目次
「出生前診断にはどのようなものがあるの?」「NIPTって具体的にどんな検査?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
今回は出生前診断を「確定的検査」と「非確定的検査」に分け、検査の概要を解説します。
記事の後半ではNIPTについても解説するので、それぞれの特徴を理解し自分に合った出生前診断を検討しましょう。
出生前診断とは?
出生前診断とは、妊婦さんの血液や羊水、絨毛などを用いて胎児の染色体異常や形態異常を調べる検査です。
出生前診断には、病気の可能性を調べる「非確定的検査」と診断を確定する「確定的検査」があります。
出産前に胎児の疾患の有無を把握しておくと、赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法が選択可能です。
たとえば、妊娠中に赤ちゃんの異常を把握することで、出産に備えて設備の整った医療機関と連携し速やかに治療を受けられるでしょう。
以下では、それぞれの出生前診断がどのような検査なのか解説します。
非確定検査の種類
非確定的検査は胎児の染色体異常の「可能性」を調べる検査で、以下の4種類があります。
・超音波検査
・NIPT
・コンバインド検査
・母体血清マーカー検査
ひとつずつ解説します。
超音波検査
エコー検査ともいわれ、通常の妊婦健診で行われます。超音波装置を腹部に当て、胎児の様子を確認する検査です。
胎児の首後方のむくみ(NT)の測定により、ダウン症の兆候を確認できます。
NIPT
胎児の染色体異常や遺伝子異常症の可能性を確認する検査です。妊婦さんの採血による検査のため、流産や死産のリスクがありません。
妊娠9~10週から受検可能で、検査感度(病気を正しく検出する確率)は99%です。
コンバインド検査
コンバインド検査は妊娠11~13週に受検でき、21、18、13トリソミーの可能性を調べる検査です。
胎児の「首後方のむくみ」や「鼻骨の有無」「三尖弁(心臓の弁)」などを計測する超音波検査と、妊婦さんの採血を組み合わせて行います。
母体血清マーカー検査
21、18トリソミーと神経管閉鎖不全の可能性を調べる検査です。妊娠15~18週に妊婦さんの採血により検査されます。検査結果には、母体の年齢や体重、妊娠週数なども加味されます。
確定的検査の種類
確定的検査は診断を確定するための検査です。非確定的検査が陽性の場合や、胎児の異常が疑われる場合に受検します。
「羊水検査」「絨毛検査」の2種類があり、どちらも21、18、13トリソミーなどの染色体疾患の有無を確定させる検査です。
それぞれの特徴について確認しましょう。
羊水検査
妊娠15~16週以降に妊婦さんのお腹に針を刺し、羊水を採取する検査です。
お腹に針を刺すため、感染や出血がおこる可能性や0.1~0.3%ほどの流産・死産のリスクがあります。
絨毛検査
羊水検査よりも早い妊娠11~14週に受検でき、妊婦さんのお腹に針を刺して胎盤の一部である絨毛を採取します。
0.2%ほどの確率で流産・死産のリスクがある点に注意しましょう。
NIPTとはどんな検査?
