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破水したのかわからない!?破水を放置する危険性と確認すべき3つのポイントとは

皆さんは、破水しても気づかないことがあるのをご存知ですか?

破水というと、ドラマなどでよく見る一気に羊水が流れ出るところを想像する方も多いかと思いますが、実は、破水にも種類があり破水したことに気づきにくい場合があります。

そして、破水したことに気づかずにそのまま放置してしまうと、母体だけではなくお腹の中の胎児にまで悪影響が出てしまう可能性があり、とても危険なのです。

今回の記事では、破水したのに気づかない理由を破水の種類を含めながら解説するとともに、破水を放置してしまった場合の危険性や、破水と尿もれの見分け方などを詳しく解説していきます。

破水したのに気づかないのはどうして?

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破水とは、胎児を包んでいる卵膜が破れ中の羊水が外に流れ出ることを指しますが、破水はたくさんの量の羊水が一気に流れ出すイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。

そのため、「破水したのに気づかないわけがない!」と感じてしまうかもしれませんが、実は、破水には種類があり、その種類によっては妊娠中の代表的なマイナートラブルでもある尿もれと勘違いしてしまうことで、破水に気付けない方も少なくありません。

それでは、なぜ破水に気付ける場合と気付けない場合があるのでしょうか。

破水時に卵膜の破れる位置が重要なポイント

前項で、破水には種類があると説明しましたが、破水は「破水するタイミング」と「卵膜が破れた位置」によって種類が分けられます。

とくに、気づきにくい破水となってしまうのは、破水する時に卵膜が破れた位置がどこであるかが重要なポイントになるのです。

卵膜が破れた位置による破水は、下記の2種類に分類できます。

  • 低位破水
  • 高位破水

低位破水とは、子宮口付近の卵膜が破れることで羊水が流れだす破水のことで、通常の破水であり完全破水とも言われています。

低位破水は、たくさんの羊水が一気に流れ出るだけではなく、自身で排出を止められないので、低位破水であれば破水したと気づかない人はまずいません。

また、出産の時に低位破水であった方の中には、破水する瞬間に「パンッ!」と弾ける音が聞こえた方も多いので、破水したことに気づきやすく自覚しやすいです。

一方で、高位破水は、子宮口の付近よりも高い位置で卵膜が破れる破水のことで、低位破水と比べると流れ出る羊水の量が少なくなります。

高位破水であった場合は、流れ出る羊水の量はチョロチョロと少ないだけではなく、弾けたような音もしないため、破水した感覚を得るのはとても難しく自覚しづらいのです。

そして、お腹が大きくなってくる妊娠中期以降はおりものの量が増えたり、尿もれが起こったりとマイナートラブルが起こりやすいため、高位破水で羊水が外にでてきていてもおりものや尿もれと勘違いしてしまうケースが多くなってしまいます。

高位破水の原因

高位破水になる原因は、感染症から高齢出産であるなど、多岐にわたります。

  • 絨毛膜羊膜炎といった感染症によって卵膜が弱くなる
  • 高齢出産
  • くしゃみや重い荷物を持つなどお腹に強い圧力がかかる
  • 妊娠中の性交渉による刺激
  • 多胎児妊娠や羊水過多
  • 喫煙

高位破水が起こるのは、主に、卵膜が弱くなることや子宮内の圧力が過剰に高まることが原因であるため、高位破水を必ずしも予防することはできませんが、腹圧がかかりすぎる運動や姿勢を避けたり、重い荷物を持ったりするのを控えたりすることが大切です。

また、双子などの多胎児を妊娠している場合などは、子宮が通常の妊娠よりもより引き伸ばされてしまうので、高位破水を引き起こす可能性が高くなってしまいます。

高位破水のみならず妊娠中に言えることですが、感染症予防として性器周辺を常に清潔にしたり、妊娠中に性行為をする際はコンドームを必ず装着したりすることが、母体と胎児にとってとても重要になります。

