目次
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- ➤ ハンチントン病の遺伝的特徴と診断の実情
- ➤ 大学病院で検査を断られた実体験
- ➤ ミネルバクリニックでの検査プロセス
- ➤ 98%の検出率の医学的意味
- ➤ 検査結果による人生の変化と希望
- ➤ 同様の状況の方へのアドバイス
ハンチントン病とは何か
ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)は、遺伝性の進行性神経変性疾患です。主な症状として、舞踏運動と呼ばれる不随意運動、精神症状、認知機能の低下などが現れます。
原因:HTT遺伝子のCAGリピート(三塩基の繰り返し配列)が36回以上に異常伸長することで発症
遺伝形式:常染色体優性遺伝(片親が患者の場合、子どもの発症率は50%)
発症年齢:多くは30〜40歳代、CAGリピート数が多いほど若年発症の傾向
日本での頻度:10万人あたり約0.7人(非常にまれな疾患)
家族の病気との向き合い
祖母がハンチントン病で亡くなりました。当時はまだ若く、この病気について詳しく理解していませんでしたが、結婚後に父もハンチントン病であることを知らされました。突然の事実に、私たち夫婦は大きな衝撃を受けました。
ハンチントン病遺伝子検査の特殊性:「発症前診断」とは
ハンチントン病の遺伝子検査は、他の多くの遺伝子検査とは根本的に異なる特徴があります。それは「発症前診断」と呼ばれることです。
発症前診断の意味:
HTT遺伝子のCAGリピートが40回以上の場合、ほぼ100%の確率でハンチントン病を発症します。つまり、症状が出る前の段階で、将来の発症を確実に予測できる検査なのです。
他の遺伝子検査との違い:
多くの遺伝性疾患の検査は「リスクの評価」ですが、ハンチントン病の場合は「発症の確定」を意味します。この重大性から、検査前の十分なカウンセリングが極めて重要とされています。
検査の心理的影響:
陽性の場合は将来への不安、陰性の場合は「サバイバー・ギルト」(生き残りへの罪悪感)など、結果に関わらず大きな心理的影響を与える可能性があります。だからこそ、専門医による適切なサポート体制が不可欠なのです。
検査への道のりでの困難
将来への不安から、東京の大学病院で遺伝子検査を受けたいと思い、遺伝カウンセリングを受診しました。しかし、検査を実施するためには両親の同意を得た上で、父の遺伝子検査結果を提出する必要があると説明されました。
残念ながら、母の理解が得られず、必要な書類を揃えることができませんでした。検査を受けることができない状況に、私たちは途方に暮れていました。
医学的視点からの考察:大学病院の対応について
なぜ大学病院はこのような条件を設けるのでしょうか?
医学的事実:ハンチントン病はHTT遺伝子のCAGリピートが36回以上で発症リスクがあり、約98%がこのCAGリピート異常によるものです。本人の血液から直接CAGリピート数を測定すれば診断は十分可能です。
大学病院の対応の問題点:
• 医学的に不必要な条件:常染色体優性遺伝では本人のDNA検査だけで診断可能
• 制度重視の画一的対応:個々の患者事情への配慮不足
• 過度なリスク回避:訴訟リスクや責任回避を優先
• 患者の自己決定権の軽視:成人が自分の遺伝情報を知る権利の制限
本来あるべき対応:
適切な遺伝カウンセリングのもと、十分な説明と同意があれば、成人患者本人の意思で検査を実施することが医学的にも倫理的にも適切と考えられます。
海外の対応:欧米では患者の自己決定権を重視
欧州ハンチントン病ネットワーク(EHDN)や国際ハンチントン協会では、適切な遺伝カウンセリングのもとで成人患者本人の意思による検査を推奨 しています。アメリカのハンチントン病協会も、訓練を受けた専門家による十分な説明があれば患者本人の判断で検査可能 としています。
家族の同意は必要条件ではない:
イギリスでは、検査対象者本人の十分な理解と同意があれば実施可能 です。米国でも、家族の同意を絶対条件とはしておらず、適切なカウンセリング体制下での本人同意を基本 としています。
国際的ガイドラインの趣旨:
1994年から更新されている国際ガイドラインは、患者の自律性と知る権利を尊重しつつ、十分な心理的サポートを提供することを重視 しています。日本の一部医療機関のような硬直的な条件設定は、国際的な潮流とは異なるアプローチと言えます。
医師からのメッセージ:98%の安心の重み
確かに、ハンチントン病の約98%はHTT遺伝子のCAGリピート異常が原因です。つまり、約2%の方は他の原因(まだ発見されていない遺伝子)でハンチントン病様症状を示す可能性があります。
しかし、98%の確率でHTT遺伝子によるハンチントン病を除外できるって、本当に大きくないですか?
