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NIPT陽性・羊水検査は陰性?結果が覆る偽陽性の原因と流産リスク

NIPT陽性・羊水検査は陰性?結果が覆る偽陽性の原因と流産リスク|東京・ミネルバクリニック

NIPT陽性・羊水検査は陰性?
結果が覆る偽陽性の原因と流産リスク

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

NIPT(新型出生前診断)で陽性という結果を受け取り、頭が真っ白になっているかもしれません。しかし、NIPTの陽性が必ずしも赤ちゃんの疾患を確定させるものではありません。その後の羊水検査で「陰性」となるケースが存在します。なぜ判定が覆るのか、そのメカニズムと今後の選択肢について、臨床遺伝専門医が詳しく解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
🧬 NIPT・羊水検査・染色体異常
臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTが陽性だったのに、羊水検査で陰性になることは本当にありますか?

A. はい、十分にあり得ます。
NIPTは胎盤由来のDNAを測定しているため、胎盤のみに染色体異常があり赤ちゃん自身は正常であるケース(胎盤限局性モザイクなど)では、NIPTが陽性でも確定検査で陰性(偽陽性)となることがあります。

  • 偽陽性のメカニズム → 胎盤限局性モザイク(CPM)やバニシングツインの影響
  • 検査のちがい → NIPTはスクリーニング、羊水検査が「確定診断」
  • 結果がわかる時期 → FISH法(数日)とGバンド法(2〜3週間)の違い
  • 流産リスクの現実 → 約0.2〜0.3%という確率と、安全への取り組み

1. NIPT陽性から羊水検査陰性へ。判定が覆る「偽陽性」とは

NIPTの検査結果で「陽性」という文字を見た瞬間、目の前が真っ暗になるのは無理もありません。しかし、NIPTはあくまでも「染色体異常の可能性が高いかどうか」を判定するスクリーニング検査(非確定的検査)です。100%の的中率ではありません。

【結論】NIPTで陽性判定が出たにもかかわらず、その後の羊水検査で異常なしと判定されるケースを「偽陽性(ぎようせい)」と呼びます。確定診断である羊水検査の結果の方が正しいと判断されます。

「陽性=絶望」ではありません

実際の診療現場でも、NIPT陽性の知らせに泣き崩れて来院された患者様が、羊水検査を経て「陰性」の報告を受け、安堵の涙を流される光景に何度も立ち会ってきました。だからこそ、陽性という結果だけでパニックに陥る必要はありません。まずは冷静に、次のステップである確定的検査へ進むことが最も重要です。

2. なぜ判定が違うの?NIPTの偽陽性を引き起こす原因

では、なぜ精度の高いと言われるNIPTで判定がズレてしまうのでしょうか。その理由は、お母さんの血液中に流れ出ているDNAの「出どころ」にあります。

注意:NIPTは直接赤ちゃんの細胞を調べているのではなく、胎盤から母体の血液中に溶け出したDNAの断片(cfDNA)を分析しています。この「胎盤の細胞」と「赤ちゃんの細胞」の違いが、偽陽性を生む最大の要因です。

原因① 胎盤限局性モザイク(CPM)

最も代表的な原因が、胎盤限局性モザイク(CPM: Confined Placental Mosaicism)です。受精卵が細胞分裂を繰り返して胎盤と胎児に分かれていく過程で、染色体のエラーが「胎盤の細胞だけ」に残ってしまう現象です。この場合、胎盤のDNAを拾うNIPTでは異常あり(陽性)となりますが、羊水検査で直接赤ちゃんの細胞を調べると赤ちゃんの染色体は正常(陰性)であることがわかります。

原因② バニシングツイン

双子(多胎妊娠)の片方の赤ちゃんが、妊娠の早い段階で亡くなり子宮内に吸収されていく現象をバニシングツインと呼びます。亡くなってしまった側の胎児に染色体異常があった場合、そのDNAが母体の血液中に放出され続け、NIPTで陽性と判定されることがあります。

原因③ 母体側の要因(コピー数変異など)

お母さん自身のDNAも血液中に混ざっているため、お母さん自身が自覚症状のない微細な染色体の変化(コピー数変異)を持っている場合、それがノイズとなって偽陽性を引き起こすことがあります。

🔍 さらに詳しく専門的なメカニズムを知りたい方へ

検査手法(ワイドゲノム法とターゲット法)による偽陽性の出やすさの違いや、より詳細な医学的メカニズムについては以下の記事で臨床遺伝専門医が深く解説しています。
▶ NIPT陽性から羊水検査陰性へ。偽陽性の確率と原因を専門医が解説

