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胎盤とは妊娠成立後に子宮内にできる円盤の器官のことです。胎児に酸素や栄養素を送る働きがあり、妊娠全期を通して胎児とともに成長していきます。
胎児が健康に成長するのに欠かせない胎盤ですが、妊娠中は胎盤のトラブルがあり、状況によっては母子ともに命に関わる可能性があります。トラブルがあるにも関わらず受診が遅れて危険な状態になると、知らなかったでは済まされません。
そこでこの記事では、胎盤に関する基礎知識から妊娠中の胎盤トラブルについて詳しく解説します。
安全に出産日を迎え、健康な胎児を分娩するためにも、ぜひ最後までお読みください。
胎盤とは?
胎盤とは妊娠成立後に子宮内にできる円盤の器官のことです。
胎盤から伸びるへその緒(臍帯)は母さんと胎児を繋ぐ血管の束になり、へその緒として胎児のおへそとつながっています。この血管を通して、お母さんは胎児に酸素や栄養素を届け、二酸化炭素や老廃物などのいらなくなったものを回収しています。
では、続いて胎盤の「構造」「大きさ・重さ・位置」「役割」について詳しく見ていきましょう。
胎盤の構造
胎盤は子宮の内側にある臓器で、へその緒によりお母さんと胎児をつないでいます。円盤状の臓器であり、内部は中隔と呼ばれる小部屋で仕切られています。
この小部屋の中は細かい毛のような組織(絨毛)で満たされており、絨毛自体には無数の血管が張り巡らされ、そこにお母さんの血液が通う構造です。そのため、お母さんと胎児の血液が混ざることはありません。
胎盤と胎児は一緒に成長し、分娩時に役目を終えて排出されます。
胎盤の大きさ・重さ・位置
胎盤は妊娠初期には子宮外妊娠が小さいこともあり、エコー(超音波)検査でも確認が難しいでしょう。
妊娠10週あたりから子宮が大きくなるにつれて、胎盤を確認できます。そして、分娩に向けて胎児とともに成長します。
(NIPT Japan/胎盤の重要な役割と前置胎盤などのトラブルより画像引用)
通常、子宮内の上の方にくっついていますが、下の方についていると「低位胎盤」、子宮口(子宮の出口)を覆っていると「前置胎盤」と呼ばれ、胎盤トラブルとして考えられています。
正期産(妊娠37週0日〜妊娠41週6日まで)になると、大きさは直径20〜30cm、厚さ2〜3cm、重さは500〜600gほどになり、分娩とともに排出され、その役目を終えます。
分娩施設によっては、排出された胎盤を見せてもらえるため、興味があれば事前に希望してみるのも良いでしょう。よく「血の塊や大きなレバーみたいだった」と表現されます。
参考資料:NIPT Japan/胎盤の重要な役割と前置胎盤などのトラブル
胎盤の役割
胎盤の役割は、以下のとおりです。
- ・赤ちゃんへ酸素や栄養素を送る
- ・赤ちゃんの二酸化炭素や老廃物を回収する
- ・妊娠継続のためのホルモン分泌をする
- ・赤ちゃんを守るフィルターになる
胎盤は細かな無数の血管からできており、その先にあるへその緒(太い血管の束)でお母さんと胎児をつないでいます。血液循環を通して、胎児が成長していけるだけの十分な酸素や栄養素を届け、不要になった二酸化炭素や老廃物を回収する役割があります。
そのため、胎盤は胎児にとってのライフライン的な位置付けであり、 胎盤にトラブルが起こると最悪な場合、妊娠継続ができない危険性があるのです。
また、赤ちゃんを守るフィルターとしての役割もあります。なぜなら胎盤があればお母さんと胎児の血液が直接混ざることがなく、分子量の大きな物は胎児に届かない仕組みになっているからです。
ただし、内服の種類によっては分子量が小さく、胎児への健康被害を及ぼしかねません。そのため、内服については妊娠全期を通して医師と相談しながら進めましょう。
胎盤はいつできる?
