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お腹の中の赤ちゃんの存在をしっかりと感じられる胎動。
胎動の感じ方は妊娠時期によっても変わります。まだ赤ちゃんの力が弱い妊娠初期は小さな魚にお腹をつつかれるような感覚ですが、妊娠中期になって赤ちゃんが成長して筋肉がついてくると力強い胎動を感じやすくなります。
よく「臨月に入り、お産が近くなると胎動が減ってくる」といわれることがありますが、実際にはお産が近づいても胎動はほとんど減りません。
赤ちゃんが元気である限り、胎動がなくなることはないため、胎動に変化を感じたときにはすぐにかかりつけの病院に連絡したり、受診したりする必要があります。
この記事では、破水や胎動について詳しく解説します。
破水しても胎動はなくならない
胎動とは、ママのお腹の中で赤ちゃんが動くことを指します。
インターネットで検索して「出産が近くなると胎動が少なくなる」という情報を見かけたことがあるかもしれませんが、お腹の中の赤ちゃんが元気でいる限り、胎動がなくなることはありません。
出産が近くなると赤ちゃんの頭が下に降りてきて骨盤内に入り、頭が固定されるためこれまでに比べると胎動が少なく感じるかもしれませんが、胎動が小さくなっても減ることはありません。
胎動の感じ方や胎動そのものには個人差があるため、判断が難しいのです。「胎動があるから破水ではない」「破水したら胎動がなくなる」などインターネット上の口コミや俗説で判断せず、何か異変を感じたら必ずかかりつけのクリニックにすぐ連絡することが大切です。
胎動が少なくなったと感じたら?
ではもし、「胎動が少なくなった」と感じた場合、どんな理由が考えられるでしょうか。
高位破水の可能性がある
「高位破水」とは、卵膜が子宮口から離れた場所で破れることで、チョロチョロと少量の羊水が流出することを指します。
子宮口からの破水が起こる「完全破水」の場合、大量の羊水が一気に流れ出るため破水だと気づきやすいですが、高位破水の場合は尿漏れやおりものと判断できない場合があります。
高位破水が起こった直後は、赤ちゃんへの影響が少ないため胎動を感じられますが、放置すると感染症を引き起こしてしまうかもしれません。
羊水の量が減少すると、お腹の中で赤ちゃんが上手く動けなくなって胎動が少なくなることがあります。臍帯圧迫(へその緒が子宮の中で圧迫されること)によって胎児機能不全が起こる危険もあるため、「破水かもしれない」と思ったら自己判断せず、すぐにかかりつけの病院に相談しましょう。
赤ちゃんの元気がなくなっている可能性がある
「胎動が減った」と感じるのが「ママが胎動の動きを感じにくくなった」という理由であれば問題はありませんが、「お腹の中で赤ちゃんの元気がなくなっている」ことが原因で、実際に胎動が減っている可能性もあります。
赤ちゃんは30〜60分くらいの周期で寝たり起きたりする睡眠サイクルを繰り返しています。そのため、胎動を感じるときと感じないときがありますが、1時間以上胎動を感じない場合は、速やかにかかりつけの病院に連絡しましょう。
胎動が少なくなった場合、赤ちゃんがお腹の中で苦しがっているかもしれません。たとえば、考えられるのは以下のような異常事態です。
- 胎児機能不全(胎児仮死状態)……へその緒が首に巻き付いたり、何らかの原因で胎盤が正常に働かなくなったことで赤ちゃんに十分に酸素が送れなくなった状態
- 常位胎盤早期剥離……赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれてしまうことで、母児ともに非常に危険な状態
常位胎盤早期剥離は出血があるケースと全く出血しないケースがあり、通常は激痛を伴うものの、痛みが軽いこともあります。その他、お腹がカチカチに硬い、胎動が少ないなどの症状が見られます。
赤ちゃんに異常が起きている場合でも、素早く対処すれば緊急帝王切開により赤ちゃんの命を助けられるかもしれません。
「臨月になると胎動がなくなる」「胎動があるから破水ではない」と思い込んでいると、赤ちゃんからのSOSや、高位破水による細菌感染のリスクを見逃してしまうことになりかねません。
胎動に異常を感じたときや、破水かもしれないと思ったときは、ただちにかかりつけの病院に連絡しましょう。
胎動が激しい、痛いときは破水する可能性がある?
