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破水かどうかの検査が必要なケースとは?具体的な方法も紹介

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

破水かどうかは、腟鏡診で羊水が流れ出ているかを確かめ、はっきりしないときはリトマス紙(BTB試験紙)による pH の検査や、チェックプロム(チェックPROM)などの検査薬、超音波検査を組み合わせて判断します。破水は量もタイミングも人それぞれで、少しずつ漏れる場合は尿漏れやおりものと区別しにくいことがあります。破水かもしれないと思ったら、自分で判断せず、かかりつけの産婦人科に連絡してください。この記事では、検査が必要になるケースと、それぞれの検査のしくみ・限界を解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約8分
🩺 破水の検査・リトマス紙・チェックプロム
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 破水かどうかは、どうやって調べるのですか?

A. まず腟鏡で子宮口から羊水が流れ出ているかを目で確かめます。はっきりしないときは、腟内の液体の pH をリトマス紙(BTB試験紙)で調べる方法や、羊水に多く含まれる成分を検出するチェックプロムを使い、超音波で羊水量や赤ちゃんの様子も確認します。どの検査にも偽陽性・偽陰性があるため、結果は組み合わせて判断します。

  • ➤検査が必要なケース → 陣痛の前に水が出た(前期破水)、少しずつ漏れて区別がつかない(高位破水)
  • ➤リトマス紙(BTB試験紙) → 腟内は酸性、羊水は弱アルカリ性。色の変化で羊水が混じっているかをみる
  • ➤チェックプロム → 羊水に多く含まれる IGFBP-1 を検出する検査薬
  • ➤受診の目安 → 迷ったら連絡。週数にかかわらず、破水が疑われたら産婦人科へ

1. 破水かどうかの検査が必要なケース

出産が近づいた妊婦と付き添う家族

破水とは、赤ちゃんを包む卵膜が破れて、羊水が腟から流れ出ることです。「突然水が一気に流れ出る」イメージが強いかもしれませんが、それは一例にすぎません。破れる場所やタイミングによって、出てくる量も感じ方も変わります。破水そのものの基本は破水とはで解説しています。

ここでは、自分では破水かどうか判断がつかず、産婦人科で検査が必要になる代表的なケースを紹介します。

陣痛がくる前に破水したケース(前期破水)

陣痛が始まる前に卵膜が破れることを「前期破水」といいます。破水のタイミングは自分でコントロールできるものではなく、多くは陣痛が始まって子宮口が全開大(約10cm)になったころに起こりますが、それより前に起こることもあります。破水は、起こるタイミングによって次のように呼び分けられます。

📘 破水のタイミングによる呼び方

呼び方 起こるタイミング
適時破水 陣痛が始まり、子宮口が全開大になったころ
早期破水 陣痛が始まってから、子宮口が全開大になるまでの間
前期破水 陣痛が始まる前(妊娠週数は問わない)

※妊娠37週0日より前に起こる前期破水は、早産期の前期破水(preterm PROM)として、とくに注意して管理されます。早産は22週0日〜36週6日、正期産は37週0日〜41週6日をいいます。

前期破水は正期産の時期にも、早産の時期にも起こりえます[1][2]。はっきりした原因がわからないことも多く、腟や頸管の感染などが関わることもあります。卵膜が破れた場所によって流れ出る羊水の量が違うため、破水かどうか見分けがつかないときは、検査で確かめる必要があります。前期破水の原因や管理は前期破水とはで詳しく解説しています。

チョロチョロと少しずつ流れ出ているケース(高位破水)

検査がとくに必要になるのが、羊水が少しずつしか出てこない場合です。子宮口から離れた高い位置で卵膜が破れる「高位破水」では、羊水が一気には流れず、下着が少し湿る程度のこともあります。

妊娠中は尿漏れや水っぽいおりものも増えるため、高位破水はそれらと勘違いされやすい破水です。少量の場合は、見た目だけでは医療者でも区別が難しいことがあり、検査で確かめることになります。高位破水については高位破水とは、においによる違いは破水のにおいで解説しています。

