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妊娠初期に「寒気」が起きる理由|手足の冷えは流産の原因になるの?

妊娠初期は身体にさまざまなことが起きるので初産の妊婦さんは戸惑うことが多いでしょう。背中がゾクッとしたり、ブルッと震えたりといった「さむけ」も変化の一つです。この「さむけ」は一体どんな原因で起きるのか気になる人もいるでしょう。今回の記事では、妊娠初期に起きる「さむけ」について詳しく解説をします。

妊娠初期に寒気が起きる理由

日常生活や健康問題のコンセプト:アジアの若い女性は風邪を引き、鼻を走らせたり熱を出したりして、自宅で休んで仕事を休まなければなりません。

妊娠初期はホルモンバランスの変化で色々な症状が起きるのがおわかりいただけたかと思います。その中の一つである「さむけ」もホルモンバランスが変わったことで起きる症状です。妊娠初期に多く分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は妊娠特有のほてりと体温調節中枢に働きかけて、体温を上げる働きがあります。しかし体温が上昇することで寒さに敏感になり「さむけ」を感じる妊婦さんも出てきます。

他にも分泌量の大きな変化によって、自律神経のバランスの乱れを起きてしまい、症状のひとつとして寒気につながっていると考えられます。

妊娠初期の寒気はいつまで続く?

さむけは妊娠初期の4週目から12週目(2ヵ月から3ヵ月)に起きます。妊娠を維持するために黄体ホルモンが大量に分泌される時期です。基礎体温が上昇もするので外気温との温度差が開いてしまい季節によっては余計にさむけを感じることも珍しくありません。中には妊娠13週目以降もさむけが取れない妊婦さんもいます。

ただ、妊娠中期となる15週目に入ると赤ちゃんを育てる環境ができあがるのでホルモン分泌が収まり、基礎体温も下がってくるので「さむけ」もなくなっていきます。

妊娠初期の身体の変化

妊娠の初期症状が出るのは個人差がありますが、早い人で3週目から変化が現われてきます。なぜなら最後の生理からおおよそ3週目に着床を終えて妊娠が確定するからです。妊娠が成立すると母体が赤ちゃんを産む準備をするために身体が変化していきます。その過程において、つわりやだるさ、便秘、頻尿などの症状が出る人もいて、体調が不安定になるのです。手足が冷えるさむけも妊娠初期症状の一つです。他にも多くの症状が起きますので無理をせずしないでください。

  • ・着床出血
  • ・胸の張り・痛み
  • ・おなかの張り、下腹部痛
  • ・腰痛、腹痛
  • ・肌トラブル(ニキビ、吹き出物、かさつき、かゆみ)
  • ・においに対する反応の変化
  • ・唾液や鼻水の量が増える
  • ・おりものの変化(乳白色や薄い茶色で、量が増える、状態が水っぽい、においがしないか少ない)
  • ・眠気が強くなる
  • ・胃のむかつき
  • ・基礎体温の上昇
  • ・食べ物の好みの変化
  • ・息切れ

これらの症状は生理前の症状とも似ている点が数多くあります。そのため妊娠しているのに気づかずに過ごすかもしれませんのでご注意ください。

身体を温める方法

寒い時に抱きしめる

もし妊娠初期に身体が「さむけ」が起きて身体が冷えたらすぐに暖めてください。特に妊娠初期は血行が悪くなり、普段冷え性でない方でも身体が冷えやすくなるので意識して身体を暖めるようにしましょう。

先輩ママが実行した方法は、ストレッチで身体を動かしたり、温かい飲み物を飲んだりすることです。身体を動かすのはお腹が張っていると難しいかもしれませんので無理せずにできるときだけにしてください。飲み物は体の中から暖める白湯、生姜湯、ゆず茶などカフェインレスのものがおすすめです。

また、半身浴や足湯なんかも身体を暖める方法の一つです。他にも首・手首・足首の「三首」を暖めてみるのもおすすめです。くるぶしまで長くて生地が分厚い靴下をはいたり、首にタオルを巻いたりして暖めるだけでも変わってきますので試してみてください。

妊娠初期はいつからいつまで?

医学的には妊娠0週目から15週目を妊娠初期と呼びます。中には妊娠0週目から3週目までを妊娠超初期といって分けている場合がありますが、それはこの時期が最後の生理から着床するまでの期間になる女性が多いからです。

妊娠週数の数え方は最後の生理の初日を妊娠0週0日として数えます。7日目に妊娠1週目となり、妊娠14日目に2週目となります。妊娠4週の開始日(妊娠4週0日)が28日目で、妊娠4週目は妊娠2ヶ月目にあたります。このように数えていき、妊娠40週目が280日目にあたり、この日が分娩予定日となります。 出産予定日が妊娠280日目になったのはWHOによる統計で「280±15日」だとわかったからです。統計の結果をもとに「1週を7日とし、妊娠持続を40週とする」「妊娠歴の1ヶ月を28日とし、妊娠持続を10ヶ月とする」「正常な妊娠持続日数を280日とする」などを定めています。

