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卵子の質を上げる運動習慣|大切な要素と話題のマタニティヨガを紹介

妊活に励まれているカップルにとって、気になるのはどうすれば妊娠しやすくなるのか。赤ちゃんを授かるためにカップルが取り組めることは多様にありますが、多くの改善行動は日常の生活習慣と結びついています。

生活習慣というと,一般的には食生活の改善や十分な睡眠、適度なストレス解消などがよく挙げられますが、実は「適度な運動習慣」も赤ちゃんを授かりやすくするうえでは大切な要素のひとつです。

この記事では、赤ちゃんのもととなる卵子の質を向上させるための運動習慣に関してご紹介していきます。どうして卵子の質の向上が重要であるのか、どのような運動習慣が効果的であるのか、今話題のマタニティヨガに関して詳しく見ていきましょう。

ぜひ最後までご覧ください。

卵子の質と妊娠の関係性

疑問が解けていくイメージ
まず初めにご紹介するのは、卵子の質と妊娠がどのように関係しているのかに関して見ていきましょう。

卵子の質に影響を与えるものは大きく、「加齢」「日常習慣」に大別されます。

「加齢」は避けられないものでもありますが、どうして卵子の質に影響するのか。それは「卵子の年齢=排卵時の女性の年齢」だからです。

卵子は「原始卵胞(げんしらんほう)」と呼ばれる細胞がもととなって作られるのですが、この原始卵胞は女性が母親のお腹の中にいるとき(胎児のとき)から細胞分裂によって作り出され、生まれた後に新しく作られることはありません。これが「卵子の年齢=女性の排卵時の年齢」と表現される理由となります。

そして、卵子や精子が作られる際には有性生殖をする動物にのみ見られる「減数分裂染色体は2つで1対であることが基本ですが、次の世代を産み出すために染色体を1つにし、子供が両親の染色体をもって2つで1対とするための分裂)」が行われています。

原始卵胞は女性が赤ちゃんであるときから既に卵巣の中にあるものの、卵子が作られるようになるのは女性が生殖適齢期となり始めてからです。つまりは、原子卵胞は卵子になるための「減数分裂」を排卵のときまで「途中でストップさせている」状態にあるのです。

年齢を重ねるということは、言い換えれば「減数分裂を中断させている期間を延長」させているということでもあり、いざ卵子を作り出すために減数分裂を再開させたとしても、中断期間が長かった場合には上手く分裂できない(正常な卵子が作られない)ことが多くなってきます。これが加齢が卵子の質の影響因子とされる理由です。

歳を重ねてからの妊娠では、卵子が無事に精子と受精し受精卵となったとしても、受精卵の中で染色体異常が起きる確率が大きくなってくるため、流産してしまうことや、赤ちゃんが染色体異常(ダウン症など)を持って生まれてくるということも多くなります。

上記で説明したように「加齢」は卵子の質に大きく関わってきますが、これだけではなく「日常習慣」も大切な要素です。

卵子はさまざまな栄養素をもとにして作られますが、その卵子を作り出すように命令を出す司令塔にはホルモンなども大きく関係しています。そのため、栄養だけでなくホルモンバランスも重要といえます。

バランスの取れた食生活は卵子の栄養になることはもちろん、適度な運動習慣やストレス解消はホルモンバランスを整えることにも寄与してくれます。

では、妊活に向けていざ日常習慣を改善していったとして、一体どれくらいの期間で効果が現れるようになるのか、次はこの点に関して詳しく見ていきましょう。

改善行動が卵子に影響されるまでの期間

結論からいえば、日常習慣の改善を始めて、卵子の質に効果が現れるまでに必要となる期間は「約90日間(約3か月)」です。

卵子のもととなる原始卵胞は、ホルモンの刺激を受けて、3周期の月経期間をかけて、発育し、成熟していきます。そのため、質のよい卵子が育つ胎内環境を作るためにも最低で3か月が必要となります。