胎盤は妊娠10週あたりにエコー(超音波)検査で確認でき、13〜16週ごろに完成します。胎盤が完成すると流産のリスクが下がり、お母さんの不安も少し和らぐでしょう。
そして、妊娠中期(16〜27週)以降は胎盤として機能し始めて、胎児の成長をサポートします。
では、実際に「胎盤が完成するまでの過程」と「胎盤が完成するまで注意すべきこと」について詳しく見ていきましょう。
胎盤が完成するまでの過程
胎盤や胎児はすべて受精卵がもととなっています。
受精卵が着床して妊娠が成立するとhCGホルモン(ヒト絨毛生ゴナドトロピン)の分泌が始まり、着床部分に絨毛が作られるとともに、子宮内膜が厚くなり胎盤を作る準備が始まります。
そして受精卵の一部「絨毛膜」と子宮外側の「脱落膜」が合体して、胎盤のもととなります。そこから徐々に羊水が滲み出てきて、子宮内を羊水で満たす仕組みです。
胎盤が完成する時期は妊娠13〜16週ですが、妊娠全期を通して大きく・重くなっていき、正期産(妊娠37週0日〜妊娠41週6日まで)になると、大きさは直径20〜30cm、厚さ2〜3cm、重さは500〜600gほどまで成長します。
胎盤はお母さんと赤ちゃんを繋ぐ命綱であるため、健康に成長してもらわなければいけません。
胎盤が完成するまで注意すべきこと
胎盤が完成するまで注意すべきことは、以下のとおりです。
- ・栄養バランスの良い食事を摂る
- ・十分な休息ができる
- ・身体的・精神的な負担を可能な限り減らす
胎盤は胎児が成長するために不可欠な器官です。胎盤がうまく成長しなかったり石灰化したりすると、胎児発育不全などのリスクが高まります。だからこそ、健康に胎盤に育つことが非常に重要なのです。
栄養バランスの取れた食事や休憩しながら無理なく活動することで、身体的・精神的な負担を減らせるように心がけましょう。
特に妊娠初期はつわりなどの妊娠初期症状に加えて、仕事を続けている方も多いと思うので、体調管理が難しい時期でもあります。一方、胎盤が完成するまでの大切な時期でもあるため、会社とも相談しながら無理なく過ごせるように配慮してもらうことも必要です。
健康な胎盤に育つための3つのポイント
健康な胎盤に育つためのポイントは、以下の3つです。
- ・ポイント①:妊娠高血圧症候群の予防をする
- ・ポイント②:血液循環を良くする
- ・ポイント③:むくみの改善をする
胎盤は胎児の成長を支える基盤であるため、この章で解説するポイントを必ず押さえておきましょう。
ポイント①:妊娠高血圧症候群の予防をする
妊娠高血圧症候群とは妊娠の20人に1人が発症する高血圧症状のことです。
具体的には、収縮期血圧が140mmHg以上(重症:160 mmHg以上)、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上(重症:110 mmHg以上)で、「頭痛」や「頭重感」「全身がだるい」などの症状を感じる状態を示します。
通常妊娠20週以降に発症すると考えられており、血圧が上がると胎盤からの血流が不安定になり、十分な酸素や栄養素を送ることができません。
また、高血圧は胎盤の毛細血管を傷つける危険性があり、胎盤の低下の原因にもなるため注意が必要です。妊娠高血圧症候群が悪化すると高血圧腎症(腎臓機能が低下する)危険性があり、胎児だけでなくお母さんの命も危険にさらされるケースもあります。
加えて、「胎児発育不全」「胎児機能不全」「常位胎盤早期剥離」などを発症するリスクを高めるため、発症した場合は徹底的な血圧コントロールが必須です。
母子ともに健康に妊娠期を過ごすためにも、以下の予防がおすすめです。
- ・塩分を控える
- ・適度な運動をする
- ・体型・体重コントロール
塩分の摂り過ぎは高血圧の原因です。厚生労働省によると、1日の摂取目安は「6.5g未満」であり、高血圧症状や腎症がある方は「6.0g未満」が推奨されています。
また、適度な運動で体型・体重コントロールをすることも重要です。ただし、運動を始めるなら、産婦人科医に相談してからにしましょう。
参考資料
公益社団法人 日本産科婦人科学会/妊娠高血圧症候群
厚生労働省e-ヘルスネット/ナトリウム
厚生労働省e-ヘルスネット/栄養・食生活と高血圧
ポイント②:血液循環を良くする
