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妊娠初期の運動はどこまで大丈夫?|おすすめの運動と注意点をチェック

子どもを授かると今までの生活が一変します。特に妊娠初期は注意しないといけないことだらけです。その一つが「運動」だと思います。

マタニティヨガ、マタニティスイミング、ピラティス、エアロビと妊娠中の運動も勧められているから始めたい!でも、どれくらいやれば赤ちゃんに影響しないのかわからず戸惑っている妊婦さんもいるでしょう。

そこで今回は妊娠初期に運動をしてもいいのか?からOKな運動、NGな運動、妊娠と気づかずに運動したときの対処法までご紹介します。

妊娠初期に運動をしても大丈夫?

「妊娠初期に運動をするのは良くない」と聞いたことがある方も多いでしょう。理由は「妊娠初期は流産しやすい」からです。妊娠された方の15%が流産しており、そのうちの8割が妊娠初期に集中しています。それを聞くと「妊娠初期に流産しやすい」というのは間違いではありません。

しかし、妊娠初期に流産した理由のほとんどが胎児の染色体異常です。母体が原因ではありません。つまり、身体を動かさずに過ごしても胎児が流れにくいわけではありません。反対に運動しても変わらないということです。

どれくらいなら大丈夫か

まず原則として、始める前に主治医に相談をしてからです。なぜなら妊婦さんの状態は、着床している部位、妊娠週数、母体の健康状態、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)の合併の有無など一人ひとり違うからです。そのため産婦人科医と相談をしてどれくらいの運動量ならばいいのか決めてからにしましょう。

しかしながら、運動してもいい妊婦さんの条件というのがあるのでご紹介します。日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会が「妊婦スポーツの安全管理基準」が運動してもいい妊婦さんの条件を提言の中で出しています。それが下記になりますので確認してみてください。

  • 1)後期流産・早産の既往がないこと
  • 2)偶発合併症,産科合併症がないこと
  • 3)単胎妊娠で胎児の発育に異常が認められないこと
  • 4)妊娠成立後にスポーツを開始する場合は,原則として妊娠 12 週以降であること
  • 5)スポーツの終了時期は,異常が認められない場合には,特に制限しない

運動量についても記載しており、以下が条件です。

  • 1)心拍数で 150bpm 以下,自覚的運動強度としては「ややきつい」以下が望ましい
  • 2)連続運動を行う場合には,自覚的運動強度としては「やや楽である」以下とする

運動するときの注意点

先述した日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会が「妊婦スポーツの安全管理基準」の提言には運動するときの環境が記載されているので紹介します。以下の場所で行うようにしてください。

  • 1)暑熱環境下で行うものは避ける
  • 2)陸上のスポーツは,平坦な場所で行うことが望ましい
  • 3)高地の低酸素環境下での運動は順化していない場合は避ける
  • 4)減圧環境は避けるべきである

上記に箇条書きだけされてもわからないと思いますので解説をします。炎天下での運動は体温の上昇を招き、胎児に影響を与えるので避けてくださいということです。次に坂道はバランスを崩しやすく転ぶかもしれませんので平坦な場所を選ぶようにしましょう。酸素が薄い場所は子宮への血流を悪くするのでNGです。最後の減圧環境というのは水の中だと思ってください。スキューバダイビングのように深く潜るスポーツは避けましょう。

他に注意する点は、つわりが起きて栄養が偏っているかもしれませんのでちょっとでも不調なら無理をせずに休むことです。後は、妊娠中は赤ちゃんが成長していくので多くの水分が必要となります。そのため水分不足になりがちなのでこまめな水分補給を忘れずにしましょう。

妊娠初期に運動するメリット

フィットネス、スポーツ、ライフスタイルのコンセプト – 体育館で運動ボールを持つ3人の妊婦。

妊娠初期に運動をするメリットとして大きいのは「むくみ」の軽減です。緩和される理由として運動することで血流が良くなり、血管内の静脈のどこかでせき止められるからです。また運動による筋肉の刺激が気分転換となり、軽度のつわりなら気にならなくなるでしょう。

