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一般不妊治療のひとつである人工授精。
多くの場合、排卵の時期に合わせて性行為をするタイミング法で妊娠にいたらなかったカップルが、次に検討する不妊治療の方法です。
人工授精は、事前に採取した精子を細いチューブで子宮の奥に注入することで、卵管へたどり着く精子数を増やします。
精子を子宮に送り届けたあとは、自然妊娠と同じように自力で卵子と出会い、受精し着床するため、自然妊娠やタイミング法とさほど変わりない方法といってよいでしょう。
治療後は妊娠したかが気になるものですが、無事着床して妊娠が成立したかの判定をするまで14日間程度、もしくは次の生理がくるかどうかで判断されることもあるので、すぐに妊娠がわかるわけではありません。
勇気を出して人工授精を受けたあとは、女性にとってもっともストレスのかかる時期なので、不安や期待が入り混じり、頭がいっぱいになってしまうかもしれません。
この記事では、人工授精後の注意点と過ごし方について詳しくご紹介します。人工授精で妊娠を叶えたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
人工授精後の注意点
病院によって違いはあるものの、多くの病院では人工授精の治療後に入院する必要はなく、すぐに通常通りの生活に戻れるケースが多いです。
しかし、できるだけ着床しやすくするために注意した方がよい点もあります。
ここでは、人工授精後の注意点についてご紹介します。
人工授精直後は安静に
一般的に、人工授精後はベッドで一定の時間安静にし、頭から足への重力負荷がない状況にしておくことで、着床を助けるといわれています。
そのため、人工授精を行ったあとは10〜15分程度横になるクリニックが多いです。近年では、精子を卵管まで加圧して入れる臥床不要人工授精という方法で治療を行うクリニックも増えてきたため、安静にする必要のないケースもあります。
ただし、人工授精直後に気分が悪くなったときは、無理せずベッドで少し休ませてもらってから帰宅するようにしましょう。
激しい運動を控える
人工授精後は、基本的に普段と同じ生活スタイルで大丈夫ですが、ジムやランニング、キックボクシングなどの激しい運動は控える必要があります。
人工授精の際、事前に卵巣を刺激する薬の摂取をしている場合、治療後すぐは卵巣に腫れが残っていたり、敏感になっていたりする可能性があるので注意しましょう。
また、感染予防の観点から治療当日はプールや温泉などでの入浴は控えることをおすすめします。
基礎体温は引き続き測る
人工授精は排卵のタイミングに合わせて行われており、人工授精後の基礎体温はすぐに高温期に入ります。
着床せずに妊娠が成立しなかった場合、生理が起こり低温期に突入するのが一般的です。その反対に、妊娠が成立した場合は高温期が長く続きます。
不妊治療をしている方は、もともと基礎体温を測っている方も多いですが、人工授精後も引き続ききちんと測り基礎体温表に記入しておきましょう。
高温期が2週間以上続く場合は妊娠している可能性が高いので、治療を行った病院で診察を受け、妊娠判定を受けましょう。
人工授精後の過ごし方
人工授精後は、基本的に普段通りの生活をして構いませんが、妊娠率を少しでも上げるためにも、心身ともにリラックスした状態で過ごすことが大切です。
一般的に妊活をしているときに日常生活で気をつけることに関しては、注意して過ごすようにしましょう。
ここでは、人工授精後の過ごし方についてご紹介します。
落ち着いて生活する
人工授精を行ったカップルにとって、治療後はきちんと着床するか気が気ではないでしょう。しかしあまり神経質になりすぎてストレスを感じてはよくありません。
着床したかを気にするあまり、少しの体調の変化で敏感になってしまうかもしれませんが、妊娠判定を行うときまでは落ち着いて普段通りの生活を送るようにしましょう。
パートナーと一緒に趣味などに時間を使い、治療後であることを気にしすぎないように過ごすのもおすすめです。
ただ、冬の寒い時期はもちろんですが、夏でも長時間クーラーの効いている部屋にいる場合は、体の冷えに注意して対策を行うことが大切です。
とくに、人工授精を行ったあとは下半身の冷えには十分注意してください。
着床しやすい体をつくる
人工授精に限らず、妊活中は受精卵が着床しやすい体をつくることが重要です。
着床するまでにはおよそ12日間かかり、妊娠判定までは14日間以上の時間があります。
着床しやすい体をつくるためにも、毎日の食事で体の調子を整えるとよいでしょう。
以下は、着床しやすくするために重要な栄養素の例です。
- 葉酸:ブロッコリー、レタス、ごぼう
- オメガ3脂肪酸:青魚、くるみ、アマニ油、エゴマ油
- ビタミンD:青魚、キノコ類、チーズ、バター
- ビタミンA:うなぎ、レバー
- ビタミンC:赤パプリカ、ブロッコリー、いちご
- ビタミンE:ほうれん草、にら、卵、アーモンド
- 鉄:レバー、納豆、牡蠣、木綿豆腐
- 亜鉛:レバー、牡蠣、アーモンド、ごま
規則正しくバランスのとれた食生活は、着床しやすい体をつくるだけでなく、健康な体をつくるためにも欠かせないことです。
これらの食材を取らなければと神経質になりすぎる必要はありませんが、自分ができる範囲でバランスよく取り入れ、美味しく食事がとれるようにしましょう。
人工授精後についての疑問
Q1:人工授精後、常用している薬などは服用して大丈夫ですか?
