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化学流産とは、妊娠超初期に起こる流産のことで、妊娠検査薬で陽性が確認されるものの、その後超音波検査で胎嚢が確認されず、生理のように出血が起こり流産してしまう状態です。
受精卵が着床したころの早い段階で起こり、赤ちゃんを包む胎嚢が確認できないことから通常の妊娠にはカウントされず、流産の回数にも入りません。
原因は不明とされており、予防しようにも難しいところが現状です。
化学流産によって出血すると、血の塊や、白い塊が出る場合もありますが、血の塊は月経過多でも出る症状であるため、妊娠検査薬を使用しないかぎりは、流産に気がつかないという方も多いのです。
この記事では、化学流産で起こる症状と月経過多との違いについてご紹介します。
化学流産で起こる症状
化学流産では、自覚症状がなく自身で化学流産をしたことに気がつかなかったという方がいる一方で、さまざまな症状が起こるケースもあります。
まずは、化学流産で起こる症状をご紹介します。
白い塊が出る
化学流産の体験談のなかには「妊娠反応が出ていたのに出血があり、そのあと白い塊が出た」「血の中に白い塊があった」という話がよくあります。
化学流産で出てくる白い塊は、赤ちゃんのもとになるものでも、胎嚢でもないといわれています。
赤ちゃんは妊娠10週でようやく3cm程度の大きさに成長します。つまり、妊娠5~6週時点では数ミリ程とかなり小さく、肉眼では確認できない大きさということになります。
画像を検索すると、化学流産のときの白い塊を確認することもできますが、人によって形は違うためあまり参考にしすぎないようにしましょう。
白い塊が出たら、赤ちゃんの可能性があることを考えどうするべきなのか不安になってしまう方も多いですが、白い塊の正体は、妊娠の成分である絨毛や、脱落膜という組織が膜のような状態で出てくるものです。
これらは妊娠の成分であるため供養の必要もありませんが、心配な方は産婦人科を受診して確認してもらうようにしましょう。
基礎体温が下がる
化学流産が起こると、基礎体温が下がるため毎日基礎体温をつけている方は、異変に気がつく可能性があります。
基礎体温とは、人間が生命を維持するために必要最低限のエネルギーを消費しているときの体温のことをいいます。
基礎体温からは、以下の内容を知ることができます。
- 次の生理がはじまる日
- 次の排卵日
- 妊娠しやすい期間
- 妊娠した可能性
- 卵子の状態
- ホルモンバランスの乱れ
女性の基礎体温は、排卵期の前が低温期、排卵期の後が高温期になります。さらに、高温期は太りやすい、便秘になりやすいなどホルモンの影響を受けて体が変化します。
排卵が起こると黄体ホルモンが分泌されることで、体温が上昇します。その後、妊娠が成立しないと月経が起こり低温期に移行していきます。
妊娠が起こると2週間以上高温期が続き、胎盤が完成する妊娠14週頃までその高温期は続くとされています。
そのため、妊娠検査薬で陽性反応が出たにもかかわらず、基礎体温が下がっているときは化学流産が疑われます。
しかし、基礎体温が正しく計測できていないなどの理由も考えられるため、1日の体温で判断せずに、最低でも1週間は継続して基礎体温を確認するようにしましょう。
大量の出血
大量の出血は必ず全ての方に該当するわけではなく、出血自体はあるものの、大量には出ない方もいます。
出血のなかに血の塊が混ざっていたり、生理1日目にしては多量の出血だったりと、出血の異常が現れるケースがあります。
受精卵が着床すると子宮内膜が厚くなることから、通常の生理よりも出血が多くなり、腹痛を伴うと考えられていますが、着床期間が短いケースでは出血もあまりでないようです。
化学流産は治療の必要がないといわれていますが、あまりにも出血の量が多いときは、ためらわずに産婦人科を受診しましょう。
生理で血の塊が出る月経過多とは
普段から月経のときの出血量が多いと、化学流産と月経の区別がつかないことがあります。
月経過多が疑われる場合は、婦人科を受診して体が出すサインを見逃さないようにしましょう。
ここからは、月経過多について詳しくご紹介します。
月経過多の原因
月経過多になる原因は以下のように考えられています。
- ホルモンバランスが安定していない
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- 子宮膜ポリープ
- 卵巣機能の低下
