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夫婦の間に授かった大切な命を、1度だけではなく2度も3度も失ってしまい、不育症になって悩んでいる女性は世の中にたくさんいます。
不育症と診断された女性は「今後、妊娠はできるのか?」「もし妊娠した場合、どうなるのか怖い…」と不安になるものです。
そこでこの記事では、不育症について知っておきたいことをご説明した後、不育症患者の妊娠に関する5つの重要ポイントを詳しく解説していきます。
不育症になった後に妊娠したらどうすればいいか想像がつかない方は、是非参考にしてみてください。
不育症について知っておきたいこと
流産や死産を経験した方なら誰でも意識する不育症という病気ですが、皆さんは不育症に関してどこまで知っていますか?
医療施設によっては、不育症に関する十分な情報を提供してもらえないこともありますので、まずは不育症について知っておきたいことをご説明していきます。
不育症と診断される状態とは?
妊娠前から健康管理や生活習慣に気を遣っていたにも関わらず、流産や死産によって赤ちゃんを失ってしまうリスクは誰にでもあります。
不育症は化学流産を除いた流産、もしくは死産が2回続く反復流産、もしくは3回以上続く習慣流産のことを指します。
1回限りの流産では不育症と診断されませんが、2回、3回と連続した場合に何らかのリスク因子がある可能性が高くなり、不育症と診断されます。
よく不妊症と勘違いされる方がいますが、不妊は妊娠を望みながら性交をしているにも関わらず、一定以上の期間妊娠しない状態を指すため、症状も治療法も不育症とは異なると理解しておきましょう。
不育症は加齢とともに増加する
不育症に深く関わる流産ですが、女性の年齢が高くなるにつれて流産率はどんどん高まります。
20代の流産率が約10%なのに対して、30歳〜34歳では約15%になり、35歳を超えると20%以上まで高まります。さらに、40代以降は約50%が流産を経験しています。
卵子は加齢とともに発生の途中で形成が止まってしまう傾向にあり、卵子がそのまま体内に長期間留まることで染色体異常が発生しやすくなり、高齢ほど流産に繋がりやすいといわれています。
「高齢で妊娠したら不育症になりやすい」ということを、十分に理解しておかなければなりません。
不育症が疑われた場合は不育症外来にかかる
不育症は、原因不明の偶発的な流産を繰り返して発生する可能性がありますが、リスク因子を特定するための検査を受けることもできます。
【不育症のリスク因子】
- 夫婦の染色体異常
- 内分泌異常
- 子宮形態異常
- 自己免疫異常
これらのリスク因子の特定とリスク因子に応じた治療を受けるために、不育症外来にかかることをオススメします。
流産を2回繰り返したことで、妊娠に対する恐怖や不安から赤ちゃんを生むことを諦めてしまう方もいます。しかし、不育症外来で適切な治療やカウンセリングを受け、辛い経験を乗り越えて妊娠した方がたくさんいることを知っておきましょう。
不育症になった後に妊娠したらどうすればいい?
不育症患者の多くは「この状態で妊娠したらどうなるのだろう?」という不安と、「私の体で健康な赤ちゃんを産むことができるのか?」という葛藤に駆られるものです。
ここからは、不育症になって悩んでいる方に知っていただきたい妊娠に関する5つの重要ポイントを解説していきます。
不育症でも出産はできる
先述の通り、不育症は偶発的な流産を繰り返して発生する可能性もあり、治療を受けなくても健康な赤ちゃんを妊娠・出産できるケースがあります。
不育症外来にかかってリスク因子を特定できた場合は、低用量アスピリン療法やヘパリン療法、手術療法などの治療を受けて出産率を改善できます。
実際に、不育症外来を受診した方の約70%〜80%が念願の出産に成功しているという報告もあります。
不育症でも出産できるという事実は不育症患者の希望となっており、医師や専門家のアドバイスを受けて妊活に前向きに励んでいただくことができます。
かかりつけの産婦人科で治療方針の説明を受ける
妊娠検査薬で陽性反応が出た後は、すぐにかかりつけの産婦人科にかかって正確な検査を受けましょう。
念願の妊娠が判明した場合は、医師からこれからの治療方針や妊娠の継続についてしっかりと説明を受け、健康管理や生活習慣の改善に対するアドバイスをその場で求めておくことをオススメします。
