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NIPTが非侵襲的とは?

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NIPTは非侵襲的ってどういう意味ですか?

侵襲とは、「病気」「怪我」だけでなく「手術」「医療処置」のような、「生体を傷つけること」すべてを指す。 なぜなら、病態であれその治療であれ、侵襲に対する生体の反応は同じであり、それを知らずして(侵襲を以て)人を治療することはできないからである。 英語では、形容詞のinvasiveとして使われるケースが多い。※ウィキペディアより

非(あらず)ということなので、非侵襲とは傷つけたり、患者さんにその後の過度な負担を掛けないということです。NIPTでは皆さん受けられる健康診断の時のように妊婦さんの血液を採血して赤ちゃんの異状を検査をすることができます。

そのため,妊婦さんには’採血’という少し痛みを伴う医療行為が行われますが、

おなかの赤ちゃんに関しては針を刺したりなどの行為はありません。
そのため、赤ちゃんにとって非侵襲的ということです。

これまで,赤ちゃんに染色体異常遺伝子異常があるかを検査するためには
絨毛検査羊水検査といった、赤ちゃんに対して侵襲的な検査が行われていました。

これらの検査が赤ちゃんにとって、どのような侵襲性があるのか・リスクがあるのかについて説明したいと思います。

絨毛検査

膣から、もしくはお腹に針を刺して絨毛を採取します。

絨毛は胎盤の一部で、赤ちゃんの遺伝情報と同じ遺伝情報を持っていると考えられています。

この細胞を培養して、赤ちゃんの染色体異常や遺伝子異常について検査をします。
詳しい説明はこちら!

モザイクの場合,赤ちゃんと絨毛(胎盤)の遺伝情報が異なることもあります.

リスク

流産(1%:100人に1人くらいの割合で起こります)

破水
出血
母体損傷

羊水検査

お腹に針を刺して羊水を採取します。

赤ちゃんのいる羊水の中には赤ちゃんから剥がれ落ちた細胞が含まれているので、この細胞を培養して、赤ちゃんの染色体異常や遺伝子異常について検査をします。

リスク

流産(0.3%:300人に1人ぐらいの割合で起こります)

感染症
羊水漏出
胎児損傷

絨毛検査と羊水検査のより詳しい説明に関しては,

6-2.最近の出生前検査、どんな種類の検査があるでしょう(侵襲的検査編)

でもご紹介していますので,ご興味のある方は参考になさってください.

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せっかく授かった大切な命、生まれてくる前に赤ちゃんの状態を少しでも知りたい、
けど出生前診断は流産のリスクがある、
どうしよう…と悩まれていた方々にとって、”赤ちゃんを危険にさらすことなく検査をすることができる” NIPTは赤ちゃんの状態を知る上で選択肢の1つになりますね。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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