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新たな生命が宿るのは、種族を問わずとても素晴らしいことです。人の場合、赤ちゃんが元気に生まれて成長していけるように、妊婦さんの健康管理など周囲が一体となってサポートしてあげる必要があります。
そこで覚えておきたいのが、逆子についてです。本記事では、逆子になる原因や対策について、詳しく紹介いたします。
逆子とは?
胎児の頭部が地面に対して下にない状態のことを、逆子といいます。通常、妊娠から16〜27週を迎えると、妊婦さんのつわりが治ってきて次第に体調が安定し、赤ちゃんの胎動が感じられるようになります。
この頃になると、それまでは子宮内でぐるぐると体の向きを変えていた赤ちゃんが、次第に身体が大きくなっていくなかで頭がもっとも重くなっていきます。そして、分娩が近づくにつれて頭が下にくるのが一般的です。
逆子は正式な表現ではなく、医学用語での正しい言い方は骨盤位です。これは、胎位の異常に分類されます。胎位の異常は骨盤位のほかにも、顔位や額位、肩甲位といったものがあります。
逆子の種類
逆子には、骨盤位と呼ばれるもののほかにも、いくつか種類があります。それぞれ見ていきましょう。
単殿位
胎児の頭が上にあり、お尻を下に向けて足が上に向いてしまっている状態が単殿位です。そのため、胎児はV字の姿勢となっています。数ある逆子の事例のうち、多くが単殿位だとされています。
経腟分娩となることも可能ではありますが、初産であれば帝王切開となるケースがほとんどです。
複殿位
胎児の頭が上にあり、足を組んであぐらをかいているような状態が複殿位です。胎児が足を組んでいることで、頭部よりも足やお尻が通るためにより大きな幅を要します。経腟分娩は臨めますが、緊急で帝王切開となるケースも珍しくありません。
足位
胎
児の頭が上にあり、足が下を向いている状態が足位です。足位には、両足が下に向いている全足位、片足だけ下を向いている不全足位の2種類があります。足が出てから最後に頭が出ることになり、胎児の身が危険になるので通常は帝王切開での出産となります。
膝位
胎児の頭が上にあり、足が膝をついているような状態が膝位です。膝位には、両方の膝をついて正座のような姿勢となっている全膝位、片方の膝だけつけている不全膝位の2種類があります。足位と同様に、帝王切開での出産となるのが一般的です。
横位
胎児が地面に対して背が並行になるように横を向いてしまっている状態が横位です。この場合、肩あるいは手が最初に出てくることになり、ここからさらに大きい頭は産道を通れません。そのため、帝王切開を選ぶことになります。
ですが、出産を迎えるまでに正常に頭が下を向いている頭位あるいは骨盤位になるのがほとんどです。
逆子の原因
逆子の状態で出産を迎えてしまうケースは、報告されているすべての事例のなかでも、わずかだとされています。
ほとんどの場合、逆子のままで出産を迎えることは少なく、妊娠30週あたりから頭部が下にくるのが一般的です。
実際のところ、逆子の原因についてこれだというものはまだはっきりと解明されていません。
しかし、これまでの事例から分析したところ、子宮に何らかの異常が見られたり、あるいは双子のような多治妊娠となったりといった、赤ちゃんが動けるスペースが限定されたために、頭位に戻れず逆子のまま出産の時を迎えてしまったと考えられています。
赤ちゃんが子宮のなかで動きにくくなる理由として、羊水の過多あるいは過小、または胎児の発育遅延、形態異常といったものがほかに挙げられます。
逆子は治せる?
はっきりとした原因が未だに解明されていない逆子ですが、出産を迎える前に頭位に戻すための方法はいくつか考えられます。とくに、効果がはっきりと確認されているものとして「逆子体操」や「外回転術」があります。
妊娠中期にて逆子だとはっきりわかってしまうケースも、半分くらいは確認されています。しかし、はっきりと逆子と診断される多くのケースは、妊娠後期に入る30〜32週あたりです。
妊娠から30週くらい経っても赤ちゃんの頭部が上を向いているままなのであれば、逆子体操や外回転術によって頭位になるよう試みます。
そのほかにも、鍼灸治療によって逆子から頭位になる治療方法も存在しています。
しかし、いずれの治療方法についても、確かに効果を感じるとして行っている病院だけでなく、おすすめしていない病院もあるようです。
我が子のことを思うと、今もしかしたら逆子なのかもしれないと不安が募ることもあるかもしれません。しかし、自分だけで判断はせず、担当の医師に相談するようにしましょう。
逆子の予防
逆子の原因は明確にわかってはいないため、その予防方法もありません。はっきりとした研究結果はありませんが、一説によれば妊婦さんの運動不足が原因とも考えられるというものがあります。
また、妊婦さんのとくに下半身を冷やしてしまうことも原因ではないかという説も存在します。これは、冷えることで足や腕の末梢血管が収縮してしまい、逆子になりやすいというものです。
逆子になったときの対策
逆子の原因ははっきりとしていませんが、基本的には妊娠後期を迎える頃に治るため、妊婦さんは不安を募らせることはありません。逆子を頭位に戻すメジャーな方法として、逆子体操がありますが、妊婦さんが個人の見解で行うのではなく、担当の医師に相談するようにしましょう。
逆子になったときに検討できる対策として、逆子体操と外回転術について詳しくご紹介いたします。
逆子体操.1「膝胸位」
ヨガマットを敷くなど、動きやすい環境を整えてから行いましょう。
まずは、四つん這いになって足を肩幅に開きます。続いて、お尻はそのままで胸が床につくようにおろします。このとき、両腕は腕組みのようにして楽な場所に置きましょう。この体勢で5〜10分くらいキープします。
時間をかければいいというわけでもなく、無理をしない程度に留めておきましょう。手や頭が楽になるようにタオルや枕を用いるのもおすすめです。
逆子体操.1「骨盤高位」
平たい床に対して仰向けに寝て、膝を立てます。腕はリラックスした状態にしましょう。続いて、お尻の下に10〜15cmほどの高さがあるクッションなどを入れます。この状態で5〜10分くらいキープします。ポイントは、深呼吸を繰り返し安静にしておくことです。
外回転術
両手で外からアプローチをかけ、お腹の上から逆子の赤ちゃんを頭位になるように回転させる施術です。都合上、妊婦さんが自ら行うことはできません。また、痛みが伴うケースもありますので、麻酔を必要とすることもあります。
外部から力をかけて赤ちゃんの姿勢を治す方法であるため、場合によっては前期破水や赤ちゃんの心拍数悪化、常位胎盤早期剥離といったリスクも伴います。
そのため、万が一の事態に必要な対応をしてもらえる病院で受けることが極めて重要です。
【まとめ】
逆子になるケースは少ないため焦らず医師に相談することが大切
逆子のままで出産を迎えてしまうと、赤ちゃんが健康な状態で生まれてこれるように帝王切開を検討する必要が出てきます。しかし、ほとんどのケースで逆子のままで出産の時を迎えるのは珍しいです。
個人で勝手に判断せず、医師に相談したうえで必要な対応を行うことが極めて大切です。赤ちゃんのために、慎重に対応できるようにしてあげましょう。