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遺伝カウンセリングの診療報酬加算 – 費用、条件、患者への影響

遺伝カウンセリングは、遺伝学遺伝子に関連する情報を提供し、個人や家族が遺伝的なリスクを理解し、それに対処するための専門的な支援を受けるプロセスです。この記事では、遺伝カウンセリングの診療報酬加算と、費用、条件、患者への影響についてお伝えします。

遺伝カウンセリングの役割と重要性については、以下のリンクからご覧ください。

関連記事:遺伝カウンセリングの重要性と実施手順

遺伝カウンセリングに関係する診療報酬の基準と見直し

遺伝カウンセリングの診療報酬は、日本の医療制度において、厚生労働省によって定められています。診療報酬の基準は以下の要素に基づいています。

遺伝カウンセリングの資格
遺伝カウンセリングを行う医師(臨床遺伝専門医)やカウンセラー(認定遺伝カウンセラー)は、日本遺伝カウンセリング協会などの認定機関から遺伝カウンセリングの資格を取得している必要があります。この資格を持つことが、診療報酬を受けるための前提条件です。
患者の診療内容
遺伝カウンセリングの診療内容に応じて、診療報酬が決まります。診療内容は、遺伝情報の収集、遺伝的リスクの評価、患者へのカウンセリング、診断、遺伝的検査の提案などを含みます。
診療の難易度
遺伝カウンセリングの難易度に応じて、診療報酬が設定されます。特に複雑なケースや高度なカウンセリングが必要な場合、報酬が高くなることがあります。
診療報酬の見直し
厚生労働省は定期的に診療報酬の見直しを行い、最新の診療内容や医療技術に対応するために報酬額を調整します。診療報酬の見直しにより、遺伝カウンセリングの診療報酬も変化することがあります。

遺伝カウンセリングの診療報酬は、医療提供者にとって患者へ高品質なサービスを提供する刺激となり、患者にとっても遺伝カウンセリングへのアクセスを向上させる重要な要素です。医療提供者は診療報酬の基準に則り、患者に遺伝カウンセリングの適切なケアを提供する役割を果たしています。

遺伝カウンセリング加算とは何か

遺伝カウンセリング加算(いでんかうんせりんぐかさん)は、日本の医療制度において、遺伝カウンセリングに関連する診療報酬の一部として提供される追加の報酬制度です。これは、遺伝カウンセリングを行う医療機関や診療所に対して、遺伝カウンセリングの提供に対する報酬として支払われるもので、診療報酬の一部を構成します。

遺伝カウンセリング加算の主なポイントは次の通りです。

目的
遺伝カウンセリング加算は、遺伝カウンセリングを提供する専門家や医師が患者に対して遺伝的な情報やアドバイスを提供する際に、その品質と提供者に適切な報酬を提供することを目的としています。
資格と要件
遺伝カウンセリング加算を受けるには、遺伝カウンセリングの提供者が一定の資格と要件を満たしている必要があります。これには、適切な専門資格やトレーニングを受けた者が提供したカウンセリングに適用されます。
診療報酬の一部
遺伝カウンセリング加算は、遺伝カウンセリングに関連する診療報酬の一部を形成し、診療機関やカウンセラーに支払われます。これにより、高品質な遺伝カウンセリングの提供が奨励され、遺伝的な情報提供の質を向上させることが期待されます。
診療報酬体系
遺伝カウンセリング加算は、日本の医療保険制度における診療報酬体系に組み込まれています。具体的な加算ポイント数や報酬の金額は、厚生労働省や医療保険組織によって規定され、診療内容や地域によって異なることがあります。

遺伝カウンセリング加算の実際の費用とは?

6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、難病に関する検査(区分番号D006-4に 掲げる遺伝学的検査及び区分番号D006-20に掲げる角膜ジストロフィー遺伝 子検査をいう。以下同じ。)又は遺伝性腫瘍に関する検査(区分番号D006- 19に掲げるがんゲノムプロファイリング検査を除く。)を実施し、その結果につ いて患者又はその家族等に対し遺伝カウンセリングを行った場合には、遺伝カウンセリング加算として、患者1人につき月1回に限り、1,000点を所定点数に加 算する。ただし、遠隔連携遺伝カウンセリング(情報通信機器を用いて、他の保 険医療機関と連携して行う遺伝カウンセリング(難病に関する検査に係るものに 限る。)をいう。)を行う場合は、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす 保険医療機関において行う場合に限り算定する。

