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妊娠が分かったか分からないかのうちにくすりを飲んでしまったらどうしよう?
妊娠中に風邪をひいたり頭が痛くなったりしたら何を飲めばいいのかな?
ママが食べたもの・飲んだものはお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすので、妊娠中のくすりの服用はとても気になるところです。もし薬を服用しなければならなくなったら、どんなことに気をつければよいでしょうか。妊娠と薬について詳しく調べてみました。
妊娠と薬
ご存知の方も多いように妊娠中に薬を飲むとお腹の赤ちゃんに影響を及ぼします。
赤ちゃんはお母さんの胎内にいるときは胎盤を通じて酸素や栄養が与えられます。また赤ちゃんの炭酸ガスや老廃物がが胎盤からお母さんへ戻っていきます。
つまりお母さんが薬を飲むと薬の中にある成分が、胎盤から赤ちゃんの体内に流れる可能性があるので服用には注意が必要なのです。
服用を避けたい薬と飲んではいけない薬
読者の方は、どんな薬を飲むといけないのか知りたいでしょう。下の表に服用するのに慎重になってほしい薬と、飲んではいけない薬をまとめていますのでご確認ください。
服用を避けたい薬 | 飲むを止めてほしい薬 |
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・抗菌薬・抗ウイルス剤(アミノグリコシド系,テトラサイクリン系) ・降圧剤(βブロッカー,ACE 阻害剤,アンギオテンシン II受容体阻害剤など) ・抗けいれん剤(フェニトイン,フェノバルビタール,バルプロ酸など) ・抗うつ剤(イミプラミンなど) ・非ステロイド抗炎症薬(アセトアミノフェン以外の抗炎症薬) ・向精神薬 利尿剤(リチウム) |
・抗菌薬・抗ウイルス剤(リバビリン,キニーネ) ・抗高脂血症薬(プラバスタチン,シンバスタチンなど) ・抗ガン剤 ・麻薬 ・睡眠薬(フルラゼパム,トリアゾラムなど) ・抗潰瘍薬(ミソプロストール) ・ホルモン剤(ワーファリン) ・ワクチン類(ダナゾール,女性ホルモン) ・その他(麻疹ワクチン,おたふくかぜワクチン,風疹ワクチンなど) |
薬の詳細については担当医師に聞くと答えてくれるでしょう。またご自分が普段から服用している薬が表に記載されているのかを医師に確認してください。
赤ちゃんへの影響
お腹の中にいる赤ちゃんはまだ未成熟です。体内に入った薬の成分の排泄を十分に行うことができません。
また胎児が尿として羊水の中に出した薬は、羊水の中から再び胎児の身体にもどってきてしまいます。そのため薬の種類や量、妊娠期間によって違いがありますが、赤ちゃんが奇形になったり、発達障害になったりします。市販薬でも気をつけないといけませんので注意をしておきましょう。
妊娠週数と薬の影響
先述したように妊娠週数によって薬の影響は変わってきます。大別すると4つの時期によってリスクが違ってくるので確認をしておきましょう。また、授乳期も薬の服用をすると赤ちゃんに影響を及ぼすので一緒にチェックしておくといいかもしれません。
妊娠4週未満
この時期は「妊娠してることに気がつかないで薬を飲んでいた」といった心配している妊婦さんがたくさんいます。しかしながら、まだ器官が形成されていないため赤ちゃんに影響を与えることはありません。
もし体調不良で薬を飲んだとしてもご自分を責めないでください。どうしても気になる方は医師に相談してみましょう。
妊娠4週から7週
この頃に入ると、神経・心臓・消化器官・手足など重要な器官が作られれます。そのため薬の服用によって奇形を起こす可能性がある時期です。
薬の服用については過敏なくらい慎重になってください。もしも薬を服用する時は、市販薬であれば妊娠中で問題はないか必ず薬剤師に確認を取るようにしましょう。病院で処方された薬の場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談をしてから服用してください。
妊娠8週から15週
この時期は心臓などの重要な器官の形成は終わっているので、奇形を起こす可能性は妊娠4週〜7週に比べると低下しています。ただ、妊婦さんによっては重要器官の成長がこの時期までずれ込む場合があります。そのため4~7週目同様、薬の服用は慎重になってください。
また8週から15週目は、手や足が形成される時期です。薬の服用によって奇形児が生まれる恐れがあるので注意したほうがいいでしょう。
妊娠16週以降
この時期に入ると奇形の心配は殆どありません。ただし血管が収縮したり、へその緒が圧迫されたりすることにより、胎児の動きや発育へ影響する恐れがありますので注意が必要です。
薬は胎盤を通じて、赤ちゃんに入ってくるので過剰摂取をすると悪影響をするかもしれません。特に鎮静剤は長く服用すると母体の貧血、産前産後の出血、難産、死産、新生児の体重減少などの症状が出る可能性があるので、服用の際は医師と相談しながらにしてください。
授乳期
お母さんは授乳期に薬を飲むと胎児に母乳から体内に流れてしまうので「薬を飲むと母乳はあげられない」と思われがちです。しかしながら、母乳に薬の成分がふくまるのはごく微量のため、赤ちゃんの成長に影響を与えることはほぼありません。
