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妊娠しやすい食べ物とはなにか?|必要な栄養素についても詳しく解説

妊娠しやすい体づくりには、食べ物に含まれる栄養素の力を活用することがいちばんの近道です。どんな食べ物を食べるかによって卵子精子の質の低下を防いだり、生まれてくる赤ちゃんの健康状態に影響するからです。ただ、どんな食べ物を食べたらいいのか情報が多くて迷ってしまう方もいるでしょう。仕事や家事に追われて食生活が乱れている人も多いかもしれません。

そこで今回は、妊活中の人が積極的に摂っておきたい着床しやすい栄養素や生殖機能を高める食材をご紹介します。

食生活を見直して妊娠しやすい体作りをしよう

精子や卵子はご自分の体で作られています。質のいい卵子と精子を作るのが妊活や不妊治療において重要です。卵子や精子が作られた時の体の状況が、生まれてくる赤ちゃんの健康にも関わってくるからです。

しかも妊娠率と食生活には大きな関連があります。偏った食生活をしていると貧血になったり、からだが不調になったりして妊娠しにくい体へなってしまい妊活や不妊治療をしても子どもが授かりにくくなります。

そこで妊娠しやすい体になるために食生活の基本を見直してみましょう。次の項目から妊娠しやすい体になるために必要な栄養素を具体的にご紹介します。

ビタミンEで生殖機能をアップ

ビタミンEは体内の活性炭素の増加を防いで老化を遅らせる働きがあります。そのため「若返りのビタミン」と呼ばれており、血行をよくしたり、からだを活性化させたりする働きがあるのです。ビタミンEは脂溶性のビタミンですが、とりすぎによる害はありません。

ビタミンEはいつ必要なのか

脂質を酸化から守る働きがあるビタミンEは葉酸と同じく妊娠中や授乳中に特に必要な栄養素です。通常の食事を摂取していれば、ビタミンEの不足による影響はあまりないと考えられているためそこまで目くじらを立てなくても大丈夫です。ただし、妊娠をしたら意識して多めに摂るのをおすすめします。

ビタミンEが豊富な食べ物

ビタミンEは、植物油、ナッツ類、魚介類に多く含まれます。植物油で最も多いのが、サフラワー油(紅花油)で100g中27.1mg、ナッツ類ではアーモンドが100g中29.4mg、魚介類ではあんこうの肝が100g中13.8mgです。

その他、うなぎ、たらこ、かぼちゃ、アボカドなどの食べ物にも多く含まれています。

男性ホルモンと精子に関係する亜鉛

亜鉛は生理機能の維持に重要な役割を担っています。体内の200種類以上もの酵素のサポート役としての働きをしており、細胞分裂正常に行って新しく細胞を作ったり、たんぱく質を合成したりするため、体の成長に欠かせない栄養素です。

不足すると味覚障害や皮膚炎を生じたり、免疫力が低下するため感染症などに対する抵抗力も落ち、傷の治りが悪くなったりします。

亜鉛は男性妊活にとって重要な栄養素

亜鉛は別名「セックスミネラル」と呼ばれる栄養素です。少ないと精巣(睾丸)の精細管が萎縮してしまい、精子をつくりにくくなるからです。

また、血液や皮膚、骨、腎臓、肝臓、脳に多く存在していますが、男性では特に前立腺や精巣に高濃度に含まれています。精液中の亜鉛濃度が低下することで、精子の運動性が低下するので男性の妊活に欠かせない栄養素です。

亜鉛が多く含まれている食材

亜鉛は、カキ、豚レバー、牛肉などの動物性の食べ物に多く含まれます。他にも牡蠣、かずのこ、サザエ、ホタテ貝、いわし、ししゃも、にしんといった魚介類、ひじき、わかめ、昆布などの海藻類、アーモンド、カシューナッツといったナッツ類にも亜鉛は豊富です。

骨を作る栄養素ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて丈夫な骨を作る為に大切な栄養素です。妊活への影響としては、血中ビタミンD濃度が低いと妊娠率が低くなり、流産率が上がる傾向があると言われています。その他には月経前や更年期にみられる気分の変調は、ビタミンDの摂取により改善効果があるそうです。

妊娠・授乳期のお母さんのビタミンD濃度が、小児期や思春期の成長にも関係しており、妊活中から意識して摂っておきたい栄養素です。

ビタミンDが豊富な食品

ビタミンDには、ビタミンD2とビタミンD3の2種類があり、ビタミンD2は、きのこ類に多く含まれている植物性、ビタミンD3は魚肉や魚類の肝臓やバター、卵黄などに多く含まれる動物性です。

サケ、マグロ、サバなどの脂肪性の魚および魚類肝臓、牛のレバー、バター、チーズ、卵黄などには動物性のビタミンD3が豊富です。キノコ類には植物性のビタミンD2が多く含まれています。

日光浴でビタミンDを生成しよう

ビタミンDは『太陽のビタミン』とも呼ばれており、その生成には太陽光を浴びることが欠かせません。紫外線を浴びると肌へ悪影響を及ぼすので日差しを避けてしまいがちですが、1日15分から20分程度で構いませんのでお日様の下で過ごしてみてください

バランスの良い食事を摂るために玄米を食べてみよう

木のテーブルの上の鉢に入れた有機玄米
ここまで妊娠しやすい体にするために摂っておきたい食べ物を栄養素別に紹介しましたけど、この他にもビタミンBやビタミンA、鉄分、カルシウム、食物繊維なども必要になってきます。そうなると食べないといけない食材が増えてしまい、とてもではないけど一日の食事でフォローできません。