当事者にとって、HTT遺伝子検査で陰性という結果は人生が変わるほどの喜びなんです。長い間心の奥底にあった重い不安が、ようやく晴れるのです。結婚への踏み切り、妊娠・出産への希望、子どもたちへの心配の軽減…これらすべてが現実となります。
なぜ大学病院は、こうした切実な思いを抱える患者様を制度の壁ではねつけて、悲しい思いをさせてしまうのでしょうか。
医療は数字だけではありません。患者様の人生に寄り添い、その不安に真摯に向き合うことこそが、私たち医師の使命だと信じています。HTT遺伝子検査で98%の確率でハンチントン病を除外できるチャンスがあるなら、それを患者様にお渡しするのが医師としての責任ではないでしょうか。
一人でも多くの方に、HTT遺伝子検査による確実な診断をお届けしたい。それが私たちミネルバクリニックの願いです。
ミネルバクリニックとの出会い
何とかして検査を受ける方法はないかと調べているうちに、ミネルバクリニックのことを知りました。こちらでは、複雑な手続きや家族の同意書なしに、プライバシーを尊重した形で検査を受けることができるということでした。
藁にもすがる思いで相談し、検査を受けることを決めました。ミネルバクリニックは、これまで大学病院などでしか行っていなかった遺伝診療を身近で受けられる日本初の試みとして開業されたクリニックです。遺伝診療へのハードルを限りなく下げて、悩んでいる人たちがきちんと悩みを解決できるようにしたいというコンセプトに深く共感いたしました。
安心と新たな希望
検査結果を受け取った時の安堵感は言葉では表現できないものでした。長い間心の奥にあった不安が、ようやく解消されたのです。
安心して体外受精に臨むことができるようになり、夫婦で将来の家族計画について前向きに話し合えるようになりました。ミネルバクリニックでの検査は、私たちにとって人生の転機となりました。
一人で抱え込まず、まずは専門医にご相談ください。適切な検査と丁寧なカウンセリングにより、きっと解決の道筋が見えてくるはずです。
関連事例:
→ ハンチントン病の母と祖母をもつ方の遺伝カウンセリング事例
大学病院で断られた後、ミネルバクリニックで検査を受けて安心を得られた別の患者様の体験談
よくある質問
ミネルバクリニックの特徴
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臨床遺伝専門医常駐:遺伝カウンセラーではなく、専門医による直接の遺伝カウンセリング -
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オンライン対応:全国どこからでも受検可能、遠隔地の方もサポート -
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検体採取の利便性:遺伝子検査は口腔粘膜で可能、採血不要 -
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産婦人科併設:2025年6月より確定検査を自院で実施可能 -
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患者第一の姿勢:制度の壁を取り払い、患者様の知る権利を最優先
臨床遺伝専門医による包括的サポート
オンライン診療対応・全国どこからでも検査可能
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※遺伝子検査をお考えの方は、必ず臨床遺伝専門医にご相談ください。
※本記事の医学的情報は2025年9月現在のものです。

