NIPTの微細欠失症候群(微小欠失)は検査すべき?必要性と確率・陽性的中率を臨床遺伝専門医が解説
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微細欠失の必要性 → 年齢に関係なく誰にでも起こりうる突然変異であり、積算リスクは約1/1000と決して稀ではありません。 -
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確率と陽性的中率 → 従来法では70%台だった陽性的中率が、当院のダイヤモンドプラン(COATE法)により99.9%以上という画期的な精度を実現しました。 -
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自閉症リスク → 父親の加齢とともに増える56遺伝子変異も含めて検査することで、症候性自閉症(重度)のリスクも検知可能です。 -
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陽性時のサポート → 万が一の陽性時は、羊水検査費用の全額補助(互助会)や、院内での確定検査(2025年6月〜)など、トリプルリスクヘッジで守ります。
1. 微細欠失症候群(微小欠失症候群)とは?
NIPT(新型出生前診断)を検討する際、ダウン症(21トリソミー)と並んで重要な検査項目が「微細欠失症候群(微小欠失)」です。
人間の染色体は、遺伝子の情報が詰まった図書館のようなものです。ダウン症などのトリソミーは「本が1冊多い状態」ですが、微細欠失は「本のページのほんの一部が破れてなくなっている状態」に例えられます。顕微鏡で見ても分からないほど小さな欠けですが、そこに含まれる遺伝子情報が失われることで、心臓の病気、知的発達の遅れ、精神疾患、特有の顔つきなど、さまざまな症状を引き起こします。
医学的にはどちらも同じ「Microdeletion」を指します。染色体のごく一部(数メガベース単位)が欠失している状態です。
2. NIPTで微細欠失を検査する「必要性」はある?
「ダウン症の検査だけでいいのでは?」と迷われる妊婦さんもいらっしゃいますが、専門医の立場からは、微細欠失検査を含めることには大きな意義(必要性)があると考えています。理由は大きく3つあります。
知っておくべき衝撃の事実
約1/1,000
これは、一般的な5つの主要な微細欠失症候群の合計頻度です。
20代妊婦のダウン症リスク(約1/1,000〜1/1,200)と同等か、それ以上の確率で発生します。[1]
① 年齢に関係なく誰にでも起こる
ダウン症のリスクは母体年齢とともに上がりますが、微細欠失症候群は母親が若くても高齢でも、一定の確率で発生します。「若いから大丈夫」という法則が当てはまらない、突然の事故のような変異だからです。
② 頻度は決して低くない
上記の通り、5つの疾患を合わせると約1/1,000になります。「22q11.2欠失症候群」単独でも約1/4,000の頻度があり、これは決して無視できる数字ではありません。
③ 生後の準備ができる
微細欠失症候群の多くは、心臓疾患や口蓋裂などを伴います。事前に分かっていれば、NICU(新生児集中治療室)のある病院で出産する、生まれてすぐに手術の準備をするなど、赤ちゃんの命を守るための万全の体制を整えることができます。
3. NIPTの課題:微細欠失の「確率」と「陽性的中率」
しかし、これまで微細欠失の検査には大きな課題がありました。それは「陽性的中率(Positive Predictive Value: PPV)」の低さです。
一般的なNIPT(第2世代以前)や、精度の低い検査機関を用いた場合、微細欠失の陽性的中率は疾患によっては50%以下、良くても70%台にとどまることがありました。これは、「陽性」と判定されても、実際には赤ちゃんに異常がない「偽陽性」である可能性が高いことを意味します。
検査で「陽性」と出た人のうち、本当にその病気を持っている人の割合。「陽性的中率が低い」=「検査で陽性と言われたが、実は間違い(偽陽性)だった」というケースが多くなります。
4. ミネルバの革新:陽性的中率99.9%超を実現した「ダイヤモンドプラン」
ミネルバクリニックは、日本で初めて臨床遺伝専門医が遺伝子検査を提供するために開業したクリニックとして、世界中の検査機関を厳しく選定しています。その到達点が、米国の4大遺伝子検査会社の一角が提供する次世代技術「COATE法」を採用したダイヤモンドプランです。
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陽性的中率 >99.9%(画期的):
COATE法により、従来法では70%台だった微細欠失検査の精度が飛躍的に向上しました。「陽性」の結果に対する信頼性が極めて高く、無用な不安(偽陽性)を最小限に抑えます。 -
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広範囲なカバー率:
微細欠失症候群の12か所13疾患を網羅的に検査可能です。 -
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父方由来の加齢リスク(56遺伝子)も測定:
父親の加齢とともにリスクが増える56遺伝子の新生突然変異(デノボ変異)も同時に調べられます。これらには、症候性自閉症の原因となる疾患が多く含まれます。
注意:検査できる自閉症・できない自閉症
ダイヤモンドプランでは自閉症に関連するリスクを検査できますが、すべての自閉症がわかるわけではありません。以下の区別を正しく理解していただくことが重要です。
✅ 検査できる:症候性自閉症
単なる発達の特性ではなく、重度の知的障害やてんかん、心疾患などの重篤な身体合併症を伴うことが多い、医学的に極めて「重い」疾患群(Syndromic Autism)です。ダイヤモンドプランで検査する微細欠失や56遺伝子変異は、このタイプ原因となるものが多数含まれています。[6]
