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ダウン症とわかり中絶しました。後悔した患者さんの思いとは

ミネルバクリニックには、日々多くの妊婦さんが相談にやってきます。
院長自身、臨床遺伝専門医として、出産・育児の経験がある女性として患者さんの話を聞いてきました。

本当はNIPT新型出生前診断)を受けた方が幸福になってほしいのですが、現実は甘くありません。検査を受けて出した結論に後悔をしている方も大勢いるのが現実です。
悲しみの中にいる患者さんを見ているのは正直つらいのですが、医師としてできる限りのサポートをしてきたつもりです。

今回は、ミネルバクリニックに来院された患者さんの中でダウン症21トリソミー)の判定を受けて後悔する決断をした患者さんの体験談をご紹介します。
この事を知って正しい情報を知ろうというきっかけになれば幸いです。

Aさん(東京都三鷹市在住・34歳)の場合

女性の患者を励ます未知の女医の手、接写。 医学のコンセプト
NIPT(新型出生前診断)を受けようと思ったのは、妊婦健診で産婦人科の先生から
「子どもに染色体異常があると厚くなるといわれている『NT』と呼ばれている部分が通常より厚い」と言われたからです。
確か妊娠3ヶ月(11週)くらいだったと思います。

聞いた瞬間、頭が真っ白になってしまい「どうしよう」と思っていると「『はっきりしたことが知りたければ羊水中の胎児細胞を調べる羊水検査か新型出生前診断(NIPT)を受けるといい』と言われました。あとは、料金の話だけです。

あまりにも事務的な対応だったから「検査機関を紹介する」と言われても断ってしまい、自分で調べることにしました。
そこでミネルバクリニックを見つけたのです。
先生が女性だったから話を聞いてもらえると思い、予約をしてクリニックへと向かいました。

そうしたらすごく色々な話を聞いてくれて、私の気持ちを察してくれたのがとても助かりました。
その時に、ダウン症になっている確率やNIPTは確定検査ではないという説明も受けて、NIPTを受けようと決めました。

結果は陽性だったので、絨毛検査ができる病院でも調べてもらっても同じです。

最初は、夫と「ダウン症だったら中絶しよう」と話していたのですが、結果が確定したら気持ちが揺らいでしまったのです。
中絶という現実をいよいよ喉元に突きつけられ、抵抗感が生まれたのでしょう。
それと、どうやって日一日と大きくなっていく、この赤ちゃんと別れられるのかわからないのに中絶を求められるのもイヤでした。
夫は「絶対に育てられない」「中絶しないなら離婚しよう」とまで言ってきて毎日口論が絶えなくなったのです。

私は、どうしたらいいのかわからない状態で2つの選択肢を突きつけられたのです。

1つは、夫の言うとおり中絶をする。

もう1つは、離婚して一人で子どもを育てる。

このどちらかでした。私は最終的に夫の言うとおり中絶を選んだのです。
決めるとなったら早く中絶をしたいと思い、病院に予約を入れました。決めたのは妊娠20週に近づくと胎動を感じると聞いたからです。
赤ちゃんが生きている実感があるのに堕胎するなんてできません。

そうしてすぐに病院に予約を入れて、入院までの僅かなひとときを三人でいた証を残そうとマタニティフォトを撮影しました。
撮り終わった後、二人で泣きじゃくってしまい、どうしようもできなかった。

そして中絶の手術を受けて、子どもは荼毘に付せられ、一緒に火葬場へと行きました。

それから子どもがもういないつらさ、そして、自分が決断してそうしたのだという罪悪の念が襲ってきました。
心理カウンセリングに行きたいと思ったんですが、どこに行ったらいいのかわからないんです。
でも、朝から晩までつらくて…… 夜、ひとりで家にいると過呼吸の発作が起きてくるので、家中の窓を開け放って冷気の中で必死に息をしていました。
夜も一晩中、寝ているのか寝ていないのかわからないような状態が続いて朝を迎える日々です。

食事も食べようとすると「子どもはもう何を食べられないし、それは自分のせいだと思うと自分だけが食べるなんて許されない」ような気になり、満足に食べることもできませんでした。

周りの人たちは優しくしてくれたけど、それも苦しかった。だから同じ境遇の人に会いたかった。
同じ境遇の人に自分の話を聞いてもらいたいと思って藁をも掴む思いでとある集まりに行って、ようやく自分の気持ちを伝えられたのです。

今でも子どもを中絶したことを責めてしまうことがあります。
夫は「気にするな」と慰めてくれますけど、やっぱり無理です。「NIPT(新型出生前診断)を受けなければ……」なんて思ったりもします。

Bさん(千葉県千葉市在住・32歳)の場合

医者と患者がテーブルに座りながら何かを話し合う。医療と医療のコンセプト
きちんと調べれば良かった。今でも後悔しているんです。

私は30歳で結婚をしてすぐに妊娠をしました。新婚生活なんて気分は吹っ飛んでしまい、バタバタしながら妊婦健診を受けていたらクアトロテスト(母体血清マーカー検査)を産婦人科の先生に勧められて受けたのです。

そうしたら「ダウン症候群の確率が35%」という結果だったのでNIPT(新型出生前診断)を受けることにしました。
通っていた医院ではNIPTをやっていなかったので、ネットで検索したミネルバクリニックで遺伝カウンセリングを受けてきました。
説明もわかりやすくてNIPTでも子どもがダウン症だと確定したわけではないと聞いた上で検査を受けたら陽性の判定が出たのです。

