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【体験談あり】破水に気づかないのは危険?種類や原因・注意点やよくある質問まで解説

破水とは羊水が体外に漏れ出ることであり、どの妊婦にも経験する妊娠後期の正常な反応です。一方で種類によっては原因の分析や注意しておくべき危険な高位破水もあります。

そこでこの記事では、以下の内容について解説します。

  • ・破水の種類とよくある質問
  • ・気づかないと危険な高位破水の原因や特徴・症状
  • ・高位破水後の注意点
  • ・破水に関する体験談

妊娠後期は大きくなった胎児に膀胱が圧迫され、頻回に尿漏れをします。そのため、異常な破水と尿漏れの見分けが難しく、異常な破水に気づかないこともあるのです。一方で、異常な破水に気づかないと母子ともに命の危険に晒してしまう原因になります。

この記事を参考にして破水と尿漏れの区別ができるようになり、異常な破水ならすぐに産婦人科医に相談しましょう。

破水の種類

破水の中には、正常なものから放置すると危険な異常なものまであります。

そこでこの記事では、以下の内容について解説します。

  • ・破水とは?
  • ・破水の種類
  • 破水の種類や特徴を知ることで異常な破水に気づけるようになるので、ぜひご覧ください。

     

    破水とは?

    破水とは赤ちゃんを覆う卵膜が破れて、間を満たす羊水が体の外へ漏れ出ることです。

    破水の種類にもよりますが、適時破水(分娩に向けて起こる一般的な破水)などは大量であることが多く、陣痛とともに出産までのラストスパートの合図として考えられます。

    羊水は赤ちゃんが安全に暮らせるように外からの衝撃を吸収するクッション的な役割があります。その羊水が膣を通じて外部に漏れ出るということは、つまり外界と交通することを意味します。

    破水で外界と交通すると、赤ちゃんが感染症にかかるリスクが高まります。そのため、破水後は速やかに産婦人科へ受診して、分娩もしくは異常な破水に対する適切な治療が必要になります。

     

    破水の種類

    破水には以下の4種類があります。

    • ・適時破水
    • ・前期破水
    • ・早期破水
    • ・高位破水

    適時破水とは妊娠後期に起こる一般的な破水のことです。子宮口が全開の状態で破水するため、大量の羊水が流れ出ることが特徴になります。

    前期破水とは陣痛前に生じる破水のことです。前期破水は陣痛を誘発するため、妊娠22〜37週で陣痛が来た場合は早産のリスクが伴うことになります。

    早期破水とは陣痛後に破水することであり、そのまま分娩に移行します。

    高位破水とは子宮上部の膜が破れて破水するもので、子宮口が開いているわけではないため、破水する量が少ないのが特徴です。高位破水は緊急性が高く、母子が命の危険に晒されるリスクもあるため、早期に治療を始めなければいけません。

    気づかないと超危険な高位破水とは?原因や特徴、症状

    高位破水は他の破水と比べて緊急性が高いのが特徴です。放置しておくと母子ともに命の危険に晒すことになります。

    そこでこの章では、以下の内容について詳しく解説します。

    • ・高位破水とは?
    • ・高位破水の原因
    • ・高位破水の特徴
    • ・高位破水後の症状と放っておくリスク

    早期発見ができ、適切に対処をするための参考にしていただけると幸いです。

     

    高位破水とは?

    高位破水とは子宮上部など子宮口から離れた部分で卵膜が破れて羊水が漏れ出ることです。子宮口が開大している訳ではないため、羊水の漏れ出る量が少ないのが特徴です。

    おりものや尿漏れのようにチョロチョロと液体が出たり、破水後も赤ちゃんの胎動を感じられたりするため、高位破水したことに気づかないケースもあります。

    一方で高位破水後は母子ともに感染症やその他重篤な合併症になるリスクが高いことが分かっています。そのため、「破水したかな?」と少しでも疑うようであれば、産婦人科を受診しましょう。

     

    高位破水の原因

    一口に高位破水と言っても原因は人によって様々です。

    主な原因は以下の通りです。

    • ・感染症
    • ・卵膜の脆弱化
    • ・お腹に負担になる生活動作
    • ・妊娠中の性行為による子宮への刺激
    • ・喫煙(受動喫煙を含む)
    • ・高齢出産
    • ・多胎妊娠

    通常、女性の膣は子宮に感染菌(カンジダやクラミジアなど)が侵入しないように酸性に保たれています。しかし、何らかが原因で感染菌が赤ちゃんのいる子宮に到達すると、炎症卵膜が炎症を起こして破れるため破水します。

    また重たい物を運んだり、咳やくしゃみなどで腹圧がかかったりするなど、お腹に負担となる日常生活動作で高位破水になることも十分考えられます。そのため、仕事や家事、育児などすべて一人で抱え込まず、周囲へ協力をしてもらうことが大切です。

