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つわりの薬|病院で処方される吐き気止め・ビタミンB6・漢方と赤ちゃんへの影響

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

つわりの薬はあります。吐き気止め、ビタミンB6、漢方薬、点滴などを、かかりつけの産婦人科で処方してもらえます。ただし日本では、海外で「つわりの薬」として承認されている配合剤はまだ使えず、多くは別の病気の薬をつわりに応用しています。妊娠初期に使われる代表的な吐き気止めは、大規模な調査で先天異常(生まれつきの形の異常)の増加は示されていません。この記事では、薬の種類と赤ちゃんへの影響の考え方、市販薬の注意、日本で開発が始まったつわり治療薬について、臨床遺伝専門医の立場から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
💊 吐き気止め・ビタミンB6・漢方・点滴
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. つわりがつらいとき、薬を飲んでも赤ちゃんに影響はありませんか?

A. 産婦人科で処方される代表的なつわりの薬は、妊娠初期に使った人を含む大規模な調査で、先天異常の増加は示されていません。どの薬も「絶対に影響がない」とは言い切れませんが、つわりで水分や栄養がとれない状態が続くこと自体も母体の負担になります。市販薬を自己判断で飲まず、かかりつけの産婦人科で症状に合った薬を処方してもらうことが基本です。

  • ➤処方される薬 → 吐き気止め(プリンペランなど)、ビタミンB6、漢方薬(小半夏加茯苓湯など)、点滴
  • ➤日本の現状 → 海外のつわり治療薬(ボンジェスタ)は国内未承認。国内での開発が始まったと報じられています
  • ➤最新の注意点 → 2026年8月、プリンペランとナウゼリンの添付文書に「重篤な不整脈」が追記されました
  • ➤遺伝の視点 → 先天異常は薬を飲まなくても約3%に起こる。薬の影響は「いつ・何を」飲んだかで考えます

1. つわりに使える薬はある?日本の現状

つわりには使える薬があり、症状の重さに応じて産婦人科で処方されます。妊娠中の吐き気や嘔吐(医学的には「妊娠悪心・嘔吐」)は妊婦さんの50〜80%が経験するとされ、そのうち体重減少や脱水を伴う重症の「妊娠悪阻(にんしんおそ)」は0.3〜3%と報告されています[1]。米国産科婦人科学会(ACOG)の診療指針は、軽いうちから治療を始めると重症化を防げる可能性があるとして、早めの対応をすすめています[1]。

つわりは「病気ではないから我慢するもの」と受け止められがちですが、医学的には治療の対象です。食事の工夫や休息で乗り切れる人もいますが、水分がとれない、仕事や家事ができないほどつらいという場合は、薬を使うことが選択肢に入ります。つわり全体の仕組みや種類はつわり(悪阻)とはで解説しています。

産婦人科で処方される薬の一覧

日本でつわりに使われる薬は、大きく分けて吐き気止め(制吐薬)、ビタミン剤、漢方薬、点滴の4つです。どれを使うかは、症状の強さ、食事や水分がどのくらいとれているか、体重の減り方、ほかの持病などをもとに医師が判断します。

💊 つわりで使われる主な薬

種類 代表的な薬(一般名) 主な目的 国内での位置づけ
吐き気止め プリンペラン(メトクロプラミド)、ナウゼリン(ドンペリドン) 吐き気・嘔吐をおさえる 承認された薬だが、効能に「つわり」は含まれない
ビタミン剤 ビタミンB6(ピリドキシン) 吐き気の軽減 海外では第一選択の一つ
漢方薬 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)など 吐き気・嘔吐の軽減 効能に「妊娠嘔吐(つわり)」が記載されている
点滴 ブドウ糖を含む輸液、ビタミンB1 脱水と栄養不足の補正 飲めない・食べられないときに使う
配合剤 ドキシラミン+ピリドキシン(ボンジェスタなど) 吐き気・嘔吐の軽減 国内未承認(2026年10月時点)

※漢方薬の効能は添付文書[2]、海外での位置づけはACOG[1]による。実際の処方は医療機関や症状によって異なります。

日本に「つわり専用の薬」がない理由

日本では、つわりのために開発・承認された西洋薬はまだありません。そのため、ほかの病気で承認された吐き気止めなどを、医師の判断でつわりに使っています。たとえばプリンペランの効能は、胃炎や胆道の病気、薬剤投与時などの吐き気で、つわりは書かれていません[3]。承認された効能以外の目的で薬を使うことを適応外処方といい、つわりの薬物療法の多くはこの形で行われてきました。