7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号D006-19に掲げるがんゲノムプ ロファイリング検査を実施し、その結果について患者又はその家族等に対し遺伝 カウンセリングを行った場合には、遺伝性腫瘍カウンセリング加算として、患者 1人につき月1回に限り、1,000点を所定点数に加算する。

出典:今日の臨床サポート

つまり、遺伝カウンセリング加算は1か月に1回、1000点(1万円)となります。実際に患者さんが支払うのは、この3割負担♪部分で3000円です。この遺伝カウンセリング加算が自由診療の遺伝カウンセリング料に匹敵する部分です。別途遺伝子検査などをするとその料金が加算されます。

遺伝カウンセリング加算の患者への影響とは

遺伝カウンセリング加算が患者に与える影響をいくつか列挙します。

費用の軽減
遺伝カウンセリング加算が提供されることで、患者は遺伝カウンセリングのサービスを受ける際の費用が軽減されます。具体的には、自由診療で遺伝カウンセリング費用がまちまちだったのですが、保険適応になることにより3割の負担で済むようになりました。遺伝的なリスクや疾患についての情報や助言を求める際に、患者が財政的な負担を軽減することができます。
高品質なケア
遺伝カウンセリング加算が提供されることで、遺伝カウンセリングの提供者は高品質なケアを提供する動機づけを持つことが期待されます。患者はより質の高いカウンセリングと情報提供を受けることができ、医療の質が向上します。
遺伝的なリスクの評価と早期診断
遺伝カウンセリング加算は、患者に遺伝的なリスクの評価や早期診断の機会を提供します。患者は遺伝的なリスクに関する情報を受け、必要な遺伝的なテストやスクリーニングを受けることが奨励され、疾患の早期発見と介入が促進されます。
患者教育と情報提供
遺伝カウンセリングは患者やその家族に対して遺伝的な情報やアドバイスを提供し、疾患の理解と対処方法に役立ちます。加算が提供されることで、患者は遺伝的なリスクについて適切な教育を受け、情報に基づいた意思決定が可能になります。
疾患の早期発見と予防
遺伝カウンセリングによって、遺伝的な疾患の早期発見と予防が可能となり、患者の生活の質を向上させることができます。これにより、患者は適切な治療や管理策を受け、疾患の進行を遅らせることができるかもしれません。

総じて、遺伝カウンセリング加算は患者にとって重要なサポートとなり、遺伝的なリスクや遺伝的な疾患に対処するための高品質なケアを提供します。患者は遺伝的な問題に関する情報を容易に入手し、適切な治療や予防策を迅速に採ることができるようになります。

遺伝カウンセリング加算を取れる資格とは

遺伝カウンセリング加算を取れる資格は、臨床遺伝専門医です。サポートとして、認定遺伝カウンセラーという資格もありますが、こちらは単独でカウンセリングを行うことは日本の法制度においては出来ません。

臨床遺伝専門医とは

臨床遺伝専門医(Clinical Geneticist)は、臨床遺伝学の専門家であり、遺伝的な疾患や遺伝的なリスクに関連する患者の診断、治療、アドバイス、およびカウンセリングを行う医師です。彼らは臨床遺伝学と関連分野の高度な専門知識と技能を持ち、遺伝的な疾患に対する診療に特化しています。

臨床遺伝専門医は、以下のような役割を果たすことがあります。

遺伝的な疾患の診断
患者が遺伝的な疾患にかかっている場合、臨床遺伝専門医は遺伝的な検査を実施し、正確な診断を行います。これにより、患者とその家族に対する適切なケアプランを策定する手助けを行います。
遺伝的なリスクの評価
遺伝カウンセリングを提供し、患者やその家族に対して遺伝的なリスクに関する情報とアドバイスを提供します。これには、遺伝的なカウンセリング、リスク評価、遺伝的な相談が含まれます。
治療とケア
遺伝的な疾患を持つ患者に対して治療プランを策定し、必要な医療ケアを提供します。これには薬物療法、手術、またはその他の治療オプションが含まれることがあります。
研究
臨床遺伝専門医は、遺伝学や臨床遺伝学の研究にも貢献し、新たな治療法や診断方法の開発に取り組むことがあります。

