目次
妊娠して早ければ4ヶ月頃から、赤ちゃんがお腹の中で動いているのを感じられるようになり、これを胎動と呼びます。胎動は赤ちゃんが元気に動いている証拠です。
いつから胎動が起こるのか、胎動が起こっていないから心配になってしまう方もいるかもしれません。
本記事では、いつから胎動を頻繁に感じるか、頻度や強さはどれくらいなのか解説します。
胎動はどんなふうに感じる?
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で守られながら育っていきます。妊娠経過とともに赤ちゃんが成長し筋肉が発達してくると、お腹の中で赤ちゃんが動くようになります。これが胎動です。妊娠初期は赤ちゃんの様子がわからず不安になることもありますが、赤ちゃんが成長してくると、徐々に胎動がわかるようになります。
胎動の感じ方や、胎動がわかる時期は個人差があります。赤ちゃんはお腹の中で徐々に成長するため、初めはぽこぽこと動く感じ、腸の動きのように感じることがありますが、成長するにつれて、感じ方も変化する場合が多いです。
他にも、ニョロニョロと動くような感じやゴロゴロするように感じる人がいますが、妊娠週数が進むにつれて、感じ方が変化します。妊娠後期になると、お腹を内側から押される感じ、キックされる感じなど、赤ちゃんの動きを感じるようになる人が多いでしょう。
時期別の胎動を解説
ここからは、妊娠時期別に胎動を解説します。胎動の一例をご紹介しますが、個人差がありますので、参考程度にしてくださいね。
妊娠初期(~4ヶ月)の胎動
胎動がわかるようになる時期は人により個人差がありますが、早くて妊娠4ヶ月ごろからです。初産婦さんよりも経産婦さんの方が胎動を早く感じる傾向にあります。
妊娠初期(〜4ヶ月)ごろに胎動を感じる人は少ないため、この時期に胎動がなくても心配する必要はありません。また、胎動かも?と思っても、その後しばらく胎動を感じないことがあります。
妊娠初期は赤ちゃんも小さく、胎動がわかりづらいことがあります。また、一度胎動を感じてもその後胎動を感じない場合もありますが、心配しすぎなくていいでしょう。
妊娠中期(5~7ヵ月)の胎動
妊娠中期、おおよそ妊娠20週頃から胎動を感じる方が多いようです。妊娠5ヶ月程度のころには、赤ちゃんの耳や手足に加えて、全身の骨や筋肉が発達しています。
この時期には子宮が徐々に大きく広くなっているため、羊水の量が増えることでより赤ちゃんが活発に動くようになります。ぽこぽこと動く感じであったり、ウニョウニョと動いたりなど、感じ方は人によってさまざまです。また、ピクピクと定期的に感じる動きは赤ちゃんのしゃっくりですので、心配しなくてもいいでしょう。
胎動を感じないと心配になるかもしれませんが、仕事中で動いているときなどは胎動を感じにくく、リラックスしている時に感じやすい傾向にあります。
妊婦健診で特に指摘されていなければ問題ありませんが、妊娠中期にまだ胎動がわからないという方は医師に相談してみましょう。
妊娠後期(8~9ヶ月)の胎動
妊娠後期になると、赤ちゃんも大きく成長しており、筋肉も発達しているため、動きが力強くなります。そのため、妊娠後期に入ると胎動はときにお母さんにとって痛みを感じるほどの強さになるかもしれません。
夜に胎動で目が覚めてしまう、胎動がすごくてびっくりするといった人もいます。妊娠後期、特に出産が近づくと赤ちゃんも出産に向けて準備を始め、徐々に頭が骨盤の中に入るため、胎動の感じ方が変化することがあります。
胎動が減ったように感じる人もいますが、大きな胎動はなくなることはあっても、胎動が全くなくなることはありません。そのため、胎動を全く感じない場合は病院に連絡し、受診しましょう。
胎動の頻度や強さ
赤ちゃんの胎動の頻度についてですが、10回胎動を感じるまでの時間を測定する「10回胎動カウント法」を用いて測定をすると、15分〜30分で10回程度の胎動を感じることが多いです。赤ちゃんによって個人差はありますが、これくらいの頻度で胎動が起こると考えておいてください。
そして胎動の強さについてですが、これも赤ちゃんによってかなり違いがあります。また、母親の体質によっても胎動の感じ方は変わってくるので、赤ちゃんがゆるやかに動いているだけでも激しい胎動を感じることもありますし、激しく動いていてもあまり感じないケースもあります。
赤ちゃんの胎動の強さについては、きちんと病院で検査をしているのであればそれほど気にする必要はないでしょう。
胎動カウントの方法
胎動カウントは、赤ちゃんがしっかり動いているかを確認する方法です。妊娠20週頃の胎動が感じられる時期になったら始めましょう。胎動は赤ちゃんからお母さんへ「元気だよ!」と伝えているサインなので、しっかり受け取ってあげたいものです。
