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妊娠初期で出血したら危険?|生理との違いや対処法まで

妊娠がわかり、新しい命との対面を楽しみにしているなかで、出血が起こると不安になるママも多いでしょう。妊娠初期の出血はさまざまな原因があるため、赤ちゃんに異常があるとは限りません。出血の原因や対処法を知っておくと、万が一のときに冷静な判断ができます。

この記事では、妊娠初期の出血の原因や対処法についてお伝えします。妊娠初期の出血に不安を感じているママや、万が一の出血したときの対処法を知りたいママは、ぜひ参考にしてください。

妊娠初期の出血は大丈夫?

腹痛

妊娠初期に出血すると「赤ちゃんは無事か」「妊娠を継続できるのか」と不安になるママも少なくありません。出血にはさまざまな原因があるため、必ずしも大丈夫とはいえないのが現状です。しかし、妊娠初期の出血を経験しているママは意外と多くいます。決して珍しいものではないので、過度に不安がる必要はないと知っておきましょう。

妊娠初期の出血は異常がなくても起こる

出血=異常と捉える方もいます。しかし、妊娠初期に出血は異常がなくても起こるものです。膣や子宮内部はデリケートで傷つきやすいため、内診の刺激で出血する場合もあります。受精卵が着床する際に子宮内膜を傷つけたことが原因で起こる場合もあります。
生理現象による出血は、赤ちゃんや母体に問題があって起こるわけではありません。突然出血が見られると焦り、不安になってしまいますが、まずは冷静になって出血の状況や体の変化を観察することが大切です。

妊娠初期に出血しても通常通り出産を迎えることが多い

継続的な出血が見られても、問題なく出産を迎えるケースが多いです。ただし、長期間にわたる不正出血は、妊娠の有無にかかわらず芳しくありません。赤ちゃんの様子を見ながら医師が経過観察するのが一般的です。赤ちゃんの命を守るためにも、定期的に診察を受けましょう。

自己判断せずにかかりつけ医を受診する

妊娠初期の出血は必ずしも異常があるとはいえませんが、異常がないともいえません。出血の量が少なく体調にも異常がない場合、問題ないと自己判断して受診しないケースが見られます。
妊娠初期の出血は、赤ちゃんやママの危険を知らせている場合もあるので、自己判断せずに受診してください。赤ちゃんの成長を確認できれば、出血に対する不安も少なくなります。

妊娠初期に出血が起きる原因

お腹を両手で包む女性

妊娠初期に出血が起きる原因は、さまざまです。問題ない出血もあれば、放っておくと胎児や母体に危険がおよぶ出血もあります。事前に考えられる出血の原因を知っておくと、いざというときに役立ちます。次からは妊娠初期に出血が起きる原因を紹介します。

着床出血

着床出血とはその名のとおり、受精卵が着床したときに起こる出血のことです。赤ちゃんに影響がある出血ではないので、ご安心ください。
出血は生理予定日と同じ時期である妊娠4週頃に見られるため、生理と勘違いする方もいます。出血はティッシュに軽く付いたり下着ににじんだりする程度が多いです。期間も生理より短く、1〜4日程度で治まります。また、出血の色は赤褐色や茶色、ピンクと個人差があります。

絨毛膜下血腫

絨毛膜下血腫とは、胎嚢と子宮内膜の間に血がたまり、血の塊になったもののことです。血の塊が大きいと血が漏れ出て、出血につながる場合があります。妊娠初期の絨毛膜下血腫は自然になくなるケースが多いといわれているため、出血が少量もしくは中量程度であれば、経過を見守ります。
妊娠中期になっても出血が続く場合は、流産や早産のリスクが高まるので、安静に過ごすよう指示されることがほとんどです。診断結果によっては入院します。出血は鮮血、もしくは赤褐色です。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

異所性妊娠とは簡単にいうと、子宮外妊娠のことです。受精卵が子宮以外、たとえば卵管や卵巣などに着床することを指します。妊娠反応があるのに子宮内に胎嚢が見られない場合は、異所性妊娠の可能性があります。検査した結果、異所性妊娠と診断されたら妊娠の継続は困難なため、中止の処置が必要です。

最初は少量の出血が見られる場合が多いですが、時間がたつと受胎産物が破裂して大量出血になり母体が命の危険にさらされる可能性もあります。徐々に出血量の増加が見られる場合は異所性妊娠の疑いがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。

胞状奇胎

胞状奇胎は異常妊娠の一種で、絨毛細胞が子宮内で過剰に増殖した状態を指します。妊娠と同様の症状が出ますが、胞状奇胎の成長は著しいため、腹部が速く大きくなったり吐き気・嘔吐などの妊娠症状が強く出たりします。妊娠の継続はできないため、中止の処置が必要です。少量の出血や血混じりのおりものが出る場合が多く見られます。

切迫流産

切迫流産とは妊娠22週未満で、流産の一歩手前の状態のことを指します。流産と聞くと不安に感じる人が多いですが、妊娠を継続できる可能性が高いです。切迫流産と診断されたら進行を防ぐため、安静を求められます。血の色は鮮血もしくは赤褐色、出血量は個人差があります。子宮収縮による腹痛が見られることも多いです。

早期流産(初期流産)

