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妊活のためにできること|食べ物・睡眠・運動で気をつけることを紹介

妊活と言ってもやるべきことは1つではありません。
本記事では妊活を成功させるためのポイントを6つ紹介します。妊娠を引き寄せるためのポイントのうち、必要だと思うものを取り入れて継続して行うことが大切です。

妊活を始めるための準備

妊活を始める前の準備として、妊娠や不妊症についての基本を知りましょう。

年齢を重ねるほど妊娠しづらくなる

妊娠は年齢を重ねるほど難しくなります。このことは、日本生殖医学会の調査結果でも明らかです。
1つの受精卵を子宮内に戻す処置を単一胚移植と呼びますが、年齢別の妊娠率の違いは以下の表のとおりです。

妊娠率 着床
35歳未満 35.6% 28.9%
35歳以上 20.0% 15.8%

また、年齢が若くても、妊娠しにくい体質の人はなかなか妊娠に至りません。妊娠しにくい体質と言われる原因の一部を紹介します。

  • ・排卵しにくい卵巣
  • ・癒着した卵管
  • ・内膜が薄く、着床しにくい子宮

これらの主な原因は思春期の無理なダイエットで、子宮などの生殖器官が完全に発達しないことで妊娠しにくい体質になっています。
また、性行為感染症や子宮内膜症になることで卵管が癒着して妊娠できないケースもあります。妊娠中絶を繰り返し行うことでも癒着しやすくなるので、妊娠は思春期以降の体との向き合い方がとても重要です。

不妊症について知ろう

妊活をしてもすぐに妊娠できるわけではありません。なかなか妊娠できない場合は産婦人科や不妊治療に対応した施設などへの受診も検討したほうがよいでしょう。
現在、不妊症と見なされるのは、性行為をしても妊娠しない状態が1年間続いた場合です。
つまり、妊活を開始して1年経っても妊娠していない場合は、そのタイミングで医療機関などの受診をおすすめします。
また、以下に該当する場合は妊活1年未満であっても早めに相談するとよいでしょう。

  • ・女性の年齢が30歳以上である
  • 月経周期が不規則である
  • 子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患を患っている
  • ・性行為感染症などを患ったことがある

不妊治療の流れ

妊娠に至らず、医療機関を受診する場合に備えて不妊治療の簡単な流れを紹介します。

治療方法 概要
1 タイミング法 ・エコー検査や尿検査、血液検査を行って排卵日を予測する
・妊娠しやすいタイミングの指導を受ける
2 排卵誘発法 内服薬や注射を使用し、卵巣を刺激して排卵を促す
3 内視鏡手術 ・子宮や卵管の状態を内視鏡でチェックする
・ポリープや子宮筋腫を切除したり、癒着した卵管の通りを良くしたりする
4 人工授精 ・採取した精液から健康な精子を取り出す
・排卵のタイミングに合わせて子宮内に精子を注入する
5 体外受精 ・腟を経由して卵巣に針を刺し、卵子を採卵する
・体外で受精させ、後日受精卵を子宮内に戻す
6 顕微授精 ・1つの卵子の中に1つの精子を直接注入して受精させる

妊活を成功させるポイント

笑顔の妊婦(飲み物)

妊活を成功させるポイントは大きく分けて2つあります。1つは生活習慣を見直すこと、もう1つは体質のチェックです。

生活習慣を見直す4つのポイント

生活習慣を見直す4つのポイントを紹介します。

バランスのよい食事

妊活を成功させるためには食生活の見直しが重要です。とくに、糖質制限を行うと妊娠しやすい体質に変えることが期待できます。
糖質を過剰に摂取すると、糖と結合したタンパク質が劣化してAGEという物質に変化します。このAGEには強い毒性があり、蓄積することで卵子の老化につながります。そのため、血糖値を上げない食生活を意識することが大切です。
また、良質なタンパク質も妊娠しやすい体質へと導きます。大豆、肉の赤身、マグロ、卵などを積極的に食べましょう。
卵子や精子などの細胞膜の形成によい影響を与えるのがコレステロールです。エクストラバージンオリーブオイルやココナッツオイルのような良質なコレステロールは、サラダにかけたりして手軽に摂取できるので毎回の食事に取り入れることをおすすめします。