破水したまま時間がたつと、腟から細菌が入り、子宮の中で感染が起こるおそれがあります[3]。だからこそ、早めに検査を受けて、破水しているかどうかをはっきりさせることが大切です。

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2. 破水かどうか調べる検査方法とは

産婦人科の医師と看護師

破水の検査は、1つの検査で決めるのではなく、腟鏡診で目で確かめることを出発点に、必要に応じて pH の検査や検査薬、超音波検査を組み合わせて判断します。米国産科婦人科学会(ACOG)の指針でも、腟鏡診での確認を基本に、pH の検査などを補助として使う流れが示されています[1]。国内でも、学会の診療ガイドラインに沿って各施設が診断と管理を行っています[5]。

産婦人科に連絡指示に従って受診
▶
腟鏡診羊水の流出を目で確認
▶
pH検査・検査薬リトマス紙・チェックプロム
▶
超音波・感染の確認羊水量・赤ちゃん・血液検査

受診する前に:連絡と持ち物

破水の疑いがあるときは、妊娠週数にかかわらず、まずかかりつけの産婦人科に電話で連絡し、指示に従ってください。受診するときは清潔なナプキンをあて、タオルも持っておくと安心です。破水が確認されるとそのまま入院になることが多いため、入院の準備ができていれば一緒に持っていきましょう。入浴は避け、腟に指やタンポンを入れないようにします。

腟鏡診で目で確認する

最初に行うのは、腟鏡(クスコ)を使った診察で、子宮の出口から羊水が流れ出ているか、腟の奥に羊水がたまっているかを目で確かめます。咳払いやいきみで流れ出る様子が見えれば、それだけで破水と診断できることもあります[1]。

なお、指で子宮口を確かめる内診は、とくに早産期の前期破水では、感染を防ぐためにすぐお産になりそうな場合以外は控えることが勧められています[1]。目で見てはっきりしないときに、次の検査を組み合わせます。

リトマス紙(BTB試験紙)で pH を調べる

「破水をリトマス紙で調べる」と言われる検査は、腟内の液体が酸性かアルカリ性かを確かめるものです。妊娠中の腟内の分泌物は pH 4.5〜6.0 の酸性ですが、羊水は pH 7.1〜7.3 の弱アルカリ性です[1]。そのため、腟内の液体がアルカリ性を示せば、羊水が混じっている可能性があると考えます。

一般には「リトマス紙」「リトマス試験紙」と呼ばれますが、病院で使われるのは、多くが BTB(ブロムチモールブルー)試験紙や、海外でニトラジン紙と呼ばれる pH 試験紙です。羊水が混じると、試験紙の色が黄色から緑〜青に変わります。手軽ですぐ結果が出る反面、次のような弱点があります[1][2]。

💡 pH の検査で結果がずれる主な理由

破水していないのに陽性(偽陽性):出血(血液)、精液、尿、アルカリ性の消毒薬、細菌性腟症などが混じったとき。
破水しているのに陰性(偽陰性):漏れている羊水がごく少量のとき、破水から時間がたって腟内に残る羊水が少ないとき。

このため、pH の検査だけで破水かどうかを決めることはせず、腟鏡診やほかの検査と合わせて判断します。

チェックプロム(チェックPROM)で羊水の成分を調べる

チェックプロム(チェックPROM)は、羊水に多く含まれ、ふだんの腟分泌物にはほとんど含まれない IGFBP-1(インスリン様成長因子結合蛋白1型)という成分を検出する検査薬です。pH の検査よりも、血液や精液などの影響を受けにくいのが特徴です。

検査では、腟鏡を入れて滅菌した綿棒(スワブ)で腟内の分泌物をとり、抽出液に溶かしてから検査スティックを浸します。数分以内に判定でき、痛みは腟鏡診と同じ程度で、赤ちゃんに影響する検査ではありません。PROM は前期破水(prelabor rupture of membranes)の略です。