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【あなたは何も悪くありません】

「私のせいで陽性になったのでしょうか…」と、ご自身を責めてしまう妊婦さんが後を絶ちません。しかし、胎盤限局性モザイクも、バニシングツインも、生命が誕生する神秘の過程で起こる自然な現象です。

偽陽性の原因を知ることで、あなた自身のせいではありませんと少しでも心が救われることを願っています。私はこれまで10万人以上の患者様に向き合ってきた経験から、情報に振り回されず「正しく知る」ことが何よりの処方箋だと実感しています。

3. 確定的検査(羊水検査・絨毛検査)と非確定的検査のちがい

出生前診断には、大きく分けて「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります。

  • 非確定的検査(NIPTなど):母体から採血するのみで負担は少ないですが、染色体異常の「可能性」を判断するスクリーニング検査です。
  • 確定的検査(羊水検査・絨毛検査):お腹に細い針を刺して羊水や絨毛細胞を直接採取します。非確定的検査で陽性が出た場合、診断を確定させるために必ず必要となります。

当院のNIPTプランについて

ミネルバクリニックは非認証施設ですが、臨床遺伝専門医がカウンセリングから判定、その後のケアまで一貫して行う極めて稀有な医療機関です。COATE法を用いた最新の検査を提供しており、微細欠失の陽性的中率は>99.9%という高い精度を誇ります。

とくにダイヤモンドプランでは、常染色体トリソミー(13, 15, 16, 18, 21, 22番)、性染色体異数性(45,X / 47,XXX / 47,XXY / 47,XYY)に加え、12領域の微細欠失(1p36, 2q33, 4p16, 5p15, 8q23q24, 9p, 11q23q25, 15q11.2-q13, 17p11.2, 18p, 18q22q23, 22q11.2欠失)と、父親由来の新生突然変異を含む単一遺伝子(56遺伝子)まで網羅しています。

4. 羊水検査の結果はいつわかる?判定の仕組み

確定検査に進んだ場合、結果が出るまでの期間が長ければ長いほど、待つ間の精神的負担は大きくなります。羊水検査の結果判明までの期間は、検査方法によって異なります。

FISH法(迅速検査)とGバンド法(全染色体検査)

  • FISH法:特定の染色体(13, 18, 21番など)の異常を迅速に調べる方法です。FISH法なら数日〜1週間程度で仮の結果をお伝えできます。
  • Gバンド法:採取した細胞を培養し、すべての染色体の数や構造を細かく調べる基本の確定診断です。細胞を増やす必要があるため、結果が出るまでに約2〜3週間の時間を要します。

補足:出生前と出生後の診断方法の違い
Gバンド法では極めて微小な欠失(微細欠失)は検出困難です。出生前に微細欠失の確定診断を行う場合は、原則として超音波での構造異常がある場合などにマイクロアレイ検査(CMA)などが検討されます。マイクロアレイ検査(CMA)による原因精査は、インプリンティング異常等のメチル化異常が確認された後の出生後診断としても重要な位置づけにあります。

5. 羊水検査の安全性と、気になる「流産リスク」の現実

お腹に針を刺す検査と聞けば、「検査で赤ちゃんを失ってしまったらどうしよう」と恐怖を感じるのは当然のことです。

羊水検査による流産や破水、感染症などの合併症が起こるリスクは、約0.2〜0.3%(300人に1人程度)と言われています。ゼロではないリスクがあることは事実です。しかし、実際の臨床現場では、医師が盲目的に針を刺すわけではありません。

熟練した医師が超音波(エコー)で慎重に確認しながら、赤ちゃんと胎盤の位置を正確に把握し、安全なルートを選んで穿刺を行います。これにより、リスクを最小限に抑えるための万全の対策が取られています。

6. 一人で抱え込まないで。遺伝専門医によるアフターサポート

NIPTを受けて陽性判定が出た後、最もつらいのは「どこに相談すればいいのかわからない」「追加の検査費用が支払えるか不安」という孤独と焦りです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【健常な命を守るために知るべき「精度の罠」】

よく広告で見かける一部の検査施設で、第1子のNIPTを受けたAさんのケースです。結果は「21トリソミー(ダウン症)陽性」。その施設では陽性後の相談対応が一切なく、絶望の中でAさんはご自身で羊水検査を決意。結果は陰性(正常)であり、自らの行動で健常な赤ちゃんの命が失われる中絶を避けられました。

「2日で結果が出ることに何の意味もなかった。正確でなければ意味がない」とAさんはしみじみと語りました。実は、羊水検査で偽陽性とわかり、無事に健常な赤ちゃんが産まれてからも「本当に大丈夫だったんだろうか」という不安が消えないとおっしゃるのです。当院にご相談に来られた別の他院受検者様(10番染色体トリソミーの偽陽性体験談)も、同じように出産後のトラウマに苦しんでおられました。大切なのは、速く検査結果が出ることではありません。検査の前にしっかりと説明を受け、心から納得して受検することなのです。