そのため出産後は殆どの薬を服用してもいい時期です。もしひとたび母乳をやめてしまうと、ホルモンの変化などにより母乳を再開するのは難しくなります。母乳は、赤ちゃんにとって理想的な栄養成分を含んでおり、感染症の予防や神経発達を促す働きがあります。したがって薬を飲む場合でも母乳をあげられる方法を考えてみてください。
妊娠中に薬を服用する場合
もし妊娠中に薬の服用が必要な場合は必ず医師に相談をしてください。その上で飲んでも影響が少ない薬を処方してもらいましょう。万が一市販薬を飲むときは薬剤師に妊娠していることと、何週目かと伝えた上で、どんな薬ならば問題ないか相談をしてください。
また、2005年10月に国立成育医療研究センター内に妊娠と薬情報センターという妊娠中の服薬に関する情報期間が設置されています。こちらの施設でも妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方の相談に対応が可能です。
全国47都道府県の拠点病院に「妊娠と薬外来」を開き、各地域の相談外来で受け付けていますので問い合わせてみてください。
※妊娠と薬情報センター|妊娠と薬外来一覧
www.ncchd.go.jp/kusuri/popwindow.html
持病がある人の場合
ぜんそくや、てんかんなどの持病により薬を飲んでいた人が、妊娠に気づいて急に薬の服用をやめてしまうと、母体がバランスを崩す恐れがあります。そうなると胎児まで危険な状態になるかもしれません。持病のコントロールは妊娠中でも大切ですので自己判断せず、主治医に妊娠したことを伝えた上で相談をしましょう。
また、妊娠前から主治医と話し合っておくのも方法の一つです。
新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチンについて
現在日本国内に流通しているワクチンは、主にファイザー製とモデルナ製の二種類です。どちらもRNAワクチンと呼ばれる新しいタイプです。
このワクチンはウイルス等の毒性を弱めて作られた生ワクチンとは違い、接種しても新型コロナウイルスに感染することはありません。厚生労働省では、胎児や乳幼児が新型コロナウイルスに感染する可能性が考えて、妊婦さんや授乳期のお母さんの接種を推奨しています。
アメリカでは、mRNAワクチンを接種した妊婦さんの登録調査を行いましたが、副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度という結果が出ました。また、流産や死産、早産などの頻度は一般的な妊婦さんと比べて上昇しないことが報告されています。
またインフルエンザワクチンは、妊娠中・授乳中のインフルエンザへの感染には影響が認められているため、妊娠中のいずれの時期でも接種が推奨されています。
※参照サイト:厚生労働省|コロナワクチンQ&A
国立成育医療研究センター|妊娠・授乳中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について
妊娠中に薬を飲んでしまった先輩ママの体験談
この項では、妊娠中に薬の服用したことがある先輩ママからの体験談をご紹介します。実際にどんな状況だったのかご覧ください。
妊娠にまだ気づいていないときに、風邪っぽくなって、妊娠の兆候だと気づかずに風邪薬を飲んでしまいました。その後妊娠がわかると、胎児に悪影響があるのではないかと怖くなり、お医者さんに相談したところ、「もし悪影響があるならもう胎児は流れてしまっている。影響がなかったから、無事に妊娠が継続しているんだよ」と言われ、すごく安心したのを覚えています。(ままのてより引用)
立て続けに風邪をひいてしょっちゅう病院へ行き、風邪薬や痛み止めをもらって一気に飲んだ後に、妊娠が判明しました。 長期間にわたり薬を連続して飲んだ後だったので、本当にあせりました。 産婦人科へ行き医師に相談すると「本当に胎児に影響をおよぼす薬なんてほんの一部だし、普通の風邪薬を飲んだくらいなら大丈夫」と言っていただき、ホッとしました。(ままのてより引用)
私が初めて妊娠したとき、2ヶ月までまったく気づきませんでした。それまでずっと身体がだるく、微熱がずっと続いていたので、風邪薬を結構な期間飲み続けていたのですが、まったく効かずおかしいなと思っていました。生理がこなかったので妊娠検査をしたところ、子どもができていました。
ただ、薬を飲んでいたからなのかどうかは定かではありませんが、その数週間後に完全流産をしてしまい、初めて妊娠した子どもには会うことができませんでした。(ままのてより引用)
殆どが気づかずに服用したケースです。妊娠超初期は胎児が小さくて影響を及ぼさない時期ですが、何かしらの兆候が出ている場合もあります。もし気になる兆候があったら早めに病院で医師の診察を受けてください。
※妊娠超初期はいつから始まる?妊娠後に現れる症状や理由について詳しく解説
minerva-clinic.or.jp/column/pregnancy/when-very-early-pregnancy-start/
まとめ
妊娠中だからこそ体調が不安定になることもあります。また気がつかないでうっかり薬を飲んでしまった……と自責の念に駆られることもあるかもしれません。
妊娠と薬についての注意点は
- ・妊娠超初期は気づきにくいが服用しても胎児に影響する可能性は低い
- ・妊娠初期は4週から15週は胎児の体が作られる時期なのでできる限り薬は飲まない
- ・妊娠16週以降は特に気にする必要はない
以上の3つです。また妊娠を希望する人は、常用薬がある人もない人も、事前に主治医に相談することを忘れないようにしていきましょう。