NIPTはアメリカで始まった新型出生前診断です。現在では日本を含む世界各国で行われていますが、海外と日本では出生前診断の環境が異なる部分もあります。
実際、NIPT先進国のアメリカでは、NIPTをとりまく状況が日本とどのように違うのでしょうか。
今回の記事では、NIPTに関してアメリカと日本の違いを解説します。NIPT受検のおすすめのクリニックも紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
NIPTとは
NIPTは無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT)のことで、母親の血液を採取すれば実施可能な高精度の非確定検査です。以下ではNIPTがどのような検査なのかを解説します。
非確定的検査で高精度の新型出生前診断
出生前診断には非確定的検査と確定的検査があります。
NIPTは非確定的検査に分類され、スクリーニング検査に位置づけられます。
従来から行われている非確定的検査として、コンバインド検査や母体血清マーカー検査(クアトロテスト)がありますが、それらよりもNIPTの精度は高いです。
たとえば40歳の妊婦でダウン症の検査を受けた場合、母体血清マーカー検査の感度が80%、コンバインド検査では83%の感度であるのに対し、NIPTの感度は99%です。
確定的検査には羊水検査や絨毛検査がありますが、いずれも母親のおなかに針を刺すので流産などのリスクがあります。羊水検査の流産リスクは約0.2〜0.3%、絨毛検査のリスクは約1%ほどです。一方、NIPTは母親の血液を採取して行うので、流産のリスクはなく安全性が高いです。
>>NIPT(新型出生前診断)とは?特徴や検査でわかることを遺伝専門医が解説 【医師監修】
アメリカ・シーケノム社の「MaterniT21」で胎児の染色体異常が診断可能に
アメリカのシーケノム社が世界で初めて「MaterniT21」(マタニティ21)と呼ばれるNIPTを開発し、2011年10月には検査受託が開始されました。当初は21トリソミー(ダウン症候群)のみの検査でしたが、後に18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)も追加されました。
アメリカ国内ではあっという間に広がっていき、日本国内でも2013年から5年間、臨床研究という形で導入されました。その後、一般診療化されて今にいたります。
現在国内で行われている新型出生前診断は、シーケノム社が提供している「MaterniT21 plus」(マタニティ21プラス)という名称の新型出生前診断がほとんどです。
参照:無侵襲的遺伝学的出生前検査(NIPT)への規律のあり方を考えるために
>>(第1世代間比較)他の検査会社のNIPTとの違いは何ですか?
アメリカのNIPTの特徴
NIPTを開発したアメリカでは、NIPTの特徴が日本と異なります。
アメリカの特徴として、NIPTの浸透率が高いこと、保険適用になっていること、陽性と出た後の中絶率が低いことがあげられます。具体的にはどのような状況なのか解説します。
NIPT浸透率が高い
アメリカでは、妊婦検診に行くと、全員が出生前診断に関する冊子を受け取ります。冊子には出生前診断の種類、選択肢とその確率などが記載されています。
また、NIPTに関するNational Library of Medicineのガイドライン【Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG)】で、NIPTでは21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの検出率が高いことについて全妊婦に知らせること、検査の前後にはカウンセリングを受けられるようにすること推奨されています。
受検するかどうかは日本と同様にあくまでも個人の判断ですが、アメリカではNIPTに関する情報が入りやすく多くの妊婦が受けており、NIPTの浸透率が高いです。
保険適用、適応なければ州が負担し低価格で受検可能
アメリカでは日本と異なり、NIPTに保険が適用されます。
自己負担額は入っている保険によりますが、比較的安価で自己負担がなくなる場合もあります。また、保険に入っていなくても州政府から補助が出るため、どの場合でも日本のNIPTよりも安価で受けられます。低価格であることもNIPTが浸透している理由の一つかもしれません。
社会的なサポート体制も整っており、中絶率は約60%
アメリカではダウン症候群(21トリソミー)とわかった場合でも中絶率は60%台です。これは日本に比べて低く、障害児に対する社会的なサポートが整っていることが影響していると考えられています。
たとえばアメリカでは染色体異常のある赤ちゃんを出産した場合、赤ちゃんに必要なことの説明を受けたり、受けられるサポートを紹介してもらえたりします。
また、アメリカでは以前よりインクルーシブ教育が進んでおり、障害がある子もない子もできる限り同じ場で教育することが理念として掲げられてきました。1990年には障害者教育法(IDEA法:Individuals with Disabilities Education Act)が制定され、障害者教育・リハビリテーション等の法的整備が行われています。
この法律では、0歳から21歳までの障害のある子どもたちが無償で公的な教育支援を受けられることなどが定められています。
日本のNIPTの特徴
アメリカのNIPTの特徴を紹介しましたが、日本のNIPTの特徴についても知りたい方がいらっしゃるのではないでしょうか。以下では日本のNIPTの特徴について解説します。
認証施設と非認証施設での受検が可能
日本でNIPTを受検できる施設に、認証施設と非認証施設があります。
認証施設は日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会が2022年2月に公表した「NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」に記載されている条件を満たすことが求められています。。