他にもメリット挙げられるのが、体力の増強です。お産は時間がどれくらいになるのかわからないので想像以上に体力を使います。産後の回復も体力があるほうが早く済むので強化しておくといいでしょう。

また、便秘予防やストレス解消、食べ過ぎになった場合の体重管理などもメリットです。そして関係ないと思われた胎児にも影響を与えるのです。2013年にカナダのモントリオール大学が発表した論文によると、妊娠中に適度な運動を行った母親から生まれた赤ちゃんは、運動をしなかった母親から生まれた赤ちゃんと比べて、脳がより発達している傾向にあることがわかりました。赤ちゃんにもいい影響を与えるなら運動したくなると思います。

妊娠初期に運動をするリスク

大きなリスクとして挙げられるのは怪我や転倒のリスクが上がることです。身体を動かせば転んだり、どこかを痛めたりする可能性が高まるので当然といえます。また、息が切れるくらい激しい運動をするのは止めましょう。激しい運動によって心拍数が上がり、たまった疲れによって血流が悪くなり、赤ちゃんにいく酸素や栄養の量が減ってしまうからです。

また、子宮が収縮されてしまい、切迫流産や早産になる恐れもあります。これらのリスクを考えて、医師と相談をして適度な強度で運動をするようにしましょう。

「運動」と「安産」は関係ある?

赤ちゃんを授かったら安産で産みたいと思うのは当たり前です。もし妊娠初期から適度な強度と量の運動をしていたら安産になるというのならぜひ始めたいという妊婦さんは多いと思います。そこで調べてみましたけど、やはり適度な運動は安産になりやすいようです。

その理由として大きいのは「体力の増強」「体重管理」です。現代は、出産や育児に必要な筋力や体力が身についていない妊婦さんが多いと言われています。腹筋や骨盤周りの筋肉を鍛えておくとお産がスムーズに進み、産後のトラブル予防や早期回復しやすくなります。また、お産に向いているのはBMIが19~25の標準体型といわれているので太りやすい傾向にある妊婦さんは適度な運動をして太るのを防止しましょう。

おすすめの運動

中央の運動ボールの近くに座りながら胃を持つ美しい妊婦のポートレート。仕事、ヨガ、フィットネス、妊娠のコンセプト

妊娠初期に運動するのがおすすめだとしてもやみくもにやればいいわけではありません。やり過ぎると良くないのは先述した通りですのでどんな運動を選ぶのかが大事になります。

妊娠初期の妊婦さんにおすすめなのがウォーキング、ストレッチ・マタニティヨガです。その理由を詳しく紹介します。

ウォーキング

ウォーキングのいい点は、運動するときのリスクである転倒や怪我の可能性が低いことです。気軽に始められて長く続けやすいのもおすすめの理由です。週に2~3回1時間程度を目安に歩くと、よい運動になります。

転倒の恐れのある段差や傾斜の大きい場所、自転車が歩道を頻繁に行き交うような交通量の多い場所を避けて、平坦で歩きやすいところを選ぶようにしましょう。

マタニティヨガ・ストレッチ

マタニティヨガは事前に医師の許可を取るようにしてください。その上でインストラクターに教わりながらやるようにしましょう。一方ストレッチは、医師からおすすめされる運動なので積極的に取り入れていきましょう。

そもそもストレッチは筋肉を伸ばして柔らかい状態にほぐすのが目的です。筋肉を伸ばすことで、筋肉がほぐれ、血流が良くなります。すると、腰痛や肩こり、股関節痛、胃の圧迫感など、妊娠中のマイナートラブルが軽減されます。ストレッチで股関節や骨盤底筋を緩めておくと、お産がスムーズに進む場合があるのです。ヨガも正しいやり方で動かせばストレッチ同様の効果が得られます。ピラティスも同じような効果があるのでおすすめです。

