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妊娠安定期とは?期間や必要な準備を詳しく解説

妊娠安定期という言葉から、流産のリスクの少なく体調も安定した時期というイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、妊娠はいつ何が起きるか分からないものなので、安定期に入っても安心しすぎず、体調を第一に考えることが大切です。

本記事では、妊娠安定期の期間や特徴について詳しく解説するとともに、準備しておくべきことと注意点を紹介します。

妊娠安定期とはつわりが落ち着き体調が安定してくる時期

妊娠安定期とは?期間や必要な準備を詳しく解説

妊娠をすると、女性の身体はさまざまな変化が起こります。ホルモン量が増えるだけでなく、血液量や血圧なども大きく変わるため、不調を感じることも多いでしょう。

特に、妊娠初期の頃はつわりに悩まされ、吐き気や倦怠感、眠気や食欲不振など、あらゆる症状が現れる人も少なくありません。

しかし、妊娠初期を過ぎて妊娠中期に入る頃になると、つわりの症状が落ち着いてきたり、胎盤が完成することによってホルモンバランスが安定したりします。

また、この時期になると妊娠初期の流産リスクも減ってくるため、妊娠安定期と呼ばれるようになるのです。

ただし、妊娠中の体調には個人差があり、安定期に入ったとしてもつわりが落ち着かない人もいます。

安定期に入ったからといって、必ずしも流産の心配がなくなるわけではないため、無理は禁物です。妊娠22週以降は切迫早産にも注意が必要な時期なので、「安定期」という言葉に惑わされすぎず、体調には気を配りましょう。

妊娠安定期の母体の特徴

妊娠安定期に入ると、おなかの膨らみが目立つようになってきます。おなかの膨らみ方も個人差が大きいため、急に大きくなったと感じる人もいれば、徐々に大きくなる人などそれぞれです。急激におなかが大きくなることで、妊娠線が出てくる場合もあるでしょう。

また、胎盤が完成してホルモンバランスが安定し始めると、基礎体温が下がります。妊娠初期からずっと続いていた高温期も、安定期に入る頃ようやく平常時の体温に戻ってくるでしょう。
安定期は、バストにも変化が出て来る時期です。人によっては妊娠初期から変化を感じるかもしれませんが、安定期あたりになると乳腺の発達が著しくなるため、サイズアップします。なかには、安定期を過ぎたあたりから母乳のような液体が出る人もいるでしょう。

胎動が感じられるようになる

妊娠安定期を迎える頃になると、胎動が感じられるようになります。胎動を感じることで、赤ちゃんの成長がより実感できるのではないでしょうか。

しかし、胎動が始まる時期や感じ方は個人差が大きく、一概に「この時期になれば必ず分かる」というものではないため、目安として考えましょう。

妊娠安定期の期間は5か月から

妊娠安定期は一般的に、妊娠5か月から(妊娠16週~)と言われています。

「安定期」という言葉を耳にすることは多いかもしれませんが、医学用語ではないため、厳密に期間が決められているものではありません。

妊娠中期と安定期は同じではない

妊娠期間は、初期(妊娠16週未満)、中期(妊娠16~27週)、後期(妊娠28~39週)に分類されています。

そのため、「安定期と妊娠中期は同じなのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、安定期に定義はありませんので、両者は同じ意味として扱われないことに注意しましょう。

妊娠5か月あたりから子宮底長の測定ができるようになる

安定期に入る妊娠5か月あたりになると、子宮は大人の頭くらいのサイズになります。このくらい大きくなると、子宮底長の測定が可能です。

子宮底長とは、子宮のてっぺんから恥骨上部までの長さのことで、子宮の大きさを測るために行います。

しかし、子宮底長は超音波検査での代用が可能なので、現代では測定しない病院も増えているようです。

妊娠安定期にしておくべき4つの準備

体調が安定してくる妊娠安定期にしておきたい準備を紹介します。特に初めての出産を控えている方は、どのような準備が必要なのか事前にチェックしておきましょう。

赤ちゃん用品を買いそろえる

安定期に入り、体調が落ち着いてくると比較的動きやすくなるので、赤ちゃん用品をそろえるタイミングとしておすすめです。

臨月に入ると、赤ちゃんがいつ生まれるか分からない状態になるので、その時期に急いで準備をするのは心身共に負担になる可能性があります。

また、出産後に買いに行こうと思っていても難しい場合が多く、産後すぐに必要になるグッズもあるため、安定期のうちに早めに準備しておく方が安心でしょう。

以下は、準備しておきたい主な赤ちゃん用品です。

  • ・赤ちゃん用の衣類
  • ・ベビーベッドや布団
  • ・おむつやおしりふきなどの消耗品
  • ・ベビーバス

安定期を過ぎると、超音波検査で赤ちゃんの性別が分かるようになるので、グッズも選びやすくなるでしょう。また、車を所有している人はチャイルドシートの購入も必要です。

入院準備は早めにしておくのがベスト

お産入院で必要なものは、安定期の間に準備しておきましょう。なお、安定期であっても切迫早産などで急に入院になってしまうケースもあるので、入院準備は早めにしておくと安心です。

