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人工授精は痛みを伴うってホント?痛みの原因となる検査を紹介

人工授精は、タイミング法の次のステップとして行われる一般不妊治療です。

タイミング法で妊娠に至らなかった夫婦が次のステップとして行いますが「人工授精の検査は痛い」と耳にしたことがあり、痛みに弱い方は怖さを感じているのではないでしょうか。

人工授精を行う際に痛いとされているのは、卵管造影検査です。

痛みの感じ方は人それぞれなので、痛くて耐えられなかったという方もいれば、我慢できる程度だったという方もいます。

この記事では、人工授精についてご紹介した後、痛い検査とされている子宮卵管造影検査について詳しくご紹介します。

子宮卵管造影検査がなぜ痛みを伴うのか、どのような場合に痛いのかを解説するので、これから人工授精をはじめるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

人工授精とは

話し合う男女
人工授精では、パートナーの男性から採取した精液を女性の子宮の中へ人工的に直接注入します。

自然妊娠に近いかたちで妊娠を目指す治療方法となっていて、タイミング法で妊娠できなかった場合の次のステップとなります。

医師は精子を子宮内に注入するところまでを行うので、実際に妊娠に至るまでの過程は自然妊娠と同様です。

人工授精で妊娠される方は4~6回目までで成功することが多く、その回数を超えたら次のステップである体外受精を行うことになります。

まずは、人工授精について詳しくご紹介します。

人工授精の流れ

人工授精は以下のような流れで行われます。

  1. 場合によっては排卵誘発剤を使用する
  2.    

  3. 人工授精の日を決めるために排卵日を確認する検査を行う
  4. 当日に採取した精子を洗浄、濃縮する
  5. 人工授精実施
  6. 場合によっては黄体補充療法を行う
  7. 妊娠判定

排卵誘発剤には経口薬と注射薬があり、来院が難しい場合は自己注射も可能です。

人工授精当日に採取した精子は、顕微鏡で運動良好精子の数をカウントし、洗浄、濃縮を行ってから子宮内に注入します。

人工授精後、黄体機能の低下が認められる場合は、黄体補充療法を行います。

人工授精の適応条件

人工授精は以下のような方に有効とされています。

  • 精子数が少ない、運動率が良くない
  • 性行為が難しい夫婦
  • フーナーテストの結果がよくない
  • 不妊の原因が不明
  • タイミング法で妊娠しなかった

フーナーテストとは、排卵前の頸管粘液が出ている時期に性行為を行い、その粘液の中にどの程度精子がいるかを調べるテストです。

フーナーテストの結果が悪いと、精子が卵管までたどり着くことが難しい可能性があるので人工授精が適しているといえます。

反対に、以下のようなケースでは人工授精は適さないので注意が必要です。

  • 卵管が閉塞されている
  • 排卵できていない
  • 精子の量や運動率が著しく悪い

このようなケースでは、人工授精をするよりも体外受精に切り替えたほうが良い結果につながる可能性が高いので、人工授精をせずに体外受精にステップアップします。

また、精子に何も問題がない場合も人工授精の有効性は低いといわれています。

そのため、人工授精前にさまざまな検査によって卵子や精子の状態を確認する必要があります。

人工授精を行う前の検査について

不妊治療の際に行う検査の数はかなり多く、検査だけで疲れてしまう方もいるほどです。

しかし、検査の内容は人工授精を行うにあたって必要となるので、どのような検査があるのかを把握しておきましょう。

女性と男性に分けて検査の内容をご紹介します。

女性の検査

女性は人工授精をはじめる前に以下のような検査を行います。

  • 感染症検査
  • 甲状腺検査
  • AMH検査
  • 子宮卵管造影検査
  • 子宮鏡検査
  • CD138慢性子宮内膜炎、膣炎検査
  • ERA EMMA ALICE検査