血液循環を良くすることで胎児へ十分な酸素や栄養素を届けられるようにしましょう。
胎盤は細かな血管の集まりで、中の小部屋は血液で満たされています。血液循環の悪いドロドロの血液だと細かな血管が詰まったり、滞ったりして胎児へ十分な酸素や栄養素を届けることができません。
そして「胎児発育・機能不全」や「常位胎盤早期剥離」 など母子ともに命の危険にさらされるリスクもあります。また、胎児が不要になった二酸化炭素や老廃物を上手く回収できないため、胎児の健康被害も心配です。
血液循環を良くするための予防法は、以下のとおりです。
- ・ビタミンEの摂取
- ・冷え性の改善
- ・同一体位で長時間過ごさない
- ・適度な運動
納豆や緑黄色野菜などに多く含まれるビタミンEは血管を広げたり、血液が固まるのを防いだりします。つまり、血液の通り道を確保しつつ、血液をサラサラの状態に保つ働きがあるということです。
また適度な運動や適宜大勢を変えることで、血液の流れが滞らないように工夫することも効果的な予防法です。
日常生活で簡単に取り入れられることから始めてみるとよいでしょう。小さな予防の積み重ねが、妊娠全期を健康に過ごす土台になります。
参考資料:厚生労働省eLIM『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』/ビタミンE
ポイント③:むくみの改善をする
全身のむくみを改善することで血液循環が良くなり、健康な胎盤に育つための土台作りになります。
特にカリウムの多い食材を取り入れた食事にすると効果的です。カリウムはむくみの原因であるナトリウム(塩分)の排泄を促します。例えば、以下の食品はカリウムを多く含んでいます。
- ・ほうれん草
- ・バナナ
- ・ひじき
- ・昆布
- ・大豆
また、長時間の立ち仕事で足がむくむなら、ふくらはぎの下から頭側に向かってマッサージをし、リンパや血液の流れを促してあげるようにしましょう。
それでもむくみが改善しないなら産婦人科医に相談して内服コントロールをしてもらうことも大切です。
参考資料:厚生労働省 e-ヘルスネット/カリウム
知らないと危険|妊娠中の5つの胎盤トラブルと予防法
この章では、妊娠中の以下5つの胎盤に関するトラブルについて解説します。
- ・前置胎盤
- ・低置胎盤
- ・常位胎盤早期剥離
- ・癒着胎盤
- ・胎盤機能
通常、胎盤の位置は妊娠10週のエコー検査で確認でき、妊婦健診で異常の早期発見もできるのでご安心ください。
妊娠をする以上、すべての妊婦に発症するリスクはあります。そのため、胎盤のトラブルと合わせて予防法まで押さえておくことは非常に重要です。
また、中には母子の命を危険にさらす重篤なものもあるため、一読しておいて損はありません。
トラブル①:前置胎盤
前置胎盤とは子宮口の一部または全体を塞ぐように胎盤が作られる妊娠中の胎盤トラブルです。子宮口をすべて塞いでいるなら「全前置胎盤」と呼びます。
通常、胎盤は子宮口から離れた子宮内部の上の方に作られますが、以下のことが原因で前置胎盤になると考えられています。
- ・妊娠回数が多い
- ・子宮筋腫や子宮頚がんなど婦人科疾患をかけ
- ・婦人科疾患による手術の既往歴がある
- ・帝王切開をしたことがある
- ・多胎妊娠である
- ・喫煙習慣がある
胎盤が子宮口に近いため、妊娠中の出血や早産などのリスクが高まるのが特徴です。
また、前置胎盤については胎児や胎盤の成長とともに妊娠全期で位置が変わります。そのため、妊婦健診で前置胎盤の疑いを指摘されたからといって、必ずしも危険な状態ではありません。
また、前置胎盤と診断されても分娩前までに90%以上の方は改善していることもわかっています。妊娠全期を通して、胎盤の位置や大きさなどを経過観察するためにも妊婦健診は欠かさず受けるようにしましょう。
参考資料:NIPT Japan/胎盤の重要な役割と前置胎盤などのトラブル
トラブル②:低置胎盤
前置胎盤ほどではありませんが、通常よりも低い位置に胎盤が作られているものを低位胎盤と呼びます。具体的には、子宮口の2cm以内の場所にある胎盤のことを示します。
前置胎盤と決定的に違うことは、低位胎盤は分娩直前の子宮口との位置関係によっては、経膣分娩(自然分娩)で出産できるという点です。
