目次
ダウン症新生児の目や耳など顔の特徴は?
手や足などの身体的特徴も紹介
Q. ダウン症の新生児の顔の特徴とは?
A. つり目、平坦な顔貌、低い鼻、小さい耳などが一般的です。
ダウン症(21トリソミー)の新生児には共通する特徴がいくつかありますが、これらは個人差が大きく、生理的な「むくみ」との区別が難しい場合もあります。特徴だけで確定診断はできません。
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顔の特徴 → 平坦な顔貌、つり目(眼裂斜上)、低い鼻、小さな耳など -
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身体的特徴 → 筋緊張低下(抱っこした時の柔らかさ)、ますかけ線(猿線)など -
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むくみとの違い → 生理的なむくみは数日で引くが、骨格的特徴は残る -
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合併症 → 先天性心疾患(約40-60%)、消化器系異常、甲状腺機能低下症など -
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出生前診断 → NIPTで妊娠10週から検査可能(検出率99%以上)
ダウン症は、遺伝に関わる染色体の異常によって起こる疾患で、正式にはダウン症候群といいます。21番目の染色体が1本多いため「21トリソミー」とも呼ばれます。出生約1000人に1人の割合で生まれ、母親の出産年齢が上がると確率が高くなる傾向があります。
待望の赤ちゃんが生まれ、パパとママが最初に気になるのは、赤ちゃんが健康であるかどうかです。ダウン症の新生児には共通する特徴がいくつかあるため、経験を積んだ医師や看護師は顔の特徴から疑いを持つことがありますが、顔の見た目だけで確定はできません。
そこでこの記事では、ダウン症の新生児の顔に現れる特徴、生理的なむくみとの違い、身体的な特徴について、臨床遺伝専門医が詳しく解説します。
1. ダウン症の新生児の顔に現れる特徴
【結論】 ダウン症の新生児には、平坦な顔貌、つり目、低い鼻などの特徴が現れることが多いですが、これらには個人差があります。すべての特徴を持つわけではありません。
「赤ちゃんの顔の特徴が気になる」「ダウン症かもしれない?」そんな不安を抱えてこのページをご覧になっている方も多いでしょう。まずは落ち着いて、正しい情報を確認していきましょう。
| 特徴 | 説明 | 出現頻度 |
|---|---|---|
| 平坦な顔貌 | 鼻筋が平坦で、顔面中部の形成が未発達なため、全体的に平たい印象を与えます。 | 約90% |
| 斜め上向きの目(つり目) | いわゆる「つり目」ですが、日本人は元々切れ長でつり目に見えることも多く、これだけでダウン症とは判断できません。 | 約80% |
| 内眼角贅皮(上眼瞼ひだ) | 目頭を覆う皮膚のヒダ(蒙古ひだ)が見られることがあります。 | 約60% |
| 目の位置が離れている | 両目の間隔が広い傾向がありますが、親の遺伝である可能性もあります。 | 約50% |
| 鼻が低い | 鼻根部(目と目の間)が低く、鼻全体が小さく見える特徴があります。 | 約70% |
| 小さい耳・耳介低位 | 耳が小さく、低い位置についている(耳介低位)ことがあります。 | 約50% |
| 突出した舌 | 口の周りの骨格が小さいため、相対的に舌が大きく見え、口から出やすくなります。 | 約65% |
⚠️ 重要:上記の特徴は「手がかり」であり「診断基準」ではありません。多くの特徴は日本人(東アジア人)に一般的にも見られるものです。確定診断は必ず染色体検査で行われます。
2.「新生児のむくみ」と「ダウン症の特徴」の違い
【結論】 生まれたばかりの赤ちゃんは産道を通る圧力などで顔がむくんでいることが多く、これがダウン症の特徴と混同されることがあります。むくみは一時的なものですが、骨格的な特徴は継続します。
「目が腫れぼったい」「顔が平べったい」と不安になる親御さんは多いですが、通常のむくみであれば生後数日から1週間程度で徐々に引いていきます。一方、ダウン症の特徴である骨格形成(顔面中部の低形成など)による顔貌は、むくみが取れた後も特徴として残ります。
生理的なむくみの特徴
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生後数日〜1週間で改善
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まぶたの腫れぼったさ
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顔全体のふっくら感
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手足のむくみを伴うことも
ダウン症の骨格的特徴
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むくみが取れても継続する
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顔面中部の低形成(平坦さ)
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鼻根部の低さ
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耳の位置や形状の特徴
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顔だけで判断せず、授乳の様子(吸う力が弱いか)や、抱っこした時の筋肉の張り(柔らかすぎないか)など、全身の状態を見ることが大切です。
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確定診断には染色体検査(血液検査)が必要です。顔貌だけで決めつけることはできません。
🩺 院長コラム【「うちの子、ダウン症かも?」と不安になったら】
日々の診療で「赤ちゃんの顔がむくんでいて心配」「つり目に見えるのですが…」というご相談を多くいただきます。お気持ちは痛いほどわかります。
しかし、新生児の顔の特徴だけでダウン症を判断することはできません。生理的なむくみは生後数日で引いていきますし、日本人には元々つり目気味の方も多いです。
