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子宮収縮ってどんなときに起こる?悪い病気?対処法や注意点などを知ろう

妊婦さんなら誰しも気になる症状である「子宮収縮」。

というと馴染みがないかもしれませんが、子宮収縮とはよく聞く「お腹の張り」のこと。

妊娠中のお腹の張りは、とくに新米ママさんにとって不安になる症状のひとつだと思います。

そして、子宮収縮は妊婦さんだけに起こることではありません。

子宮収縮が起きるとき、身体の中ではどんなことが起こっているのか、どんな時に子宮が収縮するのか、注意点や対処法などわかりやすく解説します。

子宮収縮するのはどんなとき?

子宮は通常、鶏卵程度の大きさをしています。

妊娠して胎児が育っていく際、鶏卵程度だった子宮が急激に大きくなっていくのですが、それを支える子宮はとても強い臓器といえます。

そんな子宮が収縮するのは、以下の3つのときです。

妊娠

子宮は通常、リラックスしている状態だと柔かく緩んでいますが、妊娠中はちょっとした刺激で収縮します。

子宮の筋肉も妊娠中となると、以下のようなちょっとした要因で緊張するもの、と考えるとわかりやすいと思います。

  • 疲労
  • 妊娠中にお腹をさする・押す
  • 冷え・お腹の締め付け・ストレス・便秘
  • 性行為
  • 乳首マッサージ
  • 出産の前
  • お産をうながす子宮収縮剤の使用(副作用もあり)

キューっと圧迫されたり、引っ張られたり、硬くなる、しぼむ、重く痛むなど、さまざまな表現が当てはまる子宮収縮ですけど、妊娠中のこのような症状は総じて、お腹の張りと言われています。

なお、早産など深刻な状況での子宮収縮もありますが、それについては後述します。

生理

生理の際、出産に向けて準備された子宮内膜は、受精を確認できなかったときに剥がれ落ち、出血と共に排出されます。

この排出の際に「プロスタグランジン」という物質が分泌され、外に押し出すための子宮収縮を促すのですが、この分泌量が多いと必要以上に収縮し、下腹部痛や腰の痛みに繋がります。

性交時など

性行為の際には、「オキシトシン」という子宮収縮作用があるホルモン物質が分泌されます。

オキシトシンは、恋人や配偶者、家族や友人など好意を寄せたり信頼していたりする対象とのスキンシップやコミュニケーション時に分泌され、愛情ホルモンとも呼ばれています。

オキシトシンには他にも、乳汁の分泌を促す作用もあります。

妊娠中の子宮収縮

子宮の外側は平滑筋と呼ばれる筋肉でできた子宮筋層で覆われていて、その内側は子宮内膜という粘膜があり、妊娠すると、胎児はその内側で守られます。

胎児の成長スピードはとても早く、14~15週の間は1日に約5g、20週では1日約10g、そして32~34週には1日に30~35g、さらに34~36週は1週間で200gという勢いで増えていき、その後のペースは緩やかです。

そんな妊娠中の子宮収縮は、週数などの段階によって変化します。

妊娠初期は生理的な痛み

妊娠して20週になるまでの間は、子宮が急速に大きくなる時期なので、違和感を覚えやすくなっています。

お腹が炭酸などで膨らんでいるような腹部膨満感や、下腹部の重さ、長引く便秘のお腹の硬さに似ているような症状が主です。

物理的に引っ張られてチクチク、ピリピリと痛むのを、お腹の張りだと感じる場合も多いと言われています。

妊娠初期のお腹の張りは、出血がなければ心配はあまりありません。

安定してくる妊娠中期

20週を過ぎるとつわりも収まってきて安定をしてきます。初期に比べると快適に生活できるほどです。

お腹の張りも長くて2分程度で済み、触ると子宮の形がわかるほどキューっと硬くなる、またはしぼむ感じがするなど、個人差はありますが大体1日3回前後と回数が増えることなど、その症状も妊娠初期とはちょっと変わってきます。

また、つわりが収まって活動的になることが、動きすぎや疲労の原因になったり、胎動を感じるようになることでついお腹をさする・押すなどの刺激を与えてしまったりして、子宮収縮につながる場合もあります。

妊娠後期は要注意

出産に向けて身体が準備をはじめることもあって、妊娠後期はお腹の張りを一番感じる時期となり、回数は1日に5~6回と頻度が上がります。張り具合もスイカや石のように硬くなると表現されるなど、強くなってきます。

休めば収まるようなお腹の張りは心配ありませんが、様子も見ても収まらなかったり、出血や痛みが伴うようであれば早産や流産の危険性があるので注意が必要です。

陣痛前に来る子宮収縮

出産が近くなると陣痛がきますけど、その前にお腹の張りがあるといわれています。

個人差はありますが、多くの場合は痛みのないお腹の張りに始まり、そのうち痛みを伴ったり、頻繁に張ったりする前駆陣痛がきて、規則的なお腹の張りがくるようになればいよいよ本格的な陣痛になります。