妊娠22週未満に流産してしまうことを早期流産と呼びます。妊娠12週までに起こる流産の原因は、赤ちゃんの染色体異常がほとんどです。多い日の生理と同じくらいの出血がある人もいれば、少量の出血の人もいます。程度は異なりますが、同時に腹痛が見られる人も多いです。
しかし、なかには全くの無症状で早期流産を起こし、妊婦健診まで気づかない人もいます。症状によって早期流産を判断するのは難しいと理解しましょう。

子宮頸部びらん

子宮頸部びらんとは、子宮頸部がただれたり、ただれているように見えたりする状態のことです。抵抗力が弱まっているため、少しの刺激や細菌が原因で出血を起こします。出血量はごくわずかです。赤ちゃんへの影響はないので、不安になる必要はありません。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管ポリープとは、子宮頸管に腫瘍(ポリープ)ができることです。ポリープはもろいため、少しの刺激で簡単に出血します。健診時の内診や排便時のいきみ、運動のあとにも出血することがあります。
出血は少量がほとんどで、色は赤褐色や茶色、ピンクです。ポリープは良性の場合が多く、赤ちゃんへの影響もないといわれています。しかし、ポリープが炎症した場合は流産を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

子宮頸がん

子宮頸がんとは、子宮頸部に生じるがんのことです。ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因で発症します。子宮頸がんになると、鮮血や赤褐色の不正出血があります。最初はティッシュに付く程度の少量です。
しかし、がんの進行とともに出血量が増えていきます。がんの進行度合いによって妊娠を継続するか、中断するかが異なります。

妊娠初期に出血が起きたときの対処法

妊娠初期に出血したらどうする?原因や対処法を詳しく解説

妊娠初期に出血が起きたら、自己判断せずにかかりつけ医に相談しましょう。出血の量や色だけで、原因は特定できません。赤ちゃんやママに異常が起きている可能性もあります。次からは妊娠初期に出血が起きたときの具体的な対処法をお伝えします。

出血の状態を確認する

まずは、出血の状態を確認します。確認したい項目は、次のとおりです。

チェック項目 状態 特記事項
血の色 鮮やかな赤、赤褐色、茶色、ピンクなど 鮮やかな赤は緊急性が高い
出血量 少量、下着に付く程度、生理と同じくらい、ナプキンに収まらない、など 出血量が多い場合は緊急性が高い
血の形状 ドロドロ、サラサラ、塊など
出血時期 2時間前、お昼頃などわかる範囲で詳細に

血の色は、出血したタイミングによって色が異なります。出血したばかりの血液は鮮やかな赤です。時間の経過とともに赤褐色、茶色に変化していきます。鮮やかな赤色の出血が見られる場合は緊急性が高いことが多いです。
また、サラサラとした血が多く出る場合や、大きな血の塊が出てくる場合も危険です。急いでかかりつけ医に連絡しましょう。

出血以外に異常がないか確認する

出血以外の異常がないかも確認します。たとえばおなかの張りや腹痛、発熱などです。出血の前後でいつもと違う症状がなかったかも確認しましょう。出血の状況やその他の異常についてよく確認したら、連絡時や診察時に医師に伝えてください。診断の役に立ちます。

かかりつけ医に連絡する

出血などの状況を確認したら、かかりつけ医に電話で連絡し、その後の指示を仰ぎましょう。医師に相談すれば、出血に対する不安もやわらぎます。「この程度で連絡して良いのか」と迷う必要はありません。自己判断せずに連絡するのが賢明です。

とくに出血の色が鮮やかな赤だったり、出血量が多かったりするときは、緊急性が高い可能性があります。出血と同時におなかの張りがある場合も同様です。緊急性の高い症状が見られた場合は休日・夜間を問わずにすぐかかりつけ医に連絡し、指示を仰いでください。

受診を指示されたらすぐ病院へ向かう

医師に受診をうながされたら、速やかに病院へ向かいます。家族に運転してもらうか、タクシーで向かいましょう。万が一のことを考えると、公共交通機関の利用は避けるのが無難です。また、自分で運転するのは避けてください。

安静を指示されたら体を休める

医師に安静を指示されたら、体を休めましょう。安静の程度は個人によって異なるため、医師にどの程度なら動いても良いのかを確認しておいてください。必要最低限の家事ならしても良いといわれる場合もあれば、横になって過ごすことを指示される場合もあります。赤ちゃんのためにも、他者を頼ったり家事代行サービスを利用したりしながら、体を休めてください。

なお、重労働をともなう仕事をしている場合は、出血が落ち着くまで休みましょう。テレワークでの軽い事務作業は許可が出ることもありますが、医師に確認してから行うようにしてください。

【まとめ】妊娠初期に出血したら自己判断せずかかりつけ医に連絡しよう

産婦人科 妊娠

妊娠初期の出血には、さまざまな原因があります。赤ちゃんやママの異常を知らせる出血かどうかは、医師でないと判断できません。放っておくと処置が遅れる可能性があるため、早急に医師に連絡するか、かかりつけ医を受診しましょう。
異常がなければ出血に対する不安も払拭できます。赤ちゃんのためにも母体のためにも、出血が見られたらかかりつけ医に連絡することが大切です。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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