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流産になる確率と染色体異常が原因となるケースを紹介

突然妊娠が止まり、お腹の中の赤ちゃんを亡くしてしまう流産

身近な人が流産になったという報告を聞いても珍しくないほど流産になる確率は高く、妊婦さんなら誰でも意識してしまうものです。

皆さんは、全ての妊娠にリスクが伴う流産になる確率がどのくらいなのかご存知でしたか?

この記事では、流産になる確率や染色体異常が原因となるケースを紹介していきます。

妊娠中の方、妊活をされている方は自分がどのくらいの確率で流産になるかをしっかりと把握しておきましょう。

流産になる確率はどのくらい?

赤ちゃん
流産は、妊娠22週未満で妊娠が止まって赤ちゃんが死亡してしまうことを指します。

妊娠12週未満は早期流産、妊娠12週以降〜妊娠22週までは後期流産と呼ばれ、流産のほとんどは早期流産を占めています。

皆さんが気になる流産になる確率についてご説明していきます。

妊婦が流産になる確率

流産は、例外なく全ての妊婦さんに起こる可能性があり、その確率は妊娠全体の15%といわれています。6人〜7人に1人が流産になると考えると、とても他人事とは思えないでしょう。

妊娠中に不正出血や腹痛などが起こると、流産の兆候の可能性があるため注意が必要です。進行流産になると子宮内にある胎児をつくる組織や付属物が出血といっしょに排出されます。

自然に排出されることもあれば子宮内容物が残留してしまうケースもあり、完全に排出されなかった場合は流産手術で摘出することになります。

人工的な手を加えずに自然排出に至る確率は70%くらいであり、出血が自然排出の合図となって1日〜1週間くらいで排出が終わります。

体外受精による妊娠で流産になる確率

不妊治療や体外受精は、自然妊娠よりも流産になる確率が高い傾向にあります。

日本産婦人科医会では、体外受精で流産に至る確率は20%〜25%くらいと報告しており、4人〜5人に1人という高い割合になっています。

不妊治療を得てやっとの思いで妊娠したにも関わらず、流産率が上がるのは納得がいかない方もいるかもしれません。

ですが、ポジティブに考えれば75%〜80%の確率で赤ちゃんをその腕で抱くことができるということになります。

年齢と流産率の関係性

流産は妊婦さんの年齢によって発生する確率が高くなる傾向にあります。

妊婦の年齢 流産率
35歳〜39歳 約20%
40歳〜41歳 約40%
42歳〜 約48%

流産率の全体平均は15%ですが40歳になると流産率は一気に跳ね上がり、40%の確率で流産に至ることが分かっています。

これは年齢とともに妊婦さんの卵子の染色体異常発生頻度が上がることが原因となっています。

染色体異常は流産だけではなく、ダウン症候群などの疾患を引き起こす可能性もあります。高齢出産になるほど流産・染色体異常症のリスクが高まることを覚えておきましょう。

2回目以降の妊娠での流産になる確率は?

流産は2回目以降の妊娠でも起こる可能性があります。一度流産を経験した妊婦さんは「また次も流産になってしまうのでは…」と不安になるものです。

2回、3回と自然流産を繰り返した場合、「不育症」と診断されることになります。

不育症とは?

妊娠することが難しい状態を不妊症と呼びますが、妊娠には至るものの流産を2回以上繰り返してしまう状態を「不育症」と呼びます。

不育症は流産が2回連続した場合は「反復流産」、3回以上連続した場合は「習慣性流産」と呼ばれ、以下のような流産率になります。

不育症の種類 流産が連続した回数 流産率
反復流産 2回 5%
習慣性流産 3回以上 1%〜2%

このように流産を経験した女性が反復流産になる可能性はたった5%しかありません。不育症を恐れて妊娠に対して後ろ向きになる必要はありません。

また、不育症には検査や検査結果に応じた治療もあります。流産後の妊娠が不安な方は、医師に流産後の経過や母体の状態を鮮明に伝え、次の妊娠に対してどのようなリスクが伴うかなどの説明をしっかり受けることをおすすめします。