しかし、高位破水だったとしても放置しなければ、低位破水と変わらず、出産に影響が出ることは少ないので安心してください。

破水を放置する危険性

破水が起きてお腹を抑えている妊婦さん

それでは、万が一、破水したことに気づかず放置してしまった場合、どのような危険性があるのでしょうか。

破水を放置してしまった場合に起きるかもしれないリスクを、3つ解説しましょう。

子宮内感染

胎児を包んでいる卵膜は胎児を守る役割がありますが、破水時に卵膜が破れることで外部から子宮に細菌が侵入しやすくなります。

破水してすぐに子宮内感染をしてしまうわけではありませんが、24時間以上放置すると感染のリスクが高まると言われているので、注意しなければなりません。

とくに、妊娠中期から感染のリスクが高まる絨毛膜羊膜炎は、子宮内の胎児に感染すると胎児の発達や新生児期に敗血症や肺炎を引き起こす可能性もあります。

万が一、子宮内感染すると、おりものが普段よりも緑色でにおいがきつくなり、発熱や腹痛などの症状が出る場合があります。少しでも体調に異変を感じたら早めにかかりつけの病院を受診し、破水の有無や感染症の確認をしましょう。

胎児への影響

破水すると羊水が流れ出ますが、気づかず放置すると羊水が排出し続けることになるので、胎児の周りにある羊水の量が減ってしまいます。

胎児は羊水を飲むことで肺呼吸を練習しているので、量が減ると胎児の肺の成長を妨げてしまいます。

また、羊水が減り胎児の周りが圧迫され窮屈になることで手足が変形したり、胎児の血流が悪くなり酸素や栄養が体内に十分行き渡らず、胎児機能不全になる場合もあるのです。

常位胎盤早期剥離になる可能性

常位胎盤早期剥離とは、出産前に子宮から胎盤がなんらかの原因で剥がされてしまう病気です。母体と胎児、どちらも危険な状況になる可能性があります。

常位胎盤早期剥離が胎児へ及ぼす影響としては、胎盤を通じて酸素や栄養が届かなくなり胎児の状態が一気に悪化するだけではなく、重症の場合は脳性麻痺を患る恐れがあるのです。

また、子宮壁から胎盤が剥がされると、剥がされた部分から出血してしまい、それに応じて子宮が収縮します。

子宮壁からの出血は、不正出血となって外に排出される場合と子宮に留まってしまう場合があり、症状が出ないことで早期発見ができず悪化している場合もあります。

そのため、出血がひどいと胎児だけではなく、母体も貧血性ショックなどを起こしてしまう可能性があり、とても危険なのです。

常位胎盤早期剥離が発生する頻度はすべての分娩のうち約0.5%〜1%と、確率的には低いですが、母体や胎児が亡くなってしまうケースもあるので注意が必要な病気です。

破水を確かめる3つのポイント

マーカーは白い紙のボックスにチェックマークを付けます

ここまで、破水を放置する危険性について解説してきましたが、「破水かも?」と感じた時に、尿もれやおりものとご自身で判別できる方法はどのようなものがあるのでしょうか。

最後に、破水しているかもしれない時に確認したい3つのポイントをご紹介します。

羊水の量

前項でも解説したとおり、破水の中でも低位破水であれば尿もれやおりものとはまったく違い、卵膜が破けるとともに一気に羊水が流れ出てきます。

しかし、高位破水の場合は、尿もれやおりものの量とさほど変わらないので、羊水の量だけでは破水と判別ができません。

においと色

羊水のにおいは尿独特のアンモニア臭とは異なり、無臭、生臭い、酸っぱい臭いがすると言われています。

また尿は黄色がかった色であるのに対し、羊水の場合は無色透明であるか、やや白濁していることが多く、妊娠後期から臨月にかけては少量の血液が混ざりピンク色になることもあります。

自分ではコントロールできない

破水か尿もれかを判別する最大のポイントは、自分でコントロールできるかどうかです。

尿もれである場合、尿が漏れてしまった瞬間、それ以上出ないようにご自身の意思でコントロールできます。

しかし破水の場合は、破水を止めようとしてもご自身でコントロールできないため、羊水は流れ続けてしまいます。

高位破水で少量の羊水だったとしても、チョロチョロと流れ続けて止めることはできないのが、尿もれとの大きな違いです。

まとめ

今回は、気づきにくい破水の種類や、破水を放置した時の危険性について詳しく解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

破水は一度破けたら塞がることなく、高位破水で破水したことに気づかなかった場合は、少しづつでも羊水は流れ続けます。

卵膜が破れることで細菌が侵入しやすくなります。普段普通に行っているシャワーや入浴することも細菌感染を引き起こすので避けてください。

尿もれやおりものは、妊娠中のマイナートラブルとして悩む方も多いですよね。

「まさか自分が破水と尿もれを間違うはずがない!」と思われがちですが、いつもより量が多いと感じたり、違和感があったりする場合は、躊躇せずにかかりつけの病院で診察を受けましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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