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胎動音という言葉をご存知ですか?胎動音は、お腹の中で胎児に聞こえているといわれている音のことです。
「お腹の赤ちゃんに話しかけたら、ポンと蹴って返事をしてくれた」「赤ちゃんにもママの声が聞こえているから、喧嘩はしない方がいいよ」といったことを聞いたことがある方もいるでしょう。
赤ちゃんにこちらの音が聞こえているのか疑問に感じてしまう方もおられるかもしれませんが、これは本当なのです。
赤ちゃんはママの子宮内でおよそ40週前後過ごします。実はその半分の20週目を過ぎた頃には、すでに音が聞こえているといわれているのです。
では、お腹の赤ちゃんにはどのような音が聞こえているのでしょうか。
この記事では、赤ちゃんが聞いている胎動音と胎教の効果、胎動音の利用についてご紹介します。
胎動音とは
お腹の赤ちゃんに話しかけて反応が返ってくると、ママも家族もとても嬉しいもの。
お腹の中と外とのコミュニケーションは、赤ちゃんが生まれるまでの間しか楽しめない貴重な経験です。
お腹の赤ちゃんはママや家族の声だけでなく、ママの体内の音など実にさまざまな音を聞きながら成長していくのです。
ここでは、胎動音について詳しくご紹介します。
どんな音が聞こえるの?
ヒトは胎児としてママの胎内にいるときから、すでに音の影響を受けており、主に3種類の音が聞こえているといわれています。
出生後赤ちゃんが泣いたりぐずったりしているとき、胎動音を聴かせると、安心するのかすんなり泣き止んだり眠ったりするようです。
(1)ママの体内の音
胎児に一番聞こえているのは、ママの体内の音です。
胎児はママの体が生み出すさまざまな音を聞きながら、すくすくと成長していきます。お腹の中では、腸が動いたり心臓が脈を打っている音、血液が流れる音などが聞こえています。
(2)外の音
人の声以外にも、ママが料理を作っているときのトントンという包丁の音や音楽なども、赤ちゃんには聞こえているようです。
ただ外の音はママの体内の音があるうえ、お腹の皮膚や脂肪、子宮、羊水に吸収されてから赤ちゃんに聞こえるため、とても小さくくぐもった音に聞こえるようです。
子宮に小さなマイクを入れて、胎児に外の音がどの程度届いているかといった研究でも、非常に小さい音になって胎児に聞こえていることがわかっています。
(3)ママの声
胎児にとって、もっとも身近な声はママの声です。
ママの声は、体の振動や骨を伝って聞こえてくるので、ほかの人や音とは違う特別なものであるといえます。
そのため赤ちゃんは、ママの声だけを生まれてすぐに聞き分けられるのです。
ある実験によると、生後間もない新生児に胎内でよく聞いていた母国語やママの声を聞かせると、ほかの音を聞いたときよりも敏感に反応するという結果も出ています。
また、怒っている声や夫婦喧嘩の声はお腹の赤ちゃんに聞かせない方がよいといわれていますが、これはママが怒っていると赤ちゃんに伝わるというよりも、怒ることによるストレスが赤ちゃんの成長によくないという面からきているのでしょう。
お腹の赤ちゃんに喧嘩をしているとわかってしまうわけではありませんが、ママが大きい声を出すとびっくりしてしまうようなので、話しかけるときは優しい声かけが理想的です。
上記のことをまとめると、胎動音とはママの体内の音と声、外界の音が合わさった音ということになります。
外界の音は、分厚い壁の向こう側から聞こえてくる音、もしくはプールに潜ったときに何か言っているのはわかるけど言葉はわからないような感じ、といったところかもしれません。
いつ頃から聞こえるの?
