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破水したら羊水に血が混ざっていたら危険?羊水の色からわかるリスクを解説

妊娠中、お腹の中の赤ちゃんを包み込んでいる羊水は、外からの衝撃などを緩和するだけではなく、赤ちゃんの肺や全身の成長を促す役割があります。

羊水は破水するまで実際に見て確認することはできませんが、破水した時に流れでた羊水がどのような色かによって、お腹の中の状態を知ることができます。

羊水の色は、赤ちゃんやお母さんに影響があるかもしれない異常を教えてくれるサインとなるので、破水が起こる前に羊水の色を把握しておくことはとても大切です。

この記事では、破水した時の羊水の色からわかるリスクや、羊水の役割や量など、羊水について詳しく解説していきます。

赤ちゃんにとって羊水は大切な存在

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羊水とは、赤ちゃんの周りを包んでいる羊膜の中を満たす液体のことで、お腹の中で成長する赤ちゃんにとって必要な栄養素などを含んでいます。

羊水は、赤ちゃんの皮膚から染み出している血漿成分からでき始め、週数が経過し妊娠中期を迎えると羊水を赤ちゃんが飲むようになり、飲んだ羊水が尿となって排出されたものがまた羊水となり徐々に量を増やしていきます。

妊娠32週ごろには羊水量がピークに達し、最大で800mlほどまで量を増やしますが、出産予定日が近くなるころには500mlほどまで減少します。

羊水には赤ちゃんにとって、具体的にどのような役割があるのでしょうか。

羊水は赤ちゃんを包むクッション

まず1つ目は、羊水は赤ちゃんを包み込むクッションのような役割をしています。

妊娠中、お母さんが転んでしまったりお腹をぶつけてしまったりした時に、赤ちゃんがダメージを受けないように羊水がクッションとなり、衝撃から赤ちゃんを守っています。

また、赤ちゃんの成長が進むに連れてお腹の中では赤ちゃんが活発に動くようになりますが、羊水があることで赤ちゃんの胎動がお母さんに直接的に伝わらないようにしています。

そして、羊水があることで赤ちゃんが手足を曲げ伸ばしできる運動スペースがうまれ、骨格や筋肉が成長します。

羊水を飲んで呼吸の練習をしている

妊娠10週ころから赤ちゃんは羊水を飲み始め、飲み込んだ羊水を肺まで取り込ませることで生まれた後すぐに呼吸ができるように、お腹の中にいる間に羊水を使って練習をしています。

これを、「胎児循環」と言います。

飲み込んだ羊水は、肺などの器官で吸収されたあと血液に取り込まれ、再び腎臓で吸収され尿となり、再度、排出されることで羊水となります。

羊水はこの胎児循環を繰り返すことで増え続け、なおかつ、胎児の内臓などの成長を促していくのです。

抗菌作用や温度調節の役割

羊水自体に抗菌作用があり、感染症などの菌から赤ちゃんが感染しないように守る役割もあります。

また、通常、羊水は37度くらいの温かさですが、お母さんの体温が上昇してもすぐに羊水が熱くなることはありません。

羊水があるおかげで外気温が暑かったり寒かったりしても、赤ちゃんは一定の温度を保っている羊水に包まれているため、気温に左右されずに過ごすことができます。

出産の時にも大活躍

羊水は出産が近づくと、羊膜に包まれている羊水が子宮口を押し上げることで陣痛から胎児を守ります。

それだけではなく、破水すると流れ出した羊水が産道を洗い流し、赤ちゃんが通りやすいようになめらかにします。

羊水は、妊娠しお腹の中で成長する時から外の世界に出るまで、赤ちゃんやお母さんにとって重要な役割を担っているのです。

破水した時の羊水の色をチェックしよう!

破水した!と思ったら、羊水の色をチェックし確かめることで、現在のお腹の中の状態が赤ちゃんやお母さんのリスクにも繋がる可能性があるか見極めることができます。

破水の色は、下記の4種類に分けることができます。

透明または乳白色

透明または乳白色が、通常の羊水の色です。

妊娠初期は羊水の色が透明ですが、妊娠後期になると赤ちゃんの皮膚などが剥がれることで乳白色に見えることがあります。

また、透明や乳白色以外によく見られるのが薄い黄色ですが、黄色であった場合は通常の色と同じ扱いになります。

淡いピンク

羊水が淡いピンク色をしている場合は、少量の血が混ざっていることが考えられます。

「おしるし」といって、出産が近づくと子宮口が開き始めた影響で、赤ちゃんを包んでいる卵膜が子宮から剥がれ落ち始める際に出血します。

このおしるしが破水した時に羊水に混ざり、淡いピンク色をした状態になります。

そのため、淡いピンク色をした羊水は、出産がもうすぐ近づいているサインでもあります。

赤もしくは赤黒い

赤やより黒く濁っているような赤である場合は、血液が混ざっているため何らかの異常が起きています。

もし、分娩が進む過程で産道に傷がつき出血している場合はあまり心配はありませんが、それ以外の場合は常位胎盤早期剥離や子宮破裂などが原因であることが考えられます。

常位胎盤早期剥離とは、通常胎盤は、赤ちゃんを出産後に剥がれ落ちますが、出産前に胎盤が先に剥がれてしまうことで、赤ちゃんに酸素などが行き渡らなくなったり大量の出血が起こりお母さんがショック状態になったりと、母子ともに危険な状態になる疾患です。

