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妊活サプリメントの選び方|成分や男性向け妊活サプリのポイントも紹介

妊活をするために必要なのが栄養バランスのとれた食事です。しかし、共働きで仕事をしているご夫婦だと食事の準備をするのも大変ですし、外食も多くなってしまいがちです。

そこで注目したいのがサプリメントになります。食事だけでは足りない栄養素をサプリで補うのが今では当たり前になってきています。ミネルバクリニックに来る患者さんの中にも自分で調べてサプリを飲んでいるご夫婦がいらっしゃいます。

妊活の基本は健康な身体づくりからです。毎日の食事で栄養バランス良く食べて、サプリで妊娠に向けた身体づくりにつながります。そこで妊活や不妊治療におけるサプリメントはどんな栄養素が必要なのかを詳しく紹介します。

ただし、サプリメントの摂取は自己判断ではなく医師や管理栄養士と相談してからにしてください。

妊活サプリメントの主な成分は?

インターネットで「妊活 サプリ」と検索するとAmazonや楽天市場といった大手ECサイトでも多くの妊活サプリが発売されているのがおわかりになると思います。たくさんの種類の中でどれを選べばいいのかわからなくなる方もいるかもしれません。

そこで妊活サプリメントによく配合されるものをピックアップしました。どの成分が妊活をおいてどんな働きをするのか知っておくと選びやすくなりますのでぜひご覧ください。

葉酸

葉酸は、赤ちゃんの成長に不可欠な栄養素です。なぜなら赤ちゃんの身体を作っていくために大量の葉酸を必要とするからです。妊娠初期の胎児はお母さんのお腹の中で細胞分裂を繰り返していきます。葉酸は葉酸はDNAなどの合成に欠かせない成分です。

初期には脳や神経管、心臓など人によって、非常に重要な部分が形成されていくため葉酸が不足してしまうと先天性障害を伴う可能性があるのです。だから妊娠の1か月前からの摂取が望ましいとされています。子どもがほしいと意識し始めたら摂ってほしい成分です。日本人は葉酸が不足しているのでサプリメントで補うようにしましょう。

葉酸はビタミンBの一種です。他のビタミンと一緒に働くのでマルチビタミンとして飲むようにするのがおすすめです。

亜鉛

亜鉛は多くの酵素に含まれ、たんぱく質の合成や遺伝子発現などに関わっている成分です。皮膚や粘膜の健康を助けてくれます。

妊婦の血液中、もしくは授乳時の母乳中の亜鉛は、妊娠期間や授乳期間が進むにつれて少なくなることがわかっています。そのため妊活中から積極的に摂っておきたい成分といえます。ただし、現代人は男女問わず亜鉛が不足しがちです。2018年の国民健康・栄養調査によると、1日の亜鉛摂取量中央値は、20代・30代女性ともに7.4mg足りていないので食事から摂れないときはサプリメントで補うようにしましょう。

鉄分

妊活中のカップルが積極的に摂ってほしい栄養素の一つが鉄分です。なぜなら子宮の粘膜を作るため、鉄が不足してしまうと受精卵の着床がしにくくなるからです。

女性は鉄分が不足しがちです。鉄分は赤血球を作ったり、体内へ酸素を運んだりという働きをします。ところが月経により血液を失ってしまうからです。

鉄分は排卵障害の改善に役立つという調査結果もあるので積極的に摂ってほしい栄養素です。

ビタミンD

ビタミンDは、骨を丈夫にしてくれるビタミンです。最近では免疫力を高めたり、生活習慣病やうつの予防に関わっているという研究結果も報告されています。実は、不妊との関連で最近とても話題になっており、卵子の質や着床と深い関わりがあることが分かっています。

しかし最近の妊婦さんはビタミンD不足です。なぜなら食事が欧米型になり魚を食べる機会が減ったこととお肌を守るために紫外線に浴びないようにしているからです。

もしビタミンDが不足してしまうと早産や妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病のリスクが高まる傾向があります。赤ちゃんもビタミンD不足も多く、成長期にO脚などの骨の変形が起こる「くる病」が増えています。

マカ

マカはアブラナ科の植物で、ペルーでは一般的に食べられているカブに似た見た目の根菜です。ホルモンバランスや、自律神経のバランスを整える働きがあるといわれており、マカに含まれているリジンという成分に生殖機能の活性化やより良い妊娠環境を維持する作用があるそうです。

男性には滋養強壮、および精液量や精子数、運動性精子数、精子運動性の向上が研究結果として出ています。血流の改善をすることが期待できるため勃起にも関与することが考えられています。

ただし、2020年3月に「自然環境の厳しい南米ペルー産のマカを厳選し、独自製法のエキスパウダーとして抽出。大学教授をはじめとする共同研究チームによる機能性試験において、授かり率が190%高まることが示されました」とマカが含まれたサプリメントの商品表記に根拠はないため景品表示法違反(優良誤認表示)に当たるとして消費者庁が販売会社へ措置命令を出しています。

ミトコンドリア

ミトコンドリアを摂ると、女性は卵子が、男性は精子が元気な質の良い状態に戻ると言われています。意外かもしれませんが、ミトコンドリアは私たちの1つ1つの細胞の中に数百〜数千存在しており、エネルギーを作り出す働きをしているのです。体内の酵素を使って人間のあらゆる活動の源となる力を作り出している重要な役割を持っていて、年齢とともに失われていきます。

男女ともに年齢を重ねていくと卵子も精子も質が落ちてきてしまうためミトコンドリアを摂っておくのが妊活中のカップルは不可欠といえます。

ミトコンドリアを増やすためにはカラダがエネルギーを必要とする状況をつくり出してやることです。ちょっときつめの有酸素運動、たとえばインターバルウォーキングなどがおすすめですが、エレベーターを使わずに階段を使うとか室内でなら1日10回くらいのスクワットでも構いません。 食事で増やすためには間食をひかえ食事の時は空腹にしておくことです。また、ビタミンB群、タウリン、鉄分を含むメニューがミトコンドリアの活性化に必要な栄養素となります。

1日に必要な量は?