ママが胎動を感じられるようになる時期は早い人で妊娠4ヶ月頃から、遅い人の場合でも妊娠7ヶ月頃までには胎動を感じられる人が多いようです。
胎動の感じ方は人それぞれですが、妊娠の時期によって胎動の感じ方は変化します。
もっとも活発に動くのが、子宮が大きくなり羊水量も増える妊娠中期です。この頃は、赤ちゃんが力強い、ダイナミックな動きをすることもあります。妊娠後期になると、お腹の中で動けるスペースが少なくなっていくものの、赤ちゃんの力はかなり強くなり、ときには痛みを感じることも。
「赤ちゃんに押されてお腹が破れてしまいそう」「胎動にびっくりして夜中に目が覚めた」というママもいるそうです。
しかし、妊娠後期に激しい胎動があった場合でも、破水したり、切迫早産を引き起こしたりすることはまずありません。
しかし、胎動ではなくお腹の張りからくる痛みだった場合、子宮収縮が起こっているかもしれません。子宮収縮は陣痛や破水につながるため、きゅーっと締め付けられるような痛みが続いて治まらない、痛みがどんどん強くなる場合は、かかりつけの病院を受診すると安心です。
激しい胎動がある!破水と尿漏れの違いや見分け方は?
「破水」とは赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が流れ出てしまう状態です。破水は一般的に、陣痛が来てから子宮口が全開になった状態で起こる「適時破水」が多いものの、陣痛が始まる前に破水する「前期破水」が起こることもあります。
破水は、起きたからといってすぐに自分で「これは破水だ」とはっきりわからないこともあります。破水なのか、おりものなのか、尿漏れなのか、判断に迷ってしまう方も少なくないようです。
ここからは、破水と尿漏れの違いや見分け方をご紹介します。
破水の場合
個人差がありますが、破水の場合は「少しの量で破水なのかわからない」というパターンと、「下着やボトムスまでびっしょり濡れてしまうほど一度に羊水が流れ出す」というパターンがあります。
びっしょり濡れるほど水が一気に出た場合は破水とすぐわかるものの、判断が難しいのが、チョロチョロ出るというときです。
「尿漏れかもしれないから恥ずかしい」と思うかもしれませんが、もしも破水だった場合は子宮内に細菌感染を起こすリスクがあります。そのため「水のようなものがチョロチョロ出て、破水か尿漏れかわからない」というときは、すぐにかかりつけのクリニックに相談をしてください。
また、破水かもしれないと思ったときは、細菌感染を防ぐためにも、シャワーやお風呂は控え、温水洗浄便座は使わないようにする必要があります。夜用ナプキンや清潔なタオルを当てて、病院を受診しましょう。
尿漏れの場合
臨月に入ると、赤ちゃんが少しずつ下に下がってくるため、膀胱が圧迫されてトイレが近くなります。そのため、破水なのか尿漏れなのかの判断が難しくなってしまうことも。
尿漏れと破水の違いとしては、「意識的に我慢できる」という点です。
妊婦さんの場合、尿漏れが起こるのは「立ち上がったとき」「くしゃみをしたとき」「激しい胎動があったとき」などが多く、逆に、安静にしているときや横になっているときに尿漏れが起こることはあまりありません。
また、破水の場合は、安静にしていても流れ出てきます。排尿のように自分で意識しても止められない場合は、破水の可能性が高いでしょう。
さらに、尿と羊水では、ニオイにも違いがあります。尿の場合はアンモニア臭(おしっこのニオイ)がしますが、破水をしたときに出る羊水は通常、透明かもしくは薄い黄色をしており、無臭です。
羊水のニオイには個人差があり、無臭の人もいれば少し生臭いと感じることもありますが、尿のようなアンモニア臭はありません。
まとめ
赤ちゃんの胎動が激しいと「もしかしたら破水してしまうのではないか」と心配になってしまうことがあるかもしれませんが、激しい胎動は赤ちゃんが元気なサインです。
逆に、「胎動が減った」「胎動がなくなった」と感じる場合や、胎動にこれまでとは異なる変化を感じた場合は注意が必要です。
胎動の変化は赤ちゃんに異変が起きているサインの可能性もあります。また、破水したまま放置してしまうと、赤ちゃんが細菌感染を起こすリスクが高まるため、早めの対処が必要です。
「破水したかもしれない」という場合や「胎動が減った、胎動が感じられない」という場合はすぐにかかりつけの病院に連絡し、医師の指示を仰いでください。