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排卵日とは?注意すべきおりものの変化や排卵日の予測方法を合わせて解説

排卵日におりものが変化した場合、「妊娠?」「病気?」と不安になりますよね。実際、妊娠でも婦人科の病気でもおりものの変化はみられます。

そこでこの記事では、排卵日のおりものの変化に注目しつつ、以下の内容について解説します。

  • ・排卵日とおりものの基礎知識
  • ・生理周期や年齢によるおりものの変化
  • ・注意すべきおりものの変化
  • ・正確な排卵日の予測方法

排卵日のおりものの変化から現在のあなたの状況を予測して、不安の解消にご活用していただけますと嬉しいです。

排卵日とは?

排卵日とは成熟した卵子が卵巣外に排出される日のことです。脳で分泌されるホルモンの指令により排卵が促される仕組みです。

そこでこの章では、排卵について以下の内容をお伝えします。

  • ・排卵の仕組み
  • ・排卵と基礎体温との関係性
  • ・排卵日の計算方法
  • ・排卵日の代表的な症状

あなた自身の排卵日とその特徴について把握するため、ぜひご活用ください。

 

排卵の仕組み

排卵とは卵巣から卵子が排出されることです。

卵子を包む卵胞が卵巣内で成熟して卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されると、脳下垂体から黄体化ホルモンが分泌され排卵が促されます。卵胞膜が破れると中の卵子が卵巣外に排出されることで排卵が成立します。

排卵された卵子は精子と出会い受精するために卵管に向かいます。受精しなかった場合は剥がれた子宮内膜とともに月経として体外に排出されます。

女性は初潮から閉経まで一生のうちで、正常に排卵が行われるのは数百回です。残りの卵子は排卵されずに消失します。そして45〜55歳ぐらいで排卵できる卵子の数に達して閉経を迎えます。

※参考資料:公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症

 

排卵と基礎体温との関係性

排卵が行われるためには女性ホルモンの分泌が不可欠です。そして、体温の変化と女性ホルモンは深く関係しており、基礎体温を観察すると排卵の有無が予測可能です。

排卵が行われると黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が盛んになります。黄体ホルモンは妊娠継続のため、高温期(基礎体温を上げた状態)を維持する働きがあります。つまり、高温期になったということは、排卵が完了したというサインなのです。

高温期になると基礎体温は0.3〜1℃上昇し、およそ2週間持続します。つまり妊娠が成立したなら高温期が続き、生理なら再び低温期(通常の体温)に戻ります。

基礎体温の基本グラフは、厚生労働省の以下の図をご覧ください。

生理周期リズム

厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温より画像引用)

基礎体温は低温期と高温期の二層性から構成されます。グラフからもわかる通り排卵日直後から黄体ホルモンの分泌量が上昇していることがわかります。

つまり、基礎体温を継続的に記録することで、排卵日やあなた自身の生理周期の把握ができるのです。

※参考資料
公益社団法人 日本産婦人科医会/排卵の予測
厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温

 

排卵日の計算方法

排卵日をご自分で計算するなら「オギノ式」が良いでしょう。

オギノ式とは産婦人科医師である荻野久作が、1924年に医学誌に発表して世界的に認められた排卵計算法のことです。生理周期日数(生理予定日)から14日間引いた日数を、生理初日に足すと次回排卵日が予測できるというものです。

言葉で説明すると分かりにくいので、実際に以下で計算してみましょう。

例えば、生理周期が30日の方の排卵日を求めるとします。

30日(生理周期日数)−14日=16日
今回の生理日が1月1日なら排卵日は、1月16日付近(ただし、前後14〜18日が排卵日も排卵日の可能性あり)

あくまで簡易的な計算なので、大体の排卵日の目安として考えましょう。また、より正確な排卵日を求めたい方は、本記事の「正確な排卵日を予測する4つの方法」で解説しているので、ぜひご覧ください。

 

排卵日の代表的な症状

排卵日前後は様々なホルモンの分泌が盛んになることで、ホルモンバランスが乱れます。それに伴って様々な症状が現れます。

排卵日の代表的な症状は、以下の通りです。

  • ・頭痛
  • ・吐き気
  • ・めまい
  • ・全身の火照りやだるさ
  • ・眠気
  • ・冷えの症状
  • ・肌荒れ
  • ・便秘
  • ・情緒不安定