❌ 検査不可:非症候性自閉症
身体的な特徴を伴わず、自閉症の特性だけがあるタイプです。これは遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って起こる(多因子遺伝)ため、現在の医学では出生前にNIPTで検査することはできません。
(図:父親の加齢とともに増える精子の突然変異)
5. NIPTでわかる主な微細欠失症候群
ダイヤモンドプランで検査対象となる代表的な微細欠失症候群です。
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22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群):
最も頻度が高く(約1/4,000)、心疾患、免疫低下、口蓋裂、発達の遅れなどが特徴です。 -
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1p36欠失症候群:
重度の知的障害、てんかん、特徴的な顔貌などが見られます。頻度は約1/5,000〜1/10,000とされています。 -
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Prader-Willi症候群 / Angelman症候群(15q11.2):
同じ場所の欠失ですが、父親由来か母親由来かで症状が異なります。過食や肥満、または重度の知的障害などが特徴です。 -
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Cri-du-chat症候群(5p欠失):
猫の鳴き声のような泣き声が特徴で、知的障害や発育遅延を伴います。
6. 陽性だった場合…ミネルバ独自の「トリプルリスクヘッジ」
もしも検査で「陽性」が出た場合、多くの妊婦さんはパニックになります。認証施設では検査できない項目だからこそ、非認証施設でのアフターフォローの質が問われます。ミネルバクリニックは、皆様を守るための万全の体制を構築しています。
1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)
検査時に互助会(会費8,000円・非課税)にご加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を上限15万円まで全額カバーします。経済的な心配をせず、必要な検査に進めます。
2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)
2025年6月より、自院で羊水検査・絨毛検査が可能になります。 産婦人科を併設することで、陽性判定後に他院を探したり、たらい回しにされる時間をなくし、ワンストップで対応します。
3. 心理的リスクヘッジ(専門医)
臨床遺伝専門医である院長が、検査前から検査後まで一貫してサポートします。24時間体制で、あなたの不安に寄り添います。
さらに安心できるミネルバの取り組み
- ✅ 4Dエコー完備(2022年11月〜): NIPT検査前に胎児の状態を確認し、安心して検査を受けていただけます。
- ✅ 安心結果保証(2025年1月〜): 胎児分画不足などで再検査が必要な際、万が一流産などで検体が出せない場合は、診断書提示で検査代金を全額返金します。
- ✅ 早期NIPT(6週〜): 臨床研究として妊娠6週からの検査を実施。早期に知ることで、身体的・精神的負担の大きい中期中絶を回避する選択肢を提供します。
7. まとめ
微細欠失症候群は、染色体検査の技術進歩により、高い精度で調べることができるようになりました。特にミネルバクリニックのダイヤモンドプランでは、COATE法により陽性的中率99.9%超という世界最先端レベルの検査を提供しています。
「知る」ことは怖いことかもしれませんが、準備をするための第一歩でもあります。ミネルバクリニックは、日本で唯一の臨床遺伝専門医が開業したクリニックとして、皆様の「知りたい」という権利と、その後の人生を全力でサポートいたします。
よくある質問(FAQ)
🏥 臨床遺伝専門医へのご相談
NIPTに関する不安や疑問は、専門医が常駐するミネルバクリニックへお気軽にご相談ください。
確かな技術と温かい心であなたをお迎えします。
参考文献
- [1] Wapner RJ, et al. Chromosomal microarray versus karyotyping for prenatal diagnosis. N Engl J Med. 2012. [PubMed]
※正常核型胎児における臨床的に意義のある微細欠失・重複の頻度(約1.7%)など、積算リスクの根拠となる重要論文。 - [2] American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Noninvasive prenatal screening for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population. 2016 (Updated 2023). [PubMed]
- [3] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020. [PubMed]
- [4] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed/Nature]
- [5] ミネルバクリニック NIPTダイヤモンドプラン(COATE法). minerva-clinic.or.jp/nipt/diamond-plan/
- [6] Miles JH. Autism spectrum disorders—a genetics review. Genet Med. 2011;13(4):278-294. [PubMed]
※症候性自閉症が重度の知的障害や身体的奇形を伴いやすい点に関する遺伝学的レビュー。

