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出生前診断の費用はどれくらい?保険適用や医療費控除についても解説

女性の生き方が多様化するにつれて出産年齢が高くなり、出生前診断を受ける妊婦さんが増えてきています。そこで気になるのが費用ではないでしょうか。
出生前診断は全部で6つの種類があり、検査によって調べられる疾患や検査の精度が異なります。
今回は出生前診断の費用について詳しく説明していきます。

出生前診断 それぞれの費用

出生前診断には「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります。
非確定検査と呼ばれるものにはNIPT、超音波エコー検査、母体血清マーカー(クアトロ検査)、コンバインド検査などがあり、確定的検査には羊水検査と絨毛検査があります。
検査可能な妊娠週数や調べられる疾患、検査精度などがそれぞれ異なりますが、ここでは費用面についてお伝えします。

検査名 検査時期 費用 検査項目

NIPT 妊娠10週目〜 10〜20万円 21,13,18
トリソミー
超音波エコー検査 妊娠10週目~ 2~3万円 21,13,18
トリソミー
母体血清マーカー
(クアトロ検査)
妊娠15~17週 2~3万円 21,18
トリソミー
コンバインド検査 妊娠11〜13週 3~5万円 21,18
トリソミー

羊水検査 妊娠15~18週 10~20万円 21,13,18
トリソミー
絨毛検査 妊娠10~13週目 10~20万円 21,13,18
トリソミー

非確定検査は、NIPTがずば抜けて費用は高めとなっています。ただし、他の非確定検査と比較するとNIPTの検査精度は非常に高く、調べられる染色体異常の数も多い点が特徴です。

出生前診断は保険適用できるか?

出生前診断は自由診療になるため保険は適用されません。検査費用は全額自己負担となります。国民健康保険の適用は、怪我や病気の治療の範囲に相当するものと定められています。そのため、妊娠や出産に関する検査は保険適用外となります。

医療費控除の対象になるのか?

出生前診断は、すべての検査が医療費控除の対象ではありません。血清マーカーやNIPT、絨毛検査、羊水検査などは、胎児の染色体の数的異常を調べるものです。検査をした結果、たとえ染色体異常が発見されたとしても、まだ生まれていない胎児の検査は医療控除の対象ではないと考えられています。
控除の対象になるのは検査で入院をした場合ですが、羊水検査で1泊2日の入院をしても医療費控除の対象外です。怪我や病気の治療ではないためです。

補助金は使えるのか?

妊婦検診は自治体から費用の一部または全額補助がありますが、出生前診断は位置づけが異なるため自治体から助成金は出ません。ただし、NIPTの結果が陽性の場合、医院によって羊水検査と絨毛検査の費用を一部負担してくれる場合があります。負担の有無や金額は医院ごとに違うので、確認しましょう。

NIPT(新型出生前診断)の費用について

出生前診断費用1

2013年から日本でも可能になった検査がNIPTです。非確定検査でありながら検査精度が99%と高く、妊娠9週目から母体の採血のみで受けられるのが大きな特徴です。

検査時期 費用 検査項目
妊娠9週目〜 8〜25万円 ・21,18,13トリソミー
・微小欠失
・性別
(施設による)

NIPTの費用を再掲しました。金額の幅が大きい理由は、施設によって金額や調べられる病気の種類が異なるためです。NIPTが受けられる施設は大きく分けて、認証施設と非認証施設の2種類があります。
認証施設とは出生前検査認証制度等運営委員会が2022年2月に公表した「NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」に記載されている条件を満たした施設です。
非認証施設は、上記の条件を満たしておらず、出生前検査認証制度等運営委員会に認証されていない施設ということになります。非認証と聞くと違法な施設ではないかと考える方もいるようですが、違法ということではなく、検査の精度も変わりません。

認証施設のNIPT費用は10~20万円ほど

認証施設でNIPTを受ける場合、検査費用は10~20万円ほどです。認証施設では、遺伝の専門家による診察やカウンセリングが受けられるため妊婦さんがNIPTをしっかり理解した上で検査に進むことができます。
また、もし陽性判定となっても検査後のフォロー体制が整っているため、非認証施設よりも検査費用が高い傾向にあります。