大切なのは、不安を一人で抱え込まず、専門家に相談すること。産院の小児科医や新生児科医に遠慮なく質問してください。もし本当にダウン症だった場合でも、早期からの療育や医療サポートで、お子さんの可能性は大きく広がります。どんな結果であっても、私たちは一緒に歩んでいきます。
3. ダウン症児の身体的特徴|手・足・抱き心地
【結論】 身体的な大きな特徴として「筋緊張低下(フロッピーインファント)」があり、体が柔らかくふにゃふにゃしています。手足には「ますかけ線」や指の特徴が見られることがあります。
抱き心地と「フロッピーインファント」
ダウン症の赤ちゃんに見られる大きな特徴の一つに「筋緊張低下(ヒポトニア)」があります。抱っこをした時に、体が柔らかく、ふにゃふにゃとした感触(フロッピーインファント)があるのが特徴です。
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哺乳困難:筋力が弱いため、おっぱいやミルクを吸う力が弱いことがある
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首すわりの遅れ:一般児より1〜3ヶ月程度遅れる傾向
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運動発達の遅れ:寝返り、お座り、歩行などがゆっくり
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関節の過可動性:関節が柔らかく、通常より曲がりやすい
手足の特徴
✋ 手の特徴
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短く幅広い手
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小指が内側に曲がっている(第5指弯曲)
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手の平を横切る一直線のしわ(ますかけ線・単一手掌線・猿線)
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小指の関節が1つ少ないことも
🦶 足の特徴
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親指と人差し指の間が広くなっている(サンダルギャップ)
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扁平足の傾向がある
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筋力が弱いため疲れやすく、転びやすい
💡 「ますかけ線」とは?
通常、手のひらには「感情線」と「頭脳線」の2本の主要な横線がありますが、ダウン症の方ではこれらが1本に融合した「ますかけ線(単一手掌線)」が見られることがあります。ただし、一般の方の約4〜5%にも見られるため、これだけでダウン症とは判断できません。
赤ちゃんの特徴が気になっていませんか?
ネットで調べるほど不安になることも。
臨床遺伝専門医と直接お話しすることで、正確な情報と安心を得られます。
※オンライン診療も対応可能です
4. ダウン症児の精神的な特徴
【結論】 個人差はありますが、ダウン症のお子さんは人懐っこく温かい性格の方が多いと言われています。言語発達はゆっくりですが、視覚的な認知能力(目で見て覚える力)は比較的優れている傾向があります。
😊 性格・社会性
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人懐っこく、社交的
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穏やかで優しい性格が多い
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音楽やリズムを楽しむ
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模倣が得意
📚 認知・学習
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視覚的学習が得意
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言語発達はゆっくり
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理解力は表出力より高いことが多い
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繰り返し学習で定着しやすい
ダウン症の精神的特徴は個人差が大きく、適切な支援と環境によって発達の可能性は大きく広がります。画一的なイメージを持たず、一人ひとりの特性や強みを理解することが重要です。
5. ダウン症児に見られる主な合併症
【結論】 ダウン症のお子さんには先天性心疾患(約40-60%)をはじめ、様々な合併症が見られることがあります。しかし、多くは治療可能であり、早期発見・早期治療が重要です。
| 合併症 | 頻度 | 説明 |
|---|---|---|
| 先天性心疾患 | 約40-60% | 心室中隔欠損、房室中隔欠損など。多くは手術で治療可能 |
| 甲状腺機能低下症 | 約15-20% | 新生児スクリーニングで発見、内服治療で管理 |
| 消化器系異常 | 約12% | 十二指腸閉鎖、鎖肛など。出生早期に手術 |
| 聴覚障害 | 約40-75% | 滲出性中耳炎による伝音性難聴が多い |
| 視覚障害 | 約50% | 屈折異常(近視・遠視)、斜視、白内障 |
| 白血病 | 約1% | 一般児の10-20倍だが、治療への反応は良好 |
| 環軸椎不安定性 | 約10-20% | 首の骨(頸椎)の不安定性。スポーツ時の注意が必要 |
💡 定期的な健康管理が大切
米国小児科学会(AAP)はダウン症児のための健康管理ガイドラインを定めており、年齢に応じた検査(心臓エコー、甲状腺検査、聴力検査、視力検査など)を推奨しています。早期発見・早期治療により、多くの合併症は管理可能です。
6. ダウン症の赤ちゃんが生まれたら受けられる支援
【結論】 ダウン症と診断された場合、療育手帳や各種手当など、多くの公的支援を受けることができます。これらは申告制であることが多いため、お住まいの自治体へ相談し、忘れずに申請しましょう。