染色体異常が原因となるケース

染色体異常
流産が起こる確率は約15%といわれていますが、その原因の大半は胎児側が持つ染色体異常が占めています。

「そもそも染色体異常とは何なのか?」

染色体異常に伴うリスクや、どのような染色体異常が流産の原因となるのかをご紹介していきます。

染色体異常に伴うリスク

染色体は私たちの体のさまざまな器官をつくる細胞の核の中にあります。

60兆個以上あるといわれる細胞ひとつひとつに染色体は46本23対で存在し、常染色体(44本22対)、性染色体(XとYの組み合わせから成る2本1対)に分類されます。

染色体異常は主に細胞分裂のプロセスでエラーが発生した場合にみられます。

欠失・逆位・転座・重複に関する異常、染色体の数が多くなってしまうなどの異常がみられ、ダウン症候群などの染色体異常症や流産を引き起こす原因となります。

流産の原因で染色体異常が占める割合

流産に大きく関わっている染色体異常ですが、日本産婦人科医会では流産の50%〜70%に染色体異常が伴うと報告しています。

染色体異常の種類によって流産率は異なります。

染色体が本来あるべき数よりも多くなってしまうトリソミーの場合は、75%の確率で妊娠8週までに流産に至ります。数的異常がみられなかった場合は、妊娠13週に流産のピークが訪れるといわれています。

染色体異常は受精卵の時点で存在するため、早期流産に繋がりやすいという特徴があります。

妊娠時期 流産率・死産率
妊娠第1三半期 55%
妊娠第2三半期 35%
妊娠第3三半期 5%

このように妊娠時期が経過するにつれて染色体異常が流産の原因となる割合は減ってきます。

染色体異常を防止することは可能なのか?

「染色体異常の発生を防止する方法はあるのか?」と考える方は多いと思いますが、残念ながら現在の医学では根本的な治療法が見つかっておりません。

しかし、染色体異常を妊娠初期から検査することは可能です。

妊娠10週目から実施されているNIPTは、染色体異常によって引き起こされるダウン症候群18トリソミー13トリソミーといった染色体異常症の有無を100%に近い確率で調べることができます。

母体採血のみの安全な検査が行われるため、流産や早産、その他の合併症に繋がるリスクはゼロです。

NIPT実施施設の選び方

NIPT実施施設は、日本産婦人科医会の厳正なる審査をクリアした認可施設とそれ以外の無認可施設に分かれます。

認可施設は、臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーが複数名在籍しているというメリットがあります。医療施設の環境も無認可施設より比較的整っていますが、35歳以上でなければ受検できないという年齢制限があります。

さらに母体血清マーカー・胎児超音波検査で陽性反応が出た、過去に染色体異常を持つ子どもを妊娠した、などの条件を満たす必要があり、認可施設でNIPTを受検するハードルは高くなっています。

無認可施設は、”無認可”という言葉からNIPTを受検することに対して不安を抱く方もいます。しかし、無認可施設でも施設によっては臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍し、なおかつどの施設も妊娠10週目以降であれば年齢制限なしでNIPTを受検していただけます。

NIPTの需要がこの数年で高まったことで実施施設も増え、どの医療施設を選んでいいか分からない方はたくさんいます。

良い環境でNIPTを受検したいという方は、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍しているかどうか、NIPTの実績に優れた施設かどうかを判断基準としてみてください。

まとめ

赤ちゃんを授かると流産のリスクも必ず伴いますので、妊婦さんは流産に対する予備知識をしっかりと頭に入れておかなければなりません。

流産は妊娠全体に対して約15%の確率で起こり、その多くが妊娠12週未満で発生しています。妊婦さんの年齢が高くなるにつれて流産率も高くなり、40歳以上の高齢出産になると40%以上という高い発生頻度になることを覚えておきましょう。

流産の原因の多くは胎児側の染色体異常にあり、先天的な原因のため現在の医学では治療をすることができなくなっています。しかし、染色体異常を持っている可能性を妊娠初期の時点で調べることが可能であり、結果に応じた準備を早い段階で進めることができます。

東京の「ミネルバクリニック」は、知識・経験・実績が全て備わった大学病院レベルの臨床遺伝専門医が在籍するNIPT無認可施設です。

国内有数の遺伝専門のクリニックで、これまでたくさんの患者様に対してNIPTを実施してきました。

遺伝カウンセリング体制もしっかり整っており、医師・スタッフによる患者様ひとりひとりに寄り添う丁寧なサポートを心掛けております。

染色体異常の検査を考えていらっしゃる方は、どこよりも早い妊娠9週0日目からNIPTを実施している「ミネルバクリニック」まで、お気軽にお問い合わせください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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