妊娠初期の症状で広く知られている「つわり」が起きるのは、妊娠5~6週目くらいから始まり、8~11週目に症状が重くなっていくのが一般的と言われています。ちなみに先輩ママの経験談によりますと「気持ち悪い… から妊娠検査をしました」「風邪かなと思うくらいせき込んで、そのあとに吐き気がするので、もしやと検査すると妊娠5週くらいでした」とつわりで妊娠に気づくことが多いようです。症状が重たくなると「8週目になった途端に食べても食べなくても気持ち悪い」「吐き気がひどくなり、何を食べても飲んでも吐いてしまう日々」なんて経験をした先輩ママもいます。

妊娠初期はホルモンバランスが変化する

先述したように妊娠すると身体が赤ちゃんを生むために変化をしていきます。その中の一つがホルモンバランスの変化です。 受精卵が着床をすると胎盤になる部分からhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されます。これは大切なホルモンの一つです。このホルモンが分泌されると母体が赤ちゃんを育てやすいように変化をしていきます

妊娠初期に分泌されるホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)があります。このホルモンは、卵胞を成熟させる働きがあり、体温の上昇、栄養や水分を体に蓄えるなど、妊娠に適した体を作ります。そして排卵が終わった頃に排出されるのが黄体ホルモン(プロゲステロン)です。受精卵の着床のために子宮内膜を整え、基礎体温を上げる働きがあり、妊娠後は胎児と母体を守るために活躍します。 女性の体内に分泌されるホルモンは下の表にまとめていますのでご確認ください。

ホルモン 活発な時期 働き 関係する兆候
黄体形成ホルモン 排卵期 エストロゲンの調整 特になし
卵胞刺激ホルモン 排卵期 排卵を刺激 特になし
hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) 妊娠初期 エストロゲンとプロゲステロンの生成を刺激 妊娠特有のほてり
卵胞ホルモン 成人期全般(妊娠初期に増加) 胎盤の発達を助ける つわり・気分の浮き沈み
黄体ホルモン 成人期全般(妊娠初期に増加) 子宮内膜の形成を助ける・おっぱいと骨盤付近への血液供給を増やす 疲労感・消化不良・妊娠特有のほてり・気分の浮き沈み
リラキシン 妊娠後期 分娩に備えて靭帯を緩める 関節や靭帯を緩める・骨盤付近の痛み・陣痛時の子宮頸管拡張
オキシトシン 妊娠後期・出産後 授乳時の母乳分泌を助ける・陣痛促進薬として誘発分娩 に利用される 陣痛後の幸福感
プロラクチン 妊娠後期・出産後 母乳の分泌を促す 乳腺の発達・陣痛後の幸福感

妊娠初期にホルモンが分泌されるとホルモンバランスが急激に変化し、精神的に不安定な状態になります。感情のコントロールがしにくくなったり、妊娠前は気にならなかったささいなことでイライラしたり、気分が落ち込みやすくなる人もいるほどです。中には夫婦喧嘩が絶えず起きるようになります。そうならないために女性の方から「ホルモンの影響で、こんなふうになりやすいの」「『なんで○○しないの?』といういい方をやめて、今はただ見守っていてほしい」と説明するようにしてください。

妊娠初期の寒気は流産と関係ある?

「妊娠初期のさむけは流産と関係している」という情報を耳にしたことがある方もいるかもしれません。インターネット上にもいくつか妊娠初期に「さむけ」が起きたことで流産したという体験談があるのを見かけます。実際にあったことだと不安になる妊婦さんもいるでしょう。

しかしながら「さむけ」と流産の関係性に医学的な根拠はまったくありません。寒気と流産の関連性は低いとされています。ただし、身体の冷えは妊娠に大きく関係しており、妊娠中の大きなトラブルにもつながりかねません。特に妊娠初期は自律神経の乱れやホルモンバランスが崩れることで体温調節が上手にできなくなったり、姿勢の変化によって血行が悪くなったりします。こちらは早めに対策をするようにしましょう。

まとめ

将来を考え、ソファーに座って自宅のノートパソコンでオンラインで働くことを混乱させる若いアジア人女性

妊娠初期に起きる「さむけ」についてここまで詳しい解説をしてきました。妊娠初期は母体が赤ちゃんを育てる環境作りをするために体内で色々なことが起きます。「さむけ」もその一つであり、赤ちゃんを無事に出産するために起きる症状です。もし妊娠初期に「さむけ」が起きたとしてもすぐに流産につながるようなことはありますので心配は不要です。ただし寒気以外に、出血や腹痛といった気になる体調の変化があった場合は、早めに産婦人科へ相談してください。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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