普段から胎動カウントをすることで、赤ちゃんの異常の早期発見につながります。
今からご紹介する方法は10カウント法で、赤ちゃんが10回動くまでにかかった時間を確認する方法です。
・リラックスして過ごします。 ・胎動を感じたら1回目とカウントし、赤ちゃんが10回動くまでに何分かかるか確認します。 ・「ぽこぽこ」と連続して動いた場合は1回と数え、「ぽこ…ぽこ…」と間があく場合は2回とカウントします。 |
赤ちゃんの胎動が激しいときの対処法
赤ちゃんの胎動が激しい場合には、夜に眠れないことがあります。赤ちゃんの睡眠サイクルは20分おきとなっているので、夜に眠れない場合は抱き枕を使って横向きに寝てみたり、昼寝をして不足している睡眠時間を確保したりしてください。
また、胎動によって胃腸が刺激されて食欲が落ちてしまうことがあります。食欲がないのに無理に食べようとすると逆に胃腸に負担がかかってしまいます。無理に食べることはせずに、消化に良いものを少しずつ食べるようにしてください。
「頑張って食べないと赤ちゃんに栄養が届かないのでは」と不安になる方がいます。しかし、一時的に食べる量が減ったとしても胎盤から赤ちゃんに栄養は届くので問題ありません。あまりにも長期間食欲がわかない場合は、別の原因の可能性があるので病院に相談してください。
また、仕事中に胎動が起こる場合もあるでしょう。仕事に集中できないといったこともあるかもしれません。その場合は、お腹を優しく撫でたり赤ちゃんに話しかけたりしてみてください。
妊娠中期になると赤ちゃんの聴覚も発達し、母親の声をしっかりと聞くことができます。手の感触や優しい声で赤ちゃんが安心して落ち着くこともあるので、あまりにも激しいときは試してみてください。
そして赤ちゃんの胎動によって膀胱を蹴られて、尿漏れをしてしまうことがあります。妊娠をしてから尿漏れをするようになったという方は、尿漏れパッドを使用しつつ骨盤底筋を鍛えてみてください。
骨盤底筋を鍛えるのは尿漏れの予防につながるだけではなく、出産するときにイキみやすくもなります。膀胱付近に力を入れながら腹式呼吸を繰り返したり、カエルのポーズで雑巾掛けをしたりするだけで鍛えることができるので、試してみてください。赤ちゃんの胎動によってトラブルが生じることは少なくありません。対処法を理解しておき、トラブルが起こった際に焦らず対処できるようにしておきましょう。
胎動の種類
赤ちゃんの胎動の種類は、体の動かし方によって決まります。どんな胎動の種類があるのかについて理解をしておいてください。
手足を曲げ伸ばしする
赤ちゃんが腕や足を曲げたり伸ばしたりすると胎動を感じることがあります。
お腹を蹴ったと感じるのは、赤ちゃんが足を伸ばしたからかもしれません。
手のひらの開閉
手のひらの開閉でも胎動を感じます。手足の曲げ伸ばしと比べると加わる衝撃が弱いようにも思えますが、このような運動でも胎動はしっかりと感じられるのです。
妊娠後期に入って子宮が大きくなると、皮下脂肪が薄い方であればお腹の外から赤ちゃんの手足の形が感じられます。そう感じられるようになったら出産の瞬間は近いです。
体の回旋・回転
妊娠中期は子宮内のスペースにある程度の余裕があります。そのため、赤ちゃんは体を上下にぐるっと回転させたり向きを変えたりしています。
妊娠後期になると子宮のスペースが狭くなるので、回転するのが難しくなり動きも減っていくでしょう。しかし、赤ちゃんは動こうとはするので左右に回る回旋の動きが多くなるのです。
しゃっくり
妊娠20週目くらいから赤ちゃんはしゃっくりをするようになります。しゃっくりをすると赤ちゃんの横隔膜が動くので、それによる衝撃を胎動として感じることがあるのです。
胎動に関する注意
胎動に関する信憑性のない噂が気になり、心配する方もいらっしゃるでしょう。ここでは、胎動に関する注意点をいくつか紹介します。
赤ちゃんとしゃっくりの関係性
胎動には、赤ちゃんがしゃっくりしているような感覚を覚えるものもあります。こういった胎動は「しゃっくり様運動」といいます。赤ちゃんが一定時間で規則的な動きをすることで、しゃっくりのような胎動だと感じられるのです。
赤ちゃんがしゃっくり様運動をする理由は、今の段階で詳しく解明されていません。しゃっくり様運動が頻繁に見られることもあれば、ほとんどしないケースも存在します。
インターネット上などで調べてみると、なかには赤ちゃんが頻繁にしゃっくりをするとダウン症の可能性があるといった情報を掲載しているサイトが見かけられます。しゃっくり様運動とダウン症を結びつける根拠はありませんので、騙されないようにしましょう。
