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【生理前】おりものの役割や特徴・時期別の変化や注意点を解説

おりものには膣内の自浄作用と妊娠をサポートする役割があります。そして生理前から徐々に量が増えたり、ニオイがきつくなったりする変化が見られます。

そこでこの記事では、生理周期に合わせておりものが変化する理由や注意すべきおりものについて解説します。おりものの変化について網羅的に解説しているため、分からないことがあれば何度もこの記事を読み返して確認できるでしょう。

また最後まで読むことで、おりものの変化を確認した後の対応を豊富に理解できるようになっています。

おりものの役割と生理前の特徴

おりものは子宮頸部や膣からの分泌液などで構成されています。そして、生理前は「色」「量」「ニオイ」が変化する特徴もあります。

そこでこの章では、以下の2つについて詳しく解説します。

  • ・生理学的に見たおりものの役割
  • ・おりものの生理前の変化とその特徴

生理前のおりものの変化や特徴と現在のあなたの状況を比較するために、ぜひご活用ください。

 

生理学的に見たおりものの役割

おりものとは、以下の成分が集まった粘液状の分泌物のことです。

  • ・子宮頸部や内膜・膣からの分泌液
  • ・古くなった細胞
  • ・汗腺から排出される老廃物

色や臭い、性状は生理周期や妊娠・病気により変化する特徴があり、女性の体の状態を観察するのに有効な情報源と言えます。

また、おりものの役割は以下の2つです。

  • ・自浄作用
  • ・受精のサポートで妊娠率を高める

膣内を酸性に保ち、感染菌の侵入や増殖を防ぎます。また、精子が卵子とスムーズに出会えるように膣内の環境調整をする役割もあり、妊娠をサポートする重要な女性機能の一つと言えるでしょう。

そして、おりものは年齢とともに変化します。

初潮〜10代は女性ホルモンの分泌が安定しないため、量の変動が激しいでしょう。20代〜30代になると女性ホルモンの分泌がピークとなり、おりものが出る分泌周期も安定します。

そして、40代〜閉経後は女性ホルモンが減少するのに伴い、おりものの分泌量は減ります。閉経後2〜3年で自然に分泌されなくなるのです。

 

おりものの生理前の変化とその特徴

生理前のおりものの特徴は、以下の3つに分けて考えます。

  • ・色
  • ・量
  • ・ニオイ

生理前、特に排卵期以降のおりものは粘り気が強く、白からクリーム色で濁ります。下着に付着して色がついてしまった経験をした方もいるのではないでしょうか?

また、生理数日前や直前になると子宮内膜が剥がれ始めるため、少量出血が混じったピンク色になることもあります。

排卵直後から生理前までは、おりものの量が増えます。妊娠が成立しなかったら通常の量に戻るでしょう。おりものの量が増えるとニオイが強くなります。

具体的には、酢やヨーグルトに似た酸っぱいニオイになると言われ、多少強く感じる程度なら正常なので安心してください。

ただし、我慢できないほどの悪臭や腐敗臭がする場合、感染症や子宮関連の疾患にかかっている可能性もあるため、産婦人科で早めに相談することをおすすめします。

生理前のおりものの変化には個人差があるため、必ずしも自分に当てはまるわけではないと知っておきましょう。

※参考資料:公益財団法人 日本産科婦人科学会

生理周期から見るおりものの4つの変化

おりものの変化は女性ホルモンの作用と深く関わっています。

アカチャンホンポの以下のグラフからも分かる通り、生理周期別におりものの量を知っておくと良いでしょう。

アカチャンホンポ/妊娠超初期のおりものの特徴とは?より画像引用)

この章では、以下の4つの生理周期に分類し、おりものの変化を詳しく解説します。

  • ・卵胞期
  • ・排卵期
  • ・黄体期
  • ・生理前

では、1つずつ解説します。

※参考資料:アカチャンホンポ/妊娠超初期のおりものの特徴とは?