ただし、チェックプロムも万能ではありません。漏れている羊水がごくわずかなときや、破水から時間がたって腟内に羊水がほとんど残っていないときは、陰性になることがあります[1]。羊水に含まれる別の成分を検出する検査薬が使われることもあり、どれを使うかは施設によって異なります。

💡 用語解説:IGFBP-1

IGFBP-1 は、子宮の内側をおおう脱落膜でつくられるタンパク質で、羊水の中に高い濃度で含まれます。腟分泌物にはほとんど含まれないため、腟内から検出されれば、羊水が漏れ出ている手がかりになります。

超音波検査で羊水量と赤ちゃんの様子を調べる

超音波検査(エコー)では、子宮の中の羊水の量を測ります。羊水が以前より明らかに減っていれば破水を裏づける材料になりますが、羊水量だけで破水と決めることはできず、補助的な情報として使われます[1]。あわせて、赤ちゃんの向きや元気さ、胎盤の位置なども確認します。

子宮内感染が起こっていないかの確認

破水と診断されたら、子宮の中で感染(絨毛膜羊膜炎)が起こっていないかも確認します。母体の体温や脈拍、赤ちゃんの心拍数をモニターで確かめ、採血で白血球数や CRP(炎症があると増えるタンパク質)を調べます[4]。

子宮内の感染は、赤ちゃんの肺炎や髄膜炎、敗血症などにつながることがあり、長期的には脳性麻痺などとの関連も指摘されています[3]。破水が疑われたら時間をおかずに受診してほしいのは、このためです。

🔬 破水の検査のまとめ

検査 何をみるか 注意点
腟鏡診 子宮口から羊水が流れ出ているか、腟の奥にたまっているか はっきり見えれば診断できる。少量だとわかりにくい
リトマス紙(BTB試験紙) 腟内の液体がアルカリ性か(羊水は pH 7.1〜7.3) 血液・精液・尿などで偽陽性、羊水が少ないと偽陰性
チェックプロム 羊水に多い IGFBP-1 が腟内にあるか 羊水がごく少量・時間がたっていると陰性のことがある
超音波検査 羊水量、赤ちゃんの様子 羊水量だけでは診断できない(補助的な情報)
血液検査・モニター 白血球数・CRP、体温、赤ちゃんの心拍 破水の有無ではなく、感染が起きていないかをみる

※検査の選び方や順番は施設によって異なります。

3. 1回の検査で破水と判定されないこともある

胸に手を当てて考える妊婦

高位破水のように羊水が少しずつしか出ていない場合、検査のタイミングや分泌物をとった場所によっては、破水していても陰性と判定されることがあります。ここまで見てきたように、pH の検査にもチェックプロムにも偽陰性があるためです[1]。

検査で「破水ではない」と言われて帰宅したあとも、水っぽいものが止まらない、ナプキンがくり返し濡れる、においや色がいつもと違うといったときは、ためらわずにもう一度連絡してください。医師の判断に従うことが基本ですが、症状が続くことを伝えて再検査を受けるのは、遠慮すべきことではありません。

⚠️ すぐに産婦人科へ連絡したいサイン

・水っぽいものが続けて流れ出る、ナプキンがくり返し濡れる
・羊水と思われるものが緑色・茶色に濁っている、においが強い
・出血がある、強いお腹の痛みや張りがある
・発熱や寒気がある
・胎動がいつもより少ない、感じにくい
・腟から何かが出てきた感じがある

破水したのに陣痛が始まらない場合の考え方は、破水したのに陣痛がこないときで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「迷ったら連絡」がいちばんの安全策】

破水の検査は、どれか1つで白黒がつくものではありません。リトマス紙もチェックプロムも、羊水が少なければ陰性になりうる検査です。だからこそ、検査結果と症状の経過を合わせて見ていくことが大切だと考えています。

「こんなことで連絡してよいのか」と迷う方は少なくないと思います。けれども破水は、時間がたつほど感染のリスクが上がる状態です。結果的に尿漏れやおりものだったとしても、確かめたことは決してむだではありません。迷ったときは連絡する、症状が続けばもう一度伝える。それが、お母さんと赤ちゃんを守るいちばん確かな方法だと考えています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 市販のリトマス紙で、自宅で破水かどうか確かめられますか?

