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高位破水に気付かないまま1週間経ったら?対策や注意点、予防法を紹介

予定日や陣痛の前の破水は妊婦さんにとって、起きて欲しくない事態の一つだと思います。

実際には、破水から始まる出産は珍しくありません。

もしその破水に気付かず、3日間や1週間など、長時間放置してしまったら?

「高位破水」という、陣痛前に起こり、気付かず放置してしまうこともある破水について自覚症状や原因と予防、放置することの危険性や産院での対応などを詳しくご紹介します。

高位破水とは

出産直前の妊婦の病院を探す男性(スマホ)

破水とは、卵膜が破れて羊水が外部に流れ出てしまい、結果、胎児と外界が繋がってしまう症状です。

その中でも、本来であれば子宮口近くで破れるはずの卵膜が、子宮口からよりも高い位置で破れ、羊水が少しずつ流れ出ると「高位破水」というものもあります。

高位破水の自覚症状と見分け方

妊娠中は、女性ホルモンの分泌が増えるため、おりものが少し白っぽくなったり量が増えたりして通常よりも変化します。個人差もあるので症状はさまざまです。

妊娠すると尿漏れしやすくなります。ただし、破水自体はとくに痛みがあるわけではないので、多少下着が濡れていてもあまり気にしなくてもいいかもしれません。

しかし注意してほしいのが匂いです。羊水の場合は無臭か若干生臭いですが、尿漏れの場合はアンモニア臭がします。

破水の場合は、自分で止められません。尿に比べてコントロールできず、腹圧が勝手にかかってしまうせいで少量ながらずっと流れ出ています。

その結果、高位破水が起きていると下着が常に少し濡れている状態です。パットを付けて清潔な状態にしていても、1日に何度も交換するようになります。

高位破水の原因と予防

高位破水にはいくつか考えられる原因があります。

  • 感染症
  • 重い物を持つなど、急な腹圧がかかる
  • 喫煙・受動喫煙
  • 性行為
  • 多胎妊娠
  • 高齢出産

多胎妊娠や高齢出産に対してできることは、日頃から体調管理に気を付けるくらいです。しかしその他については、もっと踏み込んでできる対策があります。

感染症については常在菌が原因のものと、細菌の侵入が原因のものとがあり、前者は普段からの体調管理、後者については性行為の際にコンドームを使用するなどで対応可能です。どちらも清潔を保つことが重要になります。

喫煙は母体にいい影響はありません。血管が収縮し胎児への血流や酸素供給の妨げになるので妊娠を期に禁煙することをオススメします。

性行為も、子宮の収縮を招きますので深い挿入は控えましょう。

急な腹圧をかけてしまった場合、何か分泌されたとしても、それ1度きりで止まったのあれば尿漏れの可能性があります。そうした行動を取った場合、その後の様子をよく観察してください。

産院に連絡して入院

自分では判断が難しいと思う症状があったら、遠慮せずに産院へ相談をしてください。

高位破水した場合、入院になります。安定期(16~27週)に入ったら、いつでも入院できるよう準備しておいてください。

来院するときは、感染の可能性があるためシャワーや入浴は厳禁です。清潔なパッドやナプキンをあてて移動しましょう。

産院に向かう際は、徒歩や自分で車を運転するのも止めてください。安静を保ちながら移動しますが、どうしても車の手配が難しい場合は救急車を呼んでください。 

高位破水における産院での対処法

ある人が陣痛誘発についての質問に答えています。

では、実際に高位破水してしまった場合、産院ではどのような対応をするのでしょうか?

破水かどうか検査する

流れ出ているものが羊水かどうか検査をします。

膣内に留まっている分泌物を、綿棒やリトマス試験紙などに採取して行う、専用の検査キットを使用します。

とくに痛みがあるような検査ではないので心配せずに検査に臨みましょう。

高位破水した時期によって対応が変わる

高位破水した場合、入院した上で感染症予防と胎児の管理をされることになります。

正期産の場合の高位破水

37週0日から41週6日の間に出産することを正期産といいますが、その間に高位破水になった場合、抗生剤を点滴しながら陣痛を待ちます。

破水後どのくらいで陣痛が来るかはそれぞれ違いがあり、数時間後に来る方もいれば数日かかる方もいます。

陣痛がなかなか来ない場合は、陣痛誘発剤を使用しますが、錠剤や点滴になりますので、怖がる必要はありません。

しかし、陣痛誘発剤の効き目には一般的な基準がないため、すぐに陣痛が来る場合もあれば、数十時間経っても起きないケースもあります。

誘発剤は使用可能な量が限られているので、何度か試しても効き目が現われない場合は、吸引分娩や帝王切開などの方法も検討されます。しかし大抵の場合は陣痛が来てすぐに分娩の準備です。

