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「双子の場合でもNIPT(新型出生前診断)を受けられるの?」
「双子の場合NIPTの検査結果は正しく出るの?」
双子を授かった妊婦さんの中にも、NIPTについて興味・関心を持つ方は大勢います。
不妊治療の末に、高齢で双子を授かったという方も多いことでしょう。
稀に双子のダウン症候群などの染色体疾患のお子さんたちもいらっしゃるので、障害のあるお子さんが一度にお二人となると大変さも倍以上となり、心配するのも無理からぬことかなと思います。
一方で、双子の出生前診断については「正確な結果が得られないことがある」「リスクが高い」などといわれることもあります。
このコラムでは、不安に感じられていることも多い双子のNIPTについて詳しく解説します。
双子の場合でもNIPT(新型出生前診断)は受けられるの?
双子を授かった場合に、NIPT(新型出生前診断)を受けられるかどうかについて解説します。
双子だからといって検査が受けられないということはなく、検査結果の精度にも大きな影響はありません。
基本的には受けられる
基本的に、胎児が双子であってもNIPT(新型出生前診断)を受けることができます。
このとき、一卵性双生児・二卵性双生児のいずれの場合においても検査は可能です。
ただし、胎児が3人以上の多胎児の場合にはNIPTは受けられません。
また、双子でもNIPTが受けられるというのはあくまでも基本的な原則であるため、個別の対応可否については直接クリニックにお問い合わせください。
検査結果の精度には影響ない
双子の場合であっても、NIPT(新型出生前診断)の検査結果の精度に関しては大きく影響しません。
NIPTを受けて「陰性」の検査結果だった場合、99.9%の的中率です。
ただし、出生前診断の一つの手法であるクアトロ検査(母体血清マーカー検査)は、双子の場合に的中率が大きく低下してしまう可能性があります。
元々の精度がクアトロ検査とNIPTとでは大きく異なりますが、クアトロ検査を受ける際にはより慎重に結果を受け取る必要があります。
「陽性」の場合の結果の受け取り方(解釈の仕方)について
NIPT(新型出生前診断)の検査を受けて「陽性」の反応が出た場合には、一卵性か二卵性かによって結果の意味が異なります。
・一卵性双生児で「陽性」反応だった場合
胎児は2人とも遺伝子の先天性異常を発症しています。
※非常に珍しいケースで海外の事例で、染色体検査をしてみたら一卵性双生児の内1人のみがダウン症者で生まれたという事例がありますが、このようなケースは極めてまれなケースです。モザイク現象によるものだと考えられます。
・二卵性双生児で「陽性」反応だった場合
胎児2人の内1人、あるいは2人ともが先天性異常を発症しています。
この時、1人だけ発症しているのか2人とも発症しているのかを確認することはできません。
双子ならではのNIPT(新型出生前診断)の注意点
NIPT(新型出生前診断)などの出生前診断を受けるときに、双子ならではの注意点があります。
この章では双子ならではのNIPTのポイントを3点お伝えします。
検査項目によっては結果が正確に出にくい
双子のNIPT(新型出生前診断)では、以下の項目については結果が正しく受け取れないことがあります。
・性別
二人とも女児の場合は性別も確認できますが、男児2人なのか男児1人・女児1人なのかの区別は、NIPTの結果からは分からないことがあります。
・常染色体や性染色体などの検査がおこなえるかどうかはクリニックによります。
料金はクリニックの設定により異なる
双子の場合の料金については、クリニックの価格設定によって異なります。
基本の料金に若干のプラスアルファで対応しているクリニックもあれば、2人分の検査費用の料金体系を取っているクリニックもあります。
ミネルバクリニックでは赤ちゃんが一人でも二人でも料金は同じです。
結果の受け止め方については専門家に相談を
NIPT(新型出生前診断)の検査結果の受け止め方の難しさについては、双子だからといった問題ではありませんが、双子だからこそ判断が難しい状況が生じるのも確かです。
典型的なケースは、2人の胎児の内1人のみ染色体異常が見られるケースです。
このケースでの出産をするのかしないのかという判断は、倫理的な面においてとても難しいものです。
正直なところ、日本国内においては双子の内一方だけを人工中絶することについては、ネガティブな意見があることは事実です。
とはいえ、現実的に先天性異常を持った子どもを育てる自信がないという方が多いのも事実・・・
とてもデリケートな問題なので、産婦人科やクリニックの医師・臨床遺伝専門医と相談して、妊婦さんやご家族が納得のいく答えを見つけていきましょう。
双子のNIPT(新型出生前診断)で起こりうるバニシングツインとは?
双子のNIPT(新型出生前診断)について考えるときには、バニシングツインについても理解しておくことが大切です。
バニシングツインとは何かという点を踏まえて、ひとつずつ解説します。
バニシングツインとは?
バニシングツインとは、子宮内の双子の1人がうまく育たず、消失してしまう事象です。
割合としては、双子を妊娠した方の内10~15%程度に起こり得ます。
時期としては、妊娠6~8週目ごろに起こりやすい事象です。
バニシングツインの影響
バニシングツインは、急に赤ちゃんの一人が消えるようにいなくなってしまうので、大きな精神的ショックを受ける妊婦さんは少なくありません。
ただ、妊娠初期ということもあり、物理的には妊婦さん自身にも、もう一人の胎児にも大きな悪影響が生じることはありません。
それ以上に、バニシングツインはNIPT(新型出生前診断)の結果に影響を及ぼす恐れがある点を理解しておく必要があります。
バニシングツインで起こり得ること
バニシングツインによって起こりうるNIPT(新型出生前診断)への影響は次の通りです。
- ・偽陽性・・・NIPTの結果、「陽性」(染色体異常のリスク高)との結果が出たものの、その後の確定診断(羊水検査・絨毛検査)で「陰性」であると判断されること
- ・偽陰性・・・NIPTの結果、「陰性」(染色体異常のリスク低)との結果が出たものの、その後のエコー検診などで実際には「陽性」であることが分かるケース
- ・性別の不一致
このようなエラーは、消えているように見える胎児のDNAが、まだ子宮の中にあり、妊婦さんの血液の中にDNA断片が放出され続けていることによって起こります。
そしてこれらのリスクを避けるために、バニシングツインのNIPTの検査受付を行っていない病院・クリニックもあります。
従って、NIPTのクリニックを選ぶときには、あらかじめクリニックにバニシングツインであることを伝えることと、知識や実績が豊富な先生のいるクリニックに依頼をすることがポイントです。
まとめ
このコラムでは、双子のNIPT(新型出生前診断)のポイントについてご紹介しました。
三つ子以上になると事情は変わりますが、双子の場合には基本的にNIPTを受けることができます。
NIPTを受ける場合は、双子ならではの検査結果の受け取り方(一卵性と二卵性とで結果の受け止め方が異なることや性別が特定できない場合があることなど)やバニシングツインによって結果が正常に出ない可能性があることなどの注意点を把握しておきましょう。
また、双子の場合には、検査結果の受け止め方がより重くなることがあるので、信頼できる医師のいるクリニックを選ぶことも大切です。