もしも、破水した時に流れ出てきた羊水が赤や赤黒い色をしていた場合は、緊急で対応をしないと行けない可能性があるので、すぐにかかりつけ医の指示を仰ぎましょう。

緑色

緑色の場合は、「羊水混濁」を起こしている可能性が考えられます。

羊水混濁とは、羊水の中に赤ちゃんの便が混ざることで濁ってしまう状態です。

赤ちゃんは通常、お腹にいる間は排便をせず出産してから24時間以内に初めて便を出しますが、赤ちゃんの状態によってはお腹の中で排便をしてしまい、羊水が緑色に濁ってしまいます。

羊水混濁の原因としては、妊娠期間が長くなり赤ちゃんの腸などが成熟してしまうことや、胎盤や臍帯の異常で酸素が十分に赤ちゃんへ届かず低酸素状態になると、赤ちゃんの内臓が活発に動き始めてしまうことが挙げられます。

羊水混濁は破水をして羊水を確認した時に発見されますが、万が一、羊水混濁であっても赤ちゃんの状態に問題がなければ特に出産や赤ちゃんへの影響はありません。

しかし、低酸素状態の赤ちゃんは呼吸をしようと普段以上に羊水を飲み込むので、便を含んだ羊水を大量に飲み込んでしまうと、気管などに詰まってしまう場合があります。

気管に詰まってしまうと、出産後に上手く呼吸ができず呼吸困難を起こすことで新生児仮死となったり、肺感染症や肺の障害が残ったりする可能性もあります。

「羊水過多」と「羊水過少」

オフィスで妊娠中の女性との検査中にデジタルタブレットで胎児の超音波スキャンを行う医師、顔のないトリミングされたビュー

ここまで、破水した時の羊水の色について解説しましたが、実は、妊婦さんによって羊水の量が異なります。

妊娠中に赤ちゃんを包み込む羊水のピーク時の量は約800mlですが、羊水の量が多すぎたり少なすぎるとそれぞれリスクを伴い、原因を解明しないといけません。

それでは最後に、「羊水過多」と「羊水過少」について解説していきましょう。

羊水過多

羊水過多とは羊水の量が800mlを超えてしまうことで、赤ちゃんの消化器官の問題や心奇形、脳神経系に異常がある場合などに起きます。

また、赤ちゃんだけではなく、お母さんが妊娠糖尿病である場合も羊水過多になりやすくなるため注意が必要です。

羊水過多のリスクとしては、羊水が多いためお腹が張りやすく切迫早産になるケースがあり、症状がひどくなると呼吸が苦しくなり動悸がしたり、足のむくみや嘔吐などが起こります。

羊水過多と診断された場合は、羊水を抜き取り量を減らす「羊水除去」や切迫早産を防ぐために子宮収縮抑制剤を点滴で投与するなど、安静に過ごすことが大切になります。

羊水過少

羊水過多とは反対に、羊水の量が100ml以下になってしまうことを羊水過少と言います。

羊水は、前項でも解説したとおり、赤ちゃんの成長にとってとても大切で、外部からの衝撃を和らげるクッションの役割も果たしています。

しかし、羊水が少なすぎると衝撃に備えられないだけではなく、赤ちゃんの肺や体全体の発育不全につながる可能性があるのです。

原因は、妊娠37週より前に起こる前期破水や、赤ちゃんの尿路や腎臓の異常、また子宮に十分に血液がまわっていないことなどが挙げられます。

特に、喫煙される方は子宮への血流が減ることがわかっているため、羊水過少が起こる危険性があります。

羊水過少と診断されたら、経過を観察しながら安静に過ごさなければならないため入院での治療になるか、羊水を注入することもあります。

まとめ

今回は、破水した時に確認できる羊水の色を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

羊水の色は、検診では確認することができないので、破水してみないと羊水の色から赤ちゃんやお腹の中の状況を把握することはできません。

しかし、破水した時の羊水の色を事前に把握しておくことで、出産前にお腹の中の異常に気づくことができます。

また、赤ちゃんにとって羊水は、赤ちゃんの身を守り体の成長を促す重要な役割を持っています。

羊水の量によっては、赤ちゃんが安心して成長できる環境を出産まで継続させるために、安静に過ごさなければいけない場合もあります。

羊水過多や羊水過少の方は、羊水の量による赤ちゃんへの影響などを考慮し、ご自身の状態にあった出産方法や治療を医師と相談しながら計画していきます。

普段よりもお腹の張りやむくみ、胎動が少なく感じるなど、少しでも気になることがあればかかりつけ医にすぐ相談し、確認してもらうことが大切です。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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