背景には、妊婦さんを対象にした臨床試験が行われにくいという事情があります。胎児への影響を心配して製薬企業も研究者も慎重になり、その結果、効能を追加するための試験が組まれないまま、長年の使用経験と観察研究で安全性を確かめてきました。海外で承認されている薬が国内で開発されない状態は「ドラッグ・ロス」と呼ばれ、つわりの配合剤はその代表例の一つとされてきました。

一方、漢方薬の小半夏加茯苓湯は、医療用の添付文書の効能に「妊娠嘔吐(つわり)」がはっきり書かれています[2]。「日本にはつわりに使える承認薬がまったくない」というわけではなく、正確には「西洋薬の専用薬がまだない」という状況です。

2. 吐き気止め(制吐薬):プリンペラン・ナウゼリン

つわりの吐き気止めとして国内で広く使われてきたのは、プリンペラン(メトクロプラミド)です。2025年からはナウゼリン(ドンペリドン)も、妊婦さんに使える選択肢として添付文書が改められました。どちらもドパミンD2受容体を遮断する制吐薬ですが、作用する部位には違いがあります。メトクロプラミドは中枢の化学受容器引金帯などに作用するとともに消化管運動を促進し、ドンペリドンは血液脳関門を通過しにくく、主に末梢や血液脳関門の外側にある化学受容器引金帯などへの作用を通じて、吐き気や嘔吐をおさえます。

💡 用語解説:ドパミン受容体拮抗薬

ドパミンは、脳や胃腸で信号を伝える物質の一つです。吐き気や嘔吐に関わる化学受容器引金帯などにはドパミンD2受容体があり、この受容体を遮断する薬が制吐薬として使われます。プリンペランとナウゼリンはどちらもこの仲間ですが、ナウゼリンは血液脳関門を通過しにくいという違いがあります。両薬には消化管運動を促進する作用もあります。

プリンペラン(メトクロプラミド)は赤ちゃんに影響する?

プリンペランを妊娠初期に使っても、先天異常が増えるという結果は大規模な調査で示されていません。イスラエルで約8万1,700人の出生を調べた研究では、妊娠第1三半期(妊娠13週ごろまで)にメトクロプラミドを使った3,458人の赤ちゃんで、大きな先天異常、低出生体重、早産、周産期死亡のいずれも増加はみられませんでした[4]。

デンマークの全国登録を使った研究はさらに規模が大きく、妊娠初期にメトクロプラミドを使った2万8,000人あまりを含む妊娠を解析し、主要な先天異常のリスクは使っていない妊娠と差がなく、流産や死産の増加もみられなかったと報告しています[5]。複数の研究をまとめたメタ解析(研究を統合して分析する方法)でも、妊娠初期の使用で主要な先天異常が増えるという結論にはなっていません[6]。

ただし、これらは「集団で見てリスクの増加が検出されなかった」という結果です。添付文書では、妊婦さんへの使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ」とされており[3]、どの薬もゼロリスクを保証するものではありません。効き目についても、つわりに限った質の高い比較試験は多くなく、症状がどのくらい軽くなるかは人によって違います[7]。

ナウゼリン(ドンペリドン)の妊婦禁忌が解除された

ナウゼリンは長く「妊婦には禁忌(使ってはいけない)」とされてきましたが、2025年5月の添付文書の改訂でこの禁忌が削除され、妊婦さんにも有益性を考えて使える薬になりました。改訂は厚生労働省の指示によるもので、妊婦さんへの記載は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」に改められています[8]。

もともとの禁忌の根拠は、ラットに大量に与えた動物実験で骨格などの異常がみられたことでした。その後、国立成育医療研究センターなどのグループが国内のデータを使い、妊娠初期にドンペリドンを使った妊婦さんの出産結果を調べたところ、先天異常の発生率は使っていない人と比べて高くありませんでした[9]。こうした人のデータが積み重なったことが、禁忌解除につながりました。

この改訂は、「妊娠に気づかずにナウゼリンを飲んでしまった」という人にとっても意味があります。禁忌とされていた時代には、服用を知って強い不安を抱く人が少なくありませんでしたが、現在は、妊娠初期の服用で先天異常のリスクが大きく上がるとは考えられていません。

2026年8月の改訂:不整脈への注意

2026年8月25日、厚生労働省はプリンペランとナウゼリンの添付文書に、重大な副作用として「重篤な不整脈」を追記するよう指示しました。国内外の疫学調査で、致死性の不整脈や心臓突然死のリスクが増える可能性が示されたためで、「心室頻拍、心室細動等の重篤な不整脈があらわれることがある」と明記されています[10]。