認証されるには、産婦人科専門医と小児科専門医が在籍していること、どちらかは臨床遺伝専門医であることなどが必要です。また、専門医が遺伝カウンセリングを行うことも定められているため、安心して検査を受けることができるでしょう
一方、非認証施設は、認証を受けていないクリニックのことです。
認証施設と異なり、NIPTを受けられる妊婦さんの状態の制限(*1)がなく、認証施設では調べられない胎児の性別を知ることもできます。
*1認証施設ではこれまで出産時の年齢が35歳以上の方が対象とされていましたが、年齢制限は撤廃されました。
また、NIPTの受検には医師の紹介状も不要で、遺伝カウンセリングも必須ではありません。しかし、施設によっては遺伝カウンセリングを実施しているところもあるため、ご自身で自分の調べたいことが検査できるクリニックを選ぶようにしましょう。
遺伝カウンセリングは、専門職が情報提供をはじめ、心理的社会的支援をする場と定義されています。
遺伝子検査で陽性と出た場合、ご本人やご家族が今後どうするかを判断しなければならないため、その助けとなるカウンセリングは重要な役割を担っています。
そのため、NIPTは専門職がカウンセリングを行っている施設で受検することが望ましいです。
保険適用外で、検査後の中絶率は約90%
日本ではNIPTは保険適応外で、公的助成もないため一般的に高額な費用がかかります。ダウン症(21トリソミー)の中絶率は2013年4月〜2020年3月に行われたNIPTコンソーシアムでの検査実績で87.5%です。(*2)アメリカの中絶率は60%台であるため、日本はアメリカよりも約30%中絶率が高いことがわかります。
日本でも障害者に対する法整備が進んでおり、2022年4月には、「障害者基本法」に基づく「障害者基本計画(第5次)」が決定(*3)され、障害のある人の自立及び社会参加の支援等のための施策の推進を図っていくこととされています。
しかし、いまだに障害者に対する理解や配慮は十分でないともいわれ、このことが中絶率の高さにつながっている可能性があります。
(*3)法務省 障害を理由とする偏見や差別をなくしましょう。
認証施設では性別の判定が禁止されている
認証施設ではNIPTの基本検査といわれる21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを調べることができますが、性別などそれ以外の検査はできません。
性別の判定ができない理由として、検査結果が確実ではないことや、性別の選択が行われてしまう可能性があることがあげられています。
非認証施設の中には基本検査以外に性別や他の染色体異常を調べられるところもあります。また、アメリカでは妊婦が希望すれば性別も知ることができます。
ミネルバクリニックのNIPTは高品質で最先端!その理由とは
ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医である院長が自ら遺伝カウンセリングを実施しており、安心して検査を受けることができます。また、精度の高いスーパーNIPTを扱っていることも特徴です。ここからはNIPTの受検でおすすめのミネルバクリニックの特徴について紹介します。
臨床遺伝専門医によるカウンセリングが受けられる
ミネルバクリニックでは、認定臨床遺伝専門医の院長のカウンセリングを受けることができます。
院長は自身が3児の母であることや、専門医を取得して働きながら子育てしてきたからこそ、女性のライフサポートをしていきたいという強い思いを持っています。
一人ひとりの事情をお伺いし、母親の気持ちに寄り添った対応をモットーにしています。
検査結果が陽性の方の追加費用は一切ありません。不安な気持ちを感じたときには、電話やオンラインでの相談も受け付けています。非認証施設であるため、認証施設では判定できない性別や3つのトリソミー以外の染色体異常も判定可能です。また、国内で最も精度の高いスーパーNIPTを受けることができます。
偽陰性・偽陽性報告ゼロの陽性的中率100%
2011年にはじまったNIPTは、第1世代から第3世代へと技術が進歩しています。
ミネルバクリニックで受けられる第3世代のスーパーNIPTは、高精度のNIPTの中でもより高い精度を誇っています21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーといった基本検査はもちろん、微細欠失症候群の偽陰性報告はゼロです。また、トリソミー18、トリソミー21に関しては、偽陽性もゼロで陽性的中率100%の精度です。偽陰性とは陽性なのに陰性とでてしまうこと、偽陽性は陰性なのに陽性とでてしまうことをいいます。
9週0日から検査可能(※ご希望の方は6週から検査可能)
ミネルバクリニックでは、NIPTは9週0日から検査可能です。また、ご希望の方は6週から検査を受けることもできます。その他のクリニックは10週〜15週が一般的です。早めに受検をすることで、その後の妊娠生活をどのように過ごすかを考える時間を多くとることができます。
また、検査結果が陽性の場合は、確定的検査までの心づもりをしたり、遺伝カウンセリングで専門家に相談したりする時間を、余裕をもって設けることができます。
まとめ
NIPTはアメリカで開発された検査で、世界で広く行われるようになりました。アメリカではNIPTの浸透率が高く、保険適用のため比較的安価で受けられます。
また、陽性後の中絶率も日本と比べると低いです。一方、日本では保険適用外のため高価で、陽性後の中絶率も高いです。両者の違いは国のNIPTに対する考え方や、障害者をとりまく環境の違いにも由来しているかもしれません。
NIPTはカウンセリングの受けられるクリニックで早期に受検することがおすすめです。ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医である院長の遺伝カウンセリングを受けることができ、早期受検可能なスーパーNIPTを受検することも可能です。ぜひミネルバクリニックのNIPTを検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の著者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。