これらの症状が現れる原因には、女性ホルモンの分泌が関係しています。

例えば、排卵後に分泌量が増える黄体ホルモン(プロゲステロン)は、妊娠継続のために基礎体温を上げて高温期を維持します。高温期が続くことで全身の火照りやだるさ、眠気が誘発されるでしょう。

また黄体ホルモンには皮脂分泌作用があるため、肌荒れやニキビなどの症状から化粧ノリが悪くなることもあります。「体調が優れないし、最近化粧ノリが悪いな」と感じたら、排卵後の可能性も十分考えられます。

加えてホルモンバランスが乱れることで情緒不安定になることもあるでしょう。気持ちが落ち着かない、ついつい態度に出てしまったと悩むこともありますが「ホルモンの影響だから仕方ない」と割り切るのも一つの手です。

このように排卵前後は体内の変化が激しく、体調を崩しやすいデリケートな時期なのです。

おりものとは?

おりものの主な成分は、生殖器官の分泌液・分泌物です。

具体的な成分は以下の通りです。

  • ・子宮頸部・内膜、膣からの分泌液
  • ・劣化した細胞
  • ・汗腺からの老廃物

性状や色・ニオイは生理周期やその時の体調により様々です。

例えば、妊娠が成立すると黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が持続するため、おりものの量は増えてサラッとした粘性のない性状になります。また色は白〜クリーム色になり、ニオイがキツくなる傾向にあります。

このように生理周期や体調の変化に左右されるおりものですが、以下の働きがあることも分かっています。

  • ・膣内の自浄作用
  • ・受精のサポートで妊娠率を高める

膣内を酸性に保ち、外部から細菌が侵入するのを阻止します。ただし、排卵直前から妊娠率を上げるために精子が活動しやすいように膣内をアルカリ性に傾けたり、潤滑油として分泌量を増やしたりします。

つまり、おりものは単なる排泄物ではなく、生殖器の保護と妊娠率を高めるための重要な役割を担っているのです。

※参考資料:厚生労働省 ヘルスケアラボ/おりもの・かゆみ

【状況別】おりものの変化

おりものは体の状態に合わせて変化するということは、前章までで分かったと思います。

そこでこの章では、以下の2つの状況において具体的におりものがどのように変化するかを解説します。

  • ・生理周期による変化
  • ・年齢による変化

2つの状況におけるおりものの変化を、あなた自身と照らし合わせて比較してみましょう。

 

生理周期による変化

生理周期とは生理初日から次回生理日の前日までの期間のことです。 排卵や受精、妊娠継続ができるように様々なホルモンが分泌されて、生理周期の時期によっては心身の変化が激しいこともあります。

生理周期は以下の4つに分類されます。

  • ・卵胞期
  • ・排卵期
  • ・黄体期
  • ・生理前

卵胞期とは排卵に向けて準備する時期です。女性ホルモンの分泌量が減るためおりものの量は減り、乾燥し粘性の高い白っぽいおりものが出ます。

排卵期では排卵とともにプロゲステロンの分泌が盛んになるため量が増えます。また無色透明でニオイもそれほど強くなることはありません。

黄体期とは排卵後から次回生理が始まるまでの期間のことで、おりものは徐々に粘性を増して白い塊状に変化します。そして生理になると出血混じりのピンク色のおりものが出ます。量や粘性は黄体期とそれほど変わらないことも特徴の一つです。

また、生理周期から見るおりものの変化について詳しく知りたい方は「【生理前】おりものの役割や特徴・時期別の変化や注意点を解説」の記事が参考になります。ぜひ、ご覧ください。

 

年齢による変化

年齢によってもおりものは変化します。

卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が始まる初潮〜10代では、おりものの分泌量が徐々に増えます。ただし、生殖機能自体はまだまだ未熟であるため、分泌量は安定しません。

20〜30代は女性ホルモンの分泌がピークを迎えるため、分泌量は多くなることが特徴です。また生理周期が安定するため、おりものと付き合いやすくなります。

ただし30代後半から40代にかけて女性ホルモンの分泌低下に伴い、徐々におりものの量も減ってくる傾向にあります。

40代に入ると女性ホルモンの分泌が低下するため、生理不順やおりものの量が不安定になります。その後、およそ45〜55歳で閉経を迎えて、数年のうちに自然とおりものが出なくなります。