 

1. 卵胞期

卵胞期とは生理が終わり、次の生理に向けて準備する時期のことです。おりものは無色透明でサラサラしています。 時折、生理に伴う出血が残っており、ピンク色や茶褐色のおりものが出ることもありますが、異常ではないため安心してください。

おりものの量も徐々に減少してくるため、下着が汚れることも少なくなり、お下に対するストレスも減るでしょう。

卵胞期から次の生理に向けて、徐々におりものの量は増加します。量が増えたなと感じるなら、次の生理が近づいている証拠でしょう。

 

2. 排卵期

排卵期とは卵巣から卵子が排出されるまでの数日間のことです。この時期になると精子が卵子のところまでスムーズに到達できるように、おりものの分泌量が増えます。

無色透明でとろみ(糸を引く)はありますが、ニオイは普段とほとんど変わりません。排卵が終わると徐々におりものの量は減ります。

排卵は生理とは違い、いつ起こったのかが分かりません。そのため、妊娠やその他の目的で排卵日を予測したいなら、おりものの量や性状に加えて基礎体温の記録が重要になります。

 

3. 黄体期

黄体期とは排卵後から生理が始まるまでの期間のことです。黄体から分泌される黄体ホルモンが子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい環境を整える時期でもあります。

この時期のおりものの特徴は量が少なく、粘性が強い白い塊になることです。下着に白い塊のおりものがついていたら黄体期である可能性が高いでしょう。

また便秘や食欲増進、お肌のトラブルが起こりやすく、ボディーイメージの変化が著しいことからブルーになりやすい時期でもあります。

 

4. 生理前

生理前は黄体期の後半の時期で、黄体期と同様に白い粘性の強いおりものが継続しています。量についても黄体期と変わらないか多少増える程度で、劇的な変化はありません。

ただし、生理直前で血混じりとなりピンク色のおりものになることもあるため、焦らないようにしましょう。数日後に生理があれば、生理に伴う出血だったと確認できます。

ニオイは酸っぱい感じが強くなる方もいます。とはいってもニオイや量の変化は個人差があるため、必ずしも解説した通りに変化するとは限りません。

生理周期を通しておりものの変化を観察して、自分のおり者の特性を把握しておくと今後観察していく基準ができます。

生理前と妊娠初期のおりものの違い

生理前と妊娠初期のおりものの違いについては、以下の比較表をご覧ください。

ニオイ 性状 その他
生理前 減る 白っぽい 強くなることもある
妊娠初期 多いまま 白orクリーム色 生理前よりも強い サラッとしている 妊娠初期症状

生理周期リズム

厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温より画像引用)

おりものの量は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が多くなるにつれて増えます。妊娠が成立せず再び生理になれば、自然と分泌量は減ります。

一方で妊娠が成立すると引き続き分泌されるためおりものの量は生理直前と変わらなかったり、むしろ増えたりするでしょう。生理前は白っぽく粘性が強いことが特徴ですが、妊娠が成立すると水っぽいサラッとした性状になります。

また妊娠が成立している場合、妊娠初期症状も合わせて出現します。つわりや胃のムカムカ感、風邪に似た症状が持続するなどあれば妊娠の可能性もあるため、妊娠検査薬で確認してみると良いでしょう。

妊娠初期症状について詳しく知りたい方は「妊娠検査薬以外で妊娠は見抜ける?初期症状や妊娠の予感がしたら注意するべきこと」の記事が参考になります。

※参考資料:厚生労働省 ヘルスケアラボ/基礎体温

【危険】注意すべきおりものの6つの変化と原因

生理周期やあなたの体調に左右されて変化するおりものですが、中には放っておくと危険なものもあります。

そこでこの章では、注意すべき6つのおりものの変化と原因について解説します。

  • ・ピンク色で鉄臭い
  • ・黄緑色で悪臭・生臭い
  • ・白い塊状のおりもの
  • ・水っぽいおりもの
  • ・黒寄りの茶色で粘り気が強い
  • ・異常に量が増える

放っておくと不妊の原因やあなたの命を危険に晒す原因もあります。今、いつもと違うおりものが出て心配という方は、チェックすることをおすすめします。

 

変化①:ピンク色で鉄臭い

ピンク色や茶褐色で鉄臭いおりものが生理後も長期的に続くなら産婦人科で相談しましょう。ピンク色や茶褐色で鉄臭いおりものは、危険な病気にかかっている可能性があるからです。