この記事では運動習慣についてご説明していきますが、食生活の改善も大切なことです。以下のミネルバクリ二ックのコラムにて食生活の改善や、どのような栄養素が卵子の質の向上に効果的なのかをご紹介していますので、ぜひそちらもご覧になられてください。

卵子の質の向上と運動習慣

運動習慣
ここでは卵子の質を向上させるための運動習慣に関してご説明していきます。どのような状態が卵子の質を低下させてしまうのか、悪影響を与える状況を改善することを含めて、質の向上に効果的である運動習慣がどのような方法であるのか、話題の運動法である「マタニティヨガ」にスポットをあててご紹介していきます。

卵子の質に悪影響な状態とは?

卵子の質には「加齢」が大きな影響因子となるとご説明しましたが、実は日常の生活習慣の中でも「老化を加速」させてしまう可能性があるのです。

「人間の体が老化する」というのはどのような状態かというと、人間が酸素を体内に取り入れて、エネルギーを産生するときに発生する「活性酸素」が他の体内の細胞と結びついてしまい、本来細胞が発揮することのできる機能を失ってしまうことにあります。これは、活性酸素の「体内の他の物質と非常に反応しやすい」という特徴ゆえに生じてしまうことです。

このように活性酸素が体内の細胞と結びつき、別の化合物になることを「酸化」と言います。このような体のメカニズムがあるため、食生活の改善などでは酸化を防止する「抗酸化作用」のある栄養素を持った食物を取り入れましょう、と勧められることがあるのです。

質の向上におすすめの運動習慣

卵子の質には「老化」が大敵であるということは充分にご理解いただけたかと思います。つまりは、日常習慣での取り組みにおいては、いかに「活性酸素を産み出すことを抑えるとともに、抗酸化作用のある食物を取り入れる」かが体内の老化防止に寄与します。

しかしながら、人間はエネルギーを生み出すために呼吸をしているわけであり、活性酸素の産生をゼロにするということはできません。運動を行うということはエネルギーを産み出しながら体を動かすこととなりますが、おすすめは「緩やかな運動」です。

ボクシングやエアロビクスのような激しい運動は、エネルギーを産み出すために自然と取り組む酸素量も多くなり活性酸素の産生を促進させてしまいます。そのため、取り込む酸素量が多くなり過ぎないウォーキングやヨガなどがおすすめされます。

妊娠には肥満であるか否かも大きく関わっており、運動を通じた適度な脂肪燃焼も重要です。食生活と併せて見直すとともに、ウォーキングやヨガなどにしても脂肪燃焼に効果が現れ始める30分以上の取り組みをおすすめします。

次に、妊活に励まれている方などに話題のマタニティヨガに関してご説明していきます。

マタニティヨガで期待できる効果

今話題のマタニティヨガ。マタニティヨガを実践することで期待できる効果には以下のものが挙げられます。

  • ストレス軽減
  • 血流の改善
  • 基礎代謝の向上
  • ホルモンバランスを整える
  • 骨盤を整える

それぞれに関して見ていきましょう。

ストレス軽減

卵子の質を高めるためには、過度なストレスは大敵です。

ストレスの感じ方には個人差があるとともに、ストレスを解消するための効果的な方法も人それぞれですが、運動はストレスを軽減する方法として非常に有力であるとされています。

数ある運動の中でもヨガは「アサナ(いわゆるヨガのそれぞれのポーズのことです)」をすることで適度な筋力をつけると同時に、呼吸法を取り入れることによって自律神経のバランスを整えてリラックス効果を高めることも期待できます。

加えて、運動をするための道具や器械、大きな空間を必要としないため、取り組みやすいというのも嬉しいポイントのひとつですね。ストレスは日々、ご自身が気づかない中でも溜まっていくものであり、適度に解消できる環境を整えやすいといううえでもヨガはおすすめです。