年齢ごとにおりものは変化するものです。その時期に合わせて自分なりにおりものとの付き合い方を考えられると良いでしょう。

【危険】注意すべきおりものの変化

生理周期や年齢、その時の体調でおりものは著しく変化します。そしておりものの変化の種類によっては、命の危険に晒される非常に厄介なものもあります。気づいた時にはすでに手遅れなんてことにならないためにも、以下の変化には注意しましょう。

  • ・ピンク色で鉄臭い
  • ・黄緑色で悪臭・生臭い
  • ・白い塊状のおりもの
  • ・水っぽいおりもの
  • ・黒よりの茶色で粘り気が強い
  • ・異常に量が増える

出血や悪臭など普段との違いが一目瞭然であれば異常であると気づきやすい変化なら良いでしょう。しかし、中には水っぽくなるだけなど異常と気づきにくい変化もあります。

そのためあなた自身の正常なおりものの把握と異常な変化について知っておく必要があります。

それぞれの変化と病気などの原因について知りたい方は「【生理前】おりものの役割や特徴・時期別の変化や注意点を解説」の記事が参考になります。ぜひ、ご覧ください。

正確な排卵日を予測する4つの方法

妊娠を希望している方であれば、正確な排卵日を予測して少しでも妊娠率を高めたいと思いますよね。また、排卵日を予測できれば性行為をした日と合わせて妊娠の有無についても評価できます。

そこでこの章では、正確な排卵日を予測する方法を4つ解説します。

  • ・おりものの変化
  • ・基礎体温
  • ・排卵検査薬
  • ・専門家へ相談

自宅で始められる簡単な方法から専門家への相談まであるため、現在のあなたに最適な方法で排卵日を予測しましょう。

 

方法①:おりものの変化

排卵直前から黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が盛んになるため、おりものの量が増えます。つまり「おりものが増えてきたな」と感じたら生理が近いサインです。

以下のグラフは、おりものの量の変化と女性ホルモンの関係について表したものです。

アカチャンホンポ/妊娠超初期のおりものの特徴とは?より画像引用)

黄体ホルモンはおりものの量を増やして、精子が卵子のいる卵管まで進みやすいような環境作りをします。排卵直前のおりものはいつもよりも粘り気がなくなりサラッとした状態であり、色は白〜クリーム色に変化します。ニオイはあまり変化しません。

排卵日が近づくとおりものの量が増えるため、吸収量の多いナプキンにして小まめに交換することで清潔を保ちましょう。

※参考資料:アカチャンホンポ/妊娠超初期のおりものの特徴とは?

 

方法②:基礎体温

基礎体温を継続的に追うことでおよその排卵日を予測できます。

排卵直前から排卵後は黄体ホルモンの分泌が盛んになり、基礎体温が平均で0.3〜1℃上昇する高温期になります。また体の火照りやだるさ、眠気など体温が上がることで現れる症状も合わせて観察しましょう。

基礎体温の測定には、基礎体温計を使います。そして測定するタイミングや手技を間違えると正確なデータを得られず、排卵日の予測も見当違いになる恐れがあります。

そこで、これらについて詳しくしりたい方は、「妊娠した?高温期に体温がゆっくり上昇する原因や妊娠初期に観察すべきこと」の記事が参考になります。ぜひ、ご覧ください。

 

方法③:排卵検査薬

尿検査だけで排卵日を予測できる排卵検査薬も有効な方法です。

排卵検査薬とは排卵前に分泌が上昇するLHホルモンを尿から検知して、排卵日が近いことを予測する検査です。一般的に陽性反応が出て40時間以内に排卵があると言われています。陽性反応後は、できるだけ早い段階で性行為を複数回行うことで妊娠率を高められます。

排卵を促すホルモンを検知することから精度が高く、また薬局など市販されているため簡単に入手できるため、自宅で排卵日を予測するのに非常に有効な手段です。検査時間も15〜20分程度でできる上に手技も難しくないため、気軽に挑戦できるでしょう。

この他、排卵検査薬の使い方や注意点などについて詳しく知りたい方は「今すぐ妊娠したい方へ!排卵検査薬の正しい使用方法や注意点・よくある質問に回答」の記事が参考になります。ぜひ、ご覧ください。

 

方法④:専門家へ相談

これまで紹介した3つの方法は、全てセルフケアに基づいたものでした。しかし、実施者の状況や手技により検査結果に影響が出る可能性があります。そのため、不安や疑問を抱く方もいるのではないでしょうか?