ほかにも女性の生殖器の機能向上に有効な成分や食品を以下に紹介します。

  • ・ビタミンD:鮭、カツオ、きのこ類、きくらげなど
  • ・ビタミンA:ほうれん草、かぼちゃ、人参など

妊活中に避けたほうがよい食べ物はありません。バランスのよい食事を心がけることで妊活に有効な栄養はある程度摂取できます。
アルコールは妊娠してからやめる人も多いようですが、いつ妊娠しても大丈夫なように早めに控えることをおすすめします。また、体を温めるような食事をすると冷え性も改善でき、妊娠しやすい身体づくりを後押ししてくれるでしょう。

葉酸サプリメントを取り入れる

妊活に欠かすことができない栄養でありながら、通常の食事だけで十分に摂取するのが難しいのが葉酸です。水溶性のビタミンB群のひとつである葉酸の主な働きは以下のとおりです。

  • ・赤血球を作り出す
  • ・妊娠初期に遺伝情報に関わるDNAを合成する
  • ・胎児の発育を促す

日本人女性の1日あたりの葉酸摂取推奨量は240μgで、アボカド1.5個分に相当します。妊活中の場合はプラス400μgが必要となります。食事からの摂取だけでは限界があるため、葉酸サプリメントで補うことをおすすめします。
なお、葉酸は妊娠する1ヵ月以上前から摂取することが推奨されています。亜鉛、ビタミンC、B6、B2、B12などの栄養素と一緒に摂取することで吸収率がアップし、代謝を促す効果も期待できます。

質のよい睡眠

睡眠は妊娠に大きな影響を与えます。というのも、睡眠中に分泌される成長ホルモンは妊娠するために重要な役割を果たすからです。
また、睡眠は時間で考えるのではなく、質の善し悪しで考えます。睡眠前は自分らしいリラックス方法で心身をほぐし、スムーズな入眠へとつなげましょう。
また、寝る前のパソコン、スマホはおすすめしません。なぜなら、これらのデバイスから出るブルーライトは睡眠を阻害するからです。ブルーライトを受けると睡眠を促すメラトニンが分泌されず、卵子の質の低下にも影響します。
妊活を機に、寝室の環境や寝具、睡眠前の行動などを見直し、毎日質の良い睡眠が取れるように配慮しましょう。

適度な運動

適度な運動は血流を改善し、卵巣機能を向上させる効果が期待できます。ウォーキングやラジオ体操、ヨガなど、軽めの有酸素運動を毎日行うことが大切です。
しかし、筋肉量を増やすような激しい運動は逆効果になるので注意しましょう。
適度な運動は気分転換にもつながるため、前向きに妊活を続けやすいでしょう。

ストレス環境の改善

妊娠の大敵はストレスです。人間の脳はストレスを感じるとプロラクチンというホルモンを分泌します。これは産後に母乳の分泌を促すホルモンですが、排卵を抑える働きも持っています。妊娠前でもストレスを強く感じると分泌され、ホルモン量が増えると不妊の原因になりかねません。
ストレスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、自分に合うストレス発散方法を見つけ、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。

体質をチェックする2つのポイント

体質をチェックする2つのポイントを紹介します。

基礎体温を正しく測定する

妊活を成功させるための6つの対策を徹底解説

基礎体温のチェックは妊活の第一歩とも言える重要なポイントです。基礎体温は女性ホルモンの影響により毎日微妙に変化します。この変化を知ることで女性ホルモンの分泌状態を確認することができるのです。