血流の改善

卵子を育てるためには、卵子のもととなる原始卵胞はもちろん、体に摂り入れる栄養素も非常に大切です。しかしながら、摂り入れた栄養素が体の隅々にまで運ばれなければ意味はありません。

栄養素を運ぶためには血流の状態が大きく関わっており、栄養素の観点以外ではホルモン分泌にも大きく関係しています。

全身の筋肉を無理なく使ってポーズをとるヨガは、血流の改善にも効果的です。

基礎代謝の向上

基礎代謝とは生命活動を維持するために人間が普段の生活のなかで自然とエネルギーを消費する体内活動のことを指しています。基礎代謝が向上すると、日常的なエネルギー消費が大きくなるため、摂り入れたエネルギーの消費も活発となり「太りにくい」体質が自然と作られていくようになります。

基礎代謝にはエネルギーを消費する全身の筋肉などが関係しているのですが、加齢とともに筋肉量は落ちていくため、基礎代謝も下がっていく傾向にあります。そのため、基礎代謝を向上させるためにも運動は必要不可欠です。

特に、ヨガといった軽い負荷を与えながら時間をかけて行う運動は有酸素運動に分類され基礎代謝を向上させることに効果的です。

ホルモンバランスを整える

ホルモンバランスが乱れると月経のタイミングがずれるなど妊娠にも大きく影響してきます。加えて、排卵をコントロールしているのはホルモンです。つまり、ホルモンバランスの乱れは、妊娠には大敵であるということです。

ヨガのポーズや呼吸法には、身体全体の血液循環を改善するとともに副交感神経を優位にすることでリラックス効果を高めること作用があります。ホルモンバランスの乱れは、過度なストレスなどによってもたらされることもあるため、ヨガによってホルモン分泌を正常にすることが期待できます。

骨盤を整える

妊娠のためには骨盤を整えることも非常に大切です。女性の就く職業では座り仕事であることも多く、何時間も同じ姿勢で働き続けているということも少なくないのではないでしょうか?加えて、歩く機会が減少している傾向もあり、骨盤周りを動かすための機会は自然と減っているというのが実情です。これらの要因が重なり合って「骨盤のゆがみ」を生じさせてしまうのです。

骨盤は上半身と下半身をつなぎ支える、身体のなかでも重要な役割を担っている器官です。そして、女性の骨盤は、赤ちゃんを育て、生むために男性の骨盤と比較して、大きく丸みを帯びています。この形状も骨盤のゆがみを生じさせやすい原因であるとされています。

骨盤のゆがみによって、生殖器官周囲の血流が悪くなり、卵巣や子宮の機能を低下させ、結果的には卵子の質をも下げてしまうということになります。これだけではなく、骨盤のゆがみは妊娠後にも影響することがあり、子宮の位置が下がることで早産の危険性が高まったり、お腹の赤ちゃんに十分な栄養が運ばれなくなるということも起こり得ます。

ヨガには、上記で示したように妊娠のために非常に大切な骨盤周りに効果をもたらすポーズも多くあります。普段の生活では刺激を受けることのない筋肉や骨にアプローチすることで、ゆがみが生まれやすい女性の骨盤を本来のあるべき位置に戻していく効果が期待できるのです。

まとめ

自然の中で運動する女性

ここまで、妊娠のために大切な卵子の質に関して、卵子の質を向上させるための運動習慣、今話題のマタニティヨガがどのような効果をもたらすのかをご説明してきましたがご理解いただけたでしょうか?

晩婚化が進行していることもあり、「加齢・老化」が卵子の質の低下に影響を与えることも事実である一方で、現代人はさまざまなストレス環境下に身をさらしているというのも事実です。

適度な運動習慣を身に付けストレスを解消すると同時に、妊娠のために大切な効果も積極的に取り入れていきましょう。この記事が妊娠を望まれる女性・カップルの一助となれば幸いです。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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