さらに、月経周期に合わせて卵巣刺激ホルモン検査や黄体化ホルモン検査、エストロゲン検査などを行います。

男性の検査

男性は女性のように月経周期に関係なくいつでも検査が行えるので、以下の検査を人工授精前の都合がよいときに行います。

  • 精子検査
  • 感染症検査
  • 男性不妊スクリーニング検査
  • 染色体検査
  • Y染色体微小欠失分析検査

精子検査では、精子濃度や運動率などの11項目を解析します。自宅で採取して持っていくこともできますし、病院で採取することもできます。

人工授精で痛いのは子宮卵管造影検査

エコー写真の説明を受ける女性
人工授精は痛いと耳にしたことがある方も多いのですが、痛い原因は子宮卵管造影検査とされています。

人工授精自体は痛みはなく、時間も数分で終わるため痛みの心配をすることはないのですが、子宮卵管造影検査は痛みを感じる方もいます。

痛みは強く感じる方もいれば、我慢できると感じる方もいて人それぞれです。

ここからは、各検査について詳しくご紹介します。

子宮卵管造影検査とは

子宮卵管造影検査とは、子宮から卵管へ造影剤を流して異常がないかを調べる検査です。

以下のような手順で行われます。

  1. 腟から子宮にチューブを挿入する
  2. チューブから子宮内に造影剤を流し込む
  3. 子宮内腔と卵管を造影剤が満たしたらレントゲン撮影をする

検査は、月経が終わった直後の出血がない時期に行います。

検査によって、子宮の形の異常、子宮内腔の異常、卵管の通過性、卵管周囲の癒着がわかります。

検査による痛みの原因は、造影剤の刺激が強いことにありますが、最近では造影剤が改良されていて、痛みを感じることは少なくなっています。

しかし、子宮が膨らむ、造影剤が流れるといった違和感や圧迫感が痛いと感じる方もいるので、全く痛みがないとは言い切れません。

痛みが強い場合は途中でやめることもできるので、我慢せずに医師に相談するようにしましょう。

子宮の異変を見つけることもできる

子宮卵管造影検査では、子宮が以下のような状態になっている方も発見できます。

  • 重複子宮…子宮が2つあり、子宮口も腟も2つ存在する
  • 双頸双角子宮…1つの子宮のなかに2つの内腔があり、子宮口も2つある
  • 双角子宮…子宮がハート形をしていて子宮内腔がくびれている
  • 中隔子宮…子宮の形は正常で内腔に壁がある
  • 弓状子宮…子宮の上の子宮底部がややくぼんでいる

これらの子宮の異常を見つけることも、子宮卵管造影検査の目的となります。

子宮の異常によって自然に妊娠することが難しいと判断された場合は、人工授精ではなく体外受精を選択することもあります。

痛みを感じるポイント

子宮卵管造影検査を行う際に、痛みを感じるポイントは2つあります。

1つ目は、子宮の中にチューブを挿入するときです。内子宮口が固い方ほど痛みを感じやすいので、痛みの感じ方に個人差が出ます。

2つ目は、チューブに造影剤を注入していくときで、卵管が狭くなっていたり、詰まっていたりすると痛みが強くなります。

卵管が詰まっている方は強い痛みを感じ、検査自体を続けるのが難しいほどです。

造影剤の副作用

造影剤の使用によって、稀に以下のような副作用が出ることがあります。

  • 急性のショック
  • 発疹
  • むくみ
  • 肝機能障害

検査前にアレルギーがないか、造影剤による副作用歴がないかなどを問診で確認することになるので、医師の質問にしっかり答えることが重要です。

当日は、感染予防のためにシャワーのみで湯舟にはつからないようにします。抗生物質の薬が処方されるので、しっかり服用しましょう。ただし、薬によるアレルギー反応が出た場合は服用をやめて薬を処方してくれた医師に相談が必要となります。

また、痛みを感じている場合はなるべく安静にしていることをおすすめします。

痛みを和らげるには?

前述したように、痛みの感じ方は人それぞれで、なおかつ状態によっても違ってくるので、心配したほど痛くなかったと感じる方もいれば、想像した以上に痛かったと感じる方もいます。

痛みに弱いと自覚されている方は、心配なことは医師に相談し、麻酔をするなどの処置をしてもらうようにしましょう。

使用器具のサイズを変更してもらうなどの方法もあるので、我慢せずに相談してみることをおすすめします。

痛みへの恐怖が強すぎてしまうと、不妊治療が精神的に辛い治療となってしまいます。

痛みの原因をしっかり把握し、どの程度痛い可能性があるかなどを医師や看護師と相談しながら治療を進めるようにしましょう。

まとめ

人工授精についてと、卵管造影検査についてご紹介しましたが、参考になりましたか?

「人工授精は痛い」という話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、人工授精自体が痛いのではなく、卵管造影検査に痛みが伴います。

その痛みも、強く感じる方もいれば気にすることはなかったと感じる方もいるので、人それぞれです。

しかし、痛みに不安がある方は医師に事前に相談し、麻酔や器具の種類を変えてもらうなどの対策をとってもらいましょう。

検査は数が多く、身体的に辛いと感じる方も多いのですが、検査を行うことによって卵子や精子の状態を知り、適切な治療を受けられます。

人工授精をはじめようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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