後陣痛(こうじんつう)

妊娠中は、胎盤に血液を送るための多数の血管が子宮の筋肉内を通っています。

出産を終えるとその胎盤は剥がれる為、むき出しになった血管が残ることになります。

そのような状態の血管からの出血を止める為、子宮は大急ぎで収縮をはじめますが、その際に発生する痛みが後陣痛です。

後陣痛は必要な症状である為むしろ好ましく、治療は必要としませんが、個人差があるとしても生理痛と同等かそれ以上に痛みが強いといわれています。

子宮収縮薬の使用による子宮収縮

出産予定日とは、最終月経開始日から数えて40週0日目のことですが、予定日を過ぎて41週4日目など、41週後半になっても陣痛がこない場合があります。

また、子宮筋腫や子宮奇形、母体の精神が不安定だったり胎位が良くなかったりすると、原発性微弱陣痛といいう陣痛が弱く間隔が短い、痛みをあまり感じないなどの症状を発症し、母体や胎児が疲労して心拍数が下がるというトラブルが起こるかもしれません。

そうなると、子宮収縮薬が使用される場合があります。

子宮収縮薬は、陣痛促進剤ともいい、まだ来ない陣痛を誘発するプロスタグランジンと、既に来た陣痛を強め促進するオキシトシンの2種類が一般的です。

そして出産時だけでなく出産後も子宮を収縮させて、出血を止める効果があります。

しかし子宮収縮薬はデメリットとして副作用もあります。

効果として促される陣痛が過強陣痛で、子宮口が開く前から陣痛が始まってしまい、それが強く長く続いてしまうことです。

その結果、胎児機能不全や子宮破裂、頸管裂傷や弛緩出血などを引き起こしてしまう場合があるので、使用の際は医師の慎重な診断や様子の観察が重要になります。

予定日が過ぎてもまずは焦らず、ウォーキングやヨガなどで適度に運動したり、身体を温める、胎児に母乳を与えるときの為の乳頭マッサージをするなど、自分でできることで陣痛を促してみましょう。

子宮収縮の注意点

そして、お腹の張りは妊婦さんだけの症状ではありません。

以下に、子宮収縮について気を付けるべき点を挙げていきます。

子宮収縮中の胎児の様子

妊娠中の一般的なお腹の張りについては、胎児への影響は特にないと言われています。

しかし、ストレスによる子宮収縮には注意が必要です。

ストレスは血管を収縮させる作用があるので、母体が常にストレスに晒されているような状態だと、子宮もよい状態を保てません。

子宮収縮が頻発し、収縮の程度も強かったり、血流が悪化したりすると胎児に栄養が届かず発育不全を起こし、早産や胎児の低体重の原因になる場合があります。

切迫早産や早産などの前兆

出産の時期について、妊娠37週0日から妊娠41週6日までの出産のことを「正期産」といいます。

しかしその前の、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産については「早産」といい、それ以前の出産については「流産」といいます。

そして「切迫早産」とは、早産一歩手前の状態のことです。子宮収縮や痛みが規則性を以て頻繁に起きたり、子宮口が開いて胎児が出てきてしまいそうだったりする症例のことで、破水が先に起きてしまう場合もあります。

早産の経験がある、子宮頸部が短い、母体が感染している、多胎児妊娠などが早産のリスクが増加する原因です。原因が明らかでない場合も起こり得ます。

血の混ざったおりもの、下腹部や骨盤の圧迫や痛み、頻繁にくる強い子宮収縮などの症状がある場合、産婦人科に相談しましょう。

便秘や他の病気が原因のことも

お腹の張りについては、便秘などでガスが溜まったりお腹がゴロゴロしたりする腹部膨満感と、胃に不快感がある胃部膨満感などもあります。

子宮収縮と勘違いするような紛らわしい症状はさまざまありますが、妊娠していない場合にこういった症状があるのであれば注意が必要です。

胆石症や慢性すい炎、慢性肝炎、肝硬変などの持病がある場合、最悪のケースとして消化器系のがんなどもお腹にガスが溜まり膨れて張りを感じることがあります。

妊娠に身に覚えがないのにお腹が張って痛いなど、辛い症状がある場合は我慢せず、かかりつけの病院などを早めに受診することをオススメします。

まとめ

子宮収縮について、原因や対策、注意点などを詳しく解説してみました。

妊娠時やそれ以外の病気が原因の場合や、性交時、友達や大切な人との交流やスキンシップなど、子宮が収縮する場面は意外と身近にもあることが分かって頂けたと思います。

しかし、出血や痛みが伴う場合は、注意して観察し、場合によっては受診する必要があります。

とくに妊娠中の子宮収縮は、紛らわしい症状も含め、休息をしっかりととり回復しながら、慎重に判断しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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