この改訂は、つわりの人に限った話ではありません。吐き気止めを使う人全体についての注意で、もともと心臓の病気がある人、ほかに心臓のリズムに影響する薬を使っている人、脱水や低カリウム血症(血液中のカリウムが少ない状態)がある人で特に気をつける必要があります。つわりで何度も吐いている人は、脱水や電解質の乱れが起こりやすいので、この点は軽く見ないほうがよいところです。

ただし、「つわりの吐き気止めは危険になった」と受け取る必要はありません。改訂の要点は、必要な期間に必要な量だけ使い、漫然と長く続けないこと、動悸や失神などの症状があればすぐに受診することです[10]。2025年の禁忌解除と2026年の不整脈の追記は、どちらも「薬の性質をより正確に知って使う」方向の改訂で、矛盾するものではありません。

副作用と飲み方の注意

プリンペランで注意したい副作用は、眠気やめまいのほか、手のふるえ、首や顔の筋肉のこわばり、目が上を向いたまま戻らないといった錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう)です。添付文書には、ほかに乳汁が出る、月経が止まるなどのホルモンに関わる副作用も記載されています[3]。

💡 用語解説:錐体外路症状

錐体外路は、手足や体の動きを無意識のうちに滑らかに調整している脳の神経回路です。ドパミンの働きをおさえる薬はこの回路にも影響することがあり、体のこわばり、ふるえ、落ち着かずじっとしていられない感覚、首が反り返るといった症状が出ることがあります。多くは薬をやめると改善しますが、気づいたら処方した医師にすぐ伝えてください。

飲み方は処方の指示に従うのが原則で、自己判断で回数や量を増やさないことが大切です。吐き気が強いときは、食事の前に飲むよう指示されることが多くあります。飲んでもすぐに吐いてしまう場合、薬が吸収されていないこともあるので、注射や点滴に切り替える方法があります。効かないと感じたときも、我慢せず処方した医師に伝えてください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「禁忌」が外れた薬をどう受け止めるか】

ナウゼリンの禁忌が外れた経緯は、薬と妊娠の関係を考えるうえでよい教材だと考えています。禁忌の根拠は、人の何十倍もの量をラットに与えた実験でした。動物実験は大切な手がかりですが、そのまま人に当てはまるとは限りません。最終的に判断を変えたのは、実際に妊娠中に使った人の出産結果を集めたデータでした。

一方で、2026年には同じ薬に不整脈の注意が加わりました。安全性の評価は一度決まって終わりではなく、データが増えるたびに更新されていきます。「禁忌だから怖い」「解除されたから何も気にしなくてよい」と白黒で考えるのではなく、今わかっていることの範囲で使い方を決めていく姿勢が大切だと考えています。

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3. ビタミンB6とボンジェスタ

海外では、ビタミンB6単独、またはビタミンB6と抗ヒスタミン薬のドキシラミンを組み合わせた薬が、つわりの薬物療法の最初の選択肢とされています。日本でもビタミンB6は処方されていますが、ドキシラミンとの配合剤(ボンジェスタなど)は国内では承認されていません。

ビタミンB6:海外で第一選択とされる理由

ACOGの診療指針は、ビタミンB6単独、またはビタミンB6とドキシラミンの併用を、安全で効果があり、薬物療法の第一選択として検討すべき治療と位置づけています[1]。ビタミンB6(ピリドキシン)は、体内でアミノ酸の代謝などに使われる水溶性ビタミンで、どのような仕組みで吐き気をやわらげるのかは完全にはわかっていません。

第一選択とされる理由は、効果の大きさよりも、安全性の情報が豊富で副作用が少ないことにあります。吐き気止めの効き目を比べた研究を集めたコクラン・レビュー(質の高い研究の統合で知られる評価)は、ビタミンB6を含め、軽症から中等症のつわりに対する薬の効果を支持する根拠は「限られている」とまとめています[7]。強い効果を期待する薬というより、副作用の少なさから最初に試しやすい薬、と理解しておくとよいでしょう。

ビタミンB6はサプリメントとしても売られていますが、量が多すぎると手足のしびれなどの神経症状が出ることが知られています。妊娠中にサプリメントで補う場合も、量と期間はかかりつけの医師に確認してください。