入院前には最低限、以下のものを準備しておく必要があります。

  • ・母子健康手帳
  • ・健康保険証
  • ・印鑑
  • ・パジャマ
  • ・授乳用ブラジャー
  • ・産褥ショーツ
  • ・バスタオル
  • ・洗面用具
  • ・スリッパ
  • ・携帯電話と充電器

病院によっては、レンタルできたり支給されたりするものもあるので、事前に確認しておきましょう。

両親学級に参加する

両親学級とは、これから出産を迎える妊婦さんや配偶者を対象に行われるもので、出産育児について学べる場です。主催は自治体や病院、民間企業が行うこともあります。

定期的に開催されていることが多く、対象の週数になったら事前申し込みをして参加するのが一般的です。

両親学級では、出産に関する正しい知識を得られるだけでなく、赤ちゃんのお世話を人形などを用いて体験したり、パートナーに妊婦さんの疑似体験をしてもらったりもできます。

また、妊娠週数の近い人同士が交流できる場でもあるので、孤独感や不安の軽減にも効果的でしょう。

出産に関する手続きを把握しておく

出産関連の手続きは多岐にわたります。出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、うっかり必要な手続きを忘れてしまう可能性もありますので、事前に把握しておくことが大切です。

以下は、出産に関する主な手続き一覧です。

種類 手続き先 手続き期間
出生届 役所 出生日から14日以内
乳幼児医療費助成 役所 1か月健診までに
健康保険 役所 1か月健診までに
児童手当 役所 出生月内
出産育児一時金 役所または産院 出産翌日から2年以内
出産手当金 勤務先 産休開始翌日から2年以内
育児休業給付金 勤務先 育休開始日から4か月後の日を含む月末

なお、入院費用や治療が高額になり、高額療養費制度を利用する場合は、退院後に手続きをする必要があります。会社勤めの人は勤務先経由での提出、国民健康保険の人は役所での手続きが必要です。

妊娠安定期の注意点

妊娠安定期に入りつわりが楽になると、徐々に普段通りの生活ができるようになってきます。しかし、安定期であっても体調管理は十分に気を付けなければなりません。ここでは、妊娠安定期に注意するべきことを紹介します。

安定期に入っても健康状態には配慮が必要

体調が安定してきても、便秘や貧血などは妊娠初期から継続して解消されない人もいます。つわりが落ち着き食事が普段通りできるようになってきたら、栄養バランスの整った食事で便秘・貧血を改善しましょう。

また、安定期は比較的動きやすい時期なので、適度に身体を動かすことも大切です。激しい運動は赤ちゃんに負担がかかりますので、無理のない範囲でできるウォーキングなどが良いでしょう。

ただし、医師から自宅安静を指示されている場合は、近所の散歩なども控え、ゆっくり過ごす必要があります。特に何も言われていない場合でも、体調が優れないときや、おなかの張りが強くて辛いときは無理しないようにしましょう。

安定期に入り、体調が落ち着いていれば性生活を行うことも問題ありません。おなかが圧迫されないよう注意し、子宮の収縮や性感染症を防ぐためにも、必ずコンドームを使用してください。

旅行は体調が良い時期を選ぼう

出産後は育児で忙しくなり、夫婦2人での旅行は難しくなることが多いため、体調が落ち着いている安定期に旅行を計画する人もいるでしょう。

安定期での旅行は体調が良好であれば問題ありませんが、長時間移動を伴う場合は注意が必要です。妊娠中は、血液量が増えるため血小板や白血球の量も増加し、血栓ができやすくなります。

そのため、移動中はこまめに休憩をして身体を動かすなどの配慮が必要です。

なお、飛行機に乗る場合、妊娠の週数によっては診断書が必要になるケースがあります。旅先での万が一を考えて、母子健康手帳や健康保険証は忘れず携帯しましょう。

安定期にNGなこと

安定期に入ると、胎児の器官形成が完了するため、薬の影響を受けづらくなります。しかし、薬の成分は胎盤を通して胎児に流れるため、病院で処方された薬以外は服用しないようにしましょう。

何か薬を使用したい場合は、市販薬を自己判断で服薬せず、一度産婦人科に相談する必要があります。

なお、安定期に入っても引き続き飲酒や喫煙は控えましょう。低体重や早産のリスクが高まる原因になります。

【まとめ】妊娠安定期に入っても油断せず注意して過ごそう

妊娠安定期は医学用語ではありませんが、一般的につわりが落ち着く妊娠5か月以降の時期を指します。

動きやすくなったことで無理をしてしまう人も多いかもしれませんが、安定期に入っても健康状態には気を配り、体調を優先して過ごすことが大切です。

臨月近くなると出産準備に慌ててしまう可能性がありますので、安定期のうちに赤ちゃん用品をそろえたり出産関連の手続きを把握しておく必要があります。

今回紹介した妊娠安定期にしておくべき準備や注意点を理解して、安心した状態で出産を迎えましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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