非認証施設のNIPT費用は5~20万円ほど

非認証施設でNIPTを受ける場合、検査費用は5~20万円ほどかかります。非認証施設のNIPTでは、13,18,21トリソミーの3つ(基本検査)以外にもさまざまな検査を受けられるため、費用の幅が広く、検査項目の内容によって費用が変化します。
基本検査のみだと認証施設よりも低価格で検査できる施設が多いですが、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー、遺伝看護専門看護師が在籍していないことがほとんどで、十分なカウンセリングやアフターフォローを受けられない可能性があります。

ミネルバクリニックのNIPT(新型出生前診断)の費用

ミネルバクリニックは、内科専門医・がん薬物療法専門医・臨床遺伝専門医の3つの資格を持った日本で唯一の医師である院長仲田が営むクリニックで、NIPTの非認証施設です。遺伝カウンセリングでは院長の沖田が患者さま一人ひとりの事情を伺い、心に寄り添った個別対応をモットーとしています。非認証施設であるため、NIPTも基本検査のみならず患者様が知りたいことに合わせて検査することが可能です。

1.NIPT基本検査の費用

種類 費用 備考
第2世代(カリオセブン) 現在、第2世代のみの受付は中止
第3世代(スーパーNIPT) 17万6,000円(税込) 基本検査はこちら

NIPTの基本検査と呼ばれている13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーに加えて、性別・性染色体異数性(ターナー症候群(モノソミーX)など)が検査に含まれます。
第3世代NIPTは、DNAを抽出する段階で母体のDNA断片から赤ちゃんのものだけを正確に取り出して測定するため正確性が非常に高いです。これまで、トリソミー21、トリソミー18に関しては陽性的中率、陰性的中率が100%で偽陰性(陽性であるのに検査では陰性という偽りの結果がでること)の報告はありません。

2.微細欠失症候群・全染色体を追加の場合の費用

種類 費用 備考
第1世代 19万8,000円(税込) 微細欠失5疾患と全染色体(追加費用5万5,000円(税込))
第2世代 26万4,000円(税込) 微細欠失9疾患、全染色体は700万塩基以上の大きさで欠けたり重複したりするすべての染色体のすべての領域にわたり実施

第3世代NIPTには全染色体検査はありません。微細欠失4疾患を追加の場合の費用は総額で19万8,000円(税込)(追加費用2万2,000円(税込))です。

3.遺伝子検査を追加の場合

種類 費用 備考
第2世代デノボ 27万5,000円(税込) この検査のみを当院で受ける場合
13万2,000円(税込) 当院でNIPTを受けて追加する場合
第3世代スーパーNIPTジーンプラス
基本+微細欠失
23万6,500円(税込) 100の遺伝子の2000か所の病的変異による重篤な疾患が含まれる)
ご両親が病的変異を持っていなくてもお子さんの新生突然変異も検出可能。遺伝子検査の追加費用は3万8,500円(税込)

4.ペアレント・コンプリート

母体側の加齢と正相関する染色体の異常を、男性側の加齢とともに増える遺伝子の病的変異と合わせて検査していただくコースです。具体的にはNIPTの基本または微細欠失に第2世代のデノボを加えます。

種類 費用 備考
デノボプラス 35万2,000万円(税込) 第2世代と組み合わせる場合
(カリオセブン+デノボ)
スーパーNIPTペアレントコンプリート 30万8,000円(税込) 第3世代と組み合わせる場合
第3世代基本検査デノボ
スーパーNIPTプラスペアレントコンプリート 33万円(税込) 第3世代基本検査+4種類の微細欠失デノボ
スーパーNIPTジーンプラスペアレントコンプリート 35万2,000円(税込) 第3世代基本検査+4種類の微細欠失+100種類の遺伝子検査デノボ

5.コンプリートNIPTの費用

種類 費用 備考
カリオセブンスーパーNIPT100 38万5,000万円(税込)

6.コンプリートNIPTデノボプラスの費用

種類 費用 備考
カリオセブンスーパーNIPT100デノボ 44万円(税込)

NIPT(新型出生前診断)のメリット

出生前診断には、種類がありますがその中でもNIPT受検をおすすめする理由をNIPTのメリットを通してご紹介します。

母胎へのリスクが少ない

NIPTは妊婦さんの血液を20cc程度とる検査であるため、赤ちゃんへの直接的な影響はありません。確定的検査は妊婦さんのお腹に針を刺して検査をするため、感染や穿刺により羊水が流出することなど、さまざまな要因により流産のリスクがあります。
流産のリスクは絨毛検査で1%程度、羊水検査で0.2〜0.3%と高くはありませんが、0ではありません。NIPTは検査による流産の可能性がほとんどなく、安心して検査を受けられます。

