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ダウン症新生児の目や耳など顔の特徴は?手や足などの身体的特徴も紹介

ダウン症は、遺伝に関わる染色体の異常によって起こる疾患で、正式にはダウン症候群といいます。細胞内に2対で23組あるうちの21組目の染色体が1本多くなっており、このことから21トリソミーとも呼ばれている先天性の疾患です。ダウン症の赤ちゃんは、出生児の中で約1000人に1人の割合で生まれてきます。ただ、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率はママの出産年齢によって違いがあり、出産年齢が上昇するにつれて確率が高くなる傾向にあります。

待望の赤ちゃんが生まれ、パパとママが最初に気になるのは、赤ちゃんが健康であるかどうかです。明らかに息をしていないなどの異変があるときには病院の先生もすぐに処置を行いますが、生まれた瞬間すぐに先天性の異常があるかわからない場合もあります。

しかし、ダウン症の新生児には共通する特徴がいくつかあるため、経験を積んだ医師や看護師の中には顔の特徴を見てダウン症の疑いがあると判断することも。顔の見た目だけでダウン症と確定はできませんが、ひとつの判断材料になる場合もあります。

そこでこの記事では、ダウン症の新生児の顔に現れる特徴とその診断についてご紹介します。

ダウン症の新生児の顔に現れる特徴

ダウン症の新生児には目や鼻などのさまざまな場所に特徴が現れ、その子によって現れている場所が異なります。ここでは、ダウン症の新生児の顔に現れる5つの特徴をご紹介します。

ダウン症の人は、その特徴であるはっきりとした顔貌(顔つき)を示すことが多いです。これらの特徴は個人差があり、すべてのダウン症患者がこれらの特徴を持つわけではないことに注意することが重要です。ここでは、ダウン症に関連する一般的な顔貌の特徴をいくつか紹介しましょう。

平坦な顔貌
ダウン症の人は一般的に平坦な顔立ちをしています。これは鼻筋が平坦で、顔面中部が小さい、つまり顔面中部の形成不全があることを意味します。
斜め上向きの目

つり上がった目は、ダウン症の新生児の顔でまず思い浮かべる方が多い特徴です。ただこれはあくまでも特徴なので、つり目の赤ちゃんがすべてダウン症であるというわけではありません。とくに日本人は目が切長でつり目に見える場合も多く、生まれてすぐにつり目だったからといって、ダウン症だとは決めつけられないのです。

つり目のため、顔の輪郭が平坦であることが多く、特徴的な顔貌となりあます。
つり目は、ダウン症に伴う独特な顔貌の一因となっていますが、斜め上向きの目がしばしばダウン症と関連していることは事実ですが、目の形には個人差があり、斜め上向きの目を持つすべての人がダウン症というわけではないことに注意が必要です。また、目の形は民族によっても異なります。

上眼瞼ひだ
多くのダウン症患者には、目尻を覆う皮膚のひだである上眼瞼ひだがあります。上眼瞼ヒダとは、目頭を覆う皮膚のヒダのことで、目頭の上に小さく水平な皮膚のヒダができます。内眼角贅皮(ないがんかくぜいひ)とも言われます。この特徴は目の外観に影響を及ぼすことがあり、特定の民族や集団によくみられるものです。
ダウン症の患者では、上眼瞼ひだがしばしば存在し、特徴的な目の上方傾斜の一因となっている。眼瞼上襞の存在は、ダウン症に関連する多くの身体的特徴の一つに過ぎず、ダウン症のすべての人がこれらの特徴を示すわけではないことを認識することが重要です。
目の位置が離れている(眼間開離)

ダウン症の新生児はほとんどの場合、目の位置が離れていますが、一見わからない程度の場合もあり、個人差が大きい部分です。また、両親の目が離れている場合などは遺伝である可能性も十分にあります。