妊娠初期にNGな運動

適度な運動はお産にいい影響を与えますが、しない方がいい運動や妊娠に悪影響を及ぼすものもあります。それを知らずにやってしまうと「もしかしたら」なんてことにもなりかねません。

そこで、避けてほし運動として紹介するのが「過激な筋トレ」「ダンス」「球技」の3つです。その理由をこれから解説していきます。

過度な筋トレ

お産には体力と腹筋が必要なので筋トレをして備えておきたくなるかもしれませんが、妊娠初期に腹筋をすると子宮が圧迫されてしまうためおすすめできません。同時に過激な筋トレは心拍数が過度に上がるため避けてください。もし腹筋を鍛えたい場合は体幹回りのストレッチにしましょう。

もし筋トレしたい場合はゆっくりとしたスクワットにしてください。方法は以下の通りです。

●スクワットの基本姿勢

  • ・足幅は肩幅と同じくらいに広げる
  • ・つま先をやや外側へ向ける
  • ・背筋は丸めず、できるだけまっすぐ伸ばす
  • ・腕は胸の前でクロスする(37週以降は、机などにつかまって行う)

●スクワットの方法

  • 1.基本姿勢をつくる(正面を見る)
  • 2.息を吸いながら上体を下げていく
      ※膝がつま先よりも前に出ないようにし、膝とつま先は同じ方向を向く
      ※ふらつく場合は、机などにつかまって行う
  • 3.息を吐きながら膝が伸びきらない程度に立ち上がる
  • 4.2〜3を10回繰り返す
  • 5.1分休む
  • 6.残り2セット行う(目安は10回 × 3セット/日)
  • ダンス

    跳んだり跳ねたりするような激しいダンスは腹部に負担がかかるため厳禁です。転倒する恐れがあるので避けるようにしましょう。

    最近はマタニティベリーダンスなんて新しいダンスもありますが、推奨しているのは妊娠16週目以降の妊婦さんになるため15週目までの初期妊娠の方はやらないようにしてください。

    球技

    バレーボールやサッカー、テニスなどは、運動量も多く、ボールが体に当たるのでやらないようにしましょう。「ゴルフ」「卓球」「テニス」は見た目よりも運動量が激しく、身体をひねる動作があるのでまだ安定していない胎盤がはがれる原因となったり、子宮が収縮したりして切迫流産になる恐れもあります。

    また球技は、競い合う運動が多く、全力で身体を動かしがちになるため妊娠初期に限らず、中期や後期になっても避けておくのがいいでしょう。

    妊娠に気づかずに運動してしまったら?

    ジムで運動する妊婦。妊娠中の健康と健康的なライフスタイル。3学期の間におなかが大きい妊婦の女の子がスポーツに出掛ける

    妊娠初期は体調の変化が起きるまで妊娠している気づきにくいのが特徴です。そのため妊娠しているのに気づかず激しい運動をしてしまう妊婦さんも少なくありません。特に普段から運動をしている方は、いつものように運動をした後に体調の変化に気づいて妊娠がわかるケースもあります。

    そこで「どうしよう?」と心配する方もいますが、気にする必要はありません。繰り返しになりますが妊娠初期の流産の原因は、ほぼ胎児の染色体異常によるものです。また、妊娠前から行っていた運動であれば、体も適応しているため大きな負担になっている可能性は低いと思われます。ただし、負担にならないからといって今まで通りの激しい運動は避けてください。

    まとめ

    ここまで妊娠初期の運動について詳しく紹介をしてきました。妊娠初期の12週目までに流産する原因のほとんどが受精卵の染色体異常で母体は関係ないといっても激しい運動はやはり厳禁です。13週以降は子宮に負担をかけてしまうと、流産する危険性があるのであまり付加をかけずにうっすらと汗が出る程度の運動にとどめておいてください。

    東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら

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