不育症になった後の妊娠は、通常の妊娠よりも精神的ストレスが増加し、過去に流産した体験を思い出してしまうこともあります。
産婦人科にかかる場合、できればパートナーと一緒に説明を受けて、出産に対する不安を一人だけで背負わないようにしましょう。
不育症相談窓口やカウンセリングを活用する
過去2回以上の流産や死産によって不育症だと診断された場合、とても大きな精神的ショックを受けて、しばらく立ち直れない女性もたくさんいます。
パートナーや家族と一緒に精神的ショックから立ち直り、念願の妊娠に至っても、不安は簡単に解消されないものです。
そんな時には、不育症の悩みを専門家に相談できる窓口や、不育症に悩む女性の心理状態を理解しているカウンセラーに相談するのがオススメです。
不育症の全てを知る第三者であれば、パートナーや家族には打ち明けられない弱みも吐き出すことができ、専門的なアドバイスを受けて不安とストレス解消に繋がることができます。
「不育症になった後に妊娠したら、どこに相談すればいいの?」という方は多いですが、全国に不育症相談窓口が開設されていますので、気軽に電話で相談をしてみましょう。
不育症になった後に相談先を見つけられず、一人で悩みを抱え込んでしまった結果、うつ状態になってしまう女性も珍しくありません。
心のコントロールをして妊娠・出産に前向きな気持ちになりたいという方は、不育症を専門に取り扱うクリニックや遺伝カウンセリングを取り扱う医療施設で、不育症カウンセリングを積極的に受けることをオススメします。
不育症治療を過去に受けていた場合
過去に不育症の治療を受けていた方は、次の妊娠でも同じような治療が必要になるのか気になるものです。
不育症治療はその時の状態によって有無が決まりますので、過去に治療歴があったとしても再びリスク因子に応じた治療を受けるケースもあると覚えておきましょう。
リスク因子を特定させるための検査も必要となりますので、主治医の先生とよく話しあって計画を立てていきましょう。
家族やパートナーにTender loving careを理解してもらう
不育症になってしまった女性の心理は、家族やパートナーでも簡単に理解できるものではなく、時には夫婦でどのように向き合っていいかわからなくなることもあります。
流産を繰り返した経験がトラウマになり、「この妊娠もきっと上手くいかないんだろう…」と毎晩のように落ち込んでしまう女性もなかにはいます。
不育症になった後の妊娠で最も大切なのが、心のケアです。
不育症治療や不妊治療で「Tender loving care」という言葉をよく耳にしますが、これは「優しく接する」という意味があります。
家族やパートナーからの優しい声かけや気遣いは、不育症で悩む女性にとってかけがえのない治療薬であり、実際に周囲の人間が「Tender loving care」を心がけることで、出産率の改善に繋がるともいわれています。
不育症と診断された後の生活や、不育症になった後の妊娠や出産に対する不安に押しつぶされそうになった時は、我慢せず頼りになる人にその不安を打ち明けましょう。
精神的なストレスを解消するために、職場の方にも勇気を出して事情を打ち明けることが必要になる場合もあります。デリケートな問題を職場で打ち明けるのは抵抗もあると思いますが、少しづつで良いので、心地よく過ごせる生活環境を整える努力もしてみましょう。
まとめ
不育症になった後に妊娠したらどうすればいいのか、知っておきたい5つの重要ポイントを解説しましたが参考になりましたか?
流産や死産を繰り返す不育症に悩む女性は、全国で100万人以上いるといわれています。
不育症患者の皆さんは、「この状態で妊娠したらどうなるのか?」という不安を抱いていますが、不育症外来にかかって適切な治療を受けることで、出産率が改善されることを覚えておきましょう。
不育症になった後に妊娠した場合、まずはかかりつけの産婦人科の担当医から今後の治療方針など細かい説明を受けましょう。
そして、精神的なストレスを抱え込まないように、家族やパートナーなど周りの人に「Tender loving care」を理解してもらい、健やかな妊娠生活をおくれる環境を整えていきましょう。
なかには相談できる人が周りにいないという方もいます。そんな時に活用できる、全国の不育症相談窓口や不育症カウンセリングもありますので、少しでも出産に対して前向きな気持ちになれるような努力をしていきましょう。
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