胎児の耳や目、口などの感覚器官が形としてできるのは、妊娠10週目に満たない頃です。
しかしそれらが機能しはじめるのは、大体妊娠20週目頃から妊娠25週目頃にかけてだといわれています。
胎児の耳が聞こえるようになって最初に聞こえるのは、ママの心音や血液が流れる音など体の中の音です。
そして妊娠28週目を過ぎた頃、外の音やママの声、料理の音や音楽などが聞こえるようになります。
そして妊娠30週目をすぎると、赤ちゃんもかなり大きくなってくるので、子宮の壁に体がくっついて聞こえやすくなってくるようです。
妊娠32週目頃になると、ママとほかの人の声を聞き分けられるようになり、赤ちゃんはママの声に合わせて口をぱくぱくさせるそうです。
胎教の効果
胎教とは、お腹の中からはじめる早期教育や英才教育のようなものをイメージする方も多いですが、本来はママがリラックスした状態を保てるように努めて胎児にとってよい環境づくりのことをいいます。
つまり、ママが妊娠中に感じたことや考えたことなどの情報は、赤ちゃんの脳と体の記憶になるということです。
ここでは、胎教を行うメリットと理想的な時期についてご紹介します。
胎教を行うメリット
胎教というとまず思い浮かぶのは、お腹の赤ちゃんに話しかけたり音楽を聞かせることです。
実はこれらが胎教にどのくらい効果があるのかは科学的に実証されていませんが、ママの精神的安定や赤ちゃんの脳を刺激するといった面でよい影響があるといわれています。
ほかにも、胎教には以下のような効果があるといわれています。
- ・ママの声を覚える
- ・脳の形成によい影響を与える
- ・安産になる
- ・家族関係を良好に保てる
これらは医療現場から報告があった事例です。しかしこれらもしっかりとした科学的根拠があるわけではありません。
ただ、ママがストレスにさらされている環境は、お腹の赤ちゃんにとってよくない環境です。
ママが胎教によってリラックスした環境にいられることは、お腹の赤ちゃんにとってよい環境をつくることにつながります。
理想的な時期
胎教は、胎児に外の音が聞こえるようになる妊娠28週目をすぎた頃にはじめるのがよいでしょう。
しかし、胎教はママにとってもよい影響を与えるので、基本的にはいつはじめてもよいです。
胎教についてはまだわかっていないことが多いので、お腹の赤ちゃんのために、できることからはじめてみましょう。
ただ、妊婦さんにとって感情の振れ幅がありすぎるのはあまりよいこととはいえません。
「これをやらなければいけない」「これはやってはいけない」などという情報を求めすぎて精神的に参ってしまわないよう、ママは心配しすぎずにリラックスして過ごすことを心がけるようにしましょう。
胎動音の利用
出生後の赤ちゃんは、胎動音に対して敏感な状態で生まれてくるといわれています。
そこで胎動音を流してお腹の中にいたときと似た状態をつくり、赤ちゃんを落ち着かせるために利用しています。
子守唄として
近年、胎動音を利用したCDや胎動音が録音された機械を内蔵したぬいぐるみなどが売られており、赤ちゃんが泣き止んだりよく眠ってくれるとママたちに人気のようです。
胎動音はお母さんが歌う子守唄と同じように、赤ちゃんを安心させる効果があります。
昔ブラウン管テレビで放送が終了した後に流れるザーッというホワイトノイズも、胎動音に近いといわれていて、泣いていた赤ちゃんが泣き止んだという話もあります。
今はネット上でも無料で胎動音を聞けるので、赤ちゃんが泣き止まなくて困っているママは1度試してみてはいかがでしょうか。
赤ちゃんの検査
生後間もない赤ちゃんは、さまざまな検査が必要になる場合があります。
脳波などを調べる必要が出たときなどは、薬を使用せずに安静に検査を行えるよう、胎動音を使用することもあります。
子宮内に近い状態をつくっているため、赤ちゃんはママのお腹の中にいるような気分で落ち着いて検査を受けられるのです。
まとめ
赤ちゃんが聞いている胎動音と胎教の効果、胎動音の利用についてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。
お腹の赤ちゃんは、成長する過程のわりと早い段階から耳が聞こえるようになり、記憶もできるくらい発達します。
そのため、胎動音として聞いていたママの声や体内の音、周囲の音は出生後も親しみのある音になるのです。
ママ以外の声はなかなか届きにくいですが、パートナーや家族と一緒にお腹の赤ちゃんに話しかけることでママが幸せを感じたり、リラックスすると赤ちゃんにもよい影響があります。
その反対に、ママにストレスがかかる状況が多いと血流が悪くなり、赤ちゃんの発育に問題が出てしまうケースもあるので、ママは赤ちゃんのためにも心を穏やかに過ごす必要があるのです。
よく胎教でクラシックを聞かせるとよいという話もありますが、これは赤ちゃんが音楽を聴いているというより、ママが聞くことでリラックスできる効果が強いといわれています。
胎児には、お腹の外で何を話しているかまではわからないと知って、がっかりした方もいるかもしれません。
しかし、胎児は確実にお腹の中で音を聞き、認識しています。
胎動音は、赤ちゃんの耳が聞こえるようになってはじめて聞く音です。どんな音がするのかを知りたい方は、ネットやCDなどで実際に聴いてみるとよいでしょう。
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