ただし、子宮口が近いことに変わりはないため、出血や胎児の状況によっては緊急帝王切開が行われることも十分考えられます。
低位胎盤も前置胎盤と同じように子宮口を塞ぎ、出血や早産のリスクを高めます。 また、妊娠全期を通して胎盤と子宮口の位置関係も変わってくるため、まずは妊婦健診で経過観察を行い、分娩が近づいたら最も安全な分娩方法を検討しましょう。
トラブル③:常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離とは分娩前に胎盤が剥がれてしまう非常に危険な状態のことです。
(公益社団法人 日本産婦人科医/(6)常位胎盤早期剝離より画像引用)
胎盤が剥がれることでお母さんと胎児が切り離され、胎児に酸素や栄養素が届けられなくなります。つまり、胎児は「息もできない」「成長するための栄養素も届かない」という状態になるのです。
常位胎盤早期剥離の主な原因は、以下のとおりです。
- ・喫煙
- ・妊娠高血圧症候群
- ・切迫早産
- ・血液凝固障害(抗リン脂質抗体症候群など)
- ・羊膜内感染
- ・胎児奇形
- ・子宮筋腫
- ・急激な子宮内圧の減少
常位胎盤早期剥離は母子ともに非常に危険な状態になるにも関わらず、前兆がほとんどなく発見が難しい特徴があります。そのため、不正出血や急激な腹痛などの症状があり初めて発見され、緊急帝王切開になるケースがほとんどです。
常位胎盤早期剥離について詳しく知りたい方は「【危険】常位胎盤早期剥離とは?原因やなりやすい人の特徴・予防法まで徹底解説」の記事が参考になります。症状や予防法など妊婦であれば必ず知っていてほしい内容ばかりなので、ぜひご覧ください。
参考資料:公益社団法人 日本産婦人科医/(6)常位胎盤早期剝離
トラブル④:癒着胎盤
癒着胎盤とは胎盤が子宮内膜に食い込んでおり、分娩後に自然に剥がれない状態のことです。通常なら胎盤は分娩時に子宮から自然に剥がれて排出されます。
癒着胎盤の主な原因は、以下のとおりです。
- ・妊娠回数が多い
- ・帝王切開をしたことがある
- ・前置胎盤の診断があった
- ・婦人科疾患による手術の既往歴がある
癒着胎盤は症状の程度により以下の3つに分類されます。
- ・軽度:楔入胎盤(せつにゅうたいばん)
- ・中等度:嵌入胎盤(かんにゅうたいばん)
- ・重度:穿通胎盤(せんつうたいばん)
分娩後に癒着胎盤を発見したら、大量出血のリスクもあるため無理に剥がすのは禁物です。そこで、子宮マッサージにて自然に剥がれるように促したり、外科的な処置にて慎重に剥がしたりします。
穿通胎盤のように重度な癒着胎盤なら、状況によっては子宮摘出をしなければいけないこともあると知っておきましょう。
また、妊婦健診で癒着胎盤が発見されたら、出血に備えて鉄剤の内服や分娩前に輸血の準備をしておくことも必要です。医師から事前に説明があれば、分娩によるリスクを十分理解したうえで、安全に出産を迎えられるように進めましょう。
参考資料
公益社団法人 日本産婦人科医会/前置胎盤・癒着胎盤
公益社団法人 日本産婦人科医会/27. 癒着胎盤
トラブル⑤:胎盤機能不全
胎盤機能不全とは、以下が原因で胎盤の機能が低下して胎児に十分な酸素や栄養素を届けられなくなる状態のことです。
- ・過期妊娠(過期産)
- ・妊娠高血圧症候群
- ・糖尿病
- ・腎症(高血圧腎症など)
有名な胎盤機能不全の原因として「過期妊娠(過期産)」があります。過期妊娠(過期産)とは、正期産(妊娠37週0日〜妊娠41週6日まで)を過ぎても赤ちゃんが分娩できていない状態のことです。
胎盤は正期産を越えると徐々に機能低下します。機能低下すると胎児へ十分な酸素や栄養素を届けることができなくなるのです。
その他にも妊娠高血圧症候群や糖尿病があると胎盤への負担が大きくなり、胎盤機能不全になりやすいと考えられています。
予防法は胎盤の機能が正常なうちに分娩を行うことです。また定期的に妊婦健診に行き、母子の健康状態を確認してもらい、最適な分娩時期を医師と相談することも重要です。
参考資料:社団法人関東連合産科婦人科学会/妊娠後期の胎盤機能不全の原因と対応
妊婦なら必見!胎盤に関する良くある5つの質問
この章では、胎盤に関するよくある5つの質問について解説します。
- ・質問①:高齢妊娠になるにつれて胎盤機能も低下しますか?