しかし、ダウン症児は新生児のときはまだあまり離れていなくても、大きくなるにつれてはっきりと離れてくることがあります。

鼻が低い
ダウン症の個体は、特定の身体的な特徴を持っており、その中には鼻の形状や位置に関する特徴も含まれています。
ダウン症の人々の鼻梁は通常、他の個体と比べて平たい形状をしています。これが、鼻全体が低く見える主な要因です。
鼻根(鼻と目の間の鼻の付け根)部分が低い位置にあることがあります。これがダウン症の人々の顔の特有の外観の一部を構成しています。
また、鼻の先が他の個体よりも丸みを帯びていることがあります。
これらの特徴が合わさることで、ダウン症の人々のプロフィールは他の人々とは異なる外見を持つことがあります。
これらの鼻の特徴は、鼻軟骨の発達や顔面の形状の違いに起因しています。個々のダウン症の人々の外見には多様性があり、これらの特徴が全ての人に当てはまるわけではありません。
ダウン症の人は、出生前のエコー検査で、鼻の骨が見られない、鼻の骨が薄い、鼻の骨の成長に遅れがあると指摘されたことがある方も非常に多いです。
小さい耳(耳介低位)
ダウン症でない人に比べて耳が小さく、形が少し異なることがあります。
ダウン症の個々の特徴は非常に多様であり、小さな耳(耳介低位)もその一例です。ダウン症の一部の個体では、小さな耳や耳介低位が見られることがあります。これは通常の耳の形や位置に比べて、耳が低い位置にあることを指します。ダウン症の特徴は個々の個体で異なります。一部の人は小さな耳を持っている一方で、他の人は通常の耳の形や位置を持っていることがあります。
突出した舌(巨舌)

通常、赤ちゃんは新生児のうちから舌を出す仕草をすることがあります。しかしそれはダウン症児とは違い、新生児模倣である可能性が高く、生後2ヶ月程度で消失するとされてる能力です。ダウン症児が舌を出すのは、舌が口に収まらないほど大きいことが理由ですが、舌が大きいというよりは、周囲が低形成で小さいので相対的に舌が大きく見えるのです。そのため、新生児から乳幼児になっても舌が口から出てしまうこともよくあります。低い筋緊張や口腔筋の発達の遅れが原因となっている可能性があります。

さらに舌の筋肉が弱いため、ダウン症児はママのおっぱいを吸う力が弱く、なかなか上手におっぱいを飲めません。一般的に新生児の哺乳瓶にはSサイズの乳首を取り付けて飲ませます。しかしダウン症の新生児は吸う力が足りないので、柔らかく吸いやすいAサイズの乳首で少しずつ飲ませたというママが多いようです。

ダウン症の個体は一般的に筋肉のトーンが低い傾向があります。これは全身の筋肉に影響を及ぼすため、舌の筋肉もその影響を受ける可能性があります。
舌が突出している場合、発語や摂食に影響を与える可能性があります。個体差があるため、これが問題となる度合いは異なります。
舌の特徴が発語に影響を与える場合、言語療法や口腔療法が行われることがあります。これは舌の筋力や動きを改善し、言語の発達をサポートするためです。
重要なのは、ダウン症の個々の特徴や特異性は非常に多様であり、舌の突出が必ずしも全ての個体で見られるわけではありません。

首が短い
首が短いと感じられることは、一部のダウン症の個体で見られる特徴の一つです。
ダウン症の個体は一般的に筋肉の緊張が低く、だらっとしている傾向があります。これは全身の筋肉に影響を及ぼすため、首の筋肉もその影響を受ける可能性があります。
首の短さは、首の構造や骨格の特徴に関連していることがあります。これは通常、頚椎(首の骨)の特殊な形状や配置に起因する可能性があります。
ダウン症の人では最大30%に環軸椎不安定性があります。首の骨(頸椎)は7個からなるのですが、1番目は環椎、2番目は軸椎と言います。環椎の穴に軸椎の突起がささっている特殊あ構造をしています。環軸椎不安定性とは、環椎が軸椎に対して前の方にむかってずれてしまうことで、脱臼しやすくなります。ひどいと頸椎の中を通っている脊髄を圧迫して脊髄損傷を来すことがあります。
平らな後頭部
ダウン症の一部の個体では、平らな後頭部が見られることがあります。
平らな後頭部は、頭蓋骨の形状が通常よりも平らであることに起因する可能性があります。これは個体差があり、全てのダウン症の個体で見られるわけではありません。
ダウン症の個体は一般的に筋肉のトーン(緊張性)が低い傾向があります。頭の形状も筋肉の発達に影響を受ける可能性があります。
平らな後頭部が発生する原因には、寝ている間の頭の位置や頭の支えに関連する要因が影響している可能性があります。特に、寝る姿勢や頭の位置に注意が払われることが重要です。
平らな後頭部を予防するためには、特に赤ちゃんが寝るときの姿勢に気を付けることが重要です。寝具や寝具の配置にも留意することが予防の一環となります。
筋緊張の低下
ダウン症の個体は、一般的に筋緊張が低下しているとされています。これは筋肉のトーンが通常よりも低い状態であることを指します。
ダウン症の個体は、筋肉のトーンが低いとされています。これは筋肉が通常の力を発揮しにくくなり、関節の柔軟性が増すことがあります。
筋緊張の低下は、歩行や動作などの運動の発達に影響を与える可能性があります。個体差があるため、個々の個体で異なる程度の影響が見られます。
筋緊張の低下は、特に関節の柔軟性や姿勢の特異性に影響を与える可能性があります。これにより、例えば特定の姿勢を維持する難しさが生じることがあります。
適切なリハビリテーションや理学療法が、筋肉のトーンや動作の向上をサポートする役割を果たします。これは個体に適したプログラムが必要であり、早い段階から開始されることが望ましいです。