それぞれの栄養素が一日にどれくらい必要なのか表にしました。

栄養素 必要な量と摂取可能な食材
葉酸 480μg:ゆでた枝豆なら約93さや、アボカドなら丸々3個
鉄分 21.5mg:赤身の牛もも肉なら約790g、納豆なら約16.5パック
ビタミンD 50μg:塩サケなら約217g、干したシラスなら約109g
亜鉛 男性なら10mg・女性なら8mg:うなぎの蒲焼なら男性約370g・女性約296g、牡蠣なら男性 約55g・女性約44g

ご覧いただくとわかる通り食事だけで摂るのはほぼ不可能です。だからこそサプリメントで補っていく必要があります。しかしサプリメントはあくまでも補助食品なので過信は禁物です。

男性にも妊活サプリメントをおすすめ

笑顔でサプリを飲んでいる男性
妊活をしているカップルならばご存じだと思いますが、不妊の原因が男性側にあるのは珍しくありません。WHOの不妊症原因調査では、男性不妊48%、女性不妊65%、夫婦両方24%という結果が出ています。

そのため男性側にも妊娠しやすい体質にしていくことが妊活において重要です。そこで必要な栄養素を食事で摂りつつ、足りない部分はサプリメントで補うようにしましょう。

男性は慢性的に野菜不足

日本人男性は年代問わず野菜不足です。2017年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によると成人男性の野菜類摂取量(平均値)は、295.4gでした。一日に必要な野菜の摂取量350gに達しておらず、しかも果実類摂取量(平均値)は20~40代では40~50gしかなく、推奨量95gに足りない結果となりました。

野菜や果実には多くのビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれているので、野菜や果物の摂取が少なければビタミンやミネラルが不足していることになります。それでは精子の形成に大きな影響を及ぼしてしまいます。

妊活サプリメントを飲むタイミングと期間

妊活を始めるならば早い段階から食事と一緒にサプリメントを摂取したほうがいいでしょう。男性の場合、コンディションを整えるために長期にわたる適切な栄養補給が必要です。なぜなら生殖細胞である精子の形成には74日程かかると言われ、精管を通るまでを含めるとおよそ3ヵ月もかかるからです。女性も妊娠してからではなく、妊娠前から身体の準備として必要な栄養素の摂取が重要とされています。

妊活サプリメントを選ぶポイント

妊活サプリを選ぶ3つのポイントを紹介していますのでご覧ください。

妊活に効果がありそうな成分で選ぶ

妊活サプリメントと聞くとどうしても意識してしまうのが葉酸です。もちろん摂取しないといけない成分ですが、他にも大切な成分がありますので見逃さないようにしましょう。

葉酸は毎日大体0.4㎎が必要だとされているので、この値を目安にしてください。他にも鉄分・カルシウム・ビタミンB群・ビタミンA.C.D.Eなどの栄養素が必要になるため一緒に摂取できるものを選ぶのがおすすめです。

男性も一緒に飲めるものを選ぶ

妊活は夫婦で行うことが大切です。女性だけでなく、男性も妊活に積極的に取り組むことで、より妊娠の確率が上がります。男性向け妊活サプリもあるほどなので男性と一緒に飲めるサプリメントを選ぶといいでしょう。

男性向け妊活サプリだと「マカ」が含まれているものが多くありますが、女性が飲んでもホルモンバランスと自律神経を整える作用があるので飲んでも構いません。

続けやすいものを選ぶ

サプリメントはあくまでも栄養補助食品です。薬と違って飲めばすぐに働きがあるわけではありません。一定期間飲み続けることが必要になるので粒の大きさや匂い、味など続けづらいものだと飲むのが辛くなります。そのため飲みやすさにも注目するようにしましょう。

特に妊活中はストレスがたまりやすくなるのでサプリメントを飲むのがおっくうになるような環境は避けてください。また、金銭的にも負担が大きくなってしまう場合もあるのでコスト面も考えて選ぶようにしましょう。

葉酸が不足するとどうなる?

妊娠中の夫婦
葉酸は、ビタミンB群の1種、赤血球の形成や胎児の発育を助けるなどの重要な役割があり、妊娠初期に特に必要な栄養素なのは先述したとおりです。妊娠前から妊娠初期にかけて0.4㎎の葉酸を摂取することで胎児の神経管閉鎖障害(脳や脊髄などの中枢神経系のもと(神経管)が作られる妊娠の4~5週ごろにおこる先天異常)の発症リスクを低下させるといわれています。

つまり、葉酸不足することで生まれてくる赤ちゃんが先天性異常を持つ確率が上がってしまうのです。葉酸は体内にためておけないため妊活の段階から意識して摂るようにしましょう。

妊活サプリメントはあくまでも栄養補助食品

ここまで妊活サプリメントについて詳しく説明をしてきました。しかし、サプリメントはあくまでも栄養補助食品です。栄養バランスを摂るのは食事が中心であるのは間違いありません。妊活中だけではなく妊娠してからも栄養バランスに注意して必要な栄養は食材で摂りつつ足りない部分をサプリメントで補うようにしましょう。

妊活中のカップルも妊娠中の女性も元気な赤ちゃんを授かって出産してください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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