「NIPTについて知りたいけど、難しそうでよく分からない」という方もいるかもしれません。以下ではNIPTの検査方法や、検査対象となる染色体異常について詳しく解説します。
NIPTの検査方法
NIPTの検査方法は、妊婦さんの採血です。母体の血液内にある胎児のDNAを調べることで、先天性異常の可能性を判定します。
検査結果は「陽性」「陰性」「判定保留」で示されるため、陽性の場合は確定的検査である羊水検査や絨毛検査に進みましょう。
コンバインド検査や母体血清マーカー検査の感度が80%であるのに対し、NIPTの感度は99%で精度が高いという特徴があります。
妊娠9~10週以降という早い時期に検査可能で、正確な検査結果を得られるため今後についてじっくりと考えられるでしょう。
NIPTで分かる染色体異常とは
NIPTで分かる先天性疾患には、以下の3つがあります。
・染色体の数の異常による疾患(21、18、13トリソミーやターナー症候群など)
・染色体の構造の異常による疾患(微小欠失症候群や重複症候群)
・遺伝子変異による疾患(常染色体優性疾患、常染色体劣性疾患)
自然妊娠では3%の新生児に先天性異常が起こるとされています。
そのうち80%が原因不明、15%が染色体異常、4%が遺伝子異常によるものです。
事前にお腹の赤ちゃんの異常について把握できると、出産後の備えを十分に整えたり、妊娠継続そのものについてじっくり考えたりできます。
以下では、NIPTによって分かる染色体異常について具体的に解説します。
染色体の数的異常
NIPTは常染色体異数性(「22対、44本」の常染色体の数が通常とは異なる状態)に対して高い感度と特異性を持ちます。
通常は2本の染色体が3本の状態を「トリソミー」、1本しかない状態を「モノソミー」といいます。
染色体異常のうち71%を21、18、13トリソミーが占めるため、NIPTを受検することで7割以上の染色体異常の可能性をカバーできるでしょう。
また、性染色体異数性(男性:XY、女性:XXである性染色体の数が通常とは異なる状態)の検査も可能です。
・ターナー症候群:45,X(女性がX染色体をひとつしか持たない、または一部が欠失)
・トリプルX症候群:47,XXX(女性がX染色体を多く持つ)
・クラインフェルター症候群:47,XXY(男性がX染色体を多く持つ)
・ヤコブ症候群:47,XYY(男性がY染色体を多く持つ)
性染色体異数性を持つ病気は、新生児の400人に1人の割合で誕生しています。
ミネルバクリニックのNIPTはダウン症以外の重篤な疾患についても検査可能なため、胎児のさまざまな可能性に備えることが可能です。
染色体の構造異常
NIPTは染色体の構造異常の検査もできます。
構造異常とは、染色体の一部が欠けたり抜け落ちたりする「微小欠失症候群」や、特定の遺伝子が余分に存在する「重複症候群」です。
例として以下のような病気が挙げられます。
・アンジェルマン症候群
・プラダー・ウィリー症候群
・ディ・ジョージ症候群(22q11.2微小欠失症候群)
・5p欠失症候群
・1p36欠失症候群
これらの病気は、神経発達障害や発達遅延と関連する可能性があります。微小欠失症候群は自然発生的に発現するもので、母親の年齢とは関係がありません。
NIPTのメリットやデメリットは?
NIPTには多くのメリットがありますが、事前に知っておくべきデメリットも存在します。
詳しくは以下で解説しますが、誤った判定結果が出る可能性や、すべての病気については調べられない点を知っておきましょう。
NIPTのメリット、デメリットの両面について知り、正しい理解のもとでNIPT受検することが大切です。
NIPTを受けるメリットとは
NIPTを受けるメリットには、以下の4つが挙げられます。
・他の検査に比べ早期に検査できる
・検査が簡単
・胎児へのリスクが少ない
・精度が高い
コンバインド検査は妊娠11週以降、母体血清マーカー検査は妊娠15週以降の受検であるのに対し、NIPTは妊娠9〜10週から受検可能です。
より早く結果を知り妊娠継続について考えたい方にとって、NIPTは最適な検査といえるでしょう。
検査方法は妊婦さん採血のため、手軽に受検が可能です。羊水検査や絨毛検査のようにお腹に針を刺す必要がなく、流産や死産のリスクがありません。
また、他の非確定的検査に比べ精度が高い点も大きなメリットです。
コンバインド検査や母体血清マーカー検査の感度が80%であるのに対し、NIPTの感度は99%という高さを誇っています。妊娠初期に正確な結果が得られるため、妊娠継続についてじっくり考えたり出産に向けて入念な準備を整えたりできるでしょう。
NIPTを受けるデメリットは?