ダウン症の顔の特徴 quizlet.com/608730797/syndromes-identifyingdescribing-flash-cards/ より引用%5B/caption%5D

ダウン症児の身体的な特徴

顔以外に現われる身体的な特徴は低身長なことです。特に幼児は背が低いことが多く見られます。筋肉量が少なく自分の体を支えるための筋肉の張りが弱い状態なので、ハイハイや歩けるようになるまで時間を要する場合があります。

また、手は短く横幅が広くなる傾向にあります。手の平のしわは、手相で言う感情線や頭脳線のように両側から真ん中に向かって2本の線があるのではなく、手の平を横切るようにまっすぐな1本のしわが見られるのも特徴です。足は親指と人差し指の間が広くなっているケースも見られます。

他の子に比べて肥満リスクが高いのも特徴ですので、親御さんのほうで注意してあげてください。

ダウン症児の精神的な特徴

個人差はありますが、ダウン症児の性格は大人しいのが特徴です。幅があるものの健康な子よりも知能は低い傾向にあります。

言語発達もゆっくりで、不明瞭だったり、抑揚のない話し方をしたりします。行動面では注意欠如や自閉的行動などが見受けられます。また、幼児期や青年期にうつ病になるリスクが高いので早い段階による教育などの介入が必要です。

ダウン症の赤ちゃんが生まれてきたら

ダウン症の赤ちゃんは、乳児期からさまざまな療育、また合併症を予防する検診も必要です。そして言語発達と比べて視覚認知は得意な子も多い傾向です。そのため言葉で話しかけるよりもジェスチャーや絵・写真を使った方がコミュニケーションをとりやすい場合があります。

普段の生活の中では刺激をたくさん与え、興味を持ってもらうような関わりをしましょう。赤ちゃんが手を伸ばしたり、ハイハイをしたりするように促してあげるといいかもしれません。

合併症に関して、先天性心疾患がある場合は心臓手術が必要になるかもしれません。もし手術を受けたら、退院後も定期的な通院が必要です。他にも見られる合併症として筋肉の緊張が弱く、足の裏が扁平足のために疲れやすかったり、転びやすかったりすることもあります。特に頚椎の靭帯が弱いため、転倒した際には運動麻痺がないか注意してください。

ダウン症の赤ちゃんが生まれてきたら受けられる公的支援

ダウン症児に向けての公的支援は以下の通りです。

  • ・療育手帳
  • ・身体障害者手帳の交付
  • ・特別児童扶養手当
  • ・障害児福祉手当
  • ・小児慢性特定疾病医療費助成

公的支援は生活上の困難さによって利用できるものとできないものがあります。愛の手帳などの療育手帳は、知的障害によって生活する上で支援が必要だと判断された場合のみに発行されるものです。ダウン症と診断されただけでは受けられませんのでご注意ください。このように、受けられる支援は障害の程度やお住まいの地域によって違いがあるためお住まいの市区町村役所に問い合わせをして確認をしましょう。

また、ダウン症児への公的な支援は申告をしないと受けられませんので必ず申請をしてください。

まとめ

ダウン症児といっても個人個人で違いがあるため一概には言い切れません。なぜならダウン症児もみんな個性があり、長所や短所、性格も含めて一人ひとり違うからです。

ただ、実際にダウン症児を見たことがない親御さんが多いので戸惑いを持っている方がたくさんいらっしゃいます。しかし実際にダウン症の子を育てるということは、意外にも普通の子と変わらない場面が数多くあるのです。そういった情報が流れてこないのが現在の問題点かもしれません。

しかしながら周りからの支援やサポートは健康な子よりも必要です。そういったコミュニティやサポートがあるのかどうかも含めて、産むのかどうかを判断してほしいと思います。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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