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スーパーNIPTのエビデンス|T21・T18のPPV(陽性的中率)と精度データ|ミネルバクリニック

スーパーNIPTのエビデンス|T21・T18のPPV(陽性的中率)と精度データ|東京青山・ミネルバクリニック

スーパーNIPTのエビデンスとは?
T21・T18のPPV(陽性的中率)と精度データを専門医が整理

この記事でわかること
📖 読了時間:約7分
🩺 出生前検査・NIPT
臨床遺伝専門医監修

Q. このページは何のためにありますか?

A. スーパーNIPT(第3世代NIPT)に関する、T21・T18のPPV(陽性的中率)や偽陽性・偽陰性の公表データを整理して提示するページです。
数値は、学会発表・論文報告における対象集団・症例数・解析条件に基づくもので、すべての症例で同一の結果を保証する趣旨ではありません。


  • PPV(陽性的中率)の意味と注意点

  • 偽陽性・偽陰性の考え方

  • 学会発表・論文報告の表データ(横スクロール)

  • 注意:数値は報告条件に依存し、単独解釈は避ける

1. このページの目的

【結論】 スーパーNIPT(第3世代NIPT)の精度を「数字の印象」だけで判断しないために、PPV(陽性的中率)偽陽性・偽陰性に関わる公表データを、条件とセットで整理します。

⚠️ 重要: 本ページの数値は、学会発表・論文報告における特定条件(対象集団、症例数、解析条件等)に基づくものです。すべての妊娠・症例で同一の結果を保証するものではありません。

2. PPV(陽性的中率)とは

Q. PPV(陽性的中率)とは何ですか?

A. PPVは「陽性と判定された方のうち、実際に該当する割合」です。対象集団・症例数・解析条件などで変動するため、数値は提示元の条件とセットで理解します。

3. 偽陽性・偽陰性の考え方

【結論】 NIPTはスクリーニング検査であり、偽陽性・偽陰性は妊娠背景や検体条件など複数要因で起こり得ます。陽性の場合は確定検査で診断を確定します。

4. 第1〜第3世代NIPTと精度の前提

【結論】 同じNIPTでも解析方式は一様ではなく、技術背景の違いが偽陽性・偽陰性やPPVに影響します。


  • 第1世代:WGS法(全ゲノムの相対量解析)

  • 第2世代:SNP解析・ターゲット解析などによる改良型

  • 第3世代(スーパーNIPT):母体DNAと胎児DNAの差異(例:メチル化の違い等)を利用した解析

5. 学会発表に基づく比較データ(基本3トリソミー)

P01.69A Half decade experience: karyotyping, aCGH or NIPT – changes in prenatal testing strategy(ESHG 2019)
Kuznetsova ほか(Mother and Child, Moscow)

NIPTテスト 低リスク 高リスク 確定検査(PPV) 偽陽性 偽陰性 侵襲検査拒否
第2世代(パノラマ) 3381 191 91(61%) 58(38%) 1(0.6%) 41
第2世代(ハーモニー) 1939 79 57(80%) 14(20%) 0 8
第3世代(2017~) 1583 33 31(100%) 0(0%) 0 2
合計 6903 303 179 72 1 51

6. 論文報告データ(基本検査+性染色体)

【結論】 報告条件の範囲内で、T21・T18のPPVが100%と提示されているデータがあります(下表)。数値は必ず条件とセットで解釈してください。

項目 症例数 経過観察 感度 陽性的中率% 陰性的中率%
正常 10280 10280 99.98%(95%CI 99.93-99.998%) 100
T21 126 44 44 100%(95%CI 92-100%) 100
T18 24 10 10 100%(95%CI 69-100%) 100
T13 16 7 5 100%(95%CI 48-100%) 71

7. 双胎と第3世代解析(メチル化等)の話

第3世代NIPTでは、母体DNAと胎児DNAの差異(例:メチル化の違い等)を解析に利用することで、従来法では得にくい情報が示唆されることがあります。解析上の示唆は妊娠背景・検体条件・解析条件により変動し得るため、臨床的な判断は主治医の説明や必要に応じた追加検査と合わせて行ってください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「PPV100%」は常に成り立ちますか?

PPVは対象集団・症例数・解析条件などで変動します。PPV100%は、提示元の報告条件の範囲で得られた結果として理解することが重要です。

Q2. NIPTが陽性だった場合、確定検査は必要ですか?

NIPTはスクリーニング検査(非確定検査)です。陽性の場合は羊水検査などの確定検査で診断を確定する必要があります。

参考情報(出典表記)

  • ESHG 2019 発表(上記に記載した演題情報)
  • 表データは、提示されたソース内の数値(症例数・PPV・偽陽性・偽陰性等)をそのまま転記しています。


プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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