基礎体温を付けると低温期と高温期に分かれます。排卵が起こるのは、低温相から高温相に移るときなので、この時期は妊娠しやすくなります。基礎体温が2相に分かれない場合は排卵が起こっていないなどの何らかの異常が考えられるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
まずは正しい基礎体温の測り方をマスターし、明日から早速始めてみましょう。

基礎体温の測り方の手順は以下のとおりです。

  • 1.目覚めたら布団の中で測る:枕元に体温計を用意し、目覚めて動く前に測る
  • 2.熟睡した後に測る:睡眠不足だと正しい基礎体温が測れないため、最低4時間以上熟睡して測る
  • 3.舌の裏で測る:舌の裏に体温計の先端を入れ、口を閉じて測る
  • 4.毎日同じ時間に測る:測る時間はなるべく同じにする

月経周期のチェック

生理が不順な人は妊娠しにくい体質です。本来は誰でも生理がほぼ28日周期で来るように脳でコントロールされています。しかし、何らかの異常が起こることで生理の周期が乱れるようになります。

たとえば、ダイエットをすると生理不順が起きやすいことはよく知られています。これは痩せたことが原因で「今妊娠すると、母体や生まれてくる赤ちゃんの命に危険がおよぶかもしれない」と脳が判断するため、妊娠しにくいように生理を遅らせたり止めたりしてしまうのです。
まずは自分の生理周期を正しく把握しましょう。周期が乱れている場合や生理が来ない場合は、妊活よりも医療機関への相談を優先することをおすすめします。

妊活を成功させるために男性がすべきこと

妊活している夫婦

妊活は決して女性だけの問題ではありません。最近では男性が原因による不妊も増えています。妊活は女性だけが取り組むのではなく、パートナーと2人で協力して乗り越えることが重要です。
男性が原因の不妊の多くは精子を作り出せない造精機能障害で、その割合は9割にもおよびます。このような症状を改善するためには、男性も以下のような妊活に取り組みましょう。

  • ・アルコールの摂取量を減らす:精子を作りにくくするため
  • ・喫煙をやめる:精子の働きを弱めるため
  • ・長時間、下半身を温めない:精子の量が減るため
  • ・下半身を圧迫しない:精巣機能に影響を与える恐れがあるため
  • ・適度な運動を取り入れる:運動によって男性ホルモンの分泌量が増えるため

妊活中の注意点

妊活中の注意点はただ1つ、ストレスを溜め込まないことです。妊活を始めても、すぐに妊娠できるとは限りません。妊活をする人の多くは、妊活を始める前から自分なりに何らかの努力をしている人が多く、それでも妊娠できないことでほかの方法を探っています。
妊活は勉強などと違い、努力しても必ず報われるものではありません。すぐに結果の出る人もいますが、結果が出るまでに時間がかかる人もいます。「なんで私だけ」と思いつめてしまうとストレスが溜まり、せっかくの努力が無駄になってしまうかもしれません。

先述したとおり、ストレスは妊娠を阻害する要因のひとつです。あまり自分を追い込まず、パートナーと協力しながら無理なく妊活を続けることが大切です。
また、妊娠しない理由がパートナーにあったとしても、相手を責めるような言動は控えましょう。2人が理解し協力し合うことができなければ妊娠は難しくなってしまいます。
妊活を1年以上続けても妊娠しない場合や、女性が30歳以上の場合、早期の妊娠を希望する場合などは、妊活の進行状況に関係なく早めに2人で医療機関を受診しましょう。

【まとめ】妊活はストレスを溜めず、悩んだら専門家への早めの相談がおすすめ

二人で妊活について調べている夫婦

妊活を成功させるためには、食生活の見直しや基礎体温の計測などを実践することが大切です。ただし、地道に努力してもすぐに結果が出るとは限らないので、あまり無理をしてはいけません。

妊活はご自分の努力だけでなく、パートナーの理解や協力があって初めて成功します。ストレスを感じるような妊活は妊娠を遠ざけてしまうため、悩んだりうまくいかない場合は早めに専門家への相談を検討しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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