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NIPTの理由|健診で説明してくれない

東京でNIPTをはじめとする遺伝子検査提供するミネルバクリニックです。

健診のとき、医師がカルテに書いたNT?の記載を説明してくれなかった

ある日,ミネルバに20代後半の女性が夫婦できました.
そのころ,うちはNIPTを始めたばかりで.
20代の人はほとんどいませんでした.
なので、「うけなくてもいいんじゃないの?」と正直、思ってしまいました。

彼女は言いました。
健診で何も説明されなかったのだけど、NT?って書かれてた。
何ミリか見てない。
次の週に来てと言われて、行ったら 大丈夫だったみたいで。
でも。
それがどういう意味なのかわかんないし
なにも説明してくれない。
不安でたまらない。

思いつめた表情の彼女を励まそうとしてこう言いました.

大丈夫よ.気にしなくても.貴方の年齢なら低いから.きっと陰性よ.

でも.彼女はとても不安そうで。

そして,検査結果が出たとき,わたしはびっくりしました.

トリソミー.それも珍しいトリソミーである第18番染色体のトリソミーです。
彼女の年齢なら1/8000くらいですね。

結果が出たので来るように彼女に伝えて予約を取りました.
そのころのミネルバクリニックは診察室が一つしかなかったので
結果も予約制だったんです。

約束の日。

ドアを開けて出迎えたわたしと目が合った瞬間,彼女は「イヤー」と叫びました.

いるんですよ.勘の鋭い女性って.世の中には.

彼女が落ち着いて部屋に入れるようになって.結果をお伝えしました.

まだ何も決まったわけじゃない.羊水検査を受けようね.
陽性的中率30%って書いてあるでしょ?
おちついて受けよう.きっと陰性よ。

そして彼女は実家の近くで出産を予定していたので、そちらの病院で羊水検査を受けるといいました。
ちゃんと羊水検査を受けてくれることになったので、安心しました。

それから、どうだったのかな?と思って連絡したけど
なかなか連絡取れませんでした。

しばらくして,彼女からはNIPTの結果が当たっていたことを報告されました.
そして,今回の赤ちゃんはあきらめたと.

彼女は産婦人科の医師のカルテ記載に疑問を持って,
念のために調べたいという気持ちになったんです.

先生はNT?と書いて何も説明しなかったから。
次に行ったときには大丈夫と書いていたそうです.
何も説明されなかったので不安になって,ミネルバに来た.

そしたら,ミネルバではトリソミーと言われた.

初めての妊娠.

でも.うちに来なかったらわからなかったですよね.

お腹に宿った命を失うって、どんな形でもつらいです。

小児科の先生たちは、T18は教科書的には1年と書かれてあるが、最近ではサバイバルが平均6年と延びているといいます。

だからって、最初から短命だとわかっている子供を産んで育てたほうがいい、という考えにわたしはなれません。

わたしは36週6日で一卵性双生児の一人を死産しました。
無事に産まれてきたもう一人を見るたびにこの子がもう一人いたんだと涙しました。
それから28年近くたった今でも双子用のベビーカーは見れません。涙が出て。

親って死んだ子の年を数えるんですよ。いつまでも。

どうせいつかさよならしないといけないってわかっているのだったら
早いほうがいい、と思う気持ちって責められるのでしょうか?

子供を失ったことのない人たちに、こういう気もちってわからないと思います。

でも。
どんな赤ちゃんかちゃんと羊水検査もせずに中絶していいとも思いません。

出生前診断は,あなたの運命もお子さんの命もかかっています.

NIPTのいいところは、陰性は本当に100%に近い確率で陰性なところですが。

陽性の場合はどうしてもこの検査では確定できません。
理由はこちらのページを見てください。

だからこそ,ちゃんと理解して受けてほしいと思います.

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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