ここで皆様に知っていただきたい恐ろしい現実があります。日本国内で行われているNIPTの多くは自由診療であり、一部の施設ではコスト削減等のため、メーカーが臨床試験で行った手法とは「異なるやり方(例:胎児分画が低いまま検査結果を出すなど)」で検査を行っています。しかし、胎児分画(胎児のDNAの割合)が低いと正確性が損なわれます。本来なら、その自己流の手法で改めて臨床試験を行い精度を確認すべきですが、実際はそれを行わず、メーカーが本来の正しい手法で出した「高い精度データ」だけを引用して高精度をうたっているのです。これでは実際の精度は全く確認できません。

私は以前、低胎児分画で検査結果を出すことの危険性をメーカー側に直接伝えたことがあります。しかし、返ってきた言葉は「技術供与したものがどのように使われようと、それは施設の自由である」という耳を疑うようなものでした。要するに、試薬さえ売れればそれでいいという姿勢なのです。

事実、当院ではこれまで21トリソミー(ダウン症)の偽陽性は一度も起きていません。それは、私たちが提携する検査会社が、EUやアメリカの当局で認可された正規のやり方を厳格に守って検査を行っているからです。

大切な赤ちゃんとご家族の、一生を左右する問題です。自分の身と家族の将来は、正しい知識で自分で守るしかありません。NIPTは「どこで受けても同じ」ではありません。正しく理解してからNIPTを受けることが、命を守る第一歩です。

ミネルバクリニックでは、陽性時の経済的な不安を取り除くため、NIPT受検者全員に互助会制度(8,000円)と安心結果保証制度(6,000円)へのご加入をお願いしています(強制加入)。互助会制度により、陽性となって羊水検査に進む場合、その検査費用が全額補助されます。これは、追加費用の心配をなくすための重要なセーフティネットです。

また、遺伝カウンセリング料金も初期費用に含まれており、陽性時はもちろん、妊娠中の不安に対して何度でも専門医に相談が可能です。ネットの情報に疲れてしまったら、どうか一人で抱え込まず、専門医を頼ってください。

よくある質問(FAQ)

Q. NIPTが陽性だったのに、羊水検査で陰性(偽陽性)になるのはなぜですか?

NIPTは胎盤に由来するDNAを調べているため、胎盤のみに染色体の変化が起きている「胎盤限局性モザイク(CPM)」などの場合、赤ちゃん自身は陰性でもNIPTでは陽性と出ることがあります。これを偽陽性と呼びます。

Q. 羊水検査を受けると流産する確率(リスク)はどのくらいですか?

羊水検査による流産のリスクは約0.2〜0.3%(300人に1人程度)と言われています。当院では熟練した医師が超音波(エコー)で赤ちゃんの位置を慎重に確認しながら行うため、リスクを最小限に抑えるよう努めています。

Q. 羊水検査の結果は、検査後いつわかりますか?

検査方法によって異なります。特定の染色体を調べる迅速検査(FISH法)であれば約3日〜1週間程度、すべての染色体を細かく調べる全染色体検査(Gバンド法)の場合は、細胞を培養するため約2〜3週間ほどかかります。

Q. NIPTで陽性になったら、絶対に羊水検査を受けなければいけませんか?

強制ではありませんが、NIPTは非確定的検査であるため、結果を確定させるには羊水検査などの確定的検査を受けることが強く推奨されます。受けるかどうかの決定権は常にご家族にありますので、遺伝カウンセリングを通じて一緒に方針を決定します。

Q. 羊水検査の費用が心配です。補助はありますか?

ミネルバクリニックでは、NIPT受検者全員に互助会制度(8,000円)への加入をお願いしています。これにより、万が一陽性判定となり羊水検査に進む場合、その確定検査の費用が全額補助されるため、追加費用の心配はありません。

Q. 他院でNIPT陽性と言われました。ミネルバクリニックに相談できますか?

本来、陽性後のケアは検査を実施した施設の責任です。当院では自院でのNIPT受検者様のサポートを最優先としております。だからこそ、最初のNIPT施設を選ぶ段階で、陽性後の確定診断やカウンセリング体制が一貫している当院のような施設をご検討いただくことが大切です。

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参考文献

  • [1] ACOG. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Practice Bulletin No. 226. [ACOG]
  • [2] ACMG. Noninvasive prenatal screening for fetal aneuploidy, 2016 update: a clinical practice resource of the American College of Medical Genetics and Genomics. [ACMG]
  • [3] 厚生労働省「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書」 [公式サイト]
  • [4] 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針(改訂)」 [PDF]


プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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