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妊活期間の平均は?|30代は前半と後半でこれだけ違う

手をつなぎならキッチンでコーヒーを飲む若い夫婦 妊活のブログや体験談でよく出てくるのが『まさか私が』とか『簡単に妊娠するものと思っていたのに』といった言葉です。避妊具なしでセックスをすれば簡単に妊娠するだろうと思っていたけど上手くいかない。思っている以上に都合良くいかないのが妊活です。

特に30代に入ると20代とは身体が変わってきてくるため妊娠したくてもできなくなります。実際に妊活を始めたご夫婦の中には「こんなはずでは」と悩む人が多くいらっしゃいます。今回は妊活を始めた先輩ママさん達の体験談や始めた年齢、妊活した期間などをまとめました。これから妊活をしようとお考えのご夫婦もぜひご覧いただけると幸いです。

30代の妊活平均期間はどれくらい?

「みんなが妊活をしたのはどれくらいなんだろう?」と気になる人がいると思います。「人それぞれ」と聞いても気になってしまうこともあるでしょう。そこでどれくらい妊活をしたのかを表にしました。データは株式会社エムティーアイの運営する『ルナルナファミリー』が以前に行った調査結果です。

妊活期間 割合
3ヶ月以内 28.8%
4ヶ月〜6ヶ月 25.8%
7ヶ月〜9ヶ月 10.1%
10ヶ月〜12ヶ月 14.5%
1年以上 20.2%

ご覧いただくと半年以内に妊娠した方が50%以上です。しかし見逃せないのが1年以上かかったご夫婦も5組に1組ある点です。男女とも年齢が上がると妊娠しにくくなるのを考えると子どもが欲しいと思ったらすぐに妊活をしたほうが妊娠できる可能性は高くなります。

妊活を始めた年齢は?

もう一つ気になるのはいつ頃から妊活を始めた人が多いのか?だと思います。そこでロート製薬が2018年と2019年に調査した「妊娠白書」の結果を表にしましたのでご覧ください。

妊活開始年齢 2019調査 2018調査
25〜29歳 28.6% 23.4%
30〜34歳 34.6% 38.2%

20代後半でも始めた方も増えてきていますが、やはり30代になってから妊娠を意識した方が多い結果になっています。30代前半だと卵子や子宮内の状態、女性ホルモンの分泌量は20代とあまり変わりません。しかも20代ころよりも精神面や経済面で安定してくる夫婦が増えてくるため妊娠を考えるようになるのだと思います。

30代前半の妊活で注意する点は?

30代は体力が落ちてきたり、子宮の筋力が衰えてきたりする場合もあります。もし妊娠を考えているのであれば早めに始めた方が子どもが授かる確率も高いのは間違いありません。実際に妊活をした先輩ママから妊活をする女性に伝えたい言葉として出てくるのは「自分の身体について、早めにきちんと医師の診断を受けておくことの重要性」が最も多く上がりました。 男女問わず、人は自分の身体をのことを意外と知りません。最初は婦人科や不妊外来などのクリニックに通わずに妊活をしていたカップルが上手くいかなくて病院へ行ったらホルモンの状態が悪くて妊娠しにくい体質だったというケースもよくあります。 自分で(排卵の)タイミングをとっていましたが、病院でタイミングを見てもらったらずれていたので修正したら子どもを授かったという話もあったりします。もし妊活をしようと思っているならばパートナーと一緒に病院に行くことから始めてください。

30歳の女性が妊娠する確率は想像よりも低い

まずは海外のデータ(M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition より)になりますが、1年間避妊しないで性交渉をした場合の年代別妊娠確率を表にしました。

年代 妊娠確率
20歳~24歳 86%
25歳~29歳 78%
30歳~34歳 63%
35歳~39歳 52%
40歳~44歳 36%
45歳~49歳 5%
50歳以上 0%

ご覧の通り年齢を重ねていくと自然妊娠はしにくくなります。30代前半でも4割は1年間避妊具なしでセックスしても妊娠できないのです。不妊症の定義は日本産婦人科学会によると

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。(日本産婦人科学会HPより)

以上の通りです。つまり30代前半の4割が不妊症ということになります。この数字は男性の年齢は考慮していません。もし男性が35歳~45歳以上の場合は、それらの年齢も踏まえた上で妊娠率を考える必要が出てきます。

30代後半の妊活で注意する点は?

先述したように年齢を重ねていくと妊娠しにくくなります。上に掲載した表をご覧の通り、35歳から39歳の女性が1年間避妊しないで性交渉をした場合は52%です。その理由はご存じの通り卵子の質が低下していくからです。さらに理由として挙がるのが卵子の数も減っていくことです。そしてもう一つご覧いただきたい表があります。

年齢 1周期当たりの妊娠率
25歳 25%~30%
30歳 25%~30%
35歳 18%
40歳 5%
45歳 1%

この表は排卵1周期あたりの妊娠率です。40歳以上の場合、1周期当たりの妊娠率は5%しかありませんが、1年を通すと36%の人は妊娠します。しかし、反対から見ると7割の人は妊娠しないということです。この表も男性の年齢は考慮していないためパートナーの年齢が35歳以上ならば精子の質が低下している可能性もあるためもっと数値は低くなると考えてください。