A:常用の薬については、担当の医師に妊娠している可能性があることを伝え、処方された薬を服用します。
念の為、市販の薬を服用するのは控えましょう。
Q2:人工授精で赤ちゃんを授かる確率はどのくらいですか?
A:人工授精は、治療後すぐに妊娠すると思われている方も多いですが、実際に赤ちゃんを授かる確率は10%前後です。
自然な排卵に合わせて治療を行うAIHより、クロミフェン療法やhMGーhCG療法を組み合わせた治療の方が妊娠する確率も高くなります。
ただし、女性の年齢が上がるにつれて妊娠する確率は低くなりますので、注意しましょう。
Q3:人工授精後、性行為をした方がよいと聞いたのですが本当ですか?
人工授精後の性行為に関しては、受診している病院によって対応が違います。排卵日付近に人工授精以外でも性行為を行うように指示される病院もありますが、治療後は性行為をしないように指示される場合も。
そのため、人工授精後の性行為については主治医とよく相談するとよいでしょう。
Q4:人工授精後は、お酒を飲んでも大丈夫ですか?
人工授精後の飲酒については、とくに制限が設けられているわけではありません。
その理由は、自然妊娠の場合多くの女性が妊娠している自覚のないままお酒を飲んでいる確率が高いからです。
ただ、過度なアルコールの摂取は妊娠している可能性がないときでもよくありませんし、アルコールを摂取していた母体から生まれた赤ちゃんは、低体重や発達の遅れがみられる場合もあるのでやめましょう。
Q5:はじめて人工授精を受けました。今回の治療で妊娠しなかった場合、どのくらいを目処に体外受精などを検討すればよいですか?
人工授精は、一般的に6回程度治療を行って妊娠しなければ次のステップに進むか検討すべきといわれています。
しかしこれはあくまでも一般的にいわれていることであって、必ずしも当てはまるとはいえません。
人工授精後の症状は?
人工授精後は妊娠判定の結果が出るまでの間、着床しているかが気になるところです。
体の変化に敏感になる方も多いので、以下に人工授精後起こりやすい体の症状をまとめました。
- 下腹部にチクチクとした痛みを感じる
- 少量の出血がある
- おりものが増える
- 基礎体温が一旦急激に低下する
- 高温期が継続する
人工授精の治療後、0.1%の確率で軽い骨盤腹膜炎などを起こすケースもありますので、風邪を引いていないのに38度以上の熱が出た場合は早急に治療を受けた病院へ連絡するようにしましょう。
また、強い腹痛や腹部の違和感があるときも、自己判断せずに病院に受診することをおすすめします。
まとめ
人工授精後の注意点と過ごし方について詳しくご紹介しました。
人工授精は名前の印象よりも自然妊娠に近く、治療後も通常通りの生活が送れる不妊治療です。
しかしその分体外受精や顕微授精よりも着床率が低いため、治療後に着床するかは運にまかせる部分が多いのも事実です。
そのため、人工授精の治療を受けたあとはストレスを感じやすい傾向にあります。人工授精後だけでなく、妊活中のストレスは大敵です。
規則正しい生活やバランスの取れた食事は、とても大切なことですが、それを守ることばかり意識しすぎてしまうと逆にストレスになってしまうかもしれません。
過剰に意識せず、できることを少しずつ心がけ、人工授精で無事着床することを祈りましょう。
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