そこで主食として食べているご飯を玄米に変えてみるのはどうでしょう?取り替えるだけで不足しがちな栄養素を摂れるのでおすすめです。

玄米は白米を比べたとき、エネルギー源となる炭水化物やたんぱく質の総量の違いはほとんどありません。しかし、ビタミンやミネラル食物繊維などの副栄養素の含有量では、それぞれ数倍から十数倍の差が見られます。100gの玄米には、ビタミンB1が0.41mg、マグネシウムが110mg、食物繊維が3.0g含まれており、同量の白米と比較するとビタミンB1とマグネシウムは約5倍、食物繊維は約6倍です。

なぜなら玄米には精米すると取り除かれる糠層(ぬかそう)や胚芽(はいが)にビタミンやミネラル、食物繊維などがバランスよく含まれているからです。また、体内でビタミンCの働きをするプロビタミンCが含有されています。そのため「完全食」と呼ばれています。

体外受精の着床率をアップさせる食事

妊娠するためには質の良い卵子ができやすい卵巣や、受精卵(胚)が着床しやすい子宮内膜へ導く必要があります。体内の環境を整えることで受精卵が卵管を経て子宮内膜の中に入りやすくなるからです。

不妊治療でタイミング法から体外受精人工授精へ治療法が変わる場合も条件は同じですので着床しやすくするための食事ついて詳しく説明します。

タンパク質を摂る

人間の体を形成しているのは1位は水ですけど、2位はたんぱく質です。筋肉・臓器・皮膚・髪の毛などの組織、血液成分・ホルモン・免疫の抗体・酵素・遺伝子などを作ります。もちろん卵子と精子もたんぱく質で作られています。

妊活にとって大切な卵細胞や精子細胞は75日ほどで成長します。これらの細胞の入れ替えを支えるためには十分な量のたんぱくの補充が必要です。

ただし、たんぱく質が過剰に摂取してしまうと腎臓や肝臓に負担がかかってしまうので回数に分けて摂るようにしましょう。摂るときも同じタンパク質量を含む食品でもアミノ酸の構成はそれぞれ異なるため体内で作れない必須アミノ酸が含まれた食べ物を摂るようにしてください。具体的にはまぐろ、かつお、あじ、サンマ、牛肉、鶏肉、卵、納豆、高野豆腐、チーズなどです。

糖質を抑える

糖質を控えると「糖化」を防いでくれます。実はこの「糖化」こそが着床しにくくしてしまうのです。

糖化とは、タンパク質が糖と結合して変性してしまうことです。これは血糖値が140〜160mg/dL以上になると起こると言われています。イメージとしてはたんぱく質が焦げてしまう感じです。卵子もたんぱく質でできているため糖化してしまうと質が落ちてしまいます。しかもたんぱく質が変性・劣化して、AGE(終末糖化産物)となります。AGEは強い毒性があるため、蓄積がおこると老化の原因となり、卵巣機能の低下してしまうのです。

糖化を防ぐためにも、血糖値を必要以上に上げない食事を心がけてください。ただし、過度な糖質制限は栄養不足となるため医師を相談しながら薦めていきましょう。

いい油を摂る

近年「コレステロールが高い女性ほどAMH(アンチミューラリアホルモン)が高い」ことがわかりました。アンチミューラリアホルモンとは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血中AMH値が原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映すると考えられており、卵巣内にどれぐらい卵の数が残っているか目安となっています。

つまり良質なコレステロールを摂ると卵子の質が確保しやすくなるのです。しかもコレステロールは女性ホルモンと男性ホルモンの材料で、卵子や精子などの細胞膜の形成にも、コレステロールが必要です。卵黄や豚レバーなどの食べ物に含まれているのでバランスよくコレステロールを摂取しましょう。

葉酸を摂っても妊娠しやすくならない

サプリを飲む女性2
妊活といえば葉酸の摂取が当たり前になっています。「葉酸サプリメントを飲んでください」といわれた方もいるでしょう。しかし、ご注意していただきたいのが「葉酸=妊娠しやすい」という認識です。

葉酸は、細胞の分裂や成熟に大きく関わっていて、妊娠初期にお腹の中にいる赤ちゃんが人間の重要な器官を作るときに重要な成分です。妊娠1か月以上前から摂ることで、お腹の中の赤ちゃんの脳やせき髄の発達異常のリスクを減らせるのです。通常生活では十分摂取できているのですが、妊活中女性の必要量が普段の1.8倍にアップします。そのため妊活の頃から葉酸を摂ったほうがいいと言われているのです。

まとめ

妊活や不妊治療において食生活の大切さをご紹介しました。年齢を重ねていくと卵子と精子の質は落ちていくため食生活の見直しをしないといけません。

ただ、仕事や家事でどうしても食生活が乱れがちになってしまうこともあるでしょう。適度な運動をする、良質な睡眠を取る、体を冷やさない、ストレスをためないなど生活習慣の改善も重要ですが、口の中に入る食べ物が偏っていると卵子も精子も質が落ちていってしまいます。反対に食べ物をしっかり食べ、栄養を改善していくと、体は確実に変わっていきます。早い人は1ヶ月くらいでお肌の変化を感じ、3ヶ月もあれば髪や爪も変わってきます。そうすると体内環境も変わっていきます。生理不順だったのが順調になったりしていき、妊娠しやすい体へと変化していきます。

なぜなら一回一回の食事から摂る栄養が細胞のひとつひとつを作り、ホルモンや酵素の材料となっているからです。正しく栄養を摂れば体質が変わっていくのは当然といえます。

だからこそ妊娠しやすい体へ変化していくために食生活の見直しから始めてみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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