ボンジェスタとは/日本での開発状況

ボンジェスタは、抗ヒスタミン薬のドキシラミンとビタミンB6を組み合わせ、ゆっくり溶けるように作られたつわりの治療薬で、米国などで承認されています。ドキシラミンは眠気を起こしやすい抗ヒスタミン薬で、吐き気をおさえる作用があります。就寝前に飲むと、朝方の吐き気にも効くように設計されています。

効果については、カナダで行われたプラセボ(有効成分を含まない薬)との比較試験で、つわりの症状スコアがプラセボより改善したと報告されています[11]。一方で、その改善の幅は小さく、臨床的にどこまで意味があるかには異論も出ています[12]。コクラン・レビューも、配合剤を支持する根拠は限られているとしています[7]。

日本では、持田製薬が開発元のカナダ・デュシェネイ社と国内での開発・販売の契約を結んだと報じられ[13]、2030年までの国内発売を目指しているとされています[14]。日本産科婦人科学会の要望を受けて、厚生労働省が開発企業を公募した経緯があります[13]。承認されれば、国内で初めての「つわりのための西洋薬」になります。ただし、2026年10月時点では承認前で、保険診療では使えません。

個人輸入・自費処方で知っておきたいこと

ボンジェスタは国内未承認のため、現在は一部の医療機関が輸入して自費で処方しているか、個人で輸入するしか手に入れる方法がありません。未承認の薬を使うこと自体が違法なわけではありませんが、いくつか知っておきたい点があります。

まず、国内で承認された薬を適正に使って重い副作用が起きた場合には、国の医薬品副作用被害救済制度で医療費などが給付されますが、個人輸入した医薬品はこの救済の対象になりません[15]。また、個人輸入では偽造品や品質の確認されていない製品が混じる危険があることも、厚生労働省が注意を呼びかけています[15]。

ドキシラミンは眠気が強く出ることがあるため、車の運転や、ほかの眠くなる薬・飲酒との組み合わせには注意が必要です。使うかどうかは、承認薬で対応できないか、費用と利点をどう考えるかを含めて、妊婦健診を受けている産婦人科で相談するのが安全です。

4. 漢方薬

つわりには漢方薬もよく使われ、なかでも小半夏加茯苓湯は、医療用の添付文書に「妊娠嘔吐(つわり)」が効能として書かれている漢方薬です[2]。保険診療で処方でき、吐き気止めと組み合わせて使われることもあります。

よく使われる漢方と効く速さ

つわりでよく使われるのは、小半夏加茯苓湯のほか、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、五苓散(ごれいさん)、人参湯(にんじんとう)などです。小半夏加茯苓湯は半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、茯苓(ぶくりょう)の3つの生薬からできており、生姜はショウガの根茎です。吐き気に加えて喉のつかえ感がある場合は半夏厚朴湯、口が渇いて尿が少ない場合は五苓散、というように、症状や体質に合わせて選ばれます。

「どのくらいで効くか」はよく聞かれる質問ですが、つわりに対する漢方薬の効果を、効き始めまでの時間を含めて調べた質の高い比較試験は、現時点では多くありません。効き方には個人差があり、数日飲んでも変化がなければ、ほかの薬に切り替えたり組み合わせたりするのが一般的です。顆粒をお湯に溶かして少しずつ飲む、冷やして飲むなど、飲みにくさを減らす工夫を指導されることもあります。

「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)はつわりに効くか」という質問もよくみられます。当帰芍薬散は妊娠中によく処方される漢方薬ですが、添付文書の効能はむくみや冷え、月経に関わる症状などが中心で、つわりの吐き気をおさえる薬として位置づけられているわけではありません。また、漢方薬も薬であり、小半夏加茯苓湯の添付文書でも妊婦さんへの使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合」とされています[2]。「自然由来だから安全」と考えて、自己判断で市販の漢方を飲み続けるのは避けてください。

5. 飲めないときの点滴とビタミンB1

水分や薬も吐いてしまう場合は、点滴で水分と栄養を補います。このとき大切なのが、ビタミンB1(チアミン)を一緒に補うことです。つわりの治療は、症状の重さに応じて段階的に進みます。

食事・生活の工夫少量ずつ・休息
▶
内服薬ビタミンB6・漢方・吐き気止め
▶
通院での点滴輸液+ビタミンB1
▶
入院治療妊娠悪阻の場合

ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変えるときに欠かせないビタミンです。何週間も食べられない状態が続くと体内のビタミンB1が不足し、そこにブドウ糖だけを点滴すると、不足がさらに進んでしまいます。その結果起こりうるのが、ウェルニッケ脳症という脳の障害です。