精度が高い

NIPTはコンバインド検査、 母体血清マーカー、超音波エコー検査など他の出生前診断に比べ、検査精度・陽性的中率が高いのが特徴です。実際にどのくらい的中率が高いのか、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の的中率をまとめた表で紹介します。
以下は、NIPTを受検した35歳の妊婦さんの陽性的中率と陰性的中率です。
ここでの陽性的中率とは「陽性と判定された人が本当に陽性である」確率、陰性的中率とは「陰性と判定された人が本当に陰性である」確率のことをいいます。

【NIPTを受検した35歳の妊婦さんの検査結果】

出生前診断費用2

この表から、NIPTは精度が100%ではないものの、一般的な35歳の妊婦さんがNIPTを受けて21トリソミー疾患を検査した場合、【陽性と判定されたら、本当に陽性の確率は80.0%】、【陰性と判定されたら、本当に陰性の確率は99.9%】と精度が非常に高いことがわかります。

35歳の妊婦さんがコンバインド検査をした場合

・陽性的中率…4.9%
・陰性的中率…99.95%
※21、13、18トリソミーの的中率

参照:母体血清マーカー検査とは | 出生前検査認証制度等運営委員会

35歳の妊婦さんが母子血清検査をした場合

・陽性的中率…3.20%
・陰性的中率…99.95%
※21、13、18トリソミーの的中率

参照:母体血清マーカー検査とは | 出生前検査認証制度等運営委員会

早い段階で胎児に障害があるかわかる

コンバインド検査は妊娠11〜13週以降、母体血清マーカー検査は妊娠15週以降ですが、NIPTは妊娠9〜10週以降とはやい時期から検査ができます。陰性の場合は安心して妊娠生活を送ることができるでしょう。
陽性の場合、気持ちの整理や受けとめるまでに時間がかかることもあるでしょう。確定的検査を実施し、その結果次第で中絶を考えるかなど、結果をふまえてどのような選択をするのか、落ち着いて考えられます。

また、妊娠中から生まれた後の環境を整えたり、産後はやい時期から治療ができたりと、事前に準備ができるというメリットもあります。
検査結果から確定的検査までの時間が短いと落ち着いて選択ができない場合もあるため、検査をするまでに遺伝カウンセリングをふまえ、パートナーと話し合う時間を作ることはとても大切です。

NIPT(新型出生前診断)のデメリット

出生前診断費用3

NIPTを受けるべきかどうか判断するためには、メリット・デメリットの両方を踏まえた上で決めていくことが大切です。ここではデメリットの確認をしましょう。

非確定的検査である出生前診断の中で費用が高い

NIPTの検査のデメリットは他の非確定的検査より費用が高いことです。

検査名 検査費用
NIPT 10万〜20万円
コンバインド検査 5,000円〜5万円
母体血清マーカー検査 2〜3万円

上記のとおり、他の非確定的検査と比べると検査費用は高く、保険適用外のため、全額自己負担となります。金銭的な負担は大きいですが、検査の種類によりわかる病気が異なり、検査の精度は高いため、他の非確定的検査の特徴もふまえて、検討してください。

受検できる期間が限定的である

NIPTは妊娠9〜10週以降から受検できますが、受検可能な時期が妊娠15週ごろまでと限られています。
妊娠がわかってすぐに検査を受けられないことや、妊娠がわかった時期が遅いと検査ができないというデメリットはあるでしょう。

まとめ

出生前診断には確定的検査と非確定的検査があり、非確定的検査で陽性が出た場合に確定的検査で検査結果を確定する流れになっています。非確定的検査の中で検査結果の正確性が非常に高いのが新型出生前診断のNIPTです。
しかし、NIPTの検査費用は認証施設で10万~20万円、非認証施設では5万~20万円と他の非確定的検査に比べて高い傾向にあります。また、残念ながらNIPTなどの出生前診断は、保険適用外であり、医療費控除の対象ではありません。

赤ちゃんの染色体異常を事前に調べられることは、陰性の場合は安心して妊娠生活を送ることを可能にし、陽性の場合は気持ちの整理や受けとめるまでの時間を十分に確保できることを可能にします。
クリニックによっては、NIPT検査後の確定的検査の費用を補助してくれるところもあるため、NIPTを受ける場合にはクリニック選びをしっかりと行うようにしましょう。

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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