そこで、より正確に排卵日を予測するために専門家へ相談する方法も解説します。

産婦人科をはじめとする専門機関では、以下の検査が行われます。

  • ・血液検査
  • ・尿検査
  • ・エコー検査(超音波検査)

血液検査では脳下垂体ホルモンから分泌されるFSH(性腺刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)の他に、プロゲステロンなどの女性ホルモンの値を測ります。ホルモンの分泌状況から排卵日を予測するとともに、不妊などの原因疾患がないかも確認できます。

尿検査は排卵検査薬と同様に尿中に排泄されたLHホルモンを検出して排卵日の予測をします。

最後にエコー検査(超音波検査)で卵子を包んでいる卵胞の大きさを観察します。卵胞の大きさが20mm以上になると卵胞の膜が破れて中の卵子が排出される排卵日が近いことが分かります。

専門機関では、これらの検査をもとに排卵日を総合的に評価可能です。また、妊娠できないと悩んでいる方は不妊症の原因が見つかることもあり、妊娠率を高めるための具体的な行動を相談する機会にもなるでしょう。

※参考資料:梅ヶ丘産婦人科/不妊検査

おりものの変化に気づいたら次にすべき行動は?

排卵日にいつもとおりものの感じが違う場合、妊娠や病気など様々な可能性を考慮した行動が必要です。しかし、実際におりものの変化に気づいても、どうすれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか?

そこで以下の2つの状況に分けて、おりものの変化に気づいたら次にすべき行動をお伝えします。

  • ・妊娠の可能性がある時
  • ・病気の可能性

現在、おりものが変化して気になる方が今すぐ行動できるように具体的な内容にしています。ぜひ、ご覧ください。

 

妊娠の可能性がある時

おりものの変化から妊娠の可能性があると感じた方は、以下の行動をしましょう。

  • ・妊娠検査薬で妊娠の有無を確認
  • ・上記で陽性判定だった方は、産婦人科で確定診断を受ける

おりものの変化を観察するだけだと妊娠しているかは主観での評価にすぎません。そこで客観的に妊娠しているか評価するために排卵検査薬や産婦人科の受診が必要になります。確定診断を受けたら、いよいよ妊娠生活の始まりです。

また妊娠が成立すると黄体ホルモンの分泌が盛んになるため、おりものの量も増えます。そのため、いつもよりも大きめのナプキンを着けて、小まめに交換して清潔を保ちましょう。

妊娠後は様々な妊娠初期症状が現れ始めます。つわりなどこれまでに経験をしたことのない症状もあるため、無理をせず自分なりに上手く付き合っていきましょう。

 

病気の可能性がある時

病気の可能性を疑ったら、すぐに産婦人科を受診して精密検査をしてもらいましょう。婦人科疾患の種類によっては不妊症の原因や妊娠率が格段に落ちるものもあります。

病気の種類にもよりますが、まずは採血・尿検査の他にエコー検査やレントゲンなどの基本的な検査が行われます。検査結果をもとに必要な場合は追加で精密検査が行われるでしょう。

症状に乏しい婦人科疾患だけに、発見が遅れると命の危険に晒されることもあります。「私だけは大丈夫」と考えず、少しでも気になるなら迷わず産婦人科を受診しましょう。また、婦人科疾患だとすると1人で悩んでいても解決することはありません。

これから妊娠するかもしれない子どもやあなた自身を守るためにも、とても大切な行動です。

まとめ: 排卵日のおりものの変化は妊娠や病気のサイン

婦人科医の相談。 医師と女性の患者は、婦人科のオフィスでの訪問中に婦人科のオフィスで話している

以上、排卵日のおりものの変化について詳しく解説しました。

排卵日とは卵巣から卵子が排出される日のことです。脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンにより促される生理学的な反応です。また、排卵日には黄体ホルモンの分泌が盛んになることで、おりものの量が増えるなどの変化がみられます。

そこで排卵日やおりものの変化から妊娠や病気の有無を予測できました。正確な排卵日を予測するためには、以下の4つの方法がありましたね。

  • ・おりものの変化
  • ・基礎体温
  • ・排卵検査薬
  • ・専門家へ相談

おりものの変化には妊娠以外にも婦人科疾患が隠れていることもあります。この記事で解説した注意すべきおりものの変化に該当する方は、今すぐに産婦人科を受診して検査をしてもらうことをおすすめします。

この記事が排卵日におりものが変化して不安になっている方の参考になれば幸いです。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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