⚠️ 用語解説:ウェルニッケ脳症

ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1の欠乏によって脳の一部が障害される病気で、意識がぼんやりする、目の動きがおかしくなる、ふらついて歩けないといった症状が出ます。重症のつわりでも報告があり、治療が遅れると記憶障害などの後遺症が残ることがあります。ACOGも、長く嘔吐が続いている人にはビタミンB1を補うことをすすめています[1]。

妊娠悪阻によるウェルニッケ脳症の報告をまとめた系統的レビューでは、早く気づいてビタミンB1を十分に補うことの重要性が強調されています[16]。点滴の基準や入院の目安、ケトン体(体が脂肪を燃やしているときに増える物質)の検査など、重症のつわりの詳しい内容は妊娠悪阻とはで解説しています[1]。

6. 市販薬は飲んでいい?

つわりの吐き気に、市販の吐き気止めや酔い止め、胃薬を自己判断で飲むのはおすすめできません。市販薬はつわりを想定して作られておらず、複数の成分が配合されていることが多いため、どの成分をどれだけ飲んだかを把握しにくいからです。

酔い止めには、抗ヒスタミン薬のほか、カフェインや、自律神経に作用する成分が含まれる製品があります。胃薬にも、妊娠中の使用について医師や薬剤師への相談が求められる成分が入っていることがあります。手元の薬を飲みたくなったときは、箱を持って、かかりつけの産婦人科か薬局で確認してください。すでに飲んでしまった場合も、一度で大きな影響が出ることは多くありませんが、何をいつ飲んだかを妊婦健診で伝えておくと、その後の判断がしやすくなります。妊娠中の薬全般の考え方は妊娠中の薬との付き合い方にまとめています。

食品として使えるものでは、ショウガ(生姜)に一定の研究があります。オーストラリアで291人の妊婦さんを対象に行われた比較試験では、乾燥ショウガ1日約1gを3週間とったグループと、ビタミンB6を1日75mgとったグループで、吐き気の改善の程度は同等でした[17]。ただしコクラン・レビューは、ショウガの効果の根拠は一貫していないとしています[7]。料理に使う程度なら問題になることはまずありませんが、サプリメントで多くとる場合は医師に確認してください。生活でできる対策はつわりの対策、食べやすいものはつわりのときの食べ物で詳しく紹介しています。

7. 【遺伝の視点】つわりの薬と先天異常の考え方

「薬を飲んだら赤ちゃんに障害が出るのでは」という不安には、遺伝学の考え方で答えることができます。ポイントは、薬がなくても起こる先天異常の割合と、飲んだ時期です。臨床遺伝専門医として、ここは数字と仕組みで整理しておきたいところです。

薬を飲まなくても先天異常は約3%ある

赤ちゃんの先天異常は、薬を何も飲んでいなくても一定の割合で起こります。米国疾病対策センター(CDC)は、米国では約33人に1人(約3%)の赤ちゃんが先天異常をもって生まれるとしています[18]。どこまでを先天異常に含めるか、いつの時点で数えるかによって数字は変わりますが、「ゼロではない」ことが出発点になります。

この数字が大切なのは、薬の安全性を調べる研究が「薬を使った人で、この約3%がどれだけ上がるか」を比べているからです。プリンペランやナウゼリンの研究で「リスクの増加がみられなかった」というのは、使った人の先天異常の割合が、使っていない人の割合とほぼ同じだったという意味です[4][5]。逆に言えば、つわりの薬を飲んだあとに赤ちゃんに先天異常がみつかっても、それが薬のせいだとは限りません。先天異常の原因には、染色体や遺伝子の変化、環境要因、原因のわからないものなどがあり、詳しくは先天異常とはで解説しています。

飲んだ時期で意味が変わる:全か無かと器官形成期

薬の影響は、妊娠のどの時期に飲んだかによって大きく変わります。受精から約2週間(妊娠週数ではおおむね妊娠2週〜4週ごろ)は「全か無か(all or none)」の時期と呼ばれ、強い有害作用を受けた場合は胚の死亡につながる一方、生存した場合には一般に形態異常を残しにくいと考えられています。ただし、すべての曝露に例外なく当てはまる絶対的な法則ではありません。