35歳以上は効率性も考えておきましょう

35歳以上になると30代前半と違って妊娠率が下がるだけではありません。流産率も上昇していくためせっかく妊娠しても流産が心配になっていきます。しかもさらに37~38歳を過ぎると卵子の数も激減していくため余計に授かりにくくなるのです。人によっては子宮が精子を吸い上げる力が弱まってきたり、子宮筋腫、子宮内膜症といったトラブルも起きたりします。 さらに体外受精の成績も33歳を過ぎたあたりから下がり始めるので30代後半になると本当に時間がなくなっていきます。妊活を始めるのであれば、はじめから婦人科や不妊クリニックで相談をしながら進めたほうが効率性が高い場合もありますのでご検討してみてください。

不妊治療の基礎的な知識を知っておこう

幸せなカップルが、台所のソファでノートパソコンと一緒に笑い合い、笑顔の若い女の子と男性が家で楽しみながらコンピュータを使ってソファで話している 不妊治療といってもいくつか治療法があります。ご自分とパートナーの年齢や状態を考えて選ぶ事になります。どんな方法なのかあらかじめ知っておくとイメージしやすいと思い紹介します。

初診で基本検査を行う

初診時には、いつ頃から妊娠を希望して過ごしているのか、避妊期間があればその期間、避妊せずに子どもが欲しいと思ってからどれくらい経つか、性交渉の回数などを問診します。その後、女性は既往症の有無、子宮や卵巣に病気はないか、あわせてホルモン検査をして原因を探っていきます。男性は精液検査をして性状や数、動き、また精液の量や濃度について異常があるかどうかを正常値と比較していきます。

タイミング法とは

基礎体温や服薬によって排卵日を正確に把握して夫婦生活のタイミングを測る治療法です。初期の不妊治療となり、最初はこの方法で妊娠できるか調べていきます。

人工授精とは

精子を子宮に直接注入するです。精子が子宮に入り卵子に出会うことを手助けするため、4〜5回ほどで妊娠する人が多いと言われています。6回ほど人工授精に取り組んでも妊娠に至らなかったら体外受精へとステップアップします。

体外受精とは

卵子と精子を受精させた受精卵を子宮に戻して妊娠を促す方法です。他の不妊治療に比べると妊娠率が高いと言われていますが、身体や金銭面の負担が大きい治療です。

不妊治療になったら医療保険に加入を考えましょう

不妊治療に限らず妊娠に関わる治療は保険適用外です。全額自己負担になるので費用も馬鹿になりません。しかも妊活中に病気が見つかったり、不妊治療が原因で疾患になったりするケースもあります。例えば、排卵誘発剤は女性ホルモンを分泌するため乳がんリスクが高まる可能性があると言われているので注意が必要です。 もし入院するとなると平均的な入院費は1日あたり2万円ほどと言われています。万が一の場合に備えて医療保険に加入しておきましょう。 また、妊娠した後に受ける妊婦健診もじこふたんとなりますが、ほとんどの自治体で費用を助成してくれます。どれくらい助成してもらえるかお住まいの自治体に確認してください。

30代先輩ママさんの妊活体験談

職場で幸せそうな女性 不妊治療をしたらどんな体験談が待っているのでしょう。妊活の乗り越えて無事に出産した先輩ママさん達の体験談を聞いてみたら想像できるかもしれません。実際に妊活を経験して赤ちゃんを授かったママさんからお話を聞きました。

32歳で1歳の赤ちゃんがいるママさん
病院に行ける時間に退出できなくて、仕事との両立はつらかったです。同じくらいつらかったのは、タイミング法で妊活していたのでセックスの義務化です。私も夫もお互いしんどくて逃げ出したくなりました。。でも、最終的には投薬量を変えたときのタイミング法で妊娠して子どもが無事生まれました。

37歳で4ヶ月の赤ちゃんがいる先輩ママ
妊活を始めたのが36歳と遅かったせいか、周りから「都内の有名病院に通うべき」と言われたりしました。職場の先輩ママからも「過ぎた時間は戻らない!」と力説されたのでタイミング法ではなく、顕微授精に踏みきり、長い待ち時間、治療への不安、施術の痛みなどの経験をしました。1回目の胚盤胞(はいばんほう)移植が着床しなかったときは旦那に電話で報告しながら泣いてしまうくらいショックでした。でも、その翌月、いったん凍結しておいた胚盤胞を解凍して移植し妊娠することができたときは嬉しかったですね。

35歳で1歳の子どもを授かったママさん
結婚して5年以上子どもを授からないので32歳で妊活を始めました。検査の結果、早い段階で原因は主人のほうにあることがわかり、タイミング法や人工授精などのステップは踏まずに体外受精を選びました。最初は自分とパートナーがどのような状態にあるかを知ることが大切だと思うので、専門の病院で夫婦で検査を受けるのが一番だと思います。治療中大変だったのは、仕事との両立です。会社に治療中であることが伝えづらかったので休暇や遅刻の理由に苦労しました。同じように不妊治療を受けている友人との情報交換が励ました。

まとめ

30代で妊活を始めた人について詳しく紹介をしてきました。やはり女性の場合、20代とは身体が大きく変わってくるため子どもが欲しいと思ったら早めに妊活を始めた方が授かりやすくなります。特に35歳を超えてくると妊娠率だけではなく流産の心配もしないいけないのがネックとなります。 もし記事を読んで見て心配になった方は婦人科や不妊クリニックで医師に相談をしてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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