまいません。経口補水液(OS-1などの商品があります)は、水分と一緒にナトリウム、カリウム、ブドウ糖を、腸から吸収されやすい割合で含んだ飲み物です。吐いて失われた電解質を補えるため、脱水ぎみのときに向いています。スポーツドリンクより塩分が多く糖分が少ない設計です。
一度にたくさん飲むと吐きやすいので、スプーン1杯やペットボトルのキャップ1杯を数分おきに、というくらい少量ずつ口にするのがコツです。冷やす、凍らせてシャーベット状にする、氷を口に含むと飲みやすくなる人もいます。味が合わなければ、水、お茶、炭酸水、薄めた果汁など、飲めるものでかまいません。高血圧や腎臓の病気で塩分を控えるよう言われている人は、主治医に相談してください。少量ずつでも吐いてしまい、半日以上ほとんど飲めないときは、自宅で頑張らずに受診してください。
食べられるものの考え方
この時期は栄養バランスより、「食べられるものを、食べられるときに、少しずつ」で十分です。おにぎり、クラッカー、麺類、ゼリー、果物、アイスなど、においが少なく冷たいもののほうが受け付けやすい傾向があります。赤ちゃんの栄養は、妊娠初期に一時的に食事量が低下しても、直ちに胎児の発育障害につながるとは限りません。ただし、体重減少や脱水、栄養不足が続く場合は治療が必要です。葉酸のサプリメントは、飲めるようなら続けてください。具体的な食べ物や工夫はつわりのときの食べ物で紹介しています。
家族にできること
家族にお願いしたいのは、まず妊娠悪阻を「病気」として受け止めることです。料理や生ごみ、香水、柔軟剤などのにおいが吐き気の引き金になることが多いため、台所仕事やごみ出しを代わる、換気をする、においの強いものを遠ざけるといった配慮が助けになります。
また、本人は1日に何回吐いたか、どのくらい飲めたか、最後にトイレに行ったのはいつかを把握しきれないことがあります。家族がメモしておくと、受診の判断に役立ちます。受診のときに付き添って状況を説明するのも、具合の悪い本人にとって大きな支えです。
仕事を休むとき:母性健康管理指導事項連絡カードと傷病手当
働いている人は、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を書いてもらい、勤務先に出すことで、勤務時間の短縮や休業などの措置を受けやすくなります。このカードは、医師の指導内容を事業主に正確に伝えるためのもので、厚生労働省の母性健康管理のサイトから様式を入手できます[13]。事業主には、カードに書かれた指導事項を守るための措置を講じることが求められます。
会社員などで健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入している人は、妊娠悪阻で働けずに休み、給与が出ない場合、傷病手当金の対象になることがあります。連続して3日休んだあと、4日目以降の休んだ日について、おおむね給与の3分の2にあたる額が支給されます[14]。申請書には医師の意見欄があり、働けない状態だったことを医師が証明する必要があります。
傷病手当金が支給されない場合には、待期の3日間が連続していない、休業期間に給与の支払いがある、療養のため労務不能と認められる期間などの支給要件を満たしていない、といった理由が考えられます。国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度がありません。詳しい条件は加入している保険者に確認してください。職場との調整はつわりがつらいときの仕事で詳しく解説しています。
8. 赤ちゃんへの影響は?
妊娠悪阻があっても、適切に治療を受ければ、多くの赤ちゃんは問題なく育ちます。ただし、治療が遅れて母体の栄養不足が長引くことは避けたい状態です。
妊娠悪阻と赤ちゃんの関係を調べた研究をまとめたメタ解析では、妊娠悪阻のあった妊娠では、低出生体重、在胎週数に比べて小さく生まれること(SGA)、早産がやや多いと報告されています。一方で、先天異常や周産期死亡の明らかな増加は示されていません[15]。こうした差は、妊娠中の体重増加が少ないことなど、母体の栄養状態と関係していると考えられています。
「つわりがひどかった時の子」について気にする人もいますが、重いつわりそのものが赤ちゃんの病気や障害の原因になるという根拠はありません。性別との関係では、前述のとおり女の子の妊娠でやや多いという報告がありますが[9]、重さから性別を予測することはできません。
反対に、「つわりがない、軽いのは赤ちゃんに異常があるから」という話にも根拠はありません。この噂についてはつわりがない人と赤ちゃんの障害の噂で検証しています。赤ちゃんの染色体の状態について知りたい場合は、つわりの重さではなく、出生前検査という別の方法で調べることになります。
9. 妊娠悪阻はいつまで続く?