ダウン症の赤ちゃんは、乳児期からの療育や、先天性心疾患などの合併症に対する医療ケアが必要になることがあります。経済的、社会的なサポートを活用してください。
📊 主な公的支援
療育手帳(愛の手帳)
各種割引やサービスを受けるために必要
身体障害者手帳
心臓疾患などの合併症がある場合に交付
特別児童扶養手当
障害のあるお子さんを養育する保護者への手当
小児慢性特定疾病医療費助成
対象疾患の医療費負担を軽減
児童発達支援
療育を受けるための通所サービス
自立支援医療(育成医療)
手術など必要な医療の自己負担を軽減
7. NIPTで出生前に知ることのメリット
【結論】 NIPT(新型出生前診断)でダウン症候群の可能性を事前に知ることで、NICU完備の病院選び、専門医との連携、家族の心の準備など、出産に向けた十分な準備ができます。
「出生前に知ることに意味があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、出生前にダウン症候群の可能性を知ることで、様々な準備ができるのです。
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出産環境の選択:NICU完備の病院、小児心臓専門医のいる施設を選べる
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医療チームとの連携:出産前から小児科医、心臓専門医と連携体制を構築
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家族の心の準備:心理的な準備期間を持ち、情報を集める時間ができる
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療育・支援情報の収集:早期療育や支援制度について事前に調べられる
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経済的な準備:医療費や将来の費用について計画を立てられる
NIPTの精度と検査の流れ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検査時期 | 妊娠10週以降(当院では妊娠6週から対応) |
| 検査方法 | 採血のみ(流産リスクなし) |
| ダウン症検出率 | 99%以上(感度) |
| 結果までの期間 | 約1〜2週間 |
| 陽性時の対応 | 羊水検査・絨毛検査による確定診断 |
🩺 院長コラム【「知る」ことは「選ぶ」ことの第一歩】
出生前診断について「知りたくない」という選択も、「知っておきたい」という選択も、どちらも尊重されるべきです。私がお伝えしたいのは、「知ること」は「選ぶこと」の第一歩だということです。
NIPTでダウン症候群の可能性を知った場合、妊娠を継続するにせよ、そうでないにせよ、十分な情報と時間を持って判断できます。妊娠継続を選んだ場合は、心臓専門医との連携、NICU完備の病院選び、療育の情報収集など、お子さんを迎える準備ができます。
当院では遺伝カウンセリングを通じて、検査を受けるかどうかの判断から、結果が出た後の選択肢まで、一貫してサポートいたします。どんな結果であっても、ご家族が最善の選択をできるよう、私たちは全力でお手伝いします。
8. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。ダウン症候群を含む染色体異常の検査から、陽性時のフォローまで一貫してサポートいたします。
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。
💰 互助会で費用面も安心
互助会(8,000円)に加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー。上限なしで安心です。
よくある質問(FAQ)
🏥 一人で悩まないでください
ダウン症について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。
関連記事
参考文献
- [1] Bull MJ, et al. Health supervision for children and adolescents with Down syndrome. Pediatrics. 2022;149(5):e2022057010. [PubMed]
- [2] Roizen NJ, Patterson D. Down’s syndrome. Lancet. 2003;361(9365):1281-1289. [PubMed]
- [3] Antonarakis SE, et al. Down syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2020;6(1):9. [PubMed]
- [4] National Down Syndrome Society. About Down Syndrome. [Official Site]
- [5] Palomaki GE, et al. DNA sequencing of maternal plasma to detect Down syndrome: an international clinical validation study. Genet Med. 2011;13(11):913-920. [PubMed]
- [6] Capone GT, et al. Co-occurring medical conditions in adults with Down syndrome: A systematic review toward the development of health care guidelines. Am J Med Genet A. 2018;176(1):116-133. [PubMed]
- [7] Centers for Disease Control and Prevention. Facts about Down Syndrome. [CDC]
- [8] American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. ACOG Practice Bulletin No. 226. 2020. [ACOG]
- [9] 厚生労働省. 出生前検査に関する情報提供. [厚生労働省]
- [10] 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. [日本産科婦人科学会]