    その他、妊娠中の過激な性行為や多胎妊娠、高齢妊娠など妊婦に負担になる行為や状態は高位破水の原因になり得るため注意しましょう。

     

    高位破水の特徴

    高位破水の特徴は、以下の通りです。

    • ・破水量が少量
    • ・透明な液体
    • ・アンモニア臭はしない(尿ならアンモニア臭)
    • ・意思とは無関係に漏れ出る
    • ・継続的に漏れ出る
    • ・安静時や動作ごとに漏れ出る
    • ・胎動の減少

    少量しか破水しないため尿漏れとの区別が難しいと感じる方も多くいます。

    そんな方は「色」と「臭い」に着目しましょう。尿は薄黄色のアンモニア臭に対して、羊水は無色透明で無臭もしくは極わずかに生臭い感じです。

    また、尿は尿道括約筋を意識的に締めて排尿を我慢できますが、破水は意識とは無関係に漏れ出てきます。破れた卵膜は塞がることはありません。そのため少量ずつ継続的に漏れ出ること、羊水の量が減るため胎動が減ることも合わせて観察するようにしましょう。

    尿漏れやおりものとの区別が難しく見逃してしまうケースも少なくない一方で、母子への感染は命の危険に晒されることもあります。注意深く観察をするとともに、産婦人科医の指示をよく聞いて行動しましょう。

     

    高位破水後の症状と放っておくリスク

    高位破水後の症状は、以下の通りです。

    • ・発熱
    • ・下腹部痛
    • ・膿混じりの分泌物
    • ・胎動の低下・消失

    子宮上部の卵膜が感染などで炎症を起こすことで高位破水となり、発熱や下腹部痛が出現します。また、お母さんの免疫に負けた感染菌の死骸は、膿混じりの分泌物として排泄されます。

    感染症を放置すると重篤な副作用が出現する危険性もあるため、すぐに産婦人科で診察してもらいましょう。

    また破水で羊水の量が減ると、胎児がお腹の中で浮かぶ部屋が狭くなります。窮屈に感じた胎児は動けなくなり胎動が減るでしょう。最悪の場合、胎動できず胎児死亡となることもあるため緊急で分娩処置を行うこともあります。

    【即実践可】高位破水後の2つの注意点

    婦人科の妊婦

    高位破水だとすぐに産婦人科の受診をしなければいけません。

    そこでこの章では、高位破水で産婦人科を受診した場合に行われることや、受診までにあなた自身ができるセルフケアについて解説します。

    高位破水後は母子ともに非常にデリケートな状態になっているので、この章でお伝えする内容は必ず押さえておきましょう。

     

    注意点①:すぐに産婦人科を受診

    高位破水になった時期により対処法は異なります。いずれにせよ、まずは産婦人科を受診して、今後の対応方法について相談しましょう。

    妊娠37〜41週の正期産で高位破水になると、特別な理由がない限り分娩に向けて入院がすすめられます。

    赤ちゃんも破水で羊水が減り、体も大きくなっているため、お母さんのお腹を窮屈に感じます。外に出ても十分生きられるだけの機能は成熟しているため、早期分娩となるでしょう。

    一方で妊娠37週未満の非正期産の方は、感染予防のために入院・治療が必要になります。赤ちゃんが成熟する週数まで妊娠継続をするための治療が始まります。

    万が一、妊娠継続が難しいと判断した場合は、早産として低出生体重児を出産することとなり、NICU(新生児集中治療室)で長期的な管理が必要になるでしょう。

    高位破水になる時期が遅い・早いに関わらず、破水に備えて早めに入院・出産の準備をしておくことが重要です。また「破水したかな?」と感じたら、まずは産婦人科で診察・検査をしてもらいましょう。

     

    注意点②:セルフケア

    破水により赤ちゃんと外の世界は繋がり、感染症にかかるリスクが高まります。感染症の侵入を減らすためにもお母さんのお下(陰部)は清潔保持をしなければいけません。

    破水と感じたら入浴は避け、清潔なナプキンを当てた上で速やかに産婦人科を受診しましょう。

    高位破水と診断された場合は感染予防のため入浴禁止となり、シャワーのみの生活が強いられます。

    また、入院の必要はなく自宅安静をしておく場合でも、性行為など外部から感染菌が侵入するような危険行為は避けなければいけません。

    破水によりお母さんの体はとてもデリケートになるため、いつもよりも神経質になったり、情緒不安定になったりすることもあります。周りの人はそんなお母さんの気持ちを理解しつつ、無事出産を迎えるために支えられるようにしましょう。

    破水に関するよくある3つの質問

    この章では、破水に関するよくある3つの質問についてお答えします。

    • 質問①:正期産以外で破水したら、どうなりますか?
    • 質問②:高位破水を起こすと胎動に変化はありますか?
    • 質問③:破水に気づかないことはありますか?