妊娠悪阻の多くは妊娠中期に入るころまでに軽くなりますが、出産近くまで症状が続く人もいます。国際的な総説でも、症状は通常は妊娠中期までに治まる一方、妊娠期間を通じて続く例があるとされています[6]。
GDF15は胎盤でつくられ続けるため、体がGDF15に少しずつ慣れていくことや、hCGが下がることが、症状の軽快に関わっていると考えられます。ただし、なぜ長引く人がいるのかは、まだ十分にわかっていません。なお、Windsor定義では妊娠16週より前に始まることを条件にしているため[3]、妊娠中期以降に初めて強い吐き気が出た場合は、つわりとは別の原因を調べる必要があります。
つわりが始まる時期やピーク、週数ごとの目安はつわりはいつから・いつまでで、安定期を過ぎても続く場合や終わる兆候はつわりが終わらないときで解説しています。
10. 次の妊娠で再発する?
妊娠悪阻は次の妊娠でも起こりやすく、再発率は報告によって15〜81%と大きな幅があります。英国のガイドラインはこの幅を示したうえで、自己申告による調査では再発リスクがさらに高い数字になっていることも紹介しています[2]。入院した人だけを数える登録データでは低め、本人の体験として尋ねる調査では高めに出る傾向があり、定義の違いが数字の差に表れています。
再発しやすい背景には、ここまで述べてきた母体側の体質があります。GDF15に対する感受性は妊娠ごとに大きく変わるものではないため、前回重かった人は次も重くなる可能性を考えて準備しておくのが現実的です。
具体的には、次の妊娠がわかったら早めに受診し、前回の妊娠悪阻の経過(入院したか、どの薬が効いたか)を主治医に伝えておくことです。症状が軽いうちから治療を始めることで、重症化を防げる可能性があります[4]。仕事や上の子の世話など、寝込んだときの手助けを前もって考えておくことも、備えの一つになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. つわりと妊娠悪阻の違いは?
つわりは妊婦の多くが経験する吐き気や嘔吐で、工夫すれば生活できる範囲のものです。妊娠悪阻は、食事も水分もとれず、脱水や体重減少が起き、日常生活が強く制限される状態で、点滴などの治療が必要になります。
Q2. 妊娠悪阻で体重は何キロ減る?
減り方は人によって違いますが、受診の目安は妊娠前の体重の5%以上の減少です。妊娠前50kgなら2.5kg、60kgなら3kgが目安になります。これより少なくても、水分がとれない・尿が出ない場合は受診してください。
Q3. 入院の基準と期間は?
吐き気止めを飲んでも吐いてしまう、脱水や5%を超える体重減少が続く、電解質の異常がある場合などに入院が考えられます。期間は数日から数週間まで幅があり、点滴なしで水分がとれ、少しずつ食べられるようになると退院が検討されます。
Q4. 点滴をすると、つわりは終わる?
点滴は脱水と電解質の乱れを直して吐き気の悪循環を断ち切るため、点滴のあと楽になる人は多くいます。ただし原因そのものを取り除く治療ではないため、効果の持ち方は人によって違い、くり返し点滴が必要になることもあります。
Q5. ケトン体が出ないと点滴してもらえない?
点滴の基準は医療機関によって異なります。英国のガイドラインは尿ケトン体を重症度の判定に使わないとしており、ケトン体が出ていなくても、飲めない・尿が出ないなどの状態が続くなら、吐いた回数や飲めた量を具体的に伝えて相談してください。
Q6. 経口補水液(OS-1)は妊婦が飲んでもいい?
妊婦が飲んでもかまいません。水分と電解質を補えるため、脱水ぎみのときに向いています。一度に飲まず、スプーン1杯ずつなど少量を数分おきにとるのがコツです。塩分制限を受けている人は主治医に相談してください。
Q7. つわりがひどいと赤ちゃんに影響する?
適切に治療を受ければ、多くの赤ちゃんは問題なく育ちます。研究では低出生体重や早産がやや多いと報告されていますが、先天異常の明らかな増加は示されていません。母体の栄養不足を長引かせないよう、早めの治療が大切です。
Q8. 次の妊娠でも妊娠悪阻になる?
