InstagramInstagram

30代後半になると妊娠できる確率がぐんと下がる|原因を詳しく検証

晩婚化によって30代後半での妊娠は当たり前になってきています。しかしながら、いざ妊活を始めて見ると、中々子ども授からなくて大変だったというお話を当院に来院される患者さんからよく聞きます。実際に30代前半と比べて30代後半になると妊娠できる確率は低くなります。

30代は仕事にも忙しく、やる事が多い年齢です。多忙の中でも子どもを授かるためには自分の身体を知っておくことが重要になります。先ず30代後半の男女は、今までと比べてどんな変化をするのか紹介をしますので参考にしてください。

妊娠するのに適した年齢がある

妊娠、休息、人々、期待のコンセプト – ベッドに横たわり、自宅で腹に触れて笑顔の幸せな妊婦
女性のライフスタイルが変わり、30代後半で結婚するのが当たり前になっても「妊娠適齢期」や「分娩適齢期」に変化はありません。平均寿命が伸びて人生100年時代を迎えても人間の生殖機能は同じなのです。つまり20代が一番妊娠するのに適した時期になります。

女性の場合、「生理がくるから妊娠できる」という思い込みがありますが、これは大きな勘違いです。女性の場合、閉経を迎える10年くらい前に妊娠できる機能を失います。生理が来るのは、排卵が終わった後も周辺の細胞がホルモンを作り続けているからに過ぎません。

生理が来ても肝心の卵子がありませんのでセックスをしても妊娠に至らないのです。閉経はおおよそ51~52歳ですのでその10年くらい前になるとすると41~42歳がリミットといえます。

医学の進歩によって体外受精や顕微授精という高度生殖医療も進んできています。そして30代後半や40代で出産する有名人も増えてきているので勘違いをしてしまいますが、妊娠しやすい時期というのは今までと変わらないというのを知っておいてください。

35歳過ぎると妊娠しづらくなる

先述したように女性は年齢を重ねていくと妊娠しにくい体質へと変化をしていきます。日本生殖医学会によると、不妊の頻度は25歳~29歳では8.9%、30~34歳では14.6%、35~39歳21.9%、40~44歳では28.9%といった報告がされています。なぜなら卵子の数と質が落ちていくからです。

実は、卵子は出生時に既に出来上がっており、その後、新しく作られることはありません。女性は排卵日が来るたびにできあがった卵子を排卵していきます。ところが年を取るのと並行して卵子の質が落ちていきます。質の悪い卵子は精子着床しにくくなり、妊娠の成立が難しくなるのです。しかも妊娠できたとしても赤ちゃんが染色体異常による先天性疾患ダウン症候群エドワーズ症候群・パトゥ症候群など)にかかっている確率が高くなります。

また、30代後半より上になると、年齢が上がるほど生産分娩率は低下し、45歳以上では1%未満となるデータも出ています。そして女性は卵管炎、子宮筋腫、子宮内膜症になる可能性も高くなるので注意が必要です。一般的に流産率は10~15%といわれますが、35歳位なら30%以上と確率が高くなり、妊娠できたとしても油断できません。つまり35歳以上になると妊娠と出産するのが大変になるということです。

男性も40歳過ぎたら要注意

白い背景にカジュアルTシャツを着た髭を持つ若いハンサムな男性は、疑問に思い悩む。
実は男性も女性同様、年齢が高くなると妊娠しにくい体質になります。精子は卵子を違って毎日作られるため見逃してしまいますが、年を取ると数と質が落ちてくるからです。

因みに男女の年齢が同じ場合、もっとも妊娠率が高い日でさえも、20代前半までは約50%、20代後半から30代前半は40%、30代後半は30%と下がります。 精子の質が落ちてくる理由は研究中で原因ははっきりしていません。日頃から運動をしていたり食事に気を遣っていたとしても精子は衰えていきます。

また、加齢とともにDNAが損傷した精子の割合が増え、その結果自然妊娠や、人工授精での妊娠率が下がるのではないかと考えられていますので、妊活をする際は女性の年齢や体調に目が行きがちですが、男性側の年齢も考慮した上で考えてください。

年齢別自然妊娠率は?

まずはアメリカのシルバー教授の著書に特に不妊ではない夫婦が結婚後どのくらいの期間で妊娠するかについて示した表があるのでご覧ください。

妻の年齢 一ヶ月あたり妊娠率 妊娠するまでにかかる月数 一年以内に妊娠する確率
20代前半 25% 4ヶ月 97%
20代後半 15〜20% 5〜6ヶ月 86〜93%
30代前半 10% 10ヶ月 72%
30代後半 8.3% 12ヶ月 65%

この表をご覧いただくとわかる通り、やはり20代が一番妊娠しやすい時期といえます。そして年を追うごとに妊娠できる確率が低下していきます。もし子どもが欲しいと思っているならば、早めに産婦人科や不妊クリニックに相談をして妊活や不妊治療を始めたほうがいいでしょう。

因みに不妊症は「「避妊をせずに1年たっても子供ができない」と定義しています。病気とは違うので病院へ行くのは気が重いかもしれませんが、遠慮なく相談してください。

不妊の原因はなにか?

女性側の原因として挙げられるのは以下の通りになります。

  1. ・排卵障害
  2. ・卵管障害
  3. ・着床障害
  4. ・子宮頸管の通過障害
  5. ・性行為障害
  6. ・機能性不妊

最近では、子宮内膜症が不妊原因に関わっているケースも増えているそうです。妊娠しないまま年を取ると卵管や卵巣、子宮などの癒着や肥大が進み、不妊の原因になるそうです。
男性の場合は、以下の通りです。

  1. ・造精機能障害
  2. ・精管通過障害
  3. ・性行為障害

最後の性行為障害は妊活によるプレッシャーで精神的になえてしまう場合もあります。もし妊活中のご夫婦ならパートナーにあまり「子どもが欲しい」といわないほうがいいかもしれません。他にストレスの原因があるならED薬を使用するのも方法の一つです。嫌がる男性がいますが、妊活中の女性は排卵誘導剤などを服用していることもあるので同じことだと話してみましょう。

30代後半は早めに妊活を始めよう

日の光の背景に愛する笑顔のカップル
ここまでご説明したように20代30代前半と比べると35歳以上の男女は妊娠力が確実に落ちています。もし子どもが欲しいとご希望されているならばすぐに産婦人科や男性不妊科などの医師に相談してください。

もし妊活となればタイミング法から始めて、人工授精、体外受精、顕微授精とステップアップしていきます。その際、年齢が高いと受精できる可能性も低くなります。特に人工授精は30歳未満と比べても低くなっているので、早めに妊活を始めるのが基本といえます。卵子と精子の数や質は年を取る悪くなるばかりです。繰り返しになりますが、早めに妊活をして無事に赤ちゃんを授かってください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事