    では、1つずつ解説します。

     

    質問①:正期産以外で破水したら、どうなりますか?

    正期産以外で破水を起こした場合、基本的には入院をして感染予防の管理を行います。

    破水で赤ちゃんと外部が繋がると、母子ともに命の危険に晒す重篤な感染症にかかる危険性があるからです。感染症管理をしつつ、正期産まで妊娠継続できるようにします。

    また、破水後のNST(ノンストレステスト)で胎児が弱っており、妊娠継続が難しいと医師が判断すると分娩(早産)となります。生まれてくる赤ちゃんの状態にもよりますが、NICU(新生児集中治療室)で長期的な治療・管理が必要になるでしょう。

     

    質問②:高位破水を起こすと胎動に変化はありますか?

    羊水は赤ちゃんを守るクッションやお腹の中で生きていくためのスペースです。高位破水で羊水量が減ると赤ちゃんが快適に動けなくなり、胎動が低下することも十分考えられます。

    羊水かどうかの検査も含めて、まずは産婦人科を受診しましょう。

     

    質問③:破水に気づかないことはありますか?

    破水に気づかない人もいます。特に高位破水は破水量が少ないことや妊娠後期は尿漏れを伴うため、これらを見分けるのが難しいでしょう。

    具体的な見分け方は、本記事の「気づかない超危険な高位破水とは?原因や特徴、症状」で解説していますので、ご覧ください。

    【体験談】破水?尿漏れ?どっちでも受診しておいた方が良い

    出産を控えるお母さんにとって分娩サインとなる破水に関する疑問や不安は尽きません。

    そこでこの章では、実際に破水で悩んだ経験のあるお母さんのインタビューをもとに体験談を紹介しましょう。

    あなた自身が抱えている悩みと照らし合わせながら、参考にしていただけると幸いです。

     

    体験談①:20代一般職(第一子)

    「もし尿漏れだったら恥ずかしい」と考えて、第一子の時には受診までに時間がかかりました。受診は遅れたものの尿漏れだったため赤ちゃんへ影響はありませんでした。しかし、異常破水なら赤ちゃんや自分を危険に晒したことになり、思い出すだけでもゾッとします。

    このように話してくれた20代一般職の方の体験から、「破水かな?」と少しでも感じたら、母子の命を守るためにも産婦人科を受診しましょう。

     

    体験談②:30代医療職(第三子)

    第一子・第二子ともに適時破水(妊娠後期の正常な破水)だったため、第三子も大丈夫と安心していたら高位破水になりました。

    尿漏れは我慢できる一方で破水は無意識に出てくると理解していても、いざ高位破水になると見分けるのが難しかったです。そのため、すぐに産婦人科を受診しました。

    間違った自己判断で赤ちゃんを危険な状態に晒すのは恐いことです。「高位破水かな?」と感じたら、産婦人科を受診して検査と今後の対応について相談しましょう。

    破水後に焦らないために準備しておくべきもの

    破水は予告なしにやってきます。そして余儀なく入院・治療をしなければいけません。

    そこでいつ破水しても良いように事前に準備しておくことが重要になります。

    準備しておくものの一覧は、以下の通りです。

    • ・吸収量の多いナプキン
    • ・バスタオルや尿漏れマット
    • ・防水シート
    • ・入院セット
    • ・準備物品を旦那様やご家族と共有しておく
    • ・病院までの交通手段の確保
    • ・仕事や家の段取り

    破水した状況次第では、一人で動けないこともあります。身支度や病院への交通手段の手配、職場への申し送りなどを済ませておき、安心して出産できるようにしておきましょう。

    また、旦那様やご家族と緊急時の対応や物の位置などを共有しておくと、破水後も焦ることがありません。

    高位破水は無意識に少量ずつ破水するため布団に防水シーツを敷き、都度洗濯する手間を省きましょう。

    出産まであと少しですが、最後の最後で焦らないように事前に準備や破水後のイメージを持っておくことが大切になります。

    まとめ: 破水だと思ったら迷わずかかりつけ医に相談をしましょう

    産婦人科で検診を受ける妊婦

    以上、体験談を踏まえながら破水について解説しました。

    適時破水のように妊娠後期の正常な破水であれば、分娩可能なサインです。しかし高位破水のように卵膜の炎症が原因だったり、破水を起こす時期(37週未満)によっては母子の命を危険に晒す恐れがあります。

    早期発見をして産婦人科に相談できれば良いですが、発見が遅れるケースもあります。特に妊娠後期は大きくなった胎児に膀胱を圧迫されて尿漏れを起こします。高位破水は少量ずつ破水するため、尿漏れと見分けるのが難しいのです。

    そんな時は「色」や「臭い」「意識的に止められるか」を観察することも分かったのではないでしょうか?

    赤ちゃんやあなた自身を守るためにも「破水したかな?」と感じたら、迷わず産婦人科に相談しましょう。

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら

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