胎動とダウン症について
ダウン症を抱える赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんと比べて胎動が少ない傾向にあるとされています。ですが、胎動が激しくないタイプの赤ちゃんで、ダウン症でない場合もあります。胎動だけでダウン症かもしれないと判断するのは避けたほうがよいでしょう。
ダウン症の可能性を考えるのであれば、胎動ではなく、専門的な検査を受けるのがおすすめです。新型出生前診断(NIPT)を受けることで、産まれる前の赤ちゃんがダウン症を抱えているかどうか検査できます。
新型出生前診断とは、お母さんの血液を分析することでお腹の中の赤ちゃんの染色体に異常が見られないか調べる検査です。染色体に異常が見られると、ダウン症やエドワーズ症候群を発症するとされています。ただし、新型出生前診断は高い精度で検査ができる一方で、ダウン症やエドワーズ症候群を確定させるものではありません。
赤ちゃんが逆子の場合の胎動について
お母さんのお腹の中で頭を下にしているのが、赤ちゃんの正常な位置です。もし、頭が上にある逆子の状態だと、出産の際にリスクがともなう恐れがあります。胎動は赤ちゃんの動きによるもので、逆子の場合はその感じ方も異なってきます。正常な位置に赤ちゃんがいると、頭が下で足が上となっているので、お腹の上の方で胎動が感じられます。
逆に逆子だとお腹の下の方で胎動を感じます。妊娠してから30週目を迎える頃までは、子宮内に赤ちゃんが動ける余裕があります。そのため、この時期に逆子と思わせるような胎動を感じても不安を覚える必要はないでしょう。お腹の中で一時的に逆子となっていても、出産が近づくことで自然と頭が下にくる正常な体勢になる場合が多いためです。
受診の目安
母親の状態によっては赤ちゃんの胎動があまり感じられない人もいると説明しました。病院できちんと検査をして、胎動ははっきり感じられないものの、赤ちゃんが健康に成長しているのであれば、大きな問題はありません。
しかし、突然胎動を感じなくなった場合は赤ちゃんに何らかの異常が起こっている可能性があるため、注意が必要です。胎動が感じられなくなってから病院に相談するまでの時間は、早いほうが良いでしょう。「半日胎動がなかったら病院に行ったほうがいい」などの噂もあるようですが、不安なときはかかりつけの産婦人科で早めに相談することをおすすめします。
臨月に入ると胎動が減るともいわれています。しかし、赤ちゃんが骨盤にはまると胎動は減少しますが、動かなくなるわけではありません。あまりにも胎動が少ない場合は、何か異常が起こっている可能性があるので注意してください。
赤ちゃんが眠っているから胎動を感じられなかったと考える方もいます。しかし、赤ちゃんの睡眠サイクルは20分程度となっています。1時間以上胎動が起こらない場合は、念のため病院を受診するようにしてください。
もちろん、赤ちゃんは健康で何も問題ないケースも少なくありません。自己判断するのではなく、かかりつけの産婦人科で相談して確認することが大切です。
まとめ
胎動を感じる時期はお母さんの体型や初産婦か経産婦かなど、個人差があります。胎動は赤ちゃんからお母さんへ、元気だよと伝えているサインです。胎動を感じるようになったら、胎動カウントをして、赤ちゃんからのサインを受け取りましょう。
まだ胎動を感じないと不安になる人もいるかもしれませんが、個人差がありますので、「のんびりさんなのかな?」と気長に待ってみましょう。心配しすぎず、リラックスして過ごしてくださいね。
この記事の著者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。
関連記事:
●NIPTトップページ
●第三世代スーパーNIPT:組織によりDNAメチル化パターンが違うことを利用して正確性を高める世界特許|基本検査/4種類の微小欠失症候群/100種遺伝子の重い劣性遺伝病
●第2世代マルチNIPTカリオセブン:すべての染色体のあらゆる部位を700万塩基のサイズで欠失・重複をチェック/9種類の微小欠失
●第2世代マルチNIPTデノボ:精子の突然変異による重篤な遺伝病44疾患|合計リスクは1/600とダウン症同等に多く、妊娠後期にならないと判らない、ダウン症よりはるかに重篤
●ペアレントコンプリート|母方由来の染色体異数性と父方由来のデノボをセットにしたペアレントの検査
●コンプリートNIPT|第2世代マルチNIPTと第3世代スーパーNIPTジーンプラスをセットにした検査|デノボをセットにしたデノボプラスもございます