具体的には、以下の病気が考えられます。

  • ・子宮筋腫
  • ・子宮頸がん
  • ・子宮体がん
  • ・子宮頸管ポリープ

子宮内膜が剥がれる際に出血が伴う生理では、おりものが血混じりでピンク色になるのはごく普通の反応です。しかし、生理が終わり落ち着いてくる時期にもかかわらず、ピンク色のおりものがで続けるのは、何かしらの病気で子宮が炎症を起こしている証拠になります。

また、出血していると鉄のニオイが伴ったり、腐敗臭だったりします。普段よりもニオイがきついと感じたら危険なサインかもと考えましょう。

これらの病気は経過観察で治ることはありません。早期発見・早期治療を開始しないと不妊の原因にもなりかねない非常に危険な病気ばかりです。そのため、ピンク色のおりものが長期的に続くなら、一度産婦人科を受診して精査してもらうことをおすすめします。

 

変化②:黄緑色で悪臭・生臭い

黄緑色で悪臭や生臭い泡状のおりものなら膣炎や性感染症が疑われます。

具体的な症状は、以下の通りです。

  • ・トリコモナス腟炎
  • ・淋菌感染症
  • ・細菌性腟炎

感染症が原因でおりものが黄緑色になっているなら、炎症による発熱、強い痒みや下腹部痛などの症状を合併します。そして感染症を放置しておくと炎症が治らず、最悪の場合、全身状態の悪化につながります。

また、妊娠・分娩時に母子・産道感染などのリスクも高く、胎児に感染すると早産・流産、感染症の重篤化などの健康被害が生じることも考えられます。

おりものの性状や合併症を疑った場合、すぐに産婦人科に相談して早いうちから治療を開始しましょう。

 

変化③:白い塊状のおりもの

酒粕のカッテージチーズのようにたとえられる白い塊のおりものであるなら、カンジダ膣炎が疑われます。

カンジダは真菌(カビ)が原因で発症する強い痒みを伴う感染症です。生理前は妊娠しやすいように膣内が酸性からアルカリ性に傾きます。酸性に傾けることで細菌の繁殖を防いでいた膣は、アルカリ性に傾くことで感染菌が侵・繁殖しやすくなるのです。

疲れやストレスで免疫力が低下すると感染しやすくなります。また、再発率の高い感染症であるため完治を目指して治療することが重要です。

まずは産婦人科で相談したり、最悪の場合、市販の治療薬で経過観察したりもできます。

 

変化④:水っぽいおりもの

生理前のおりものが水っぽくサラッとした性状なら、危険な病気が隠れている可能性があります。また、ナプキンなどでは吸収しきれないほど大量に分泌される場合もあります。

具体的には、以下の病気が疑われます。

  • ・卵管がん
  • ・卵管水腫
  • ・子宮筋腫
  • ・子宮腺筋症
  • ・子宮内膜ポリープ

通常、生理前は白く粘性の強いおりものが分泌されます。しかし、子宮筋腫の様に炎症部分がただれると滲出液として水っぽい分泌物が増えます。

 

変化⑤:黒寄りの茶色で粘り気が強い

黒寄りの茶色で粘り気が強いおりものがあるなら、進行した子宮頸癌の危険性があるため、早急に産婦人科で相談しましょう。

子宮頸癌の厄介なところは初期症状に乏しいことです。そのため、気づいた時には手遅れということも十分考えられます。

具体的には、以下の症状が出現します。

  • ・茶もしくは黒褐色のおりものが持続
  • ・月経以外での不正出血
  • ・性行為時に出血
  • ・下腹部・腰部などの痛み

1年おきに定期健診を受けつつ、異常や気になる症状が出現した際はすぐに産婦人科を受診するようにしましょう。

 

変化⑥:異常に量が増える

ニオイに変化はないが、いつもと比べて異常に量が増えているなら、子宮・腟部のびらんが考えられます。

「びらん」とは、つまり「ただれ」のことです。子宮頸管の粘膜がびらんを起こして赤くただれるのには体質が関係しています。そして女性のおよそ8割が子宮・腟部のびらんを経験すると言われています。