その後は器官形成期に入り、とくに受精後3〜8週ごろ(妊娠週数ではおおむね妊娠5〜10週ごろ)に、心臓や脳、手足など主要な器官が形成されます。この時期は薬剤などによる形態異常の影響を受けやすく、器官ごとに感受性の高い時期が異なります。その後も中枢神経系や一部の器官では発達が続くため、妊娠週数に応じて影響の種類を考える必要があります。つわりが始まる時期は、ちょうどこの器官形成期と重なります。だからこそ、つわりの薬は、この時期に使った人のデータで安全性が確かめられてきました。時期ごとの考え方は催奇形因子(テラトゲン)と妊娠中の薬との付き合い方で詳しく扱っています。

💡 用語解説:催奇形性(さいきけいせい)

催奇形性とは、妊娠中に母体が受けた薬や感染症、放射線などが、赤ちゃんの体の形の異常を引き起こす性質のことです。催奇形性がある薬でも、すべての赤ちゃんに異常が出るわけではなく、飲んだ時期と量によって影響の出方が変わります。「催奇形性がある」とわかっている薬は限られており、多くの薬は、適切に使えば大きなリスクの増加はないと考えられています。

サリドマイドとベンデクティン:つわりの薬の歴史

「つわりの薬で奇形になったものは?」という質問の答えになるのが、サリドマイドです。サリドマイドは1950年代後半に鎮静薬として発売され、つわりの吐き気にも使われました。妊娠初期に飲んだ母親から、手足が短い、または欠けているなどの先天異常をもつ赤ちゃんが世界で1万人以上生まれ、1960年代初めに販売が中止されました[19]。影響が出やすいのは受精後20〜36日ごろという、ごく限られた時期だったことも明らかになっています[19]。

この事件は、妊娠中の薬の安全性を確かめる仕組みが作られるきっかけになりました。同時に、妊娠中の薬に対する強い不安を社会に残しました。その影響を受けたのが、ボンジェスタの前身であるベンデクティン(ドキシラミンとビタミンB6などの配合剤)です。ベンデクティンは米国で広く使われていましたが、先天異常の原因だとする訴訟が相次ぎ、1983年に製薬企業が販売をやめました[20]。

その後、多数の疫学研究をまとめたメタ解析で、ベンデクティンと先天異常との関連は認められませんでした[21]。米国食品医薬品局(FDA)は2013年、同じ成分の配合剤をつわりの治療薬として改めて承認しています[20]。安全性に問題がなかった薬が、不安と訴訟によって市場から消え、30年後に戻ってきたという経緯は、日本でつわりの専用薬の開発が遅れた背景を考えるうえでも示唆的です。サリドマイドの作用の仕組みは催奇形因子の解説で詳しく扱っています。

GDF15研究とこれからの治療

つわりの原因については、2024年に英科学誌ネイチャーに、胎児側でつくられるGDF15というホルモンと、母体のGDF15への感受性が重要だとする研究が発表されました[22]。GDF15は脳の吐き気に関わる部位に働きかけるホルモンで、妊娠中は胎盤からたくさん分泌されます。

この研究では、妊娠前から体内のGDF15が少ない体質の人ほど、妊娠して急に増えたGDF15に敏感に反応し、重いつわりになりやすいことが示されました。逆に、もともとGDF15が多い体質の人は、つわりが軽い傾向がありました[22]。重いつわりが家族の中で繰り返されやすいことも、こうした遺伝的な体質で説明できる可能性があります。将来は、GDF15の働きを弱める薬や、妊娠前に体を慣らしておく方法などが研究されています。つわりの原因と体質についての詳しい話はつわり(悪阻)とはとつわりになりやすい人の特徴で扱っています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「薬のせいかもしれない」という不安について】

妊娠中の薬剤曝露を評価するときは、薬を使用していない妊娠にも一定の先天異常の基礎リスクがあることを前提に考えます。先天異常は薬を飲まなくても約3%に起こるため、薬を飲んだ後に先天異常がみつかったという時間的な前後関係だけで、その薬が原因だったと判断することはできません。個々の薬剤について、曝露時期・用量と疫学研究の結果を基礎リスクと比較して評価することが重要です。

サリドマイドによる薬害は、妊娠中の薬剤安全性評価を考えるうえで重要な歴史です。一方、ベンデクティンは先天異常との関連をめぐる訴訟が相次いだ後に市場から撤退しましたが、その後の疫学研究では先天異常リスクの増加は確認されず、同じ有効成分を用いた製剤が米国で再承認されました。妊娠中の薬剤は、既知のリスクだけでなく、治療しない場合の母体への影響も含め、利用可能なデータに基づいて判断することが重要です。

