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妊娠初期に起こりやすい不眠の原因と対策を紹介

妊娠初期はホルモンバランスが急激に変化するため、不眠の症状が出てしまうことがあります。
プロゲステロンの上昇により、通常より高い体温が維持されるだけでなく、気持ちの面でも不安感やイライラが増しやすくなることも稀ではありません。

不眠症状が辛い場合は、まずは規則正しい生活を心がけ、ストレスを溜めないように体を労わりましょう。

本記事では、妊娠初期に起こりやすい不眠の原因や対策、不眠が妊娠に及ぼす影響を解説します。

妊娠初期の不眠の原因

一般的に妊娠初期(0~15週)は通常よりも眠気が増すとされています。
しかし、ホルモンバランスの変化の影響などから、不眠になってしまうこともあります。
妊娠初期の代表的な不眠の原因は以下のとおりです。

  • ・ホルモンバランスの変化
  • ・体温上昇
  • ・日中に眠りすぎている
  • ・つわり
  • ・頻尿
  • ・不安

特に、ホルモンバランスの急激な変化は、心身両面に影響を及ぼします。

ホルモンバランスの変化

通常のホルモンバランスとは異なる状態になることから、不眠を招くケースもあります。
妊娠初期には以下のホルモンが活発に分泌されます。

・hCGホルモン
ヒト絨毛ゴナドトロピンと呼ばれ、妊娠維持に重要なホルモンです。
このホルモンが分泌されることにより検査薬で妊娠の有無が分かります。
・エストロゲン(卵胞ホルモン)
妊娠準備に必要なホルモンです。
子宮内膜を厚くしたり、乳腺を発達させたりします。
・プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠の維持・継続に必要なホルモンです。
子宮内膜の厚みを保ち、受精卵が着床すると基礎体温を高く保ちます。
また、乳腺を発達させたり、食欲を増進させたりする効果もあります。
プロゲステロンは月経前症候群(PMS)にも関連するホルモンです。
そのため、急激に増加すると、気分の落ち込みやイライラなど、精神面にも影響が出やすくなります。

体温の上昇

プロゲステロンの上昇により基礎体温が上がるため、微熱のような状態が続くこともあります。
体がだるくしんどい状態が続けば、夜寝苦しく、不眠につながってしまうこともあるでしょう。

また、寝汗をかきやすくなることも、寝苦しさの一因です。

日中に眠りすぎている

プロゲステロンが上昇すると、身体的にも精神的にも辛い反面、日中に眠気が増すことが多くなります。
昼寝をしすぎて、夜には眠気がおきず不眠につながってしまうこともあります。

概日リズムが崩れることで、さらなる不眠につながってしまう可能性があるのです。

つわり

一般的につわりは妊娠5週目頃から始まり、8~10週に症状のピークを迎え、その後、15~16週頃から落ち着つきます。
つわりと一言でいっても、吐きつわり、食べつわり、匂いつわりなど症状も妊婦さんによって異なり、症状が重ければ、気持ちが悪くて眠れなくなってしまうケースもあります。

頻尿

妊娠初期は血液の循環が活発になったり、子宮が膀胱を圧迫し始めたりするため、頻尿や残尿感に悩まされることもあります。
尿意で目が覚めることが多ければ、寝不足になることもあるでしょう。

不安

妊娠はさまざまな不安がつきまとうだけでなく、プロゲステロンの上昇により、いつも以上に繊細な状態です。
妊娠中の母子の健康や、流産や早産など出産に関する不安など心配事を抱えてしまうことでうつ状態になり、眠れなくなることもあります。

妊娠初期の不眠への対策

妊娠初期に起こりやすい不眠の原因と対策を紹介

妊娠初期の不眠に対処するために、まずは生活習慣を見直して改善しましょう。
その上で、個別の問題に対処することをおすすめします。

なお、あまりにも症状が改善しない場合は、睡眠薬を使った薬物療法が検討されることもあります。

朝は日光を浴びる

概日リズムを整えるためにも、朝は毎日決まった時間に起きて、日の光を浴びましょう。
朝日を浴びることで、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌がストップします。

メラトニンは14~16時間後に再び分泌され眠りを促すため、朝日を浴びることで、正しい睡眠サイクルの維持に役立ちます。
なお、昼寝をするときは長くても30分程度、午後3時までにするとよいでしょう。

寝る前は気持ちを落ち着かせる

食事は寝る2~3時間前に済ませ、ゆったりと過ごすようにしましょう。
なお、湯船のお湯やシャワーは高温だと眠りを妨げるため、40度以下が適しています。

また、寝る前のスマートフォンの確認は脳が覚醒し、眠りを妨げる原因です。
寝る90分前には終わらせるようにしましょう。

バランスの良い食事を心がける

食事は妊娠中に必要な栄養に気を付けるだけでなく、眠りにつながる食材を取り入れてもよいでしょう。
具体的には必須アミノ酸の1種、トリプトファンが含まれる豆腐などの大豆製品、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品です。

摂取したトリプトファンは夜にメラトニンに変化するため、良質な睡眠に役立ちます。

つわりは症状に合わせて対処する

つわりがひどい場合は、症状別に対処しましょう。
吐きつわりや食べつわりは、1回の食事量は少なく、頻繁に食事すると和らぎます。

また、匂いつわりでは不快な匂いのするものは避けるようにしましょう。
抱き枕やクッションなどを使い、少しでも楽な姿勢を保てるようにするのもおすすめです。

適度にストレス発散する

また、匂いつわりでは不快な匂いのするものは避けるようにしましょう。
妊娠初期は、自分の好きなことをしたり、だるいときは体を労わったりして、ストレスを溜めないようにしましょう。
もし、赤ちゃんに関することで不安があるなら産婦人科で相談するなど、抱え込まないことも大切です。

頻尿の症状がひどい場合は病院へ

妊娠中の頻尿のなかでも、残尿感が強く痛みがあったり、尿が濁ったりするなら、膀胱炎などの可能性があります。
症状が強く気になる場合は、かかりつけの産婦人科で相談しましょう。

薬物療法について

生活改善などをしても不眠が治らない場合は、睡眠薬による薬物療法が検討されるケースもあります。
ただし、妊娠初期は胎児の薬への影響も大きいため、自己判断で市販の睡眠薬などを飲んではいけません。

不眠の症状が辛いときは、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してから睡眠薬の摂取を検討しましょう。

妊娠中の不眠による胎児への影響

不眠が原因で流産や早産になったり、胎児の発育が遅れたりしないか心配になってしまう方が多いでしょう。
しかし、不眠による胎児への影響はほぼないものと考えられています。

理由として、胎児は妊婦さんの睡眠時間とは別のリズムで寝たり起きたりしているため、寝不足になることはありません。
ただし、不眠の理由(つわりや貧血など)によっては胎児に影響が出る可能性があります。

また、睡眠不足が続けば妊婦さんの体力が落ちてしまうため、結果として悪影響が及ぶ恐れは否めません。
不眠を放置するのではなく、原因に応じた対処が必要です。

【まとめ】

妊娠中の不眠に悩んだら生活習慣の見直しから始めよう

【妊娠初期はホルモンバランスの変化により不眠になってしまうケースもあります。
流産や早産とならないか、発育に影響がでないかなど心配が多いものの、不眠が直接胎児に影響するとはあまり考えられません。

ただし、寝不足により妊婦さんが体調を崩してしまっては、胎児に影響が出る可能性も否めません。
そのため、妊娠初期の不眠が辛いようならまずは原因探り、生活改善で解決しないようであれば、かかりつけの産婦人科医と相談の上、対策を検討しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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