また病気ではなくあくまで体質であるため、おりものシートなどでデリケートゾーンの清潔を保つなどの対応のみで良いでしょう。

生理前にできるデリケートゾーンのセルフケア

生理になるとおりものや出血することで、デリケートゾーンに不快感が生じます。しかし、実は生理前からデリケートゾーンのケアをしておくと、生理中の不快感を軽減できます。

そこでこの章では、生理前からできるデリケートゾーンのセルフケアについて、以下の3つをお伝えします。

  • ・清潔に保つ
  • ・通気性の良い下着を着用する
  • ・Iラインのお手入れ

生理期間の不快感を少しでも軽減するための参考にしていただけると幸いです。

 

セルフケア①:清潔に保つ

生理前でおりものの量が増えると湿潤環境となり、雑菌が繁殖しやすくなります。雑菌の繁殖はニオイの原因や不快感のもととなるため、デリケートゾーンの清潔を保つことが大切です。

具体的には、おりものを拭き取る際にトイレットペーパーに吹付タイプのムースを使ったり、いつもよりも小まめに洗ったりしましょう。ただし、清潔を意識するあまり長時間強く擦ると粘膜の損傷や自浄作用が低下する原因になり、逆効果なので注意しましょう。

この他にも低刺激の石鹸やデリケートゾーン専用のケアパックを活用する方法もあります。

常に清潔を保つというよりは、おりものによる汚れを小まめに取りつつ、デリケートゾーンのケアを加えていくイメージです。

 

セルフケア②:通気性の良い下着を着用する

通気性の良い下着を着けることで細菌の繁殖しやすい湿潤環境を作りにくくする方法もおすすめです。

デリケートゾーンが適度に乾燥していると、湿気や下着の肌触りによる不快感が軽減されます。小まめにナプキンの交換や拭き取ると、より効果を実感できます。

また、シミやニオイが長時間付着していると大切な下着が台無しになってしまいかねません。お気に入りの下着が汚れてしまうと残念ですよね。

下着を工夫するだけでもおりものによる不快感の軽減ができるため、試してみるのも良いでしょう。

 

セルフケア③:Iラインのお手入れ

Iライン(小陰唇の両側)にあるアンダーヘアをお手入れすることで、細菌の付着や温床になる場所を減らせます。また、おりものが増えるにつれて生じる蒸れの軽減もできます。

Iラインは非常にデリケートな部分です。一般的なシェーバーやハサミで自己処理をするのはケガのもとになります。専門店で除毛してもらうに超したことはありませんが、費用や時間がないならアンダーヘア専用のシェーバーやヒートカッターで慎重にケアしましょう。

また、刺激の強い市販の除毛クリームの使用はやめておきましょう。止むを得ず使う場合は低刺激のものにしたり、蒸しタオルでIラインを温めて毛穴を広げたりしてケアすることをおすすめします。

ただし市販のものであるため、あくまで自己責任で行いましょう。

まとめ: 生理周期によっておりものは常に変化している

以上、おりものの役割や生理周期から見た変化、注意すべきおりものの変化とその原因について解説しました。

重要なことを以下にまとめます。

  • ・おりものとは子宮や膣の分泌液
  • ・自浄作用や妊娠をサポートする役割がある
  • ・妊娠しているとおりものの量が増え、ニオイがきつくなることがある
  • ・生理中の不快感を軽減するためにはデリケートゾーンのケアが重要

おりものがいつもと違う場合、最初に疑うのは妊娠です。妊娠すると量が増えたり、ニオイがきつくなったりするなどの変化が見られます。

一方で変化の種類によっては、放っておくと不妊症の原因や命の危険に晒される非常に危険なものもありました。そこでこの記事で解説した注意すべき変化を確認して、あなた自身が危険な状態ではないかを確認することをおすすめします。

また生理中のデリケートゾーンの不快感は生理前のセルフケアで軽減できます。生理前から徐々に増えるおりもので生理中は不快感を感じやすいため、セルフケアを取り入れて不快感の軽減ができるようになりましょう。

生理中のおりものの変化について正しい観察をしつつ適切な対処をするためにも、この記事をぜひご活用ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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