- ・質問②:前置胎盤は必ず帝王切開になりますか?
- ・質問③:胎盤の大きさで胎児の大きさも決まりますか?
- ・質問④:味覚や嗅覚などの五感は胎盤を通して胎児に伝わりますか?
- ・質問⑤:胎盤を食べると健康になるって本当ですか?
では、1つずつ解説します。
質問①:高齢妊娠になるにつれて胎盤機能も低下しますか?
「高齢妊娠」と「胎盤機能不全」には直接の因果関係はありません。
ただし、高齢妊になると妊娠高血圧症候群のリスクが高まるため、結果として胎盤機能不全になる可能性が高いと解釈する場合もあります。
そしてこの記事でもお伝えしたように、 健康な胎盤に育つためは以下のポイントを押さえておくことが大切でしたね。
- ・妊娠高血圧症候群の予防をする
- ・血液循環を良くする
- ・むくみの改善をする
これらの全ての土台は健康的なライフスタイルであり、身体的な負担や過度なストレスを避けることが重要になってきます。
質問②:前置胎盤は必ず帝王切開になりますか?
いいえ、前置胎盤でも医師の判断によっては経膣分娩(自然分娩)できます。
胎盤の一部が子宮口にかかっているだけなら、赤ちゃんの出ていく道筋が完全に塞がっているわけではないからです。一方で子宮口が完全に塞いでいる「全前置胎盤」なら、赤ちゃんの出口がない状態なので帝王切開でしか分娩できません。
詳しくは本記事の「知らないと危険|妊娠中の5つの胎盤トラブルと予防法」の「トラブル①:前置胎盤」で解説したので、ご覧ください。
質問③:胎盤の大きさで胎児の大きさも決まりますか?
胎盤と胎児の大きさが比例するのは本当です。
というのも、胎盤の重さは胎児の体重の「5分の1〜6分の1」に成長するからです。そのため、赤ちゃんが「2,500〜3,000g前後」で生まれ、胎盤は「500〜600g」になることが一般的です。
質問④:味覚や嗅覚などの五感は胎盤を通して胎児に伝わりますか?
味覚や嗅覚などの五感は胎盤を通して胎児に伝わることはありません。
なぜなら、胎児の感覚器官が未成熟だからです。そのため、お母さんが美味しいものを食べて幸せな気持ちになっても、これらの感覚を胎児と共有することができないでしょう。
ただし、お母さんの感情が動いた際に血液中に分泌されるホルモンを共有した場合、もしかすると胎児も同じように幸せな気持ちになっている可能性があるかもしれません。
質問⑤:胎盤を食べると健康になるって本当ですか?
胎盤を食べると健康や美容に効果的という話を聞きますが、日本においては自分の胎盤を食べる習慣はありません。
基本的には分娩で排出された胎盤は医療廃棄物として処理されます。
ただし、胎盤に含まれるプラセンタと呼ばれる成分はアミノ酸やビタミンを多く含むことから「若返り効果」があるとされています。美容品として販売する場合は、ウマやブタの胎盤からプラセンタを抽出するため、人間の胎盤を利用することはありません。
まとめ: 胎盤は胎児の成長を促す重要な臓器
以上、胎盤に関する基礎知識や妊娠全期における胎盤のトラブルと予防法などについて詳しく解説しました。
胎盤とは、妊娠成立後に子宮内にできる円盤の器官で、胎児に酸素や栄養素を届けるライフライン的な役割があります。
そして、胎児が成長していくうえで非常に重要な役割を占める胎盤は、妊娠全期で以下のようなトラブルに見舞われることもあると学びましたね。
- ・トラブル①:前置胎盤
- ・トラブル②:低置胎盤
- ・トラブル③:常位胎盤早期剥離
- ・トラブル④:癒着胎盤
- ・トラブル⑤:胎盤機能不全
上記の胎盤トラブルに予防法も合わせて解説しましたので、お忘れの方や復習しておきたい方は、ぜひ繰り返し読んでいただけると嬉しいです。
健康な赤ちゃんを無事に出産するためにも、今あなたができることは健康な胎盤を育むことです。そして、この記事がその参考になれば幸いです。