おすすめしません。pH の試験紙は、尿や出血、おりものの状態などでも色が変わることがあり、少量の破水では反応しないこともあります。自己判断で様子を見ると受診が遅れるおそれがあるため、破水が疑われるときは産婦人科に連絡してください。

Q2. チェックプロムの検査は痛いですか?赤ちゃんに影響はありますか?

腟鏡を入れて綿棒で腟内の分泌物をとる検査なので、痛みは通常の腟鏡診と同じ程度です。子宮の中に器具を入れる検査ではなく、赤ちゃんに影響するものではありません。

Q3. 検査で陰性なら、破水していないと考えてよいですか?

多くの場合はそう考えてよいのですが、羊水がごく少量しか漏れていないときや、破水から時間がたっているときは、破水していても陰性になることがあります。帰宅後も水っぽいものが続く場合は、もう一度産婦人科に連絡してください。

Q4. 破水と尿漏れ・おりものは、自分で見分けられますか?

目安はありますが、少量の場合は見た目だけで確実に見分けることはできません。尿漏れは意識して止められることが多く、破水は自分の意思と関係なく出続けることが多いとされます。迷ったときは自己判断せず、産婦人科に連絡して検査で確かめてください。

Q5. 検査で破水とわかったら、どうなりますか?

多くの場合はそのまま入院になります。その後の方針は妊娠週数や赤ちゃんの状態、感染の有無によって異なり、正期産の時期であれば陣痛を待つか、陣痛を促す処置を検討します。早産の時期であれば、赤ちゃんの成熟と感染のリスクを比べながら管理します。

Q6. 夜中に破水したかもしれないとき、朝まで待ってもよいですか?

時間帯にかかわらず、かかりつけの産婦人科に連絡して指示を受けてください。破水したまま時間がたつと感染のリスクが上がるため、自分の判断で朝まで待つことは避けましょう。

まとめ

破水かどうかの検査が必要になるのは、陣痛の前に破水したかもしれない場合や、羊水が少しずつしか出ず尿漏れやおりものと区別がつかない場合です。検査は腟鏡診で目で確かめることを基本に、リトマス紙(BTB試験紙)による pH の検査、チェックプロムなどの検査薬、超音波検査を組み合わせて判断します[1]。

どの検査にも偽陽性・偽陰性があり、1回の検査で陰性でも、症状が続くなら再度連絡することが大切です。破水したまま時間がたつと子宮内感染のリスクが上がるため、破水が疑われるときは速やかにかかりつけの産婦人科に連絡してください。

🧬 出生前検査のご相談はミネルバクリニックへ

ミネルバクリニックは分娩を扱っていません。破水が疑われるときは、かかりつけの産婦人科に連絡してください。ミネルバクリニックでは、常駐する臨床遺伝専門医が、NIPT(新型出生前診断)をはじめとする出生前検査のご相談に対応しています。次の妊娠でNIPTを考えている方も、お気軽にご相談ください。

参考文献

  • [1] American College of Obstetricians and Gynecologists. Prelabor Rupture of Membranes. ACOG Practice Bulletin No. 217. Obstet Gynecol. 2020;135(3):e80-e97. [ACOG]
  • [2] 前期破水. MSDマニュアル家庭版. [MSDマニュアル]
  • [3] American College of Obstetricians and Gynecologists. Intrapartum Management of Intraamniotic Infection. Committee Opinion No. 712. Obstet Gynecol. 2017;130(2):e95-e101. [ACOG]
  • [4] American College of Obstetricians and Gynecologists. Update on Criteria for Suspected Diagnosis of Intraamniotic Infection. ACOG Clinical Practice Update. Obstet Gynecol. 2024;144(1):e17-e19. [DOI]
  • [5] 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 編. 産婦人科診療ガイドライン 産科編2026. 日本産科婦人科学会; 2026. [日本産科婦人科学会]

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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