NIPTでは、以下のように本来とは異なる結果が出るケースがあります。
・本当は陰性なのに陽性判定が出る「偽陽性」
・本当は陽性なのに陰性判定が出る「偽陰性」
・結果を判定できない「判定不能」
NIPTの感度は99%ですが、100%ではありません。
NIPTはあくまでも「病気の可能性を知る検査」だと再確認しましょう。
当院は日本一豊富なNIPTの検査項目を扱っていますが、検査項目に含まれていない異常までは知ることができません。遺伝子の病気は非常に多く存在するため、現代の医学でもすべてを知ることはできないのが現状です。
NIPTは病気がないことを保証する検査ではなく、備えられることに確実に備えるための検査だと理解しておきましょう。
NIPTの結果に誤りがある場合はあるの?
NIPTは非常に高い精度を誇りますが、誤った結果が出る場合があります。「偽陽性」「偽陰性」について知らないと、必要以上に動揺したり妊娠継続に関する大切な判断を早まったりするでしょう。
以下では陽性判定が出た場合や、陰性判定でも陽性が疑わしい場合の行動についても確認します。
NIPTの偽陽性
NIPTでは、染色体異常がない赤ちゃんが陽性判定される「偽陽性」の場合があります。
以下では偽陽性の原因について解説します。
限局性胎盤モザイク
お腹の赤ちゃんは正常で、胎盤にだけモザイク(染色体数が異なる細胞)がある状態です。
NIPTでは胎児由来と胎盤由来のDNAを扱うため、胎盤に染色体異常があると偽陽性の判定が現れます。
バニシングツイン
多胎妊娠の赤ちゃんの成長が止まり、単体妊娠となった状態です。
成長が止まった赤ちゃんのDNAに染色体異常があった場合、偽陽性の結果が出ます。
母体の悪性新生物
妊婦さんのがんにより、偽陽性の判定が出る場合があります。NIPTで陽性判定が出た場合は、確定的検査に進み診断を確定させましょう。
NIPTの偽陰性
NIPTでは、染色体異常を持つ赤ちゃんが陰性判定される「偽陰性」の場合もあります。原因としてあげられるのは、以下のようなケースです。
・検査時に胎児由来のDNAと母親由来のDNAを区別できなかった
・検査時期が早すぎたため、胎児由来のDNAを十分に検知できなかった
・NIPTでは検出できない染色体の部分的な重複があった
NIPTの陰性的中率(陰性判定が出た場合に本当に陰性である確率)は99.9%ですが、陽性が疑わしい場合は追加の検査が行われます。
他のスクリーニング検査の結果も踏まえ、不安が残るときは確定的検査に進みましょう。
NIPTを検討するならミネルバクリニックで!
NIPTをご検討中の方は、ミネルバクリニックにご相談ください。
当院では、臨床遺伝専門医であり3児の母でもある院長が日々の診療にあたっています。
臨床遺伝専門医とは、遺伝医学について十分な知識と経験を持ち、専門的な検査や診断、治療、カウンセリングを実施できる医師です。
日本で唯一、当院でのみ受検できるスーパーNIPTは、偽陰性の報告がなく(0%)、21/18トリソミーの陽性的中率も100%です。
当院のNIPTは妊娠9週(希望があれば妊娠6週)から受検でき、検査対象となる疾患は随一の豊富さを誇ります。
患者さんの気持ちに寄り添う診療により「話すと元気になる」「会えてよかった」という言葉に支えられる当院は、妊婦さんや家族が笑顔になれる出産を導いてきました。
NIPTをご検討中の方は、確かな知識と経験、最先端の技術を持つ当院にぜひご相談ください。
まとめ
出生前診断は診断を確定する「確定的検査」と病気の可能性を調べる「非確定的検査」に分けられます。非確定的検査で陽性となった場合は確定的検査に進み、診断を確定させましょう。
非確定的検査の中で最も早い時期から受検でき、精度が高いのがNIPTです。
当院のNIPTでは、21、18、13トリソミー以外の染色体疾患の検査もできます。
NIPTは偽陽性や偽陰性となる可能性がありますが、当院のスーパーNIPTは偽陰性の報告がなく(0%)、21/18トリソミーの陽性的中率は100%です。
NIPTをご検討中の方は、ミネルバクリニックにご相談ください。