37週未満の高位破水の場合

37週未満の場合の高位破水は早産の危険性があります。

入院しての感染症予防の抗生剤投与と、胎児の様子を観察していくことは正期産の場合と同じです。しかし子宮の収縮によって羊水が流出するのを抑えるため、切迫早産の薬剤でもある子宮収縮抑制剤を使用しながら観察し、37週以降の正期産を目指します。

高位破水の注意点

マーカー、概念の背景と膣感染症のテキスト

高位破水を気付かず放置してしまった場合や、高位破水の怖い点などを挙げてみます。

妊娠初期の高位破水と羊水過少

破水は妊娠後期に起こるものと考えている方は多いと思いますけど、高位破水のように妊娠初期や中期にも起こる場合があります。放置すると羊水過少といって羊水が少しずつ減っていくのです。

胎児は羊水を飲んで、栄養や成長因子を取り込んで尿として排出し、またそれを飲んで、という活動を繰り返して成長していきます。

しかし、妊娠初期や中期に高位破水を起こして羊水過少になると、胎児の成長を妨げたり、腎臓の形成に問題が起きて腎不全を起こしたりします。最悪の場合、早産や流産になるかもしれません。

少しでも様子がおかしかったり、疑わしい分泌物が出たりして、判断できないときは産院に連絡して指示を仰いでください。

絨毛膜羊膜炎

高位破水の原因になる病気に、絨毛膜羊膜炎という感染症があります。

原因は常在菌で、抵抗力のある時など体調に問題がない時であれば発病しないで済むことがほとんどです。

しかし妊娠中はホルモンバランスが崩れたり、膣内の自浄作用が低下したりして、細菌の侵入を許してしまうことがあります。

そして膣からの侵入に成功した細菌が、上へ向かって(上行性)進行していき、やがて卵膜へ到達します。

絨毛膜羊膜炎で炎症を起こすのは以下の状態です。

  • 子宮を収縮させる
  • 頸管を柔らかく(熟化)する
  • 卵膜のコラーゲンが分解され破れて、破水を引き起こす

これらの症状が起きると早産を招きます。

絨毛膜羊膜炎が原因で起こった高位破水の場合、すでに感染症に罹っているのですが、妊娠中の発見のが難しい病気です。

感染するのは妊娠初期ですが、進行して妊娠中期に発見されることが多くなります。早産の約半数が、この感染症が原因です。

この感染症が原因で高位破水した場合、早期発見できれば治療法は抗生剤の投与です。子宮収縮抑制剤などを使って羊水の流出を抑えながら、経過観察していきます。

しかし高位破水が妊娠中期での絨毛膜羊膜炎の場合、胎児へ感染してしまうと、脳性麻痺や臓器障害に至る恐れがあります。胎児への羊水感染を防止するために早産でも分娩誘発や帝王切開で出産です。

正期産になる時期の感染の場合だと新生児の肺炎や敗血症、慢性肺疾患等に罹る可能性があります。また、産道を通るときも感染する恐れがあるため注意してください。

このように大変怖い絨毛膜羊膜炎ですが、悪化時の自覚症状があります。

  • おりものから悪臭がする
  • おりものが灰色の膿性である
  • 下腹部痛
  • 38℃以上の発熱
  • 母子共に脈拍が早くなる

絨毛膜羊膜炎の感染初期については症状がない場合も多く、早期発見は難しいといえます。少しでも気になる症状があれば、高位破水を防ぐことにもつながるので、定期健診と合わせて、早めに担当医師に相談してください。

普段の生活でも睡眠や休息を十分とる、食事の栄養バランスに気を付ける、性交時にはコンドームを付ける、行為後は膣の自浄作用を損ねるのであまり洗い過ぎないなどの予防策を実践しましょう。

1週間など、高位破水を長く放置してしまった場合

高位破水は気付きにくいので、数日や1~2週間放置してしまうのは仕方のないことかもしれません。

しかし高位破水で怖いのは感染症なので、状態が悪ければ何かしらの自覚症状で気付くはずです。

だからといって症状がないのは必ずしも感染した訳ではありません。

しかし、上記で説明した絨毛膜羊膜炎のような怖い病気が隠れている場合もありますし、l気づくのが遅れて羊水が減ってしまうと胎児にも影響が出てしまうため、普段から膣分泌物には気を配ってください。

まとめ

高位破水に気付かないまま1週間経ってしまったらどうなるのか、という疑問に対して、高位破水の詳細や考えられるケース、引き起こされるかもしれない状況などさまざまな角度から解説しました。

妊娠中のことですので、きっとどんな心配ごとや問題に対しても共通して「気になる場合は迷わず産院に相談」が鉄則だと、あらためてご理解頂けたかと思います。

元気な赤ちゃんに会うため少しの異変にも気付けるよう、注意して過ごしてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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