- 悪性腫瘍
月経過多の原因はさまざまで、若いうちはホルモンバランスが安定していないことが原因とされています。
20~30代になって月経過多が見られる場合は、子宮になんらかの異常が生じている可能性があります。
さらに、更年期になると卵巣機能が低下し無排卵周期が増えることによって、月経過多になることがあります。
婦人科を受診する目安
月経過多の方は、以下のような状態が続くようであれば婦人科を受診するようにしましょう。
- 昼に夜用ナプキンを使用しても1時間程度で交換しなければいけない
- 血の塊がよく出る
- めまい、動悸などの症状がある
ナプキンの交換頻度が高く、血の塊がナプキンを交換するたびに出てくるという方は、受診をおすすめします。
月経過多になると貧血になりやすく、めまいやふらつき、動機、息切れなどの全身症状を引き起こすこともあるため、そのような症状があるときは婦人科を受診するようにしましょう。
月経過多の方が気を付けること
月経過多の方は治療方法が原因によって異なりますが、共通して以下のことに気をつけるようにしましょう。
- 栄養バランスのよい食事を心掛ける
- 体を冷やさないようにする
月経過多が起こると、鉄欠乏症貧血を合併している可能性があります。鉄分をしっかりとることを心掛けるとともに、栄養バランスのよい食事を1日3食きちんと食べることを心掛けましょう。
また、体の冷えは経血量を増加させる恐れがあります。冷たい食べ物を好んで食べている方や、シャワーで済ませてしまい入浴をしていない方は要注意です。
日頃から、体をあたためるように気をつけて生活するようにしましょう。
月経過多と化学流産を間違えないために
普段から月経の量が多い方は、化学流産で出血の量が多く、血の塊が出ても普段の生理と考えてしまいがちです。
そのため、普段の生理の出血量が多く、血の塊が出るような月経過多の症状がある方は、婦人科の治療を受けて原因をつきとめるようにしましょう。
婦人科で月経過多の治療をする際に、ピルを処方されることもありますが、妊娠を希望している場合は他の治療方法の選択も可能です。まずは医師に相談してみることをおすすめします。
前述したように、子宮に異常があるケースも考えられるため、そのような場合は早期治療が必要になります。
子宮に異常がある場合は、妊娠への影響が懸念されます。月経過多で悩んでいる方は早めに婦人科を受診しましょう。
化学流産の原因は染色体異常がほとんど
化学流産をしてしまうと、自分を責めてしまいがちですが、化学流産の原因は実は解明されておらず、妊娠初期の流産に多い染色体異常によるものであろうといわれています。
そのため、重い物を持ってしまったから、仕事を続けていたから、というような理由で化学流産をしてしまうことはありません。
自分を責めることはせずに、心が落ち着くのを待つようにしましょう。
化学流産後は妊娠ができないのでは?と考える方もいらっしゃいますが、次の生理がくれば妊娠が可能です。
化学流産をしたということは、卵子や精子に問題なく受精できたという証拠でもあるので、妊活を続けることもできます。
流産は非常に悲しい出来事であり、可能であれば予防したいと考えますが、染色体異常による流産を予防することはできないといわれています。
そこで、流産を予防するというよりも、妊娠しやすい体づくりをするために、葉酸やオメガ3脂肪酸などの栄養素を積極的にとるようにすることが重要です。
さらに、男女ともに喫煙や飲酒を控えるなど、妊娠によいといわれていることを試すようにしましょう。
まとめ
化学流産で起こる症状と月経過多との違い、化学流産の原因について詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?
普段から月経の量が多く、月経過多が疑われる方は血の塊が出ても通常の生理と考えてしまいがちですが、白い塊は化学流産の可能性があります。
白い塊は妊娠の成分とされていて、胎嚢ではないのであまり心配しすぎないようにしましょう。
月経過多と化学流産の見分けがつかないということが起こらないよう、普段の生理から出血の量が多いという方は、婦人科を受診することをおすすめします。
月経過多の原因には子宮の異常があるケースもあります。子宮に異常があることで、妊娠に影響を及ぼすことも考えらえるため、月経過多に悩んでいる方は早めに治療をはじめましょう。
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