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8. つわりの薬をもらうには

つわりの薬は、妊婦健診を受けているかかりつけの産婦人科で処方してもらうのが基本です。「つわりは我慢するもの」と考えて受診をためらう人もいますが、症状がつらいと伝えれば、多くの医療機関で薬や点滴を検討してもらえます。次の健診まで待てないほどつらいときは、健診日を待たずに受診してください。

早めに受診を考えたいのは、次のような状態です。

  • 水分をとってもすぐに吐いてしまい、半日以上ほとんど飲めていない
  • 尿の回数や量が明らかに減った、尿の色が濃い
  • 体重が妊娠前より5%以上減った、または急に減っている[1]
  • 立ちくらみやふらつきが強い、ぼんやりする
  • 吐いたものに血が混じる、強い腹痛や発熱がある

受診のときは、いつから症状が強くなったか、1日に何回くらい吐くか、水分や食事がどのくらいとれているか、体重の変化、すでに飲んだ薬やサプリメント、持病と普段の薬を伝えると、薬を選びやすくなります。心臓の病気や不整脈を指摘されたことがある人は、2026年の改訂をふまえて、必ずそのことも伝えてください[10]。

費用については、妊婦健診そのものは病気の治療ではないため公的医療保険の対象外ですが、つわりの症状で受診し、治療が必要と判断された場合は、保険診療として薬や点滴が行われるのが一般的です。ボンジェスタのような国内未承認の薬は保険が使えず、全額自己負担になります。仕事を休む必要がある場合の考え方は、重症のつわりと合わせて妊娠悪阻の記事で触れています。

よくある質問(FAQ)

Q1. プリンペランは胎児に影響しますか?

妊娠初期にプリンペラン(メトクロプラミド)を使った数千〜数万人規模の調査で、先天異常、流産、死産の増加はみられていません。ただしどの薬もゼロリスクとは言えないため、医師の指示どおり、必要な期間だけ使うことが大切です。2026年8月には不整脈への注意が添付文書に加わっています。

Q2. 市販の吐き気止めや酔い止めは飲めますか?

自己判断で飲むのはおすすめできません。市販薬はつわりを想定しておらず、複数の成分が配合されていることが多いためです。飲みたいときは、薬の箱を持ってかかりつけの産婦人科か薬局で確認してください。すでに飲んでしまった場合は、何をいつ飲んだかを妊婦健診で伝えてください。

Q3. つわりの薬は保険がききますか?

つわりの症状で受診し、治療が必要と判断された場合は、吐き気止め、ビタミン剤、漢方薬、点滴などが保険診療で行われるのが一般的です。妊婦健診そのものは保険の対象外です。国内未承認のボンジェスタは保険が使えず、全額自己負担になります。

Q4. 薬を飲んだあとに妊娠に気づいた場合は大丈夫ですか?

受精から約2週間(妊娠週数ではおおむね妊娠2週〜4週ごろ)は「全か無か」の時期とされ、生存した場合には一般に形態異常を残しにくいと考えられていますが、絶対的な法則ではありません。その後は薬ごとに影響しうる時期が異なります。また、先天異常は薬を飲まなくても約3%に起こります。飲んだ薬の名前・量・時期を、かかりつけの産婦人科に伝えてください。

Q5. 漢方はどのくらいで効きますか?

つわりに対する漢方薬の効き始めまでの時間を調べた質の高い研究は、現時点では多くありません。効き方には個人差があり、数日飲んでも変化がなければ、ほかの薬への切り替えや併用が検討されるのが一般的です。小半夏加茯苓湯は添付文書の効能に「妊娠嘔吐(つわり)」が記載されている漢方薬です。

Q6. ボンジェスタは日本で使えますか?

2026年10月時点で、ボンジェスタは日本では未承認です。一部の医療機関が輸入して自費で処方していますが、保険は使えず、個人輸入した医薬品は医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。国内では持田製薬が開発・販売の契約を結び、2030年までの発売を目指していると報じられています。

Q7. 薬を飲んでも吐いてしまうときはどうすればいいですか?

