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NIPT判定保留と子宮筋腫の関係|再検査・羊水検査の選択肢を専門医が解説

NIPT判定保留と子宮筋腫の関係|再検査・羊水検査の選択肢を専門医が解説

この記事でわかること

📖 読了時間:約12-15分


👩‍⚕️ 専門医監修
✅ 実臨床の判断目安つき

  • NIPTの「判定保留(No-call)」とは何か・発生率は?
  • 子宮筋腫が胎児分画(FF)に与える影響とメカニズム
  • 筋腫の数・総体積と判定保留リスク(実務の閾値目安)
  • 判定保留後に取り得る3つの選択肢と成功率の目安
  • ミネルバクリニックの判定保留対策(COATE法・4Dエコー等)
  • よくある質問(費用、時期、次の一手)

NIPTの「判定保留(No-call)」とは?

NIPT(新型出生前診断)の結果は一般に「陽性 / 陰性 / 判定保留」に分かれます。判定保留とは、統計学的に信頼できる判断ができる条件(品質基準)に達しないため、結果を出さない安全側の運用を指します。検査の失敗や赤ちゃんの異常を直ちに示すものではありません。

📊 代表的な原因
  • 胎児分画(FF)の不足:多くのプラットフォームで4%未満はNo-callになりやすい
  • 母体要因:子宮筋腫、BMI高値、腫瘍、自己免疫疾患、抗凝固薬など
  • 技術的要因:採血・輸送・前処理・解析品質など

子宮筋腫が判定保留を招くメカニズム

子宮筋腫は良性腫瘍ですが、母体由来cfDNAの放出量循環血漿量の増加を介して相対的に胎児分画を低下させ、No-callのリスクを高めます。特に巨大筋腫や多発筋腫では影響が顕著です。

メカニズム 生じる変化 NIPTへの影響
筋腫組織からのcfDNA放出 母体cfDNAが増加 胎児分画の相対低下 → No-call増
循環血漿量の増大 希釈効果 FF低下 → 品質基準に未達
炎症・壊死などの局所環境 断片長分布の変化等 プラットフォーム依存の解析影響

筋腫の数・総体積とNo-callリスク(臨床運用の目安)

⚠️ 判断のための閾値イメージ
区分 筋腫の数 総体積(概算) No-callリスク 推奨
低リスク 1–2個 < 100 mL 通常範囲 通常のNIPTで可
中リスク 3個 100–200 mL やや上昇 高精度NIPT(例:COATE法)を推奨
高リスク 4個以上 200–400 mL 高い 高精度NIPT必須・再検査の可能性考慮
超高リスク 5個以上 > 400 mL 著しく高い COATE法 + 羊水検査の早期検討

※体積は超音波での三径(縦×横×高さ)から概算。各プラットフォームの品質基準により運用は異なります。

判定保留後の3つの選択肢と成功率の目安

① NIPTの再検査

✅ 再検査の特徴
  • 非侵襲で安全。2週間程度あけ妊娠週数が進むとFFが上がることがある
  • 原因別成功率の目安:週数早い70–80%、技術要因90%+、BMI高値30–50%筋腫1–3個40–50%4個以上/400mL超では10–20%
  • COATE法など低FF対応の手法では成功率の改善が見込める

② 確定検査(羊水検査・絨毛検査)

項目 羊水検査 絨毛検査
実施時期 妊娠16週以降 妊娠10–13週
確定診断 可能 可能
流産リスク 約0.3% 約1%

優先検討の目安:再検査で再度No-call/筋腫4個以上または総体積>400 mL/妊娠週数が進んで時間的余裕が少ない/確実な診断を早期に得たい場合。

③ 経過観察(追加検査なし)

📋 経過観察について

リスク低い妊娠、超音波で有意所見なし、検査方針が結果で変わらない等では選択肢になり得ます。ただし確定診断には至らない点を理解して選択します。

筋腫の体積はどう把握する?

📏 体積の測定方法

妊婦健診の超音波で三径(縦×横×高さ)を測り体積を算出(楕円体近似:縦×横×高さ×0.52 など)。複数ある場合は総和をとり、概算総体積としてカウンセリングに反映します。

ミネルバクリニックの判定保留対策

🏥 患者さん思いの取り組み
  • COATE法による高精度NIPT:胎児分画約3%から解析可能とされ、低FF例のNo-call低減が期待できます
  • 検査前4Dエコー(2022年11月~):胎盤や筋腫の状況を当日に確認し、検査方針へ反映
  • 再検査サポート:再検が必要になったのに流産等で不可能となった場合の返金保証(2025年1月~)
  • 確定検査の自院実施(2025年6月~):羊水検査・絨毛検査を院内で迅速に実施
  • 臨床遺伝専門医の一貫ケア:検査選択から結果説明、次の一手まで伴走
  • 24時間相談体制:判定保留時の不安をいつでもご相談ください

よくある質問(FAQ)

Q1. 子宮筋腫があると必ずNo-callになりますか?

いいえ。小さい筋腫が1–2個程度なら通常通り結果が出ることが多いです。4個以上または総体積>400 mLの多発・巨大筋腫ではリスクが高まります。

Q2. 判定保留は赤ちゃんの異常のサインですか?

直接のサインではありません。主に解析条件(FFなど)が満たせなかったことを意味します。必要に応じて再検査や確定検査で評価します。

Q3. 再検査と羊水検査、どちらを選ぶべき?

週数が早い・技術要因などでは再検査が有効。一方で筋腫4個以上/総体積>400 mLや時間的制約が強い場合は羊水検査の早期検討をお勧めします。低FF対応のCOATE法が使える環境では再検査成功率が改善することがあります。

Q4. 費用はどのくらい?再検査は有料ですか?

施設により異なりますが、当院では再検査の追加費用は原則なし。万一、流産等で再検不可になった場合は返金保証(2025年1月~)を用意しています。確定検査費用はNIPT互助会(カトレア会)での補償制度をご確認ください。

Q5. いつ受け直すと良いですか?

原因にもよりますが、1–2週間あけて週数を進めるとFFが上がりやすいです。筋腫が主因の場合はCOATE法など低FF対応のNIPTを選ぶ意義が大きくなります。

🏥 判定保留でお困りの方へ|専門医が伴走します

筋腫の数・体積、妊娠週数、これまでの検査履歴を踏まえて最適解をご提案。
COATE法の再検査から自院での確定検査までワンストップで対応します。

🏥 ミネルバクリニックの特徴


患者さん思いの医療を実現!

✓ 低FF対応のCOATE法を採用/判定保留の最小化を追求

4Dエコーで当日の胎児・胎盤・筋腫を確認してから採血(2022年11月~)

確定検査を院内で実施(2025年6月~)

✓ 臨床遺伝専門医が初回から結果説明・次の一手まで一貫フォロー


「患者のための医療を実現することを貫いています」

📚 参考文献・引用元

  1. 日本産科婦人科学会「NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)に関する指針」
  2. NIPTコンソーシアム「NIPT検査実績報告」
  3. JAMA. 2015;314:162–169(母体腫瘍とNo-callの関連)
  4. 子宮筋腫の数・体積と胎児分画に関する報告(cfDNA失敗率とFF低下の相関)
  5. ミネルバクリニック院内データ(運用・サポート体制の説明に関する情報)



プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


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