事前に聞いてはいたけど、ショックで頭の中が真っ白になってしまい、なぜか
「ダウン症の子どもを育てる自信がないから中絶するしかない」と思い込むようになりました。
ミネルバクリニックの仲田先生は「羊水検査を受けてみましょう」と言ってくれたのですが、言うことを聞かずに中期中絶手術を選んでしまったのです。

旦那にも納得してもらって入院をして手術を受けた後、なぜか涙が止まりませんでした。
やっぱりどこかで罪の意識があったのかもしれません。数日は塞ぎ込んだままでしたけど、何とか体を動かせるくらいにまで回復しました。

それから数日過ぎたある日、近所にダウン症の子どもがいる家族が引っ越してきました。

その家は外から見たら大変そうにはとても見えなくて、みんな笑顔で過ごしていたのです。
買い物に行くのも笑顔だし、ダウン症のお子さんも一人で出かけて遊んでいました。

気になって改めて調べてみるとダウン症の人を受け入れる環境は昔よりも整っていて、地域によっては普通学級に通えるところもあると知りました。
平均寿命も伸びてきて、60歳を超えても元気で暮らしている人もいるそうです。
「ダウン症の子どもを持ったら大変だ」そんな思い込みだけで中絶を選んでしまった自分を責めてしまいました。
自分の判断が間違えていたかもしれないと思うといたたまれない気持ちになり、誰かに話を聞いてもらいたくなり、ミネルバクリニックに行きました。

仲田先生は私の話を受け止めた上で
「NIPT(新型出生前診断)を受けるからには、ちゃんと理解して。陽性の場合には厳しい選択を迫られるというのは、そういう事があるからだったの」を話してくれました。

幸いにして2年後に二人目の子どもが無事出産できて家族で暮らしてますが、正しい情報を知らずに安易に受けてしまったことを今でも後悔しています。

Cさん(埼玉県川口市在住・40歳)の場合

不妊を相談する若いカップル
私には今、双子の女の子がいます。そのうち1人はダウン症です。

実はその前にNIPT(新型出生前診断)でダウン症の陽性と判定されて中絶をした過去があります。
結婚したのは7年前で、お互いに子どもが欲しかったので避妊しないでいたらすぐに妊娠しました。
その時に近所のクリニックで「「NT(後頚部浮腫)と呼ばれる首の後ろのむくみが厚く、年齢と掛け合わせた表で見ると、染色体異常のある可能性が8分の1ある」
と、検査を受けた方がいいと言われました。

まだ9週だったのでNIPTを受けてみることにしました。ミネルバクリニックに予約を入れて、遺伝カウンセリングを受けてから検査になりました。
検査自体は採血するだけであっさりと終わったのですが、結果は陽性。ダウン症の確率が高いと言われたのです。
そこで仲田先生に「NIPTは非確定検査だからまだ決まったわけではない」と説明をされ、羊水検査も受けてみることに。
そこでも陽性が出てしまい、夫と相談をした上で泣く泣く子どもを諦めました。

それから二度、妊娠したけどどちらも流産してしまい、私は「ダウン症だから中期中絶をした自分のせいだ」と思うようになりました。
夫は慰めてくれたけど、その時の私は中絶をした自分を責めてしまい、後悔の気持ちしかありませんでした。

二度目の中絶から2年後、再び妊娠をしました。もうダメかと思っていたので喜びはひとしおです。
でも気になったのは子どもが先天性疾患を持っていないかどうかです。
最初の子を妊娠したときにNIPTを受けて中絶した苦い過去があるので、今度は受けないと思っていました。

もしダウン症の子どもだったとしても、今度は産んで育てると二人で決めていたからです。
そのために色々と調べてみるとダウン症の子どもが生まれたら準備しなくてはいけないことがたくさんあるのを知りました。
昔よりも社会福祉が充実していて、色々と相談できたり申し込みができるようになっていたのです。

そこでもう一度NIPTを受けようと思いました。今回はダウン症だから中期中絶という選択ではなく、産むことが前提です。
もしダウン症だったら生まれてきて保育園や学校へ行くための相談や、社会保障を受けるための準備をしたいからです。
場合によっては引っ越しも視野に入れていました。

結果は一人が陽性でした。羊水検査は受けていません。
だって、ダウン症でも産むつもりでしたし、受けたのは生まれてくるまでに準備が必要だったからです。
一度後悔したからこそできた覚悟だったと思います。

まとめ

今回は、NIPTを受けてダウン症(21トリソミー)で陽性の判定を受けてしまった妊婦さんの経験談を紹介してきました。どの方も皆さんつらい決断をされてきています。日本産婦人科学会やマスコミは「命の選択につながる」と安易に批判的な論調を向けますが、誰も簡単に決断したのではないというのを知ってください。

これからもNIPTを希望される妊婦さんが出てくるでしょう。
その時につらい結果が出てもサポートできる体制を作るためにも、正しい情報を患者さんに提供するのが医療の役割です。
だからこそ、遺伝カウンセリングを実施できない非認証施設でのNIPTには反対ですし、さまざまな制限をかけている認証施設の体制にも疑問視しています。
患者さんのための体制になっていないのが日本のNIPTの問題点です。

東京の「ミネルバクリニック」は、臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設です。
これまでたくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。
ミネルバクリニックでは、妊娠9週(ご希望の方は妊娠6週)から受けられる赤ちゃんの健康診断「NIPT」を、業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。
遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、安心してご相談ください。
妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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