再発しやすく、再発率は報告によって15〜81%と幅があります。次の妊娠がわかったら早めに受診し、前回の経過を主治医に伝えて、症状が軽いうちから治療を始められるよう準備しておくことが勧められます。
Q9. 妊娠悪阻は遺伝する?
遺伝的な体質が関わっています。母親や姉妹に妊娠悪阻があるとリスクが高く、GDF15遺伝子のタイプが感受性に関わることがわかっています。ただし、その体質があっても必ず発症するわけではなく、遺伝子を調べて予測する検査は現時点では診療として行われていません。
Q10. 傷病手当金はもらえる?
健康保険(協会けんぽや健康保険組合)の被保険者で、妊娠悪阻のために働けず給与が出ない場合は、対象になることがあります。連続3日休んだあと、4日目以降の休んだ日について、おおむね給与の3分の2が支給されます。国民健康保険には原則として制度がありません。
Q11. 妊娠悪阻の治療はミネルバクリニックで受けられますか?
当院では妊娠悪阻の点滴や入院などの治療は行っていません。症状があるときは、妊婦健診を受けているかかりつけの産婦人科、または分娩予定の医療機関に連絡してください。
まとめ
妊娠悪阻は、つわりが重くなって食事も水分もとれず、脱水や体重減少をきたし、日常生活が強く制限される状態です。妊娠前より体重が5%以上減った、半日以上尿が出ない、水分も吐いてしまう、といったときは、かかりつけの産婦人科に連絡してください[2]。
治療の中心は、輸液・電解質補正と吐き気止めで、長く食べられていない場合はビタミンB1を補充します。原因には、胎盤がつくるGDF15と、それに慣れていない母体の感受性が関わっていて[7]、気持ちの問題で起こるものではありません。適切に治療を受ければ赤ちゃんは多くの場合問題なく育ちますが、次の妊娠で再発しやすいため、前回の経過を主治医と共有して早めに備えることが大切です。
🧬 出生前検査(NIPT)をご検討の方へ
ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐するNIPT実施施設です。妊娠初期から受けられるNIPTについて、検査でわかること・わからないことを含めて臨床遺伝専門医が説明し、検査後の結果の解釈まで対応しています。なお、妊娠悪阻の治療は行っていませんので、症状についてはかかりつけの産婦人科にご相談ください。
参考文献
- [1] Quantifying the global rates of nausea and vomiting of pregnancy: a meta analysis. J Popul Ther Clin Pharmacol. 2013. [PubMed 23863575]
- [2] The Management of Nausea and Vomiting in Pregnancy and Hyperemesis Gravidarum (Green-top Guideline No. 69). Royal College of Obstetricians and Gynaecologists. BJOG. 2024. [DOI 10.1111/1471-0528.17739]
- [3] The windsor definition for hyperemesis gravidarum: A multistakeholder international consensus definition. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2021;266:15-22. PMID: 34555550. [DOI 10.1016/j.ejogrb.2021.09.004]
- [4] ACOG Practice Bulletin No. 189: Nausea And Vomiting Of Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(1):e15-e30. [PubMed 29266076]
- [5] Placenta and appetite genes GDF15 and IGFBP7 are associated with hyperemesis gravidarum. Nat Commun. 2018;9:1178. [PubMed 29563502]
- [6] Nausea and vomiting of pregnancy and hyperemesis gravidarum. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:62. [DOI 10.1038/s41572-019-0110-3]
- [7] GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767. doi:10.1038/s41586-023-06921-9. [PubMed 38092039]
- [8] Recurrence of hyperemesis gravidarum across generations: population based cohort study. BMJ. 2010;340:c2050. doi:10.1136/bmj.c2050. PMID: 21030362. [PMC2862151]
- [9] The sex ratio of pregnancies complicated by hospitalisation for hyperemesis gravidarum. BJOG. 2004;111(1):27-30. doi:10.1046/j.1471-0528.2003.00005.x. [PubMed 14687048]
- [10] 2017 Guidelines of the American Thyroid Association for the Diagnosis and Management of Thyroid Disease During Pregnancy and the Postpartum. Thyroid. 2017. [DOI 10.1089/thy.2016.0457]
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- [13] 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)について」 [厚生労働省]
- [14] 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」 [協会けんぽ]
- [15] Consequences of hyperemesis gravidarum for offspring: a systematic review and meta-analysis. BJOG. 2011;118(11):1302-1313. doi:10.1111/j.1471-0528.2011.03023.x. [PubMed 21749625]