薬が吸収される前に吐いてしまうと、効果が出ないことがあります。その場合は注射や点滴に切り替える方法があるので、我慢せず処方した医師に伝えてください。水分もとれない、尿が減った、体重が急に減ったという場合は、点滴や入院が必要な妊娠悪阻の可能性もあります。

まとめ

つわりの薬は、かかりつけの産婦人科で処方してもらえます。日本で主に使われるのは、プリンペランやナウゼリンなどの吐き気止め、ビタミンB6、小半夏加茯苓湯などの漢方薬、そして飲めないときの点滴です。妊娠初期に使われてきた吐き気止めは、大規模な調査で先天異常の増加は示されていません[4][5][9]。一方で2026年8月には不整脈への注意が加わり、必要な期間だけ使うことが改めて求められています[10]。

海外で第一選択とされるドキシラミンとビタミンB6の配合剤(ボンジェスタ)は、国内ではまだ承認されていませんが、開発が始まったと報じられています[13]。先天異常は薬がなくても約3%に起こり[18]、薬の影響は「いつ・何を」飲んだかで考えます。市販薬を自己判断で飲まず、つらいときは我慢せずに受診してください。

🧬 出生前検査(NIPT)をご検討の方へ

ミネルバクリニックは、常駐する臨床遺伝専門医が出生前診断と遺伝カウンセリングを行う遺伝診療の専門クリニックです。つわりの症状や薬については、妊婦健診を受けている産婦人科でご確認ください。赤ちゃんの染色体を調べるNIPTをご検討の方は、検査の内容と結果の意味を臨床遺伝専門医が説明したうえで実施しています。

参考文献

  • [1] ACOG Practice Bulletin No. 189: Nausea And Vomiting Of Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(1):e15-e30. [PubMed 29266076]
  • [2] ツムラ小半夏加茯苓湯エキス顆粒(医療用)添付文書情報. KEGG MEDICUS. [KEGG]
  • [3] プリンペラン錠5(メトクロプラミド)添付文書・医療用医薬品情報. 医薬品医療機器総合機構(PMDA). [PMDA]
  • [4] The safety of metoclopramide use in the first trimester of pregnancy. N Engl J Med. 2009;360(24):2528-2535. [PubMed 19516033]
  • [5] Metoclopramide in pregnancy and risk of major congenital malformations and fetal death. JAMA. 2013;310(15):1601-1611. [PubMed 24129464]
  • [6] Use of metoclopramide in the first trimester and risk of major congenital malformations: A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2021. [PLoS One]
  • [7] Interventions for nausea and vomiting in early pregnancy. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(9):CD007575. [PMC7196889]
  • [8] 厚生労働省. 使用上の注意の改訂について(ドンペリドン). 2025年5月. [PMDA]
  • [9] Pregnancy outcome after first trimester exposure to domperidone—An observational cohort study. J Obstet Gynaecol Res. 2021. [DOI 10.1111/jog.14709]
  • [10] 厚生労働省. 「使用上の注意」の改訂について(ドンペリドン、メトクロプラミドほか). 2026年8月25日. [PMDA]
  • [11] Effectiveness of delayed-release doxylamine and pyridoxine for nausea and vomiting of pregnancy: a randomized placebo controlled trial. Am J Obstet Gynecol. 2010;203(6):571.e1-7. [PubMed 20843504]
  • [12] Effectiveness of doxylamine-pyridoxine for morning sickness. Am J Obstet Gynecol. 2016. [PubMed 26844757]
  • [13] 持田製薬株式会社・Duchesnay Inc. 妊娠時の悪心・嘔吐治療剤「Bonjesta」の日本国内における開発および販売に関する契約締結のお知らせ. 2025年12月15日. [持田製薬・Duchesnay]
  • [14] 「つわり治療薬」ようやく日本へ 米国承認から10年、持田製薬が治験. 日本経済新聞. 2026年. [日本経済新聞]
  • [15] 厚生労働省. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ. [厚生労働省]
  • [16] When time is brain: a systematic review about Wernicke encephalopathy as a dramatic consequence of thiamin deficiency in hyperemesis gravidarum. J Matern Fetal Neonatal Med. 2023. [DOI 10.1080/14767058.2023.2223678]
  • [17] A randomized controlled trial of ginger to treat nausea and vomiting in pregnancy. Obstet Gynecol. 2004;103(4):639-645. [PubMed 15051552]
  • [18] About Birth Defects. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). [CDC]
  • [19] Thalidomide-induced teratogenesis: History and mechanisms. Birth Defects Res C Embryo Today. 2015;105(2):140-156. [DOI 10.1002/bdrc.21096]
  • [20] FDA approval of doxylamine-pyridoxine therapy for use in pregnancy. N Engl J Med. 2014;370(12):1081-1083. [PubMed 24645939]
  • [21] Bendectin and birth defects: I. A meta-analysis of the epidemiologic studies. Teratology. 1994;50(1):27-37. [PubMed 7974252]
  • [22] GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625:760-767. [DOI 10.1038/s41586-023-06921-9]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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