臨床遺伝専門医は、医学の中でも高度な専門知識とトレーニングを必要とする分野であり、遺伝学、臨床遺伝学、小児科、内科、外科、産科などの幅広い分野での専門医としての資格を持っています。患者とその家族に対して遺伝的な問題に関するサポートとケアを提供することで、彼らは遺伝的な疾患に関連する課題に対処する役割を果たしています。

日本遺伝カウンセリング学会とは

日本遺伝カウンセリング協会(にほんいでんかうんせりんぐ学会、Japanese Society of Genetic Counseling)は、遺伝カウンセリングに関連する専門家や関心を持つ個人や団体を対象とした、日本国内の非営利組織です。この学会は、遺伝学や遺伝カウンセリングに関連する情報や知識の共有、専門家間の連絡、教育の促進などを通じて、遺伝カウンセリングの分野の発展を支援することを目的としています。

以下は、学会の主な活動と目標です。

プロフェッショナルネットワークの構築
日本遺伝カウンセリング学会は、遺伝カウンセリングの分野で活動する専門家、遺伝カウンセラー、医師、研究者、および他の関連する専門家のネットワークを構築し、情報の共有と連絡を促進します。
教育とトレーニング
学会は、遺伝カウンセリングに関連する教育とトレーニングプログラムの提供や支援を通じて、専門家のスキルと知識の向上を奨励します。これにより、高品質な遺伝カウンセリングの提供が促進されます。
研究と情報の提供
学会は、遺伝カウンセリングに関する最新の研究成果や情報を提供し、分野内でのベストプラクティスの普及を支援します。
患者サポート
学会は、遺伝的な問題を抱える患者やその家族に対するサポートと情報提供を行い、遺伝カウンセリングに関する質問や疑問に対応します。

日本遺伝カウンセリング学会は、遺伝カウンセリングの分野での研究、教育、情報提供、および専門家の協力を推進し、遺伝的なリスクに関連する問題に対処するためのリーダーシップとサポートを提供しています。

ミネルバクリニックでの遺伝カウンセリングの実例

ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行っております。

ミネルバクリニックでの遺伝カウンセリングの実例については、遺伝カウンセリング関連コラムに掲載していますので、リンク先からご覧ください。

まとめ

遺伝カウンセリングの診療報酬加算には以下のような重要な意義があります。

高品質な遺伝カウンセリングの奨励
良質な医療サービスを提供するため、遺伝カウンセリングの質と効果を向上させる動機づけを提供します。加算が提供されることで、遺伝カウンセリングの専門家や医師は高い水準のケアを提供しやすくなり、患者に対する適切な情報と支援を提供する奨励を受けます。
遺伝的なリスクの評価と早期診断の促進
遺伝カウンセリングは、遺伝的な疾患やリスクを特定し、早期に診断するための重要な役割を果たします。加算が提供されることで、患者は遺伝的なリスクを評価し、必要な遺伝的なテストやスクリーニングを受ける奨励を受け、疾患の早期発見と介入が促進されます。
患者教育と遺伝的なアドバイス
遺伝カウンセリングは、患者やその家族に対して遺伝的な情報やアドバイスを提供し、疾患の理解と対処方法に役立ちます。加算が提供されることで、患者は遺伝的なリスクについて適切な教育を受け、情報に基づいた意思決定が可能になります。
品質管理とプロフェッショナリズム
遺伝カウンセリングの診療報酬加算は、専門家による適切なケアの提供を奨励し、品質管理を促進します。遺伝カウンセリングを行う医療提供者は、適切な資格とトレーニングを受け、プロフェッショナリズムを維持する必要があります。
疾患の早期発見と予防
遺伝カウンセリングによって、遺伝的な疾患の早期発見と予防が可能となり、患者の生活の質を向上させることができます。これにより、医療システム全体のコストを削減し、患者の健康を改善する助けになります。

遺伝カウンセリングの診療報酬加算は、患者に対する適切なサポートを提供し、遺伝的なリスクに対処するための質の高いケアを促進する重要な仕組みです。遺伝的な問題に対処するためのリーダーシップと支援を提供し、医療提供者にとっても遺伝カウンセリングを行う動機づけとなります。

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行っております。

ご相談・検査は全国からオンライン診療で行えますので